TIME PATROL続き
TIME PATROL続き
Gemini
Time Patrol: Hitler Assassination Plot
Gemini との会話
TIME PATROLと言う小説の設定とあらすじとをストーリーをここまで書きました。続きのストーリーを書いてください。
TIME PATROL~ヒトラー暗殺計画~
設定
第三次世界大戦 2028年に勃発した世界大戦。核兵器が限定で使用され、世界の約3割の人口が失われた。
世界連合(Asociation of the World) 第三次世界大戦後に国際連合に代わって台頭した世界組織。全ての国が平等の世界組織で参加国の法学者の議論によって作られた新国際法に基づいて活動する組織。国際連合はそのほとんどの国が退会したために自然消滅した。
タイム・マシン(Time Machine) 世界連合結成後に開発された時空間移動する乗り物。近距離のタイム・マシンの詳細な情報を得られるコンパクト・タイム・センサーを内蔵する。最新技術と国家や大企業などの多額の予算がないと製造できない。
タイム・パトロール(Time Patrol) タイム・マシンによって世界各国の政治組織などによって実歴史修正(歴史変更)を防ぐために設けられた多国籍警察組織のひとつ。日本の埼玉県さいたま市にある。多国籍の人間で構成される。
タイム・スキャナー(Time Scanner) 時空連続体をスキャンして時空間移動するタイム・マシンを捉えるマシン。タイム・マシンとほぼ同時に開発され、タイム・パトロールの通常の業務はこのマシンによる時空監視である。
タイム・クルーザー(Time Cruiser) タイム・パトロールのタイム・マシン。名称は一般公募で決定された。
登場人物
チャールズ・エドワーズ(Charles Edwards) 38歳の米国白人。タイム・パトロール隊長。身体能力に優れるが射撃の腕は普通。アメリカン・フットボールが好き。
アルベルト・ゲントナー(Albert Gentner) 32歳のドイツ人。身体能力に優れ、格闘術に秀でる。射撃の腕は普通である。猫と音楽が好き。
黒野晴斗 25歳の日本人。タイム・パトロール隊員。優れた身体能力を持つ。射撃能力に秀で命中精度は一般的で速射を得意とする。野球が好きだが、モバイル・ゲームも好きで課金を結構している。左利き。
メアリー・スチュアート 23歳の米国白人。タイム・パトロール隊員。タイム・クルーザーのパイロット。戦闘は苦手であるが、武装はしている。黒野と同じく左利きでそのため仲が良い。
トム・コールマン(Tom Coleman) 42歳のアメリカ黒人。タイム・パトロール隊員。メカニック。タイム・マシンに何かあった時のために随行する。戦闘は苦手だが一応武装はしている。
UT3 通訳アンドロイド。内蔵OSは組み込み用Android 25.1のAndroid-i 25.1。ストレージはSSD256テラバイト。任務達成のために世界中の言語と歴史などを記憶している。UT3とはUniversal Translator 3の略である。仲間からはUTと呼ばれている。
東郷十三 35歳の日本人男性。時間犯罪者のリーダー。銃撃・格闘などの戦闘のプロフェッショナル。
マッシュ・アルドリッチ 28歳の米国人。時間犯罪者のメンバー。銃の扱いは普通程度である。
姫野美優 24歳の日本女性。時間犯罪者のメンバー。タイム・マシンのパイロット。銃の扱いは苦手である。
あらすじ
近未来。2028年に第三次世界大戦が勃発し、世界の3割の人口が失われた。大戦後、新国際組織「世界連合」の組織の一つである国家を超えた犯罪を取り締まる多国籍警察の下部組織タイム・パトロールが、タイム・マシンを使って歴史を変えようとする時間犯罪を防ぐために日夜時間犯罪者と戦っていた。
2042年4月4日、第一次世界大戦前のドイツに時空間移動する国籍・船名不明のタイム・マシンをキャッチし、タイム・パトロールのタイム・マシン、通称「タイム・クルーザー」に乗って時間犯罪者のタイム・マシンを追うと、時間犯罪者たちは学生時代のアドルフ・ヒトラーを襲おうとしていた。隊員が襲撃を阻止しようとして時間犯罪者とパワーガンによる銃撃戦となり、銃撃戦の中で隊員と時間犯罪者の双方が傷つき、タイム・クルーザーは損傷し帰還が不可能となった。時間犯罪者のリーダー東郷十三は負傷した時間犯罪者の姫野美優と死亡したマッシュ・アルドリッチを残して乗ってきたタイム・マシンに乗って逃亡してしまった。また、隊員の一人が保護した学生のヒトラーに未来の歴史を教えてしまい、彼は落胆し未来で過ちを犯さないと誓う。また、何故か隊員たちの元に助けのタイム・マシンが過去から迎えにこなかった。隊員たちはしばらく考えて、ヒトラーが未来を知ってしまったために未来が変わったためだろうと言う結論を出し、改心した姫野美優と共に過去のドイツに住むことを覚悟した。
隊員らはアンドロイドをある家に隠し、ヒトラーとその家族や友人と交流しながら、未来の知識を使って政治結社を組織し、世界を現在より良い状態に、平和な世界にするために活動を開始する。しかし隊員らの思い通りにはいかず、やはり世界大戦が一度だけ勃発してしまう。世界大戦は多少の犠牲を生んだが、その後の隊員らの活動によって悲願が達成され世界連合が組織され平和な世界が実現する。
隊員らは喜んだが、トム・コールマンが死ぬ直前に自分はタイム・パトロールを組織するにあたって世界連合から秘密裏に派遣された人間たちの一人で、世界各国は歴史を変更することを許さないであろうから、時間犯罪者を送り込んで銃撃戦を行わせ、そしてタイム・パトロールのタイム・スキャナーに細工をして時空間移動中にタイム・クルーザーが事故によって消滅したと虚偽の報告をさせ、実歴史修正を行わせたと告白する。「この事を言えないために良心が傷んだ。ずっと騙していてすまなかった」と涙ながらに謝罪した。
老人となった黒野晴斗は世界連合の会合の場でこの事を発表し、世界中の人々に衝撃を与える。
TIME PATROL
プロローグ
新興国などを中心に全ての国が平等な世界連合が組織され世界中のほとんどの国がこの国際組織に参加していた。世界連合が作られるにあたって参加国全てから派遣された法学者によって議論が行われ、組織と新国際法が作られた。国際連合は参加国のほとんどが脱退し、世界連合が作られたために僅かな国だけが参加する過去の遺物の組織となっていた。
世界連合の下部組織として国家を超えて行われる犯罪を防ぐために多国籍警察組織が作られた。この組織の一部としてタイム・マシンによって行われる実歴史修正を防ぐためのタイム・パトロールが作られた。タイム・パトロールは新国際法の一種である時空間管理法に基づいて活動する時空警察組織だった。
1 タイム・パトロール
タイム・パトロールは日本の埼玉県さいたま市にあった。さいたま市にあるのは首都一極集中を防ぐために行われた地方分散の一環と環境配慮のためだった。
