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重い育毛

作者: 橘 蜜柑

 鏡をじっと見る。やはり気のせいではなかった。

最近抜け毛が多いと思っていたのだ。

前髪が以前よりも後退している。おまけに、頭頂部の地肌が見えている。


私の父も祖父も薄毛で悩んでいた。

そう、我が家は禿げの家系なのだ。

その遺伝は確実に私にも受け継がれていた。私はあせった。


どうしたものかと悩んでいると、育毛剤のCMが目に入った。

それは有名な男性俳優が出演しているものだった。


私は思った。

これはいいかもしれない。

私はさっそくネット通販で育毛剤を購入した。

それから毎日欠かさず育毛剤をつけるようにした。


しばらくすると、頭皮がむずむずしてきた。

頭が痒くて痒くてたまらないが、そこでたまらず掻いてしまうと、残った髪が抜けてしまいそうで、こわくて触れず、もんどりうって痒さに耐えた。


数日すると、頭頂部に髪の毛が生えてくる気配がした。

さらに数日たつと、目に見えて、わさっと髪が生えてきたのがわかった。

そして、植物が光合成するように、髪が太陽を求めているのがわかったので、庭先にでて、頭を日に当てた。

毛根が喜んでいるのが細胞レベルで感じられるようになった。


私も嬉しくなって、ずっと光に頭をむけて過ごすようになり、気がつくと、ジャングルの密林のようにわさわさと髪が重く垂れ下がり、体を覆って、植物のように地面に根を張るようになっていた。

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