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実地演習

まだまだ文字数を増やして行きたい所存でございます。

 初めての授業の日より一ヶ月、クラスにも慣れ始めた頃だ。あれ以来、ロードは鳴りを潜めている。


「なぁ、大事な話ってなんだろうな。」

「さっぱりだ。何か学校の行事とかかもな。」


 昨日の終わり際に先生が明日大事な話がある、と言っていたのだ。気になる。


「さぁ、お前ら席に着け。昨日の続きを話すぞ。」


「さて、大事なお知らせだ。本日の授業は、実地試験だ!この街の外にあるベリア森林で行う。学院側が支給する道具を使って、4人のパーティーで生き残る試験だ。」


「先生それは、し、死んだりする可能性があるんですか?」


「いや、その心配は無い。あの森は滅多に強い魔物はでないし、教師が巡回している。多少の怪我は覚悟してもらうが、死の危険はないだろう。」


 なるほど。4人パーティーで生き残ることが目標だな。


 待て、どれくらいの時間するんだ?


「先生、その試験はどのくらいの期間で行うんですか?」


「おっと、言い忘れていた。明日の正午までだ。つまり、ほとんど一日だな。」


 まる一日か。貴族連中には辛いかもな。


「ではまず、4人組を作れ。」


「シュウ、組んでくれる?」

「シュウと一緒でもいいかな?」


 取り敢えずリュナとアッシュが一緒になってくれた。


 エリクは別の友達と組んでいる。後一人どうするか。


「あ、あの、パーティーでご一緒してもいいですか?」


 タイミングよく話しかけてきたのは綺麗な白髪に、青色の目が映える、ちょこんとした女子だった。


 …小っこくて可愛いな。


「ちょうど一人足りなかったんだ。助かる。」

「それは良かったです。私はソフィアです。よろしくお願いします。」

「よろしくな。」


 これで四人だな。


「さぁ、パーティーが出来たようだな。ではベリア森林へ行く。馬車を用意しているのでついて来い。」


 校舎から出て馬車へパーティーごとに乗り込む。


 馬車に揺られながら雑談をする。


「ねぇ、ソフィアは他の人とは組まないの?」

「いえ、あのクラスには知り合いが居ないので。」

「寮で同室の人は?」

「私はたまたま端数だったので他クラスの人と同室だったんです。」




「「……」」


 この後俺たちはいないものとして扱われ、ガールズトーク(?)が花を咲かせ始めたので俺とアッシュは外の景色を存分に楽しんだ。



「ねぇ、あんた達大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だ。」


 俺たちが試験前に疲れてんのはお前のせいだぞ!

 …声には出さないが。


「さて諸君!パーティーの一人代表が支給品を取りに来てくれ」


「誰が行くんですか?」

「シュウでいいんじゃない?」

「いいんじゃない?なんて適当だな。」


 とは言ったもののアッシュにもシュウが良いと思うと言われてしまったので、俺が取りに行く。


「これらを支給する。リストを見て、足りないものがあったら言ってくれ。」

「ありがとうございます」


 支給品は、テントが二つ、飲み水、魔導コンロだった。


 食糧は現地調達しろ、という事か。


「諸君聞け!この実地試験の目的は、サバイバルの経験を積む事と、将来は冒険者になる者、騎士になる者、その他の職業に就く者と様々いるが、そのどこでも、他人との連携は大事になる。その連携に慣れると共に、親交を深めることだ。

 それでは実地試験を始める!各自行動を開始してくれ!」


 その合図で皆一斉に森へ駆け出した。食糧などは現地調達であるため、先に実の良い場所を見つけなければいけないからだ。


 走りながらみんなに聞く。


「なぁ、この森に川ってあるか?」

「はい、森の北側にラプラス川が流れています。だから、そこを目指すのが良いと思います。」


 ソフィアは森の大体の概要を知っているらしい。何故だ。


「誰か身体強化の魔法掛けれる人いない?そっちの方が早く着くと思うけど。」

「あ、それなら僕、使えるよ。『ブースト』」

「あ、体が軽ーい!ありがとう!」


 流石アッシュ。補助系の魔法が得意らしいからな。


 なんやかんやしている内に、川に着いた。


「綺麗な水だな。魚もちらほら見えるな。」

「拠点はここにしましょ、立地いいし。」


 俺たちは大きな木の木陰になっている所でテントを張った。


「取り敢えず拠点は確保したな。これからちょっと二人ずつで行動するか。川の方と森の方で別れよう。どう別れる?」

「僕は森が良い。僕、泳げないから。」

「私は川が良いです。川魚の取り方は知ってますのでお教えできます。」

「うーん、じゃあ私も泳ぎは苦手だから川はパス。アッシュに着いてくわ。」

「じゃあアッシュとリュナが森、俺とソフィアが川だな。」


 それぞれの場所へ向かう。


「私、村出身なので、魚の取り方は知ってますが、シュウさんは知ってます?」

「いや、知らない。教えてもらえると助かる。」

「ではお教えしますね。シュウさん、『プラズマ』って使えますか?『プラズマ』を水に流して、感電させます。その後、魚を『フリーズ』で凍らせて保存します。この方法でいいですか?」