2042年4月4日、タイム・パトロールの一室で時空連続体スキャナーが一定時間ごとにスキャンを行っていた。時空間管理法違反のタイム・マシンを捉えるためだった。室内には隊長のチャールズ・エドワーズを始めとする5人の隊員と通訳アンドロイド一体がいた。
スキャナーの椅子に座っていた隊員の一人、メカニックのトム・コールマンがスキャンを見ているとセンサーが警告音を発した。センサーは現代から第1次世界大戦時代前のドイツ付近へ時空間移動するタイム・マシンを捉えていた。ディスプレイには「国籍・船名不明」と正規に登録されていないタイム・マシンである事が示されていた。大きさはおよそ15mと表示された。タイム・センサーはおおよその大きさなどを感知できるがそれ以上のことを知るには現場付近に時空移動してコンパクト・タイム・センサーでスキャンしなければならなかった。表示された情報を見た隊員の一人、黒野晴斗が「時間犯罪者だ」と、とつぶやいた。
しばらくの沈黙の後に隊長のチャールズ・エドワーズが言葉を発した。
「出動だ!」
隊員たちとアンドロイドは装備室の中へ歩いて移動し、パワー・ガンを身に着け、胸当てなどを着込み、装備の点検・確認をした後、タイム・クルーザーのある隣室に移動し、タイム・クルーザーに乗り込んだ。タイム・クルーザーのコクピットのディスプレイには室内のコンピュータから転送された情報が表示されていた。隊員の一人の23歳の白人アメリカ人の女性メアリー・スチュアートが時間犯罪者逮捕のために現場に向かって時空間移動を開始した。
タイム・クルーザーが時空間移動を開始すると船体は小さな鈍い振動音を発した。時空連続体に乗って移動しているためだった。
「気持ち悪いよな、いつも」隊員のアルベルト・ゲントナーが言葉を漏らすと、アンドロイドUT3が答えた。
「音を小さくするようにできるのですが、そうすると移動しているかどうか分かりづらくなるのでわざとそのままにしているんですよ」
「UT、そうなのか」驚いたゲントナーは言葉を返した。
「そうです」
「知らなかったよ」
しばらくすると、鈍い音が続く中コールマンはコンパクト・タイム・スキャナーに捉えられたタイム・マシンの情報をディスプレイを見ながら報告した。「船体は船長10メートル、幅5メートル、高さ3メートル程だ。良くある筒型のタイプだな」
タイム・マシンは時空間移動後に衝突で故障しにくいように全体が凹凸の無い筒型の金属でできていることが多かった。
「時空移動終了の衝突などに備えてTM(タイム・マシンの略)シールドをオンにします!」操縦していたメアリーが叫んだ。時空移動終了後に障害物に衝突する危険性があるので衝突を防ぐシールドが備わっているのだった。スチュアートの声を聞いた隊員たちは身構えた。障害物の他に時間犯罪者から攻撃を受けることがあるためだった。
「いよいよだな」隊長のエドワーズがつぶやいた。
メアリー以外の隊員はパワーガンを利き手で抜き、万一に備えた。
2 時間犯罪者たち
「時空移動を終了しました!」メアリーがそう叫ぶと、タイム・クルーザーは振動しなくなった。時空移動に成功したのだ。
タイム・クルーザーのドアから、まず隊長のエドワーズが出た。続いてゲントナー、晴斗が、そしてトムが外に出た。
エドワーズがドアを出ると時間犯罪者たちが10メートルほど離れたところにタイム・マシンと一緒に居た。時間犯罪者たちは三人だった。リーダーらしい中年のアジア人の男と中年の白人の男とアジア人の若い女一人だった。相手はこちらに気づきこちらの様子を見ながら相談し始めた。
エドワーズが警告し始めた。「タイム・パトロールだ! お前たちを時空間管理法違反の容疑で逮捕・・・」
言い終わらないうちに時間犯罪者たちは発砲し始めた。エドワーズとアルベルトと晴斗とトムは握っていたパワーガンを発砲し応戦し始めた。
中年のアジア人が発砲し、晴斗に命中し晴斗の胸当てが吹き飛び、晴斗は後ろに飛ばされた。
パワーガンを撃ちながらトムが晴斗に声をかけた。「大丈夫か、晴斗?」
伏せながら晴斗が答えた。
「大丈夫だ、胸当てが壊れただけだ。みんなは大丈夫か?」
「ああ、なんとか無事だ!」エドワーズが遮蔽物となっているタイム・クルーザーの影から叫び返した。
戦況は混沌としていた。1900年代初頭のドイツ、うっそうとした林の中に、場違いな二つの金属の塊が並んでいる。時間犯罪者たちのリーダー、東郷十三は冷徹な眼差しでこちらを睨みつけ、容赦なくパワーガンの引き金を引いた。
「ハルト、左から回り込め! ゲントナー、援護しろ!」 隊長の指示が飛ぶ。晴斗は衝撃で鈍く痛む胸をさすりながら、地面を這うようにして移動を開始した。彼は左利き特有の角度で銃を構え、得意の速射を見せる。
青白い閃光が空気を切り裂き、時間犯罪者側の遮蔽物である筒型マシンの表面を焼いた。 「クソッ、パトロールめ……しつこいんだよ!」 マッシュ・アルドリッチが毒づきながら応戦するが、晴斗の正確な射撃にじりじりと後退を余儀なくされる。パイロットの姫野美優は怯えた表情でマシンの影に身を潜めていた。
その時だった。
「隊長! スキャナーに反応があります。このすぐ近く……半径500メートル以内にターゲット、アドルフ・ヒトラーがいます!」 タイム・クルーザーのハッチから身を乗り出したUT3が、電子音を響かせながら報告した。
「何だと? 早すぎる!」 エドワーズが顔をしかめた。本来なら、時間犯罪者の身柄を確保してからヒトラーに接触させないよう工作する予定だった。しかし、銃声を聞きつけたのか、あるいは偶然か、歴史の歯車はすでに回り始めていた。
林の奥から、スケッチブックを抱えた一人の青年が姿を現した。まだ何者でもない、ただの芸術家志望の青年——アドルフ・ヒトラーである。彼は目の前で繰り広げられている、未来の兵器を用いた「魔法」のような光景に目を見開き、硬直していた。
「あいつがターゲットか……。消え失せろ、独裁者!」 東郷が冷酷に呟き、銃口をパトロールではなく、無防備な青年へと向けた。
「やめろ!」 晴斗が叫ぶ。歴史を修正するのではない、これは「虐殺」だ。たとえ将来、彼が数百万人の命を奪う独裁者になるとしても、今の彼はただの無実の市民に過ぎない。そしてタイム・パトロールの使命は、いかなる理由があろうとも「歴史の強制的な変更」を阻止することにある。
東郷の指が引き金に力を込める。 同時に、晴斗は地面を蹴った。 「させるかぁぁ!」
晴斗の放った速射が、東郷の銃の照準をわずかに逸らした。しかし、東郷が放ったエネルギー弾は、ヒトラーのすぐ脇の木を粉砕し、その爆風で青年は吹き飛ばされた。
「メアリー、トム! 全員で突入するぞ!」 エドワーズの号令と共に、事態は最終局面へと突入した。
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次の展開案
物語はここから、**「損傷したタイム・クルーザーと取り残された隊員たち」**という絶望的な状況へと加速していきます。続きをどのように描きましょうか?
