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ヤンデレ魔法少女を回避せよ!  作者: 広瀬小鉄
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第二百六十話 パンケーキ


 弥勒たちは近くにあるパンケーキ専門店へとやって来ていた。メンバーは弥勒、麗奈、愛花である。天使討伐の流れで美味しいものを食べようという話になったのだ。


「パンケーキ専門店って来るの初めてだな」


「あー、確かに男性だけじゃ入りづらいですもんね」


 弥勒の言葉に愛花が納得する。パンケーキ専門店は女性客やカップルが行くイメージが強い。実際に今弥勒たちがいるお店もほとんどが女性客である。男性一人では余程のスイーツ好きでないと入りづらいだろう。


「てっきり他の誰かと一緒に行った事あるかと思ってたわ」


「俺を何だと思ってるんだ……」


 麗奈は弥勒が魔法少女の誰かとパンケーキを食べに行った事があると思っていた様だ。ただかき氷やフルーツサンド、スイーツバイキングなどは行っているので彼としても強くは否定出来ない。単純にパンケーキが今まで選ばれなかっただけである。


「それよりもメニューを選びましょう!」


 愛花は楽しそうにメニューを広げる。そこには写真と共に様々なパンケーキが載っていた。弥勒と麗奈もメニューを覗き込む。


「せっかくだしシェアもありよね」


「そうだな。それなら全員バラバラの奴を頼むとするか」


「さんせーです!」


 専門店のパンケーキはサイズがかなり大きい。生地がふわふわなため重量はそんなに無いが、一人でいくつも食べられる訳ではない。そこで麗奈がシェアを提案する。そうすれば一回で他の味も楽しめる。


「そうね……ワタシはトリプルベリーにしようかしら」


 麗奈が選んだのはストロベリー、ブルーベリー、ラズベリーが乗っているトリプルベリーというパンケーキだった。それを聞いて弥勒と愛花も被らない様にパンケーキを選ぶ。


「なら私はマンゴー&ピーチが良い!」


「俺はバナナ&チョコレートかな」


 三人はメニューが決まった所で店員を呼んでパンケーキを注文する。飲み物は三人ともアイスティーである。パンケーキは甘さが強いので、アイスティーだとさっぱり食べられるのだ。


「楽しみ〜」


「愛花ちゃんは普段からパンケーキ専門店とか来るの?」


「いやいや、全然来ないですよ。私たちからしたらパンケーキってかなりの値段しますし……」


「確かに俺も初めて来たけど、かなりの値段だよな……」


 メニューにあるパンケーキはどれも1500円ほどする。そこに飲み物を頼んでいるので、一人2000円くらいは掛かるだろう。中学生たちが通うには値段が高すぎる。というより大人でも頻繁に通うのは難しいレベルだろう。


 弥勒としては最初にメニューを見てパンケーキの値段に驚いてしまった。しかし弥勒がバイトしているサイアミーズのかき氷も1000円を超えている事を考えると妥当な金額だろう。母親がよく嘆いている物価の上昇の影響もあるのだろうと考える。


「確かに高いわよね。こう考えるとスイーツ食べ放題の方がお得な気がするわよね」


「あっちは何種類食べても値段は変わらないからな」


 麗奈と弥勒は二人でスイーツバイキングに行った時を思い出す。あの時は様々な種類のスイーツを食べる事が出来た。それを考えるとパンケーキのみでこの値段は高く感じるかもしれない。


「でもその分、パンケーキは味が抜群ですよ!」


 愛花の言葉に二人も頷く。バイキングのパンケーキは専門店のものとは違い、至ってシンプルなものだった。味もはちみつしか無かったため物足りない感じであった。


「でもパンケーキのブームって少し前に終わったと思ってたわ」


「パンケーキはいつでも美味しいですから!」


 弥勒としてはパンケーキというのは少し前にブームとなったデザートというイメージだった。


「先輩のところはかき氷なんですよね?」


「そうだな。色々な味があるよ。やっぱり値段はどれも高いけどね」


「行ってみたかったんですけど、難しそうですね……」


 愛花は値段が高いと聞いて、食べに行くのを諦める。弥勒としてはその方が嬉しかったので、特にリアクションはしない。


「そういえば麗奈は結局、実家から通う事にするのか?」


「ええ、そうね。今月中に完全に実家に戻るわ。残念な事にね……」


 麗奈は高校生になってから念願の一人暮らしをしていた。しかし大町田駅の崩壊により、彼女の一人暮らしを心配した両親により実家へと戻されていたのだ。そしてどうやら完全に実家に戻る事が決まったらしい。麗奈はがっかりした様な表情をしている。


