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精霊祭の裏で

いやー修正とかもあって遅れました。(言い訳)

すみません。

 精霊祭当日。


 朝起きて下のベッドを見るが、そこにエリクの姿はない。


「あいつ…どこ行ったんだ?」


 今日は精霊祭だと言うのに、どこに居るんだアイツは。先生に相談した方が良いだろうか。何だか、嫌な予感する。


 手早く朝食を取り、着替えて学院長の執務室へ向かう。今日の精霊祭の準備で忙しいだろうが、やむを得まい。


「朝早くに失礼します。学院長、いらっしゃいますか?」

「あぁ、シュウだな。入れ。」


 失礼します、と言ってから部屋に入る。


「さて、こんな早くにどうした。何かあったのか?」

「はい。寮で俺と同じ部屋のエリク、という男子生徒が寮に帰ってきません。昨日の夕方あたりからです。」

「エリクくんか。あいつは昨日のホームルームには居たな。では、今日のホームルームで、昨日に彼と一緒に居た生徒を探して聞いてみよう。シュウ、君はまた後で呼ぶ。今は取り敢えず教室で待っていてくれ。」

「分かりました。では失礼します。」


 また礼をして部屋を出る。…本当にエリクは何処に行ったんだ?他の人の部屋に泊まった、くらいだといいが…。まずそれはダメなんだが。もしそうだったとしても、あいつはそれを同室の人に伝え損ねるような馬鹿じゃない。それがより不安を掻き立てる。


 教室に入ると、まだ普通より早い時間なので、人は少なかった。自分の席で考え事をしながら待っていると、リュナとソフィアがやってきた。


「シュウ、おはよう。何だか浮かない顔してるわね。」

「確かに、いつもより元気が無い気がします。今日は精霊祭ですよ?」


 どうやら顔に出ていたらしい。まぁ、こいつらを巻き込む必要は無いから黙っておこう。


「いや、大丈夫だ。魔法の練習をし過ぎてただけだ。」

「なら良いけど…」


 その時、いつも通り扉を勢いよく開け、学院長が入ってきた。もうそんな時間か。


「席につけ。うん?おい、オズポーンの奴はどうした。」

「いや、昨日の夜から姿が見えなくて…」

「オズポーン()居ない、か。」

「も?あ、エリクが居ない!」


 先生の言い方に、ソフィアが引っ掛かりを覚えたらしい。

結局巻き込みそうだな。あと、オズポーンは入試の時の嫌味貴族だ。何であいつも居なくなってるんだ?


「それについては今から説明する。今朝に相談があったのだが、エリクが行方不明でな。今教師陣に捜索をお願いしている。まさかオズポーンもとは思わなかったが…。そちらは教師に任せろ。だが、今日は精霊祭があっている。もし、そちらでエリクらを見掛けたら、呼び止めて報告してくれ。

 ゴホン。では…今日は精霊祭が開催されている。上級生や外の人たちの精霊や、その戦い方を見て、学べ。今日はどれくらい技術を見て盗むことができるかが重要だ。だから、試合の観戦は絶対にしておけ。それ以外は、普通に祭りに参加してくれて構わない。以上だ。

 そうだ、昨日にエリクやオズポーンを見掛けた奴は教えてくれ。情報が欲しい。では、解散。」


 数人の生徒が先生への元へ行き、情報を告げて去っていく。俺は先生が生徒の話を聞き終えるまで待つとしよう。


「ねぇシュウ、」 「シュウくん、」


 すると、リュナとソフィアの二人に声を掛けられた。


「お前らどうした?」

「リュナさん、お先にどうぞ。」

「ありがとう。シュウ、精霊祭、一緒に回ってくれない?エリクが居なくなってるのって、何だか嫌な予感がするの。だから、一番強いシュウと居たくて。いい?」


 嫌な予感がするのは同感だ。そして頼られているなら、俺としては嬉しい限りだ。


「分かった。一緒に回るか。ソフィアはどうしたんだ?」

「私も一緒です。強くて信頼出来る人と一緒に居たいと思いました。ダメでしょうか?」


 ソフィアも同じだったか。まぁ、頼られるのは嬉しいし、全然いいんだが。


「全然ダメじゃないぞ。じゃあ三人で回るか。でも、ちょっと先生に話があるから待っててくれないか?」

「分かったわ。」「分かりました。」


 そして、先生が全員の話を聞き終えたところで、先生の元へ。いい情報があれば良いが…。


「先生、何か分かりましたか。」

「あぁ、エリクは昨日…」


 先生から聞いた話を簡単に説明すると、昨日は友達の男子生徒たちと魔法の練習をしていたらしい。帰り際、エリクが『ちょっと買い物して帰るから先行ってくれ。』と買い物に行ったらしい。そこからは分かっていない。

 オズポーンは、すぐに帰っていったらしい。一部の貴族の生徒は、自宅からの通いを許可されているから、あいつは寮暮らしではないのだ。


「なるほど。エリクは分かりませんが、オズポーンは家にいるかもしれませんね。」

「私もそう思っている。精霊祭の中で、もし彼らを見つけたら教えてくれ。頼んだぞ。」

「はい、分かりました。」


 ということでエリクについては見当がつかないので、街でもしかしたら見かけるかもしれない。注意して見よう。

 そう決めて学院を出る。



 外に出ると、街はいつも以上に活気に溢れ、ギルドの闘技場の歓声がここまで聞こえてくる。少なくとも一般の部の予選は既にに始まっているだろう。


「わぁ、歓声がここまで聞こえてきます。どんな試合があっているんでしょう。」

「ギルドのベテラン勢も参加してるから、中々高度な戦いがあってるんだろうな。」


 おぉ、今火柱が上がったぞ。中々強い炎魔法使いがいるな。歓声も一際大きいから有名人か?


