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嫌な出会いと良い出会い

三話目。ヒロインが…?

 街から追い出されて僕は、東(だと思う)に向かった。


 異世界だけど、太陽(なのかどうかは知らないけど)は上がっているので、大体の方角は分かる。


 そうして歩くこと数時間、ここまで歩いてようやく初の魔物に出会う。


 その魔物は…、鋭い爪や牙に、立派な翼。長い尻尾を持つ、爬虫類に近い生き物。地球上にいないとされる、ラノベとかでも最強格の生き物でとして有名な。


「何で荒野のど真ん中ドラゴンがいるんだよぉぉぉ!!」


 はい、ドラゴンでございます。赤い鱗を纏ったしっかりかっこいい感じのドラゴンだった。でも、その姿をしっかり見る余裕は無く。


「ガァァァァァァァ!!!!」


 赤いドラゴンが、辺りを轟かせるような咆哮をあげる。ただの吠え声なのに、木が凄い曲がってるよ!?あまりの音量に、思わず走りながらも耳を塞ぐ。


 この赤ドラゴンは、ダチョウの様な生き物を両足で鳥みたいに掴んでいるため、狩りを終えて帰るところだったと思う。


 ドラゴンが飛来したのとは反対側に向かって逃げる。無論、全身全霊をかけた全力疾走で。


「僕の運勢、どうなってるのぉぉぉ!!!」


 思わず叫ばずにはいられない程不運だったと感じる。不運もいいところだ。あぁ、神社で見たおみくじ大吉だったんだぇど!?


 てかもう死んじゃう?


 死にもの狂いで走るが、距離を詰められている気がする。あの大吉おみくじを恨みつつ、ひた走る。

 こんな時には走馬灯みたいに、クラスメイト達との思い出が…あ、特に無かった。


「思い出ぐらいあってもいいじゃーんかー!!」


 え、マジで思い出ないじゃん。一つ挙げるとすれば、一回だけ家族で行ったディ◯ニーラ◯ドぐらいしかない。僕、学校行事とか何してたんだろ。


「ガァァァァァァァ!!!」


 耳を塞ぎながら後ろを振り向く。


 至近距離でドラゴンと目があった。捕食者の目だ。実際に一度も向けられたこと無いけど。


 僕も、ここで終わるのか。あの兵士さんに情けをもらったのに、恩も返せないなんて、申し訳ない。


 死期を悟り、足を止め、目を閉じる。


 あーあ、こんな事なら、もう少し楽しい人生、送りたかったなぁ。


 目を閉じても感じる大きな気配が口を開け___。







「『桜花一閃』」


 刹那。静かに、凛とした声が聞こえた。


 そして、


「グガァァァァァァァ!!!!!」


 ドラゴンが苦悶の声をあげる。


 そのまま、ズズーン!と大きな音を立ててドラゴンは倒れた。誰かが、倒してくれた?


「僕、もしかして助かったの?」


「なんで赤龍がこんなところに…それより、君、大丈夫でしたか?」


 声のかかった方を振り向くとそこには、白く長い髪を靡かせて、剣を仕舞っている女性がいた。


「え……あ、ありがとうございます!」


 ガバッと勢いをつけて頭を下げた。最初に見惚れてたなんて言えない。


「いえいえ、それ程でも。それよりも、早く移動しましょう。見たところ、装備も弱そうなので、この辺りは危ないです。この近くのカイトの街に行きましょう。」


「分かりました。」


 そうして美少女と歩き出す。


「まず自己紹介ですね。私はカナデ、と言います。貴方の名前は?」


「えっと僕は、細川宗っていいます。」


「ホソカワシュウ、ですか。私のことはカナデって呼んでくれて構わないから。」


「僕も宗で大丈夫です。」


「シュウさんは、何処から来たのですか?


 そうだ、まだ高校の制服のままなんだった。あまり日本について明かさない方がいいかな。


 明かすか明かさまいか迷っていたけど、ここはテンプレの出番だ!


「ずっと遠くの東の小さな島国から来ました。


「東の方から来たの?それにその名前……。あぁ、突然なんだけど、君、私の弟子にならない?」


 …え?弟子?


「弟子…ですか?」


 僕が状況を呑み込めずにいると、


「そう。失礼だけれど、あなたの能力って低い方よね。それは、この世界で生きていくには少し厳しいの。だから。」


 そう、僕は弱い。日本では典型的なインドア派だったので

もし仮に強くなろうと思っても、コミュ力が低く誰かに教えを請えるようでは無かった。この世界についても聞けるだろうし、まさに千載一遇のチャンスだ。


 コミュ力低いのに女性と話せてる?それが命の恩人だからもう感謝し過ぎてそれどころじゃないからですけど。


「でも、条件がいくつかあります。」


「条件?」


「はい、一つ、私を師匠と呼ぶ事。二つ、私の指示に従うこと。いいですか?」


「はい!分かりました、師匠!」


 すると師匠は目を閉じて。固まる。


「あれ……師匠?どうしましたか?」


 師匠がおもむろに目を開いて言った。


「あぁ、ごめんね。私、二重人格、ってやつなの。特殊なスキルで、自分が切り替わるの。主に戦闘とかはさっきの人格、話し合いとかプライベートとかはこっちになるの。口調とかも変わっちゃうけど、我慢してね?」


 うん、ちょっとびっくり。異世界だから何があってもおかしくないよね。うん。

 何だか戦闘時は頼れるお姉さんキャラ、通常時は人懐っこそうなフランクなキャラ。どっちでも魅力があっていいと思う。まぁ、同じ容姿から全く違う発言が来るのはびっくりするけど。ギャップ萌えしそう。


「はい、師匠!」


 僕は美少女ことカナデ師匠と、カイトの街へ走り出した。




……何故、会ったばかり、初対面の男を弟子にとろうとしたのか。見ず知らずの人なのに、どうして。

 本当の理由が知りたい、と思ったが、僕はそれ以上深く考えないことにした。


 相手の事情なんて、あまり探るものでもないからね。




ブックマークとかよろしくお願いします。

作者は狂喜乱舞します。

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