 今までは一人暮らしだったため、夜間に天使が出現しても倒しに行く事が出来た。しかし実家暮らしとなるとそれも難しくなるだろう。その辺りは事情を知っている愛花と上手いこと連携して行くしか無い。


 弥勒としては彼女が実家に戻るのが少し嬉しかったりもする。それはセイバー教の活動がしにくくなる可能性が高いからだ。一人暮らししていた時ほど、精力的に活動するのは難しいだろう。小舟や凛子の中学生組も今までより集まりにくくなるはずだ。


「安心しなさい。セイバー教の活動はしっかりとオンラインで進めて行くから」


「……何で俺の考えてる事が分かったんだ?」


「顔に出てたわよ」


 嬉しさが顔に出ていたのか、麗奈から布教活動をしっかりと続けると釘を刺されてしまう。それに弥勒は驚く。愛花も麗奈の言葉に頷いている。それだけ分かりやすかったという事だろう。


「お待たせしましたー!」


 弥勒が戸惑っていると店員がパンケーキを運んで来る。テーブルの上にトリプルベリー、マンゴー&ピーチ、バナナ&チョコレートの三種類のパンケーキが置かれる。


「美味しそう〜!」


「良い匂いね〜」


 愛花と麗奈はスマホを取り出してパンケーキの写真を撮って行く。色々な角度から写真を撮っている。その中にはさりげなく弥勒が写る様な構図になっているものも多い。この辺りは後でグループチャットへと流れる写真である。もちろん弥勒はその事を知らない。


「「「いただきます!」」」


 三人はそれぞれパンケーキを食べ始める。ナイフで切って、それを口に運ぶ。口の中に入ると生地の柔らかさと程良い甘みが伝わって来る。


「美味しい!」


「やっぱり高いだけはあるわね」


「思ってたよりも甘くなくて食いやすいな」


 その味に三人とも満足する。それからフルーツを口に運んで美味しそうに食べて行く。


「お姉ちゃん、一口ちょーだい」


「はいはい」


 麗奈は愛花の方へとお皿を寄せる。愛花はフォークとナイフで一口分を切り取って自らの口へと運ぶ。


「こっちも甘酸っぱくて美味しいね! はい、お姉ちゃん」


 トリプルベリーのパンケーキを食べて美味しそうなリアクションをする愛花。今度は彼女が麗奈の方へとお皿を寄せる。すると麗奈も一口分を切り取って口に運ぶ。


「美味しいわね。マンゴーもしっかり甘みあるし」


「でしょ⁉︎」


「俺のも食うか?」


 元々、三人でシェアするために頼んだのだが、念のため弥勒は確認する。すると麗奈が弥勒に向かって口を開ける。


「ん?」


 弥勒が首を傾げると麗奈は指で彼のパンケーキを指差してから自分の口へと持って行く。食べさせろ、という事なのだろう。


「分かったよ」


 弥勒はパンケーキを一口台に切って、そこにバナナとチョコレートを付ける。そして麗奈の口へと運ぶ。


「ん〜、美味しいわね」


 弥勒からのパンケーキを味わって食べた麗奈は満足そうな表情をする。それに彼はホッとする。すると隣にいる愛花も同じ様に口を開けていた。弥勒は一瞬、躊躇するものの麗奈にやって、愛花にやらないというのは変なので同じ様にパンケーキを一口台に切る。そしてそれを彼女の口へと運ぶ。


「さいこーです!」


 麗奈と同じ様に嬉しそうにパンケーキを食べた愛花がそう発言する。弥勒としては二人のリアクションよりも店内からの視線の方が気になっていた。周りの女性たちから見られている様な気がしたのだ。


「ワタシのも一口あげるわよ。はい、あーん」


「……あーん」


 すると今度は麗奈が弥勒の口元にパンケーキを持って来る。弥勒は少し躊躇ってから口を開く。そして麗奈に食べさせて貰う。


「どう?」


「ああ、こっちも美味しいな」


「でしょ?」


 弥勒の褒め言葉に麗奈も喜ぶ。そして弥勒は隣でまた同じ様なポーズをしている愛花に目を向けるのだった。



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