「よし、街の方を見に行って見るか。」

「「了解(です)」」


 中央通りの方へ向かう。全員で飾り付けをしたので、街全体がいつもより華やかだ。それに、闘技場にも人が多いだろうに、通りは多くの人で賑わっていた。


 俺たちが付けた三角旗も中々良い雰囲気を出している。


「思ってた以上に盛り上がっていますね。」

「うん、闘技場にも人がいるって考えると凄いわね…。すっかり忘れてたわ。」


 そうだった。リュナは過剰な人混みが苦手なんだった。


「よし、リュナたちは広場の方で待っててくれ。俺が何か買ってくる。」

「分かったわ。ありがとう…」

「は!リュナさんは人混みが苦手なんでした!」


 人混みに入って気分が悪そうなリュナ。すっかり失念していた。何か良さげな物は無いかな。


 辺りには露店が多くあり、色んな物を売っている。リュナ達には甘いものが良さそうだな。好みもあるだろうし、3個とも違うのがいい。


 俺は露店を何軒か回って行った。


---------


 俺はいくつかのお菓子や飲料などを持って、噴水のある広場へ。リュナたちは近くの木陰のベンチで休んでいた。だいぶ良くなったようで、普通におしゃべりしていた。


「リュナ、大丈夫か。」

「えぇ、お陰さまで。私もすっかり人混みのことを忘れていたわ。」

「取り敢えず、幾つか菓子と飲み物買ってきたから、自由に食ってくれ。」


 ちなみに、クッキーやスフレなどのスタンダードなお菓子を買ってきた。別に当たり障り無くても大丈夫だろう。


「あ、このいちごスフレ好きなの。」

「むぐむぐ、こっちのも美味しいですよ。」


 俺は、楽しそうに食べる彼女らの脇で菓子の甘味を堪能していた。


---------


 菓子もあらかた食べ終え、出来るだけ人通りが少ないところを狙って通りを抜けていた。時々、止むを得ず裏路地を通ったりもした。


「また人が多いな。しかも大道芸やってる奴がいて、進めそうに無いな。裏路地を使うか。」

「えぇ、また私の所為で、ごめんなさい。」

「大丈夫だ。俺たちは気にしてないぞ。」

「そうです、正直私も人混みは好きじゃありませんし。」

「そう言ってくれるとありがたいわ。」


 裏路地へ。正直ここは日光が入りにくいので暗い。足元とか危なそうだ。ちなもに、幅は小柄な人二人が並んで通れる位だ。


 早く出れるように努力しつつ歩を進める。しばらく歩いた時、路地の角の先から、男の声が聞こえた。


「おい、あの貴族のガキどもは学院の生徒だよな?だったら早めに出ていった方が良いんじゃないのか。」

「いや、オズポーンやライムスティ家の奴は捕まえたが、あとフランドール家だけまだだ。そいつだけ捕まえたら直ぐに出て行く。闘技場にはあいつらを当てている。俺たちは大通りの方を探すぞ。」


 何だかやばそうな会話が聞こえたので耳を澄ましてみれば、生徒の誘拐計画と思われる会話をしていた。まて、オズポーン家って、嫌味貴族のことか。だったら、エリクも一緒にいる可能性が高い。一度戻って先生に連絡をー、


「おい、その角の裏に魔力反応だ。さっきの会話が聞かれちまった。殺しちまおうぜ。」

「お?俺たちの会話を盗み聞くとはいい度胸だ。しかもよくよく見てみればあいつフランドール家の奴じゃないか?ついでに可愛い嬢ちゃんもいるじゃねぇか。男の方は殺して女は連れ帰るぞ!」


 やばい、ナイフを構えてこっちへ向かってくる。くそ、ここじゃ狭くて剣が振れない!


「リュナ、ソフィア!学院に向かって逃げろ!」

「お前は死ね、『首狩り(シュバルツハント)』」

「『氷乱(ダイヤモンド)の嵐(ブリザード)!』」


 相手がスキルで首を狙ってきたので、氷の嵐で、ナイフを弾き飛ばしつつ手足を氷漬けにする。


「おい、やってくれたな?炎よ、我が右手に集いて…

「『炎槍(ファイアランス)』」


 もう一人が急に立ち止まって詠唱を始めたので取り敢えず魔法を潰して両手に大きな火傷を付ける。


「くっ、その魔法の威力に青い炎、お前は何者なんだ…」

「その前に一つ聞く。生徒たちを閉じ込めたのは何処だ。」

「はっ、そんなの教える訳ー」

「『スパーク』」

「ギャア、痛えよ何すんだ!」

「もう一度聞く。生徒たちを閉じ込めたのは何処だ。」

「ヒッ、ヒィィィ、に、西の廃倉庫だ、そこに閉じ込めている、」

「西の廃倉庫か。よし行くか。」


 ちょっと強めに電撃を流しただけなのにすぐに怯えが出るとは。少しばかり呆気無かった。


 俺はまず先生へ報告へ走る。それがあいつらの罠であると知らずに…



少しでもおもしろいと感じて頂けたら、

ブックマークや評価、よろしくお願いします。

作者は全ての読者様に感謝感激します。

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