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斯くてドラゴンは人になる  作者: 冫メ况。
1章~賢者の館
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閑話〜人間の魔法使いとの出会い

「おや、先客が居たか。」

「俺が居るのは気付いていただろう。」

「あはは。バレてたか。雨宿りしたいんだけど、入っても良いかな?」

「構わん。」

「ありがとう。」


俺が洞窟で雨宿りをしていると、1人の人間がやって来た。

こんな森奥に人間が来るなど珍しい。ましてやドラゴンと共に雨宿りをするとは、かなり変わった人間だと思った。

その人間は、俺と向かい合うように座った。


「君は何をしてるの?」

「見ての通り雨宿りだ。」

「ドラゴンでも雨宿りするんだ。」

「そういう気分なだけだ。お前こそ何しにここへ来た?人間が来るような場所ではないはずだが。」

「南の森はドラゴンが住んでるって言われてるからね。」

「何しにここへ来たと聞いている。」

「ドラゴンを探しに来たんだよ。」


とんだ物好きも居るものだ。

あるいはドラゴンと戦いに来たのかと思ったが、戦う意思は無いようだ。


「探してどうする。」

「こうやってお話したかったんだよ。」

「…それだけか?」

「うん。変かな?」

「俺が会って来た人間の中では最も変わっている。」

「人間は嫌いかい?」

「…いや、俺としても人間と話ができて好都合だ。」

「なんだ、君も話がしたいんじゃないか。」

「特にやることもないからな。」

「普段は何をしているの?」

「…腹が減ればそれを満たし、眠くなれば寝る。偶に人間と話せる時は、このように話し相手になってもらう。それだけだ。」

「…随分退屈そうだね。」

「そう言うお前は、普段何をしているんだ?」

「私は…世界中を旅しているんだ。色んな所で知り合いや友達を作ってる。その途中でドラゴンを見つけたら、仲良くなるために話しかけたりする。」

「なぜそんなことをしている?」

「それが私の仕事というか…やりたいこと?だからだね。」

「俺が今まで会ってきた人間と一緒だな。退屈そうにしている人間に会ったことがない。」

「まぁ、そういう人はほとんど居ないね。」

「俺も人間に生まれていれば、退屈しなかったかもしれないな。」

「人間になりたいなら、人間に転生してみるかい?」

「…そんなことが可能なのか?」

「うん。最近作った魔法なんだ。」


俺は人間の魔法使いに、『人間に転生する魔法』を教えてもらった。


「この魔法で、本当に転生することができるのか?」

「うん。一応何回か試して、成功しているから大丈夫だよ。あぁ、でもその魔法を使う時は瀕死の状態で使った方がいい。成功率が格段に上がる。」

「難しいことを言うのだな。…まぁ、その時が来たら使わせてもらおう。俺が死の間際まで行くことは、当分ないと思うがな。」


まだ半信半疑だが、万が一瀕死になることがあれば使ってみようと思った。


「それはどうかな。私たち人間が、君たちドラゴンに対抗する魔法を開発していると言ったら?」

「俺たちに対抗する魔法?」

「そう。言わば対竜魔法だ。魔法障壁を貫通し、ドラゴンの身体だけを傷つける光線だ。莫大な魔力と精巧な技術が必要で、連発はできない。」

「やけに具体的な説明だな。本当にあるかのようだ。」

「信じるか信じないかは、君に任せるよ。」

「防ぎ方も教えてくれると助かる。」

「対竜魔法は貫通力がないから、土魔法で壁を作れば簡単に防げるよ。こんな風にね。」


人間の魔法使いは、ただ土を盛り上がらせただけの土壁を作った。


「土魔法か…練習しておこう。」

「…本当に信じるのかい?『人間に転生する魔法』も『対竜魔法』も、実際に見せてないのに。」

「俺はそう言う魔法があると信じた方が、今より幾分楽しいと感じるだけだ。」

「…君のようなドラゴンが居てくれて、良かったよ。」


人間の魔法使いは立上り、洞窟の出口へ向かった。


「まだ雨は止んでないぞ。」

「もうすぐ止みそうだから、私は行くよ。やらなきゃいけないことがあるからね。」

「そうか。」

「じゃあね、赤竜。君と話せて嬉しかったよ。人間に転生したら、また会おう。」


そう言って、人間の魔法使いは洞窟から出て行った。

人間に転生したらまた会おう、か。


「少し、真面目に考えてみるか。」


俺はそのまま眠りに就き、自分が人間になった世界を夢に見ながら、雨が止むのを待った。


賢者ヒスイのセリフを修正しました。

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