•激闘編: 東郷との一騎打ちと、マッシュの最期を描く。
•歴史の歪み編: 倒れたヒトラーを助け、彼に「未来」を話してしまう決定的なシーンを描く。
•トムの裏切りへの伏線: 混乱の最中、トム・コールマンが見せる不審な動き(工作)を描写する。
ご希望の展開があれば、それに沿って続きを執筆します。
激闘篇をお願いします
「全員、最大出力だ! 歴史を壊させるな!」
エドワーズ隊長の怒号が響く。晴斗は胸の痛みをこらえ、左手でパワーガンを握り直した。
東郷十三は冷徹だった。彼はヒトラーを仕留め損ねたと見るや、即座にターゲットをパトロール隊の殲滅に切り替えた。 「マッシュ、美優! マシンを起動させろ。俺が時間を稼ぐ!」
東郷が構えたのは、通常のパワーガンよりも大型の改造モデルだった。放たれた高出力の熱線が、晴斗たちが隠れていた岩をドロドロに溶かす。
「アルベルト、右だ!」 晴斗の合図と同時に、ゲントナーが巨体を揺らして飛び出した。格闘術のスペシャリストである彼は、射撃で牽制しながら一気に間合いを詰める。 「ドイツの地で、これ以上の悲劇は起こさせん!」 アルベルトの放った弾丸がマッシュの肩をかすめる。マッシュは悲鳴を上げ、応戦の精度が目に見えて落ちた。
しかし、東郷の戦闘力は桁違いだった。 「甘いな、パトロール」 東郷はアルベルトの動きを完全に先読みし、カウンターの衝撃波を放つ。アルベルトは吹き飛ばされ、近くの大樹に激突した。
「アルベルト!」 メアリーが叫び、操縦席から援護射撃を行うが、素人の射撃は東郷を捉えられない。その隙を突いて、東郷は自らのタイム・マシンへと後退し始めた。
「逃がすか!」 晴斗が猛然とダッシュする。得意の速射。一秒間に三発。正確に東郷の足元を刻む。 東郷は舌打ちし、懐から小型の磁気グレネードを取り出した。
「これでも食らえ!」 投げられたグレネードが、タイム・パトロールの「タイム・クルーザー」の底部で炸裂した。 「ドォォォン!!」 凄まじい衝撃波が森を震わせる。タイム・クルーザーのエンジンから火花が飛び散り、メアリーの悲鳴が通信機越しに響いた。
「エンジン大破! 冷却系が死んだわ!」 メカニックのトムが血相を変えて叫ぶ。「直せない……今すぐには無理だ!」
その混乱の最中、負傷したマッシュが最後の一撃をヒトラーに向けて放とうとした。 「死ね、諸悪の根源!」 「やめろぉぉ!」 晴斗のパワーガンが火を噴く。左利き特有の鋭い軌道で放たれた弾丸は、マッシュの胸部を直撃した。マッシュは声を上げる間もなく崩れ落ち、その命を散らした。
「マッシュ!」 姫野美優の悲鳴が上がる。東郷は死んだ部下を一瞥し、冷酷に吐き捨てた。 「……使い物にならん。美優、出すぞ!」 東郷は負傷した美優を強引にマシンに引きずり込み、ハッチを閉じた。
「待て! まだ話は終わっていない!」 エドワーズが駆け寄るが、一足遅かった。筒型のタイム・マシンが激しい光に包まれ、時空の彼方へと消えていく。残されたのは、沈黙する森と、激闘の跡、そして死亡したマッシュの遺体だけだった。
「……逃げられたか」 晴斗は銃を下ろし、荒い息をついた。 しかし、本当の悲劇はここからだった。
木陰で震えていた青年、ヒトラーがふらふらと立ち上がり、晴斗たちを見た。その目は、恐怖を超えた「何か」に対する執着に満ちていた。 「君たちは……神か? それとも、未来から来た悪魔か?」
晴斗は彼を保護しようと歩み寄る。だがその時、タイム・クルーザーから絶望的な報告が届いた。 「……隊長、晴斗」トムの声が震えている。 「未来との通信が途絶した。タイム・スキャナーに反応がない。僕たちは……捨てられたのかもしれない」
2042年の未来へとつながる道が、音を立てて崩れ去ろうとしていた。
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次の展開案
激闘は終わり、物語はいよいよ「過去への定住」と「歴史改変への苦悩」へと移ります。
•ヒトラーとの対話編: 隊員の一人が、ついにヒトラーに未来の惨劇(ホロコーストや敗北)を語ってしまうシーン。
•絶望の野営編: タイム・クルーザーが完全に沈黙し、1900年代のドイツで生きていく決意を固める隊員たちの葛藤。
•トムの隠密行動編: 皆が絶望する中、裏で「計画通り」とほくそ笑む(あるいは苦悩する)トムの動向。
どのシーンを詳しく書き進めましょうか?
