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イレギュラーと精霊召喚

やばい、色々なことを詰めすぎて一つ一つの内容が薄くなってしまいました。

本当に申し訳ないです…

「うわぁぁぁぁ!!!助けてくれぇぇ!!」


 その悲鳴は、川の対岸から聞こえてきた。


「この悲鳴、川の向こうからだよね!助けなきゃ!」

「はい、今はシュウ君も居ますし、何とかなりますよ。」

「人に過度な期待をしないでくれ。だが助けないとな。」

「補助しとくよ。『ブースト』」

「ありがとうアッシュ、じゃあ行くぞ!」


 川を『フリーズ』で凍らせながら渡る。


 …!気配が変わった。川一つ挟むだけでこんなにも圧が違うのか。


「あそこだ!あの魔物は…オーガか?」

「そうみたいですね。それにしても多いです。」


 そこには、オーガが3匹と、それに対峙して逃げ腰になって倒れている奴らがいる。


 まずは倒れている人を助けて貰おう。


「ソフィア、アッシュ、あいつらを介抱して回復してやってくれ!リュナ、詠唱待機しとけ。俺が合図したら撃ってくれ。魔法は全力で『パラライズ』だ。頼めるか?」

「分かったわ。シュウは絶対無茶はしないでね。」

「了解、では行ってくる。」


 ソフィアとアッシュが怪我人を連れて離れてくれている。

 俺は魔物を引きつける役だ。


「『フリーズ』!」


 オーガ達の足元を凍らせる。が、


「くそっ、やっぱり力が強いな。」


 オーガが自前の棍棒で殴ると、氷は砕け散ってしまった。


 振り下ろされる棍棒を横跳びで交わしながらオーガ達の手元に向かって魔法を放つ。


「『クリスタルランス』!」


 突如出現した氷の槍は、オーガの棍棒を弾き、森の奥へと弾き飛ばした。


「グオぉぉぉぉ!!!」


 オーガ達が激昂して殴りかかってくるが、動きが単調で読みやすい。


「『ウォーターボール』!」


 中空で水球を破裂させ、オーガに水を浴びせる。


「リュナ、今だ!」

「『パラライズ』ッ!」


 リュナが溜めに溜めたパラライズが放たれる。俺はガストを使って風で飛び退く。


 水びたしで電気が通りやすくなったオーガに麻痺の電気が襲いかかる。


 オーガの動きは完全に止まった!なら!


「『ファイアラン「グオォォォォォ!!」」


 4匹目のオーガ!?一体どこから…避けきれない…!


「『ウィンドカッター』」


 今に振り下ろされんとしたオーガの腕は、飛来した風刃によって切り裂かれた。


「誰か分からないけど、ありがとうございます!」

「『ファイアランス』!」


 こっちを睨んで、起き上がらんとしていたオーガ三匹を魔法で仕留めていく。


 四体目のオーガも助けてくれた人が倒してくれた。


「ありがとうございました、おかげで助かりました。」


 お礼を言って近づいたら、フードを深く被って跳んでいった。教師ではないのか…?


「さっきの人、何だったんだろう?シュウを助けてくれたから、良いけどさ。」

「リュナか。おかげで命拾いしたし、詮索するのは野暮だと思うぞ。」

「それもそうね。」


 さて、ソフィア達は…と。


「ありがとうございます、女神様!!」


 …ん?どういう状況だ?


 なんとソフィアとアッシュが女神様として崇められていた。アッシュは男だが。


「あはは、私は女神様じゃないですよぉ、」

「僕はまず男だし…はぁ。」


 二人とも苦笑している。アッシュが哀れだ。まぁ髪も長いし、助けられた補正で女性に見えても仕方ない。


「ちょっとシュウ君、助けて下さいよ。」

「あいつら説得してよ。くっついてきて気持ち悪い。」


 そう言って彼女らは隠れるように俺を盾にした。


「な!女神様に男がいただと!貴様、許せん!」


 暴論吐いて襲いかかってきた。


「よく分からんが、お前ら全員頭冷やせ。『フリーズ』」


 全員の足元を凍らせて転ばせてやった。


 そのまま手刀を入れて気絶させて連れていく。


「その気絶術は何で使えるの!?」

「やっぱ魔法って便利だな。」


 気絶した奴らを浮かせながらそう思った。


「スルーすんなー!」



---------


「お前ら、森で何があったんだ?」

「その前にこいつらの治療をお願いします。回復魔法は掛けてありますが、念のため。」

「分かった。この生徒たちをテントへ連れて行け!」

「了解しました!」


「で、改めて聞くが、森で何があったんだ?」

「さっきのパーティーが数匹のオーガに襲われていました。」

「そのオーガ達はどうした。」

「倒しました。全員仕留めてあります。」

「一年生でオーガを倒す、か。流石シュウだな。」

「いえ、仲間たちの協力がありましたから。」

「よし、お前らも疲れたろう。どうせもうじき試験は終わる。休んでいていいぞ。」


 俺たちは試験終了まで休ませて貰えた。


「よし、全員揃って帰ってきたな!少し怪我をした者もいるようだが、無事で何よりだ。では、今日は学院に着いたら、すぐ解散だ。」


 全員で学院に戻る。皆疲れた様子で寮に向かっていた。


 自室に戻ると、既にエリクが机に突っ伏していた。


「あー疲れた。シュウおかえり。聞いてくれよ、俺のパーティーのやつがさー…」


 俺は料理をしながらエリクの苦労話を聞いた。


 …エリクを見てると、疲れて帰って来てた父さんを思い出すな。


「ほら、エリク、飯だ。食べたら風呂入って寝ろ」

「分かったー。」


 俺も疲れていたので、夜はすんなりと眠りについた。


---------


 学院長直々のホームルームは、行事に関することだった。


「皆、おはよう。昨日の試験はよく出来たか?それに関してだが、どのパーティーも、協力してよくやれていた。そして、次からの行事はしっかり予定を伝えるつもりだ。ちなみに、一番近い行事は、精霊祭だ。このクラスで、既に精霊を連れている奴はいるか?」


