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続:特訓

やばいぞ!更新頻度が落ちて来ているぞ!

最終防衛ラインは死守して見せる!

 昨日に引き続き、今日も例の広野に来ていた。まぁ今日は授業があったので、夕方までの数時間ぐらいしか出来ないだろう。そして、昨日と違うことが一つある。


「ヴァル、さん。よ、よろしくお願いしますっ!」

「うん。よろしくね」


 なんと、エリクがいるのだ。昨日、寮の自室に帰った時、特訓の話をしたら、「俺も行きたい」と言い出したのだ。それで、ここに来てから緊張しっぱなしみたいだ。


 ……そういえばここ、女性の割合が高いからな。


 そんな女性が苦手なエリクには、ヴァルを相手に指名した。俺はちょっと違うことをする予定だったので仕方がないのだ。……仕方がないったら仕方がないのだ。おいエリク、恨みがましい目線をこちらに向けるな。


 ヴァルなら外見がまだ少女、といった風なのでまだ接しやすいだろう。ヴァルのコミュ力も高いし。


 さて、他のメンバーだが、ソフィアは昨日みたいな氷弾の連射をヨル相手にしてもらう。ヨル、そういう魔法の練習台にピッタリなんだよなぁ。鱗硬いから。的の大きさも自由自在に変えられるし、ヨルが適任なのだ。


 そしてリュナは、俺と一緒に新技の開発だ。特訓、というからには、俺たちも成長出来るようにしないとな。という訳でリュナと刃を交えつつ、色々な技を試して行こう、という算段だ。


「リュナ、龍化はどうする?」

「うーん、使おうかな。もっと龍化の力を上げたいの」

「分かった。一応、出来るだけ技は外すつもりだが、当たったら直ぐに癒すからな」

「了解。そうしてくれると技開発にも集中できるわ」

「じゃあそろそろ行くか」


 ちなみに今回、いつもの片手剣に加え、短剣を一本、持ってきている。武器を変えて戦って見るのもありかと思ったのだ。


「『紫電:帯(サンダーボルト)』」


 リュナが早速魔法を使ってきた。全身に雷を纏わせているらしい。雷を纏うタイプの魔法は、自分のさじ加減一つで強化にも弱体化にもなる。そこら辺の調整を上手くやれているリュナは、やはり才能があると思う。


()ッ!」


 空中から、凄まじい速さでリュナが襲い掛かってくる。速い。速すぎる。俺でもギリギリ知覚出来るくらいだ。反応できるか?


 リュナの爪撃は、俺の肩ギリギリを掠め、リュナは紫電の残滓を残しながら華麗に着地を決める。


「どう?速いでしょ」

「あぁ、速すぎる。ギリギリ目で追えるぐらいだった。今の俺じゃ、多分反応出来ない」


 強化魔法を掛ければ、また話は違うのだろうが。


「でもねぇ、これ、長時間使うのには向いてないわね。身体への負荷が思ったより大きいわ。それに魔力消費も多めね」

「なるほど。やっぱり強い技にはデメリットが付いてくるよなぁ」

「次はシュウの番ね」


 どの技を試そうか。折角リュナは飛べるのだし、対空出来る技を試したいな。それも短剣の。


「シュウ、短剣を使うの?」

「そうだ。ちょっといつもの剣以外も試して見たくてな」


 龍化したリュナには空中に留まって貰い、技、もとい魔法を試す。


「『浮遊する氷(フロートアイシクル)』」


 上空へ向かって跳び、浮遊する氷の足場を蹴り、複雑に移動する。そして、リュナの背中側に来た瞬間。


「『翼狩り(ウィングハント)』」


 逆手に構えた短剣を、背後から一気に振り上げる。本来ならこの短剣にはあらかじめ毒を塗っておき、翼の再生を遅らせる、という副次効果も期待出来るのだ。根元から切るので、残った部分だけで飛ぶ、というのも難しい。翼だけを狙って斬りつけるので翼狩り。


「今の何?凄く滅茶苦茶な動きをしてたけど」

「いや、空中に氷の板を作って、それを風魔法で制御してるだけだ。俺は空を飛べないから、代わりに()()()、って思っただけだ。飛べるのは純粋に羨ましいな」

「ありがとう。じゃ私ね」

「そうだな。次はどんなのだ?」

「私ってさ、これだ!っていう強い一撃を持ってないじゃない?だから、竜の息吹(ドラゴンブレス)に変わるような魔法を使いたかったの。じゃあ行くわよ。出来るだけ狙いは外すけど、万が一があるから、防御態勢でいてね」


 強い一撃、か。気になる。どの属性の魔法だろうか。ブレスの代わりだから火属性か?


「行くわよ……!『爆炎風(ブラストフレア)』!」


 凄まじい魔力の熱の奔流が俺へ向けて放たれる。やばいかもしれない!


「『氷結城(アイスキャッスル)』!『岩石群の壁(アースウォール)』!」


 氷の城に加え、岩石による城壁を全力で築き、何とか相殺した。威力高すぎだろっ!