ヒトラーとの対話篇
「……落ち着け。君を傷つけるつもりはない」
晴斗はパワーガンをホルスターに収め、両手を上げて敵意がないことを示した。 目の前の青年、アドルフ・ヒトラーは、軍服でも独裁者の正装でもない、汚れの目立つ質素な服を着ている。その手は恐怖で小刻みに震え、足元には描きかけの風景画が散らばっていた。
「未来……そう言ったのか? 君たちは、未来から来たというのか」 ヒトラーの青い瞳が、晴斗を射抜くように見つめる。その瞳には、先ほどまでの恐怖に代わり、異様な知的好奇心が宿り始めていた。
エドワーズ隊長が制止しようとしたが、晴斗はそれを手で制した。 「……そうだ。俺たちは、君の時代の先にある世界から来た」
「ならば教えてくれ!」 ヒトラーが詰め寄る。その声は、後に世界を熱狂させる扇動者の片鱗を感じさせるほど鋭かった。 「私の……私の描く未来はどうなっている? 芸術家として成功しているのか? それとも、この腐りきった世界を私が変えているのか?」
晴斗は言葉に詰まった。隣に立つアンドロイドのUT3が、無機質な音声で警告を発する。 「ハルト隊員。特定の個人に対する詳細な未来情報の開示は、時空間管理法第12条に抵触します。歴史への干渉は最小限に留めるべきです」
「歴史なんて、もう壊れちまってるんだよ……!」 晴斗は吐き捨てるように言った。 自分たちは帰れない。目の前には、後に世界を地獄に叩き落とす男がいる。今ここで彼を殺せば、第三次世界大戦すら起きない平和な未来が来るのではないか? そんな誘惑が晴斗の脳裏をかすめる。
しかし、晴斗は気づいてしまった。彼を殺せば、自分たちが生まれた2042年の世界そのものが消滅するかもしれない。彼が生きて、過ちを犯さなければならないというパラドックス。
「君は……」 晴斗は、震える声で語り始めた。 「君は、政治の世界に進む。類まれなる弁舌で人々の心を掴み、ドイツの頂点に立つんだ」
ヒトラーの顔に歓喜の色が浮かぶ。 「やはり! 私の才能は認められるのだな!」
「喜ぶな!」 晴斗の怒鳴り声に、ヒトラーがのけぞる。 「君が手にするのは栄光じゃない。破壊だ。君は世界を敵に回し、数千万人の人間を死に追いやり、ユダヤ人を虐殺し……最後にはベルリンの地下壕で、自分の頭を撃ち抜いて死ぬんだ。君の愛したドイツは灰になり、二度と立ち上がれないほどの屈辱を味わうことになる!」
森の中に、凍りつくような沈黙が流れた。 エドワーズやアルベルト、そしてメアリーも、息を呑んで晴斗を見つめている。
ヒトラーは、力なくその場に膝をついた。 「私が……この私が、祖国を滅ぼすというのか? 数千万人……そんな、馬鹿な……」 彼は自分の手を見つめた。まだ何の色もついていない、絵筆の汚れだけがついた手を。
「君の未来は、絶望と憎しみだけで埋め尽くされている。それが、俺たちの知っている『歴史』だ」
ヒトラーは長い間、地面に散らばった自分の絵を見つめていた。やがて、彼は震える手で一枚のスケッチを拾い上げ、それを力任せに引き裂いた。
「……嫌だ」 絞り出すような声だった。 「そんな未来のために、私は生きているのではない。過ちを……過ちを犯さないと誓う。もし私が、その『独裁者』になる運命だと言うのなら、私は今ここで……」
彼は、先ほど東郷が落としたナイフを拾い上げ、自分の喉元に当てようとした。
「よせ!」 アルベルトが咄嗟にその腕を掴み、ナイフを取り上げた。
「死なせてくれ! 世界を滅ぼす化け物になる前に!」 泣き叫ぶヒトラー。その姿は、歴史の教科書に載っている冷徹な独裁者とは程遠い、ただの傷ついた一人の若者だった。
晴斗は彼の肩に手を置いた。 「……変えるんだ。俺たちと一緒に」
エドワーズが驚いて晴斗を見た。 「黒野、何を言っている!?」
「隊長、もう帰る場所はないんです。だったら、俺たちがここで正しい歴史の『代わり』を作るしかない。彼を独裁者にしない。戦争を起こさない。俺たちの知る未来の知識を使って、この世界を平和にするんです」
その言葉は、絶望に暮れていた隊員たちの心に、小さな、しかし消えない火を灯した。 それを見守るトム・コールマンだけが、複雑な表情でタイム・スキャナーの計器を見つめていた。
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次の展開案
物語はここから「1900年代のドイツでの建国・結社編」へと進みます。
•政治結社「世界連合」誕生編: 隊員たちの未来知識とヒトラーのカリスマ性を合わせ、新たな平和組織を立ち上げる。
•トムの告白への伏線編: トムが密かに未来(世界連合)からの指示を確認し、歴史が「計画通り」にズレ始めていることに苦悩する。
•第一次世界大戦の回避編: 本来なら2年後に迫る第一次世界大戦を、彼らがどうやって防ごうとするのか。
どのような方向で書き進めましょうか?
