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ヤンデレ魔法少女を回避せよ!  作者: 広瀬小鉄
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第二百九十一話 連続攻撃


 ヒコが連れて来た自衛隊と魔装少女の活躍により、巨大ロボットの後方にいる住民たちの避難が完了した。そのため巨大ロボットを後方へと倒す事が可能となった。


「全力で行くぞ!」


 弥勒の掛け声をきっかけに他のメンバーも魔力を練り始める。そして全員が必殺技を使用する。しかも全員がクラウディフォームとなっているため、威力は通常の必殺技よりもかなり高い。


「まずはワタシよ! メランコリーロザリオ!」


 まず出されたのは麗奈の必殺技であった。彼女の背後に巨大な真紅の十字架が現れる。それが光り輝いて魔力砲を放つ。真っ直ぐと進んだ魔力の嵐は巨大ロボットの左足に直撃する。


「とりゃぁぁー! メランコリータイガー!」


 その魔力砲の勢いに乗る形で、続けてアオイが必殺技を繰り出す。加速して左足に接近していた分、威力は上がっている。彼女の拳から蒼き虎が出現し暴れ回る。


「全力でいくし! メランコリーパーリー!」


 三番目に放たれたのはみーこの必殺技。左足の周辺にミラーボールが出現し、暗闇に包まれる。そして大爆発が起きる。


「……メランコリーアナライズ」


 月音は二十機ほどのドローンを展開する。そして爆発によりかなりの熱を持っているであろう左足に氷のビームを発射する。様々な方向、角度からの攻撃である。


「わたくしも行きます! メランコリーユニゾン!」


 最後に必殺技を放つのはエリスだ。テディベアを巨大化させて全体重を乗せた突撃をする。熱した後に急激に冷やされた左足は、その突撃によって砕かれる。


『危険。損傷レベル。未知数』


 怒涛の必殺技の連続に巨大ロボットも何とか逃げようとする。しかしそれを弥勒が見逃す訳も無い。彼は極限まで魔力を高めていた。それを一気に解き放つ。


灼熱の龍剣(ドラゴンブレイブ)!」


 彼の持つ大剣から炎の龍が生み出される。しかし攻撃はそれだけでは終わらない。必殺技を出し切る前にフォームを群青の襲撃者(ブルーアタッカー)へと切り替える。そして更に必殺技を重ねる。


浮遊する斬撃(エアロブレイブ)!」


 群青の襲撃者の必殺技は本来、高速で双剣を振るう事で無数の魔力の刃を生み出すというものだ。しかしそれを真紅の破壊者の必殺技と組み合わせた。それにより複数の炎の龍が生まれる。


 高速の斬撃により九体の炎龍が生み出される。しかしこの表現は適切では無いかもしれない。正確には九個の頭を持った一匹の炎龍である。謂わゆる九頭龍と呼ばれるものである。


 それは轟音を上げながら巨大ロボットの右足を喰らい尽くす。巨大ロボットは回避する余裕すら無く、ただ破壊されていくしか無い。


『消滅。両足。直立。歩行。不可能』


 魔法少女の怒涛の必殺技連打により左足を、弥勒の九頭龍により右足を砕かれる。それにより巨大ロボットはゆっくり後ろへと倒れていく。


『転倒。装甲ノ修正。不可能』


 ドガァァァンと派手な音がして巨大ロボットが地面へと倒れる。それにより巨大ロボットの背後にあった建物や木々などが潰れる。その光景を見て不安になる弥勒たち。しかしヒコの言う通りであれば、住民の避難は終わっているはずだった。建物が潰れてしまうのは大変だが、命が無くなるよりはマシだろう。


「ついに倒したわよ!」


「あたし達の勝利なんだよ!」


「喜ぶのはまだ早いわ。きっとまたアレが来るわよ」


 巨大ロボットが倒れた事で麗奈とアオイは喜びの声を上げる。しかしそれに月音を釘を刺す。ロボットが動かなくなったという事は、つまり装甲が必要無くなったという事だ。


『離脱。解放』


 巨大ロボットがそう言った瞬間、頭や胴体といった残っていたパーツが一斉にバラバラになる。そしてそれは大量の天使へと姿を変える。


「う、うそ……今からアレの相手をする感じ……?」


 そのあまりの数にみーこが絶望的な表情を浮かべる。他の魔法少女や弥勒も厳しそうな表情を浮かべている。量でいったら千体くらいはいるかもしれない。右腕が天使に戻った時よりも遥かに多い。