「リュナ!クリーンヒットした時、その魔法は少しオーバーキル気味じゃないか?」

「うーん、そうね。折角いい魔法の組み合わせが出来たけれど……、使いどころはしっかり見極めるわ」

「強すぎる力は恐怖にもなり得る。気をつけるんだぞ」

「分かったわ。今度はシュウね」

「おう」


 今度は、リュナには地上に居たままにして貰う。俺が今から使う技は……正直不意打ちに使えるかどうか、ってぐらい何だよなぁ。見栄えは良さそうだけど。


 リュナの背後へ向けて走る。その際、足元に魔力を固めた床を張り、そこへ消音魔法で足音を消す。接近。


「『飛燕(ひえん)』」


 強めにジャンプ。そのまま空中で逆さまになり、相手の首元へ刃を繰り出す。二本使って、連続で。そして相手の前に着地。この技、音を含め、気配を最小限まで消しているので、集団戦でも後ろを取れば、各個撃破が出来そうだ。

 ただし、あまりに敵同士の距離が近いと扱いにくいがな。


「おー!カッコいいわね、それ」

「まぁ実用性は低めだけどな。それに派手さはない」

「私ってさ、派手な魔法とかばっかりだから、そういう静かに敵を倒す、っていうのがカッコいいと思うの」


 まさか、そんな思いを持っていたとは。ちょっと意外だ。


「私はもう今思いついていた技は終わったわ」

「俺もだ。じゃあ、ソフィアとエリク達の特訓の手伝いにでも行くか。エリクが可哀想だしな」

「そうね。じゃあ私はソフィアの方に行くわ」

「頼んだ」


 それぞれ様子を見にいく。


 ……あれ、エリク意外と戦えてるじゃん。


 俺が最初にヴァルと戦った時に捌き切れなかったヴァルの技を、エリクはギリギリだが凌ぎ切れていた。技と言ってもヴァルはほとんど手抜きだったが。手抜きのくせして蒼い炎弾を連射してくるんだから怖いよな。


「はぁ、はぁ、ヴァルさん、ずっとはキツいですって!」

「いや、君ならもっと……!!」

「いや一旦止めてやれよ。ずっと動き続けたら体温が上がって体調崩すぞ。受けてる魔法も火だし」

「む、シュウがそういうなら止めよう」

「だぁっ、はぁはぁ。シュウ、ありが、と。後は任せた、ぞ……」

「エリクぅーー!!」


 バタッと綺麗な前のめりでエリクが倒れた。倒れるまでずっとやってたのかよ……もしかして最初からずっと?鬼?


「なるほど。その子の限界はここか。あの時のシュウよりも43秒長く耐えた!」

「何でそんな正確に時間が計れてるんだよ!怖ぇぇわ!」

「ナイスツッコミ!」

「何かうぜぇな」

「ガーン!でも事実だよ。でも、中々の腕だけど、何か引っかかるんだ。あの子の魔法。何だか違うんだ。適性の薄い魔法を無理矢理使ってるみたいな感じの……」


 何だそれ。よく分からないな。明日にでもエリクに魔法の適性属性と適性の度合いを聞いてみるか。


「さぁシュウ。私たちは今二人ともすることが無い。いわば暇、だ。だから……」

「え?いや、そんな筈……」


 ……あれ、何だか凄く嫌な予感が。


「今から撃ち合いだ!どれくらい強くなったのかな?剣も魔法もどちらもありで勝負だ!」

「何でだよぉぉぉぉぉ!!!」


 ただっ広い広野の一角で、俺の絶叫が響いた。


 ……ソフィアの手伝いとか、エリクの回復とか、色々することあるじゃん?


------------------


 シュウと一旦別れて今もなお氷魔法をヨルに向けて撃ち続けているソフィアのところへ向かう。


「ソフィア、調子はどう?」

「ん?あぁリュナさんですか。大丈夫です、私たちの魔法じゃ幾ら撃ってもヨルさんにダメージが通りません……。だから、今止まっている場合じゃないんです!」

「それは中々凄い目標ね。ヨルは手強いわよ?」

「うむ、我の鱗は硬いぞ?やれるか?」

「やってみせます!」


 そんな感じでソフィアが目標を定め、またヨルに向けて氷弾を撃ち始めた。頑張れソフィア!


 私がソフィアを応援しながら見学していると、


「何でだよぉぉぉぉぉ!!!」


 シュウの絶叫が聞こえて来た。そちらを見ると、いかにも喜色満面といった様相のヴァルと、泣く泣く相手をしているシュウが見えた。


 シュウの初めて見る表情を、頭の中のスケッチに描きとめた。ちょっと可哀想……



次回は久しぶりの登場となるクラスメイト視点ですね。

勇者の素質があった彼らもまた、ちゃっかり強くなっちゃってます。鎌月さんが意外なことに…?

是非次回もご一読を。


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もし増えてたら、作者は狂喜乱舞しまくります。

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