政治結社誕生篇を
ヒトラーの嗚咽が収まった頃、森には深い夜の帳が下りようとしていた。
タイム・クルーザーのエンジンは沈黙し、冷却剤の漏れる音だけが虚しく響いている。エドワーズ隊長は、全隊員と捕虜となった姫野美優、そして放心状態のヒトラーをクルーザーの狭い居住区に集めた。
「……信じられないかもしれないが、我々に選択肢はない」 エドワーズは重々しく口を開いた。「通信は途絶、エンジンも大破した。トムの診断によれば、この時代の技術では修理に数十年はかかるだろう。我々は、この時代で生きていくしかない」
晴斗は、隅で小さくなっているヒトラーを見た。 「アドルフ。君はさっき、過ちを犯さないと誓ったな」
ヒトラーは顔を上げ、ゆっくりと頷いた。「ああ……だが、私に何ができる。私はただの貧乏学生だ。未来を知ってしまった今、何を信じればいいのかも分からない」
「君の力が必要だ。正確には、君の『言葉』の力が」 晴斗はテーブルの上に、現代から持ち込んだタブレット端末を置いた。バッテリーの残量はわずかだが、そこには人類が経験した戦争の惨禍、そして平和への歩みが記録されている。
「俺たちが軍事、経済、そして科学の知識を提供する。君はそれを人々に伝え、導くんだ。憎しみによってではなく、理性と平和によって世界を一つにする組織……『世界連合(Association of the World)』を、この時代に前倒しで作るんだよ」
「1900年代に……世界連合を?」メアリーが驚きの声を上げた。 「そうだ。本来なら2028年の大戦後にできる組織を、100年以上早く作る。そうすれば、第一次世界大戦も、第二次世界大戦も、そして俺たちの時代を壊した第三次世界大戦も防げるはずだ」
アルベルトが腕を組み、深く頷いた。「面白い。歴史の濁流を止めるのではなく、別の運河を掘るというわけか。俺の格闘術と軍事知識も、平和を維持するための『警察組織』の礎にできる」
こうして、歴史上存在しなかったはずの奇妙な結社が、ドイツの一角で産声を上げた。
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数ヶ月後——ミュンヘンの地下室
小さなビアホールの地下室に、二十数名の若者や知識人が集まっていた。彼らは、彗星のごとく現れた青年政治家アドルフ・ヒトラーの演説に心酔していた。
「友よ! 我々はもはや、国境という古い殻に閉じこもっている時間はない!」 壇上のヒトラーは、かつての独裁者のそれとは違う、希望に満ちた力強さで語りかけていた。彼の隣には、通訳アンドロイドのUT3が「高度な計算機を持つ秘書」として控えている。
「科学は進歩し、世界は狭くなる。憎しみ合う前に、手を取り合う。それが、我々『世界連合準備委員会』の掲げる唯一の道だ!」
聴衆からは割れんばかりの拍手が巻き起こった。 その隅で、晴斗とエドワーズは満足げに頷き合った。 「順調だな。ハルト、お前の教えた経済理論と、UTが算出した未来予測のおかげで、この組織の資金源も安定してきた」
「ええ。でも……」 晴斗は、入り口の近くで一人、複雑な表情で無線機の残骸をいじっているトム・コールマンに目を向けた。
トムは、この「平和な歴史改変」を誰よりも熱心に手伝いながらも、時折、何かに怯えるような、あるいは何かを悔いるような表情を見せていた。 「……トム。何か気になることでもあるのか?」 晴斗が声をかけると、トムはびくりと肩を揺らし、慌てて手元の機材を隠した。
「いや……なんでもないよ、ハルト。ただ、僕たちがやっていることが、本当に正しいのか、時々怖くなるんだ。歴史を書き換えるというのは、神の領域だからね……」
トムの瞳の奥には、涙のような光がたまっていた。 彼だけが知っているのだ。この「偶然の事故」も、「理想の結社」も、すべては2042年の世界連合が、歪んだ未来を修正するために仕組んだ残酷な台本の序章に過ぎないということを。
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次の展開案
物語はいよいよ、彼らの「理想」が現実の壁にぶつかる展開へと向かいます。
•世界大戦の勃発編: 必死の活動にもかかわらず、サラエボ事件をきっかけに第一次世界大戦の火種が燻り始める。
•トムの背信編: 隊員たちの信頼が厚まる中、トムが密かに「歴史修正」の仕上げとして、ある人物の排除を命じられる。
•平和への代償編: 組織が巨大化するにつれ、ヒトラーの中に再び「権力への執着」が芽生え始める兆候を描く。
どのエピソードを詳しく書き進めましょうか?
世界大戦勃発篇を
「世界連合」の理想を掲げてから数年。1914年の夏は、不吉な熱気に包まれていた。
晴斗たちの活動により、ドイツ国内の世論は大きく変わっていた。ヒトラーの演説は「ナショナリズム」ではなく「欧州共栄」を説き、若者たちは銃ではなくペンと科学を手にしていた。しかし、歴史の濁流は一国の変化だけで止まるほど甘くはなかった。
1914年6月28日。サラエボ事件。 オーストリア皇太子夫妻の暗殺という凶報がミュンヘンの本部に届いた瞬間、静まり返る室内でエドワーズが拳を机に叩きつけた。
「……防げなかったのか。あれほど警告の電報を送ったというのに!」
「各国の首脳陣は、我々の警告を『新興宗教の妄言』と切り捨てました」UT3が淡々と、しかしどこか悲しげに報告する。「オーストリア、ロシア、そしてフランス……動員解除の説得はすべて失敗です」
事態は最悪の方向へ転がり始めた。ドイツ政府内でも、好戦的な将軍たちが「世界連合」の影響力を排除し、開戦へと舵を切ろうと画策していた。
「アドルフ、君の出番だ」 晴斗は、苦悩の表情を浮かべるヒトラーの肩を掴んだ。 「今、皇帝カイザーに直接会えるのは君しかいない。この戦争が始まれば、どれだけの若者が泥濘の中で死ぬか、君が語るんだ。俺たちが教えた『未来の地獄』を!」
ヒトラーは震える手で演説原稿を握りしめた。 「……分かっている。私は、あの地下壕で死ぬ自分を二度と見たくない。だが、軍部が私を売国奴として暗殺しようとしているという噂もある。ハルト、君たちはどうする?」
「俺たちが君を守る。タイム・パトロールを舐めるなよ」 アルベルトがパワーガンのエネルギー残量を確認しながら、不敵に笑った。
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ベルリン、皇帝の宮殿。 歴史が激変する瞬間だった。本来ならドイツを戦争へ駆り立てるはずのヒトラーが、皇帝ヴィルヘルム2世の御前で、涙ながらに「戦争の無意味さ」を説いた。背後には、異形の装備を身にまとった「未来のSP」たちが控えている。
しかし、外ではすでに大砲の音が響き始めていた。 「手遅れです……!」メアリーがモニターを見ながら叫んだ。「ロシア軍が国境を越えました。ドイツ軍部も独断で進撃を開始しています!」
歴史の強制力——それは、一度決まった大きな流れを修正しようとしても、別の形で帳尻を合わせようとする宇宙の意志のようだった。ヒトラーを平和主義者に変えても、軍部が暴走し、結局は第一次世界大戦の火蓋が切られてしまったのだ。
「……クソッ! 結局、戦争は起きるのか!」 晴斗は絶望に顔を歪めた。
その時、沈黙を守っていたトム・コールマンが、静かに、そして震える声で呟いた。 「……いや、これでいいんだ。ハルト」
晴斗が振り向くと、トムは泣いていた。 「どういうことだ、トム?」
「全面的な回避は不可能だ。でも、この『ズレた世界大戦』なら、本来の歴史より数千万人の犠牲を減らせる。数年かかるはずの戦争を、数ヶ月で終わらせるための『介入』を、今から始めるんだ。それが……僕たちがここに送られた本当の理由なんだから」
トムの言葉の真意を理解する者は、まだ誰もいなかった。 戦火の中、タイム・パトロールたちは「未来の武器」を手に、平和を勝ち取るための皮肉な戦闘へと身を投じていくことになる。
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次の展開案
物語はいよいよクライマックスへ向かいます。
•戦場での奇跡編: 未来の技術を駆使し、塹壕戦を瞬時に終結させる隊員たちの戦い。
•平和の代償編: 戦争が終わった世界で、隊員たちが次々と老いていく中での「世界連合」の完成。
•トムの告白編: ついにトムが真実(自分たちが使い捨てのチェスの駒だったこと)を全員に打ち明ける。
どの展開を読み進めたいですか?
