4ターン目
四ターン目
私の反撃を受けた魔王は後退りをして、片膝を突く。
「くっ、これが貴様の本当の力か」
私は驚いていた。何故なら、反撃するつもりのない私は防御の体勢を取っていたからだ。私が普通に攻撃したら、きっと魔王様は大きな痛手を負う事になると分かっていたのに。
どうしてこんな事になったのかと考えた時、私はすぐにその原因を突き止めた。
そうだ、私の身に付けている指輪のせいだ。
この指輪には特殊な効果があり、こちらが敵の攻撃を防御する事に成功した場合、一定の確率で反射的に私の体を勝手に動かして反撃してくれるのだ。魔王戦の対策の一つとして、事前に装備していたこの指輪がこんな形であだとなるとは思いもよらなかった。
私は魔王の状態が気になって、彼女の様子を窺う。
「フフッ、良い、良いぞ!」
低い笑い声を上げながら、魔王はゆっくりと立ち上がる。
「それでこそ、ここまで辿り着いた唯一の勇者だ。なるほど、貴様は先程までわざと阿呆を演じて、我が隙を誘い、致命的な一撃を喰らわせようと企んでおったな? 残念だが、そのような一撃だけでは我を倒せぬ。何故ならば、我はまだ本気の力を解放しておらぬからだ」
良かった、魔王様は無事のようだ。こんなに可愛い魔王様を倒すなんてとんでもない。危うく、亡き魔王様に代わって私が魔王となり、世界を滅ぼすところであった。
「どうやら、貴様との戦いは余興に相応しくないらしい」
魔王は羽織っていたマントを脱ぎ捨てる。
「お遊びはここまでだ、勇者よ」
突然地面が揺れ始めて、周囲を満たしている空気も震え始める。
見ると、魔王の体から邪悪な気が溢れ出し、辺りを瘴気のような毒々しい薄闇で満たしていく。魔王の体にも徐々に変化が現れ、その顔や腕に禍々しい紋章と思われる模様が浮かび上がってきて、その赤い瞳が薄闇に残像を残す鈍く怪しい光を放つようになる。
魔王の新たな姿に、私は恐怖よりも先に歓喜の感情を覚えたのだった。
ただでさえ、元から可愛さを極めた見た目をしているのに、それをさらに越えてくるなんて想像もしていなかった。赤く光る瞳も素敵だけど、特に顔と腕に浮かび上がったあの模様が良い。女の子には似つかわしくない邪悪さが却って、魔王様の可愛さを際立たせている。
何が何でも魔王を仲間にしてやると、私はさらに意気込んだのであった。
五ターン目へ続く