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斯くてドラゴンは人になる  作者: 冫メ况。
1章~賢者の館
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賢者の館24

「──────と言うわけで、ユーベルトとオリファーは、ドラゴンが人間に転生するための器の素になったんだ。」


賢者ヒスイは、自身の不老の身体や魔法のこと、ユリという協力者がいること、ユーベルトとオリファーは天然の不老だったが、紫竜の魔法で余命が5年になっていたこと、二人の死後、俺たちドラゴンの器になったことをガイウスに説明した。

しかし、俺たちが赤竜と青竜であることは説明しなかった。


「…聞きたいことがいくつかあったはずなのですが、何を聞こうとしていたのか忘れてしまいましたよ…。」

「一度に話しすぎたかな。君が黙って聞いてたから、ほとんど話しちゃったよ。」

「師匠の言葉を理解するのに必死だったんですよ。…ユーベルトとオリファーが天然の不老というのはどういうことですか?」

「それについては話すことができない。」

「それが、あの二人との約束ですか?」

「…そうだ。」

「…わかりました。それと…私の聞き間違いでなければ、この二人は人間に転生したドラゴンということになるのですが…そうなのですか?」

「そうだよ。詳しい話はこの二人に聞くといい。」


俺たちの説明は、俺たちに任せてくれるらしい。


「君たちは…本当にドラゴンだったのか?そもそも、記憶は残っているのか?」

「うん、残ってるよ。俺がドラゴンだった時に、ガイウスさんに会ったことも覚えてる。」

「…セラフィ君も、私に会ったことが?」

「うん。」

「…私が今まで会って来たドラゴンは、全て悪い関係に終わっている。君たちもきっと…私への恨み言があるはずだ。…何でも言ってくれて構わない。」


恨み言を受け入れる姿勢を見せたということは、少なくとも今はドラゴンを敵視しているということでは無さそうだ。


「じゃあ、遠慮なく言わせてもらおう。まず、俺はもともと赤竜だった。そしてセラフィはもともと青竜だった。」

「…そうか。」

「あと、ガイウスさんは勘違いしているから先に言っておくけど、俺たちは別に恨み言を言うつもりは無い。」

「いや…しかし、セラフィ君は…青竜は私がこの手で直接殺しているのだ。何も無いということは無いだろう…?」

「私も、恨み言は無い。あるとすれば感謝の言葉だけ。あなたが対竜魔法を使ってくれなかったら、黒竜を止めることはできなかった。」

「俺も同意見だ。俺はガイウスさんに、間接的に殺されたことになると思うけど、それで黒竜を止めることができたのは感謝している。もちろん、対竜魔法の軌道を制御してくれたセラフィにも感謝してるよ。」

「はいはい。」


セラフィは少し笑みを浮かべながら、俺の言葉を受け流した。


「感謝されるようなことなど…。」

「ガイウスさん。俺がドラゴンだった時、賢者ヒスイに会って『人間に転生する魔法』を教えてもらったんだ。ドラゴンとして生きていても退屈な人生だったからな。人間に転生すれば、そんな退屈な人生から脱却できると思ったんだ。『人間に転生する魔法』は死に瀕しているほど成功率が高くなるらしいから、黒竜の暴走を止めるのは、死に場所としてはちょうど良かった。」

「君たちはあの時…死ぬために黒竜を止めに来たと言うのか…?」

「まぁ、そういうことになる。」


セラフィの真意は不明だが、恐らく似たようなものだろう。


「そんな…ことが…。」

「これが真実だ、ガイウスさん。改めて言うとおかしな言葉だけど、俺たちを殺してくれてありがとう。」

「ありがとう。」

「…。」


俺たちは感謝の言葉を伝えたが、ガイウスは顔を曇らせてしまった。


「…結果的に、君たちに感謝されることとなったが、それはそれとして、私は君たちに謝りたい。」

「ガイウスさんがそう思っているのなら、聞こう。」

「…敬称は不要だ。君たちには呼び捨てにされた方が、私としては気が楽なのだ。」

「わかったよ、ガイウス。」

「…あの時は、カリア君の言うことを聞かずに…あまつさえ逆上してしまったこと…また君らの死に深く関与したこと…ここに深くお詫び申し上げる。」

「謝罪を受け入れよう。」

「私も受け入れる。」

「…ありがとう。」

「ガイウス、わからないことがあるんだ。聞いてもいいか?」

「なんでも聞いてくれて構わない。」

「賢者の弟子になった時はドラゴンとの共生に賛同していたと聞いている。今は落ち着いているみたいだけど、黒竜の一件の時はドラゴンを敵視しているように見えた。何かあったのか?」

「カリア、それについては私が──────」

「師匠、大丈夫です。娘にも、私から話をしました。お心遣い、ありがとうございます。」

「…すまない。余計なお世話だった。」


賢者ヒスイが説明を代わりにしようと割って入って来たが、ガイウスはそれを制止した。


「…君たちを殺してしまったことに対する言い訳のように聞こえるかもしれないが、聞いてもらいたい。」

「もちろんだ。」

「…まずは私の妻の話をしておこう。もしかしたら君たちは知っているかもしれないが、白竜の村を知っているか?」

「…そういう名前が付いていることは知らないけど、白竜が人間と一緒に暮らしてたところ?」

「そうだ。」

「セラフィ、知ってるのか?」

「うん。白竜と話した時に教えてくれた。場所は知らないけど、その村に生まれた魔力持ちの人間と契約して、外敵から村を守る結界を張っていると聞いた。」


俺は知らなかったが、人間好きの白竜がやりそうなことではある。


「セラフィ君はそこまで知っていたか。話が早くて助かるよ。その契約者は代々女性と決まっていてね、竜の巫女と呼ばれていた。私の妻はその時の巫女で、ミリィという名前だった。その村は、この国を出て馬を6時間ほど走らせた森の中にある。師匠が結界の存在に気づいて、私にその結界を調査させたのが始まりだ。」

「ガイウスは器用な子でね。結界魔法を破ることに関しては彼以上の適任者は居ない。」

「賢者の館で鍛えさせてもらいましたので。」


そう言えば、ガイウスとユーベルト、オリファーが館の外に出るのを食い止めるために、使用人が色々と策を弄したと言っていたが、そのことか。


「白竜の結界は確かに堅牢で破ることはできなかったが、結界の中に入れるように条件を整えて、中に入ることができた。」

「白竜の結界を改ざんしたの?凄い。」

「あはは。お褒めに預かり光栄だよ。…話を続けよう。」


ガイウスは過去の話を語ってくれた。

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