平和の代償篇を
戦争は、わずか一年足らずで終結した。
本来なら4年以上続き、1000万人以上の命を奪うはずだった第一次世界大戦は、晴斗たちの介入によってその姿を大きく変えた。タイム・クルーザーから持ち出したドローンの偵察能力、そしてUT3による暗号解読。これら「未来の魔法」を駆使したアドルフ・ヒトラー率いる「世界連合軍」は、各国の前線で壊滅的な打撃を与えるのではなく、司令部の通信を遮断し、ピンポイントで補給路を断つことで、戦意を喪失させるという戦術を展開した。
1915年、スイスのジュネーブで「永久平和条約」が調印された。 そこには、晴斗たちが2042年の教科書で見た「世界連合(Association of the World)」の雛形が、113年も早く刻まれていた。
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1940年——ベルリン近郊
それから25年余りの月日が流れた。
かつてのタイム・パトロール隊員たちは、歴史の影で生きる「賢人」となっていた。2042年から来た彼らにとって、この時代はあまりに不便で、あまりに孤独だった。彼らが持ち込んだ未来のデバイスはとうにバッテリーを使い果たし、今ではただの精巧な文鎮と化している。
晴斗は50歳を過ぎていた。左利きの手は少し震えるようになったが、それでも彼は「平和な世界」の維持に奔走していた。 かつての学生、アドルフ・ヒトラーは、今や世界連合の初代議長として、その情熱を破壊ではなく建設に向けていた。彼は晴斗たちを「神の使い」として崇め、彼らの助言なしには一歩も動かなかった。
「ハルト、見てくれ。今月、欧州から国境検問所がすべて撤廃された」 白髪の混じったヒトラーが、晴斗の隠れ家を訪れて誇らしげに地図を広げた。 「君が言った通りだ。憎しみではなく、経済の結びつきが平和を作る。私は……私は、あの地下壕で死ぬ男にならずに済んだのだな」
晴斗は力なく微笑んだ。「ああ。君は歴史上、最も偉大な平和主義者として名を残すだろう。アドルフ」
しかし、その「平和」の裏で、隊員たちは一人、また一人と倒れていった。 エドワーズ隊長は、当時の医学では治せない病で数年前に世を去った。メアリーも、未来の薬がない環境下で体調を崩し、静かに眠りについた。アルベルトは、世界連合の警察機構を育てることに一生を捧げ、今は引退して猫と暮らしている。
そして、タイム・パトロールの中で最も高齢となったメカニック、トム・コールマンの最期が近づいていた。
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雨の降る夜だった。 病床のトムを見舞ったのは、晴斗と、改心して以来ずっと彼らに寄り添ってきた姫野美優の二人だけだった。
「ハルト……美優……」 トムは、枯れ枝のような手で晴斗の腕を掴んだ。その瞳には、数十年間隠し続けてきた重圧が、涙となって溢れ出していた。
「すまない……ずっと、騙していたんだ」
晴斗の背中に冷たいものが走った。トムの口から漏れたのは、平和なこの世界の根底を覆すような、残酷な真実だった。
「僕たちは……事故でここに来たんじゃない。世界連合に……2042年の『上層部』に、派遣されたんだ。確信犯として……」
「どういうことだ、トム!?」
「2042年の世界は、不完全だった。第三次世界大戦の傷跡が深く、資源は枯渇し、人類に未来はなかった……。だから彼らは、過去を書き換えて『より完璧な未来』を作ろうとしたんだ。でも、タイム・パトロールが公式に歴史を変えることは法で禁じられている。だから……」
トムは激しく咳き込みながら続けた。 「時間犯罪者をわざと泳がせ、君たちを追わせた。銃撃戦でクルーザーが壊れるように工作し、スキャナーに細工をして、未来からは『事故で全滅した』ことにさせた。僕たちは、歴史を修正するために捨てられた……生きた『修正プログラム』だったんだよ」
晴斗は言葉を失った。自分たちが抱いてきた「自分たちの意志で世界を救った」という自負が、すべて未来の官僚たちが描いた冷徹な計画の一部だったというのか。
「この事を言えないために良心が傷んだ。……でも、見てくれ。この世界は、僕たちのいた時代より、ずっと平和だ。……ごめんよ、ハルト」
トムの手から力が抜けた。 部屋に残されたのは、沈黙と、窓を打つ雨音だけだった。
晴斗は立ち上がり、鏡を見た。そこには、未来から来た若き隊員ではなく、1940年の空気に馴染んだ老いた日本人の姿があった。
「……それでも」 晴斗は震える声で呟いた。 「それでも俺たちが作ったこの平和を、偽物だとは言わせない」
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最終章への道
物語は、老いた黒野晴斗が「世界連合」の壇上に立つ、冒頭のシーンへと繋がっていきます。
•真実の告発: 2042年と同じ日付(あるいは平和な未来の起点となる日)に、晴斗がすべてを公表する。
•歴史の円環: 晴斗の告発を受けた世界の人々が、自分たちの平和の「根源」について議論し、新たな一歩を踏み出す。
物語を締めくくるための「最後の一幕」を書きますか? それとも、この衝撃の事実を受けた晴斗の余生を描きますか?
