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1ターン目


  一ターン目


 長い長い旅の末、私はようやく魔王との戦いに至った。

「フハハハッ、来たな、勇者よ!」

 私の使命はこの世界を闇に包もうとしている魔王を倒す事。

「生きて我の前に立った人間が貴様のような小娘とはな。だが、面白い。どこまで我を楽しませてくれるものか、余興程度には遊んでやるぞ!」

 世界を救うためにはこの手で魔王を倒さなければならない。

 が、たった今、私の気が変わった。

 いや、だって、この魔王、めちゃくちゃ私の好みじゃん。魔王というか、偉そうで小生意気な女の子っぽい。金髪で赤い瞳で八重歯があるところはいかにも悪い奴って顔付きだけど、普通に可愛いし、えっ、なんとか倒さずに仲間にできないかな。

「どうした? 我を前にして、恐れをなして動けなくなったか、んん?」

 やばい、どうしよう、強がっている女の子みたいですごく可愛い。

 確かに強いんだろうなってのは分かるし、実際世界中の魔物を統べる長だし、その力でいくつもの城や街を破壊してきたのは事実だろうし、目付きとか雰囲気とかは禍々しいし、服装も魔王らしく物々しいマントを羽織っていて似合ってはいるんだけど、それら込みで可愛い。

 そういえば、道具袋の中に魔物用の肉があったはず。試しにそれを投げてみようかしら。

 私はその肉を取り出して、魔王の目の前に放り投げる。

「ん? なんだこれは?」

 おっ、興味を示したみたいね、近付いてくるわ。

「何かの動物の肉か? 分からん、謎の肉だ」

 魔王様でも何の肉かは分からないのね。まあ、私も知らないけれど。

 魔王は腕を組んで目の前に落ちている魔物用の肉をじっと眺めて、色々と考え込むように眉間に皺を寄せていた。それから少しして、はっとした表情で私に視線を投げてくる。

「貴様の意図が読めたぞ。これは我に対する挑発だな? 我は卑しくも土に塗れた肉を喰らう野犬に等しい存在、故に恐ろしくも何ともないのだ、と。……中々愉快だ! そのような挑発をした人間はこれまで一人もいなかった。そして、今後も決して現れる事はないだろう!」

 魔王は絵に描いたような高笑いをして、体中から闘気のような霧を漂わせる。

 駄目だ、まったく効果がなかったようだ。むしろ、彼女のやる気を高めてしまったみたい。

 でも、私は諦めない。


                            二ターン目へ続く



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