 クラスの半数ほどの手が上がる。エリクやアッシュは連れているらしい。リュナはまだ。もちろん俺もまだだ。


「来月から精霊を使った授業が始まる。まだの奴は、早めに契約を済ませておけ。」


「ではホームルームは終わりだ。授業頑張れよ。」


 俺は休み時間にアッシュに尋ねたが、召喚する精霊は、神話の生き物だったり、神さまだったり、魔物だったりする。

 それらは精霊本人では無く、魂の一部を貸して貰って顕現して戦ってくれるらしい。


 人生で一度だけ、契約する精霊を召喚する儀式があり、それで召喚を行う。

 儀式といっても、決まった魔法陣を書いて、それに決まった詠唱を唱えるだけで、特別なことでは無いとの事。


 俺はその日の、放課後、リュナ、アッシュと共に召喚ができる広い場所として、街の外の広野を選んだ。ほぼ草原。


「じゃあ、さっき教えた魔法陣を書いて。」


 俺たちは地面に魔法陣を刻んで行く。


「一人ずつしよう、シュウから。僕と同じ詠唱をして。」


「この地に集いし魔力よ」

「我、強き者の魂を、借りんとす」

「我が祈りに応え、」

「来れ神話の英雄、」

「来れ伝説の幻獣、」

「我が力を昇華せし礎となれ!」


 最後の一節を言い終えた途端、魔法陣が蒼く燃え盛った。


 急なことに顔を覆った。


 顔を上げると、蒼い炎の中から、少女が出てきた。ん?


「私を呼んだのは君か?うん、見込みはありそう。名を名乗ってくれる?」

「俺はシュウだ。そっちこそ名乗ったらどうだ。」

「私はヴァルキリー。『蒼炎の勇者』って呼ばれてた。その私を呼び出したってことは、君も蒼炎が使えるね?」

「あぁ、使える。」

「やっぱりね。じゃあ、私は精霊として出てきたから契約をしなくちゃね。」


 ヴァルキリーは、炎と同じ青髪はを後ろに流され、鎧も青を基調としたものだ。剣は二本挿している。


 ヴァルキリー、か。戦乙女って言われるけど、こっちでは蒼炎の勇者か。勇者にしては見た目も雰囲気も話し方も普通の少女だ。


「魔法陣に君の血を垂らすだけ。簡単だよ。」


 日本人としては気になるよな。血を垂らすとか。まぁかなり今更だが。


 親指を切って血を一滴垂らす。


 魔法陣は淡く光り、契約が完了した。


「契約完了、っと。君の実力を見たい。後日また召喚してくれる?」

「いや、召喚ってどうするんだ?」

「召喚する時は、魔力を込めて自分の精霊を思い浮かべるだけだよ。」

「分かった。また召喚するな。」

「うん、じゃあね。」


 ヴァルキリーは見た目相応の笑顔を浮かべて消えた。


「シュウ、君は凄い精霊を召喚したね。ヴァルキリーなんて神話の人物を召喚するなんて…」

「蒼炎の勇者とか言われてたのに装備以外普通の女の子だったわね。」

「確かにそうだな。」


「じゃあ、次はリュナだね、」

「神話レベルの次なんて緊張するわね。」


 リュナが詠唱をする。


「この地に集いし魔力よ」

「我、強き者の魂を、借りんとす」

「我が祈りに応え、」

「来れ神話の英雄、」

「来れ伝説の幻獣、」

「我が力を昇華せし礎となれ!」


 魔法陣が光輝き、紫色の霧が立ち込める。


 すると、巨大な影が見えた。見上げると、巨大な緑の龍が

いた。


「我、『終末の毒龍(ラグナロク)』ヨルムンガルドなり。我を呼びし者は誰だ?そこの小娘か。ははは、なるほど。道理で我が呼び出される訳だ。小娘、名を申せ。」

「私はリュナ。ヨルムンガルドって長いから、ヨルって呼んでいいかな?」


 え…?リュナさんの度胸に俺は驚きを隠せない。

 初対面の巨大な龍にあだ名?おかしいんじゃないですか?


「面白い。我を見ても動揺せぬか。半分とは言え、流石我の子孫だな。」

「っ!」


 どういう事だ?リュナがヨルムンガルドの子孫?


「リュナ、子孫ってどういう事なんだ?」

「いずれ話すつもりだったのに。シュウ、ちょっと待っててくれる?契約の後に話す。ヨル、契約するよ。」


 リュナは血を一滴垂らす。


 同じように魔法陣は淡く光った。契約完了の合図だ。


「では我は一度退くとしよう。小娘の実力もみたい。近いうちに我を呼び出せ。」

「分かった。じゃあまた。」


 一言残してヨルムンガルドことヨルは消えた。


「シュウ、アッシュも聞いて。実は私…」


 彼女は意を決したように言った。



「…竜人族なの。」



 これは長い話になりそうだ。

少しでも面白いと感じて頂けたら、

ブックマークや評価をよろしくお願いします。

作者は狂喜乱舞します。

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