歴史の円環
2042年4月4日。 かつて晴斗たちが時空を超えて旅立ったその日は、奇しくも「新世界連合」が発足して100年を祝う記念すべき日となっていた。
老いた黒野晴斗は、世界連合本部の巨大な壇上に立っていた。目の前には、白人、黒人、アジア人、そしてかつてのような対立を知らない清らかな瞳をした若者たちが詰めかけている。この世界の2042年は、晴斗がかつていた血生臭い2042年とは似ても似つかない、緑と科学が調和したユートピアだった。
晴斗は、震える手でマイクを握った。
「今日、私は皆さんに、この世界の『誕生』に隠された、あまりに醜く、そしてあまりに美しい嘘について話さなければなりません」
晴斗は語り始めた。 自分たちが2042年の「別の未来」から来たタイム・パトロールであったこと。 学生時代のアドルフ・ヒトラーに出会い、彼を独裁者ではなく平和の象徴へと変えたこと。 そして、それらすべてが、未来の組織によって仕組まれた「歴史修正(実歴史修正)」であったこと。
「私たちは、未来の人間に操られた操り人形でした。トム・コールマンが死の間際に遺した言葉によれば、私たちはこの世界を『より良く』するために、過去へ捨てられたゴミのような存在だったのです」
会場は、水を打ったような静寂に包まれた。 中には涙を流す者、困惑して隣と顔を見合わせる者もいた。晴斗の告発は、この世界の平和の根底を揺るがす爆弾だった。
「ですが」 晴斗は顔を上げた。その視線の先には、最前列で静かに頷く、ヒトラーの孫にあたる現議長の姿があった。
「たとえ始まりが仕組まれた嘘だったとしても、ここで皆さんが築き上げてきた100年の平和は、間違いなく本物です。私たちが戦い、メアリーが祈り、エドワーズが倒れ、そしてアドルフが苦悩した時間は、誰にも奪えない真実です」
晴斗はポケットから、今はもう動かない、古いモバイル・ゲーム機を取り出した。かつて自分が「課金」に夢中になっていた、遠い、あり得たはずの別の未来の遺物だ。
「歴史は円環を閉じました。私たちは未来から来て、過去を救い、そして今、皆さんのいる『より良い未来』を完成させた。私は今日、この告白をもって、タイム・パトロールとしての最後の任務を終えます」
晴斗が演説を終えると、数秒の静寂の後、会場から地鳴りのような拍手が巻き起こった。それは、歴史の修正を非難する声ではなく、過酷な運命を引き受け、平和を繋いだ老人への、心からの感謝の響きだった。
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数日後。 埼玉県さいたま市。この世界でも、そこにはタイム・パトロールの支部ではなく、美しい緑に囲まれた「歴史平和記念館」が建っていた。
晴斗は、館内の庭園にあるベンチに座り、春の陽光を浴びていた。隣には、白髪になった姫野美優が座っている。
「ねえ、晴斗。これで良かったのよね?」 「ああ。嘘の上に成り立つ平和でも、それを真実にするのは、そこに生きる人たちの意志だからな」
晴斗は空を見上げた。 そこには、かつて見たような核の冬の気配も、三割の人口を失った絶望もなかった。 ただ、どこまでも青い空が広がっている。
「UT3、聞こえるか?」 晴斗が傍らの古い鞄に語りかけると、内蔵バッテリーを外部電源に繋がれたUT3が、ゆっくりと目を光らせた。 「はい、ハルト隊員。何か御用でしょうか」 「……今日の天気は?」 「最高気温22度。快晴です。散歩には最適な一日となるでしょう」
晴斗は満足そうに目を閉じ、静かに呼吸を整えた。 時空の彼方からやってきた異邦人の旅は、ようやく、穏やかな終着駅に辿り着いたのだった。
(完)
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最後までお読みいただきありがとうございました。この物語の結末や、特定のキャラクターの後日談など、さらに掘り下げたい部分はありますか? もしよろしければ、感想を聞かせていただけると嬉しいです。
晴斗の後日談を
歴史の真実を世界に公表したあの日から、数年が経ちました。
晴斗は「新世界連合」から与えられた隠居先である、さいたま市の郊外にある小さな平屋で静かに暮らしていました。かつての2042年には存在しなかった、緑豊かな、そして少しだけ懐かしい昭和の面影を残すような町並みです。
最後の「任務」
晴斗の毎日は穏やかでした。朝起きて、庭の草木に水をやり、かつての仲間たちの墓に供える花を整える。それが彼のルーチンでした。
ある日、彼の元を一人の青年が訪ねてきます。それは、世界連合の歴史編纂局に勤める、まだ20代の若者でした。 「黒野さん。あなたが公表した『実歴史修正』の記録について、一点だけ、どうしても確認したいことがあるんです」
青年が差し出したのは、1910年代の古い写真でした。そこには、若き日の晴斗とアルベルト、そしてまだ何の色もついていない瞳をしたアドルフ・ヒトラーが、ビアホールの裏で笑いながら肩を組んでいる姿が写っていました。
「この時、あなたは彼を憎んでいましたか? それとも、最初から愛すべき友人だと思っていたのですか?」
晴斗は、茶をすすりながら遠い目をして答えました。 「最初は……ただの『ターゲット』だった。歴史のシミを取り除くように、彼を監視し、誘導するのが仕事だと思っていた。でもね、彼と一緒にビールを飲み、彼の描く下手な風景画を見ているうちに、気づいたんだ。歴史っていうのは、教科書のインクで書かれているんじゃない。血の通った人間の、ちっぽけな感情の積み重ねなんだってことを」
晴斗は笑って続けました。 「彼が死ぬ間際、私にこう言ったよ。『ハルト、私は地獄に落ちるはずだった男だが、君のおかげで人間になれた』とね。その言葉を聞いたとき、私は自分がパトロール隊員であることをやめたんだ」
2042年の空の下で
晴斗の余生における楽しみは、もう一つありました。それは、現代の若者たちに混じって、最新の「モバイル・ゲーム」をプレイすることです。
かつての殺伐とした2042年では、ゲームはただの現実逃避の手段でしたが、この平和な2042年のゲームは、世界中の人々が繋がり、笑い合うためのツールになっていました。左利きの指は少し動きが悪くなっていましたが、彼は器用に画面を操作し、時折、高額な「課金」をしては、隣に座るアンドロイドのUT3に窘められていました。