 すると大量の天使の中から巨大な何かが上空へと上がっていく。それは巨大な球体であった。十メートルほどの琥珀色の球体である。無型の大天使だ。表面には何の模様も無いシンプルなデザイン。その姿はどこか神々しくもあった。原作で第二の太陽と言われるのも納得できる不思議な雰囲気があった。


『子分。ヤッテオシマイ』


 球体から発される言葉に弥勒はずっこけそうになる。この天使は天然なのか、ポンコツなのか、時折変な事を言っている。ツッコミが身についている弥勒としてはそれがずっと気になっていた。


 天使たちが動き出す。千体近くの天使が弥勒たちへと向かって攻撃を放って来る。一体一体の力量は大した事無いが、それが大量にいれば話は違って来る。


「ガーネットペタル!」


「凍りなさい!」


「亀騎士さん!」


 防御チームが改めてシールドを展開する。先ほどまでと違うのはエリスの防御能力が上がっている事だろう。亀に乗ったセイバー人形がガーネットペタルの外側に出現して、シールドを展開している。


 花弁によるシールドが完全に展開される前に弥勒がシールドの範囲内から外に出る。それを見て麗奈が驚く。


「セイバー⁉︎」


「敵が固まってる内に倒す! あの数に四方を囲まれたらヤバいだろ!」


 千体いる敵は装甲から解放されたばかりなので近くに固まっている。そのため今の内に範囲攻撃を行えばかなりの数を纏めて倒す事が出来る。


 もしこのタイミングを逃して天使たちがバラバラに動き出したら厄介である。四方を囲まれて攻撃され続けたら弥勒たちは防ぐだけで手一杯になるだろう。あるいは弥勒たちとは全然関係の無い場所に行かれでもしたら、これだけの数だと追いきれないだろう。


 弥勒はそう言ってからフォームを新緑の狙撃手へと切り替える。そしてリボルバーに限界まで魔力を溜める。すでに敵の攻撃はすぐそこまで迫っている。しかし彼に焦る様子は無い。


降り注ぐ光(レインブレイブ)!」


 リボルバーから圧縮された魔力の弾丸が一条の光となって天へと昇っていく。しかしそれだけでは弥勒の攻撃は終わらない。途中で再びフォームを群青の襲撃者へと戻す。


浮遊する斬撃(エアロブレイブ)!」


 フォームを変えた事により、同じ様な魔力弾が更に十ほど、天へと登っていく。上空まで辿り着いた魔力の弾丸たちは一斉にバラバラになる。一つ一つが数百の魔力弾へと姿を変える。そしてそれはまるで暴風雨の様に天使たちへと突き刺さる。


 それにより全ての天使たちが消滅する。アレほどの数がいた天使全てに攻撃が当たっていたのだ。雨というものを人が避けられない様に、天使たちもまた雨の如き弾丸を避ける事は叶わなかったのだ。


 ただし無型の大天使は無事であった。権能がオンの状態になっているため「完全ナル球体」の防御能力により攻撃が全て無効化されている。そのため大天使は呑気にプカプカと浮いている。


「す、すごい……」


「感心してる場合じゃ無いし! セイバーが……!」


 アオイが千体の天使を弥勒が消滅させる光景を見て驚愕の表情を浮かべる。するとみーこが弥勒の方を指差して慌てている。


 彼女たちが視線を向けるとそこにはセイバーではなく弥勒がいた。魔力の使いすぎで変身が強制的に解除されてしまったのだ。魚型の大天使の時の様に気絶こそしていないが、疲労困憊状態であった。


 無理もないだろう。この戦いで弥勒はかなりの数の必殺技を使用した。それだけでは無く、必殺技の組み合わせも何回か使っている。これは通常の必殺技よりも遥かに魔力を使うのだ。そのため幾ら天使たちを倒して強くなっていっている弥勒と言えど限界であった。彼の身体にはもう変身を維持する魔力すら残っていなかった。


 そんな地面に膝を付いている弥勒の元に天使たちの攻撃が迫る。天使たちの殲滅には成功したものの、攻撃までは破壊できなかったのだ。


「亀騎士さん!」


「セイバッ!」


「カメッ!」


 今、ガーネットペタルの外側で行動出来るのは亀騎士のみである。そのためエリスが慌てて亀騎士を使って弥勒の保護をする。彼の前にシールドを展開する。そして弥勒と魔法少女たちの元に大量の攻撃が突き刺さるのだった。

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