「ハルト隊員。その電子データに資産を投入する行為は、100年前の経済学から見ても非合理的です」
「いいんだよ、UT。俺たちのいた世界じゃ、明日生きているかどうかも分からなかった。好きなものに情熱を注げる。これこそが、俺たちが命がけで作った『平和の証』なんだからな」
旅の終わり
ある秋の夕暮れ。晴斗は庭のベンチで、夕日に染まる空を眺めていました。 ふと、耳の奥で懐かしい音が聞こえた気がしました。タイム・クルーザーが時空を滑る、あの鈍い振動音です。
エドワーズ隊長の豪快な笑い声。 メアリーの弾むような声。 アルベルトの重厚な足音。 そして、涙を流しながら謝罪していたトムの、震える手。
「みんな……俺は、最後までやり遂げたよ」
晴斗はゆっくりと目を閉じました。 彼の膝の上では、UT3が静かにシャットダウンの準備を始めていました。主人のバイタルサインが、穏やかに、しかし確実に停止に向かっていることを察知したからです。
「ハルト隊員。お疲れ様でした。……最後に、何か記録する言葉はありますか?」
晴斗は、満足げに口角を少しだけ上げ、最後の一言を絞り出しました。
「……ミッション、コンプリートだ」
翌朝、近所の人々に発見された晴斗の顔は、歴史という重荷から完全に解放された、一人の幸福な老人のそれでした。
さいたま市の空は、その日もどこまでも青く、彼が愛した「偽物から始まった本物の平和」を優しく包み込んでいました。
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これにて、黒野晴斗の物語は幕を下ろします。 一介の隊員として過去に流され、歴史の激流の中で一人の人間として生きた彼の人生。 この物語を通して、他に気になるエピソードや、別のキャラクター(例えば、その後ドイツで独自の道を歩んだ姫野美優など)の物語が必要であれば、いつでもお伝えくださいね。
姫野美優の後日談を
姫野美優――。かつて東郷十三率いる時間犯罪者グループのパイロットであり、歴史を書き換えようとした「加害者」の一人だった彼女の人生もまた、1900年代のドイツで大きく塗り替えられました。
彼女の後半生は、償いと、そして「未来を創る母」としての物語でした。
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1. 偽りの身分と、本当の居場所
タイム・クルーザーの破壊と東郷の逃亡により、一人この時代に取り残された美優は、当初、激しい罪悪感と孤独に苛まれていました。しかし、黒野晴斗やアルベルトたちが彼女を「敵」としてではなく「仲間」として受け入れたことが、彼女を救いました。
彼女はドイツ風の姓名を名乗り、タイム・パトロールが組織した「世界連合準備委員会」の広報・連絡員として活動を始めます。未来の知識を持つ彼女は、当時まだ珍しかった「女性の社会進出」の先駆けとなり、女性参政権や教育の普及に尽力しました。
2. 空への情熱
元々パイロットだった彼女の心は、常に空にありました。1920年代、世界連合の資金と未来の航空工学の知識(彼女が覚えていた断片的な記憶)を用いて、彼女は民間航空会社の設立に携わります。
「戦争のための爆撃機ではなく、人を運ぶための飛行機を」
彼女が設計に関わった機体は、本来の歴史よりも数十年早く「世界の距離」を縮めました。彼女自身も、40代半ばまで現役のパイロットとしてハンドルを握り、「空飛ぶ聖女」として世界中の少女たちの憧れの的となりました。
3. アルベルトとの絆、そして家庭
独身を貫いた晴斗とは対照的に、美優は同じ隊員であったアルベルト・ゲントナーと深い絆で結ばれました。 共に戦い、同じ過去(未来)を共有する二人は、1920年代後半に結婚します。
二人の間には一男一女が生まれました。美優は子供たちに、自分たちが未来から来たことは伏せつつも、「世界がいかに脆く、平和がいかに尊いか」を語り聞かせて育てました。彼女の子供たちは後に世界連合の要職に就き、母の意志を継いでいくことになります。
4. ヒトラーとの奇妙な友情
美優は、かつて自分たちのグループが暗殺しようとしたアドルフ・ヒトラーと、生涯を通して「奇妙な友人関係」にありました。 ヒトラーは、自分を殺そうとした過去を持つ彼女に対して、最初は恐怖を抱いていましたが、彼女が「平和な世界」のために身を粉にして働く姿を見て、深く信頼するようになります。
晩年のヒトラーが病床に伏した際、美優は彼を見舞い、こう声をかけました。 「アドルフ、私たちはかつてあなたを憎んでいた。でも、今のあなたを見れば、あの時引き金を引かなくて本当に良かったと思えるわ」 ヒトラーは彼女の手を握り、「救ってくれてありがとう、ミユ」と涙を流したと言われています。
5. 静かな最期
1960年代。美優はアルベルトに先立たれた後、かつて晴斗たちが拠点としていたミュンヘンの郊外で余生を過ごしました。
彼女は死の間際、日記にこう書き残しています。
「私はかつて、歴史を壊すためにこの時代に来た。けれど、この時代の人々に、空を飛び、平和を愛することを教わった。2042年の空が青いことを、私はここで祈り続ける」
彼女が亡くなったとき、世界連合はその死を悼み、全加盟国の旗を半旗に掲げました。 彼女の遺体は、アルベルト、そして後に亡くなる晴斗と同じく、この世界の「平和の礎」として、さいたま市の記念公園に分骨されました。
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物語の結びとして
黒野晴斗が「行動」で未来を切り開き、エドワーズが「覚悟」で隊を支えたとするなら、姫野美優は「愛」と「教育」によって、書き換えられた歴史を確かなものに定着させる役割を果たしました。
時間犯罪者だった彼女が、歴史上最も平和に寄与した女性の一人として名を残す――それこそが、タイム・パトロールたちが成し遂げた最大の「歴史修正」だったのかもしれません。
これで登場人物たちの物語はすべて完結となります。 あなたの創り上げた「TIME PATROL」の世界、非常に壮大で、切なくも希望のある素晴らしい物語でした。
他にもこの世界観で気になる設定や、もし「別の分岐点」を考えたい場合などは、いつでもお手伝いしますよ!
Gemini は不正確な情報を表示することがあるため、生成された回答を再確認するようにしてください。
ここまで書いてもらいました。