「分かった。『プラズマ』と『フリーズ』だな。」


 二人で一緒に魚を集めていた時。


「あ、シュウさーん、あんまり対岸に行かない方がいいですよー。川の向こうから魔物が強くなりますから。」

「おっと、すまない。夢中になっていた。」

「もー。気をつけて下さいよ?」


 そう言って膨れる彼女は非常に可愛いかった。


 魚を取り終えて拠点に帰る。


「あ、シュウ達帰って来たよ。」

「本当だ。魚はどれくらい取れた?」

「12だ。凍らせてあるから、明日でも食べれるぞ。」

「はい。ではリュナさん達はどうでした?」

「私たちは果物を幾つかと、猪が一匹よ。アッシュが見つけて、倒してくれたの。血抜きはもうしてあるわ。」


 どちらも成果は上々だな。


「でもここで問題があるの。それは誰が料理をするか、なの。さっき話してたんだけど、私とアッシュは料理苦手だから。」

「俺は料理出来るぞ。任せてくれ。」

「私も料理出来るのでお手伝いします。」

「助かるわ。じゃ私たちは周囲の警戒をしてるわね。」


 早速料理だが、何を作るか。


 肉を粗挽きにして、そこにすり下ろしたりんごを刷り込む。こうすると肉の臭みが取れて甘みが増す、意外なコンビなのだ。


「料理上手なんですね。何だか自信を無くしますね…」

「いや、昔は一人暮らしだったし、母さんに料理教室されてたからな。ソフィアも練習すれば上手くなるって。またいつか教えてやるから。」

「そうですね。ありがとうございます。」


 俺の料理上手に理由があって安心したようだ。


 俺の料理は大絶賛だった。またソフィアがしょんぼりしていたので励ましておいた。


「夕飯も食べ終わったし、そろそろ寝ようと思ってるけど、

見張りは順番どうする?」

「二人残って、一人ずつ入れ替わりがいいと思うよ。」

「じゃ最初は私がやる!」

「僕も最初するよ。」

「だったら、時間なったら起こしてくれよ。」


 俺は自分のテントに入る。流石にテントは男女別だ。


 ほどよい疲労のおかげですぐに眠りに着けた。


「おーい、シュウ、起きて。」


 体を軽く揺さぶられて目を覚ます。


「アッシュか。交代だな?」

「うん、じゃあ僕は寝るよ。おやすみ。」

「おやすみ。」


 さて、見張りに行きますか。


「シュウくん、おはようございます。」

「まだ、おはようじゃないんじゃないか?」


 見張りをしていたのはソフィアだった。


 冗談半分で雑談しつつ、見張りをする。


「そういえば魔物は出て来たのか?」

「見張り中には二回出てきてましたよ。ゴブリンとホーンラビットが出てきたそうです。」


 やっぱり何度かは出てくるよな。


「あ、ほら話をしていたら出てきましたよ。ゴブリンですね。ささっとやっちゃいましょう。」

「そうだな。ソフィアは妨害を頼む。」

「分かりました。では行きます。」


「氷よ、彼の敵を凍てつかせよ『フリーズ』」

「『ウィンドエッジ』」


 ソフィアの魔法で身動きが取れなくなった所に、俺の魔法を叩き込む。


「わぁー、リュナさんから聞いてましたけど、本当に無詠唱なんですね。」

「そうだ。ずっと無詠唱で師匠から教わったからな。」

「お師匠さんは凄いん人なんですね。」

「俺の自慢できる師匠だからな。」

「今度、学院に戻った時、シュウ君に魔法を教えて欲しいです。いいですか?」


 その上目遣いは破壊力抜群で、とても断れないな。


「分かった。いつかの放課後に声をかけるからな。」

「ありがとうございます。」


 その笑顔が眩しくて俺は彼女を直視出来なかった。


 その後は何事も無く、夜が明けた。


「おはよーう、見張りお疲れ様。」


 そう言って欠伸をしながら出てきたのはリュナだ。

 

「おはよう。しっかり寝れたのか?」

「いや、ちょっと変な寝方になって首が痛いのよ。」


 何をやってんだか。


「ん、みんなおはよう。」


 アッシュもテントから出てきた。グデーっとしている所を見ると、この二人は朝が弱いタイプか?


「朝ごはん作ったから食べて目を覚ませ。今日は二日目だから、魔物討伐をしないとだぞ。」


 そう、この二日目は、魔物討伐の練習をすることになっている。リストの裏に書いてあった。


 朝食をとり、テントを片付けて移動する。


 俺が索敵や指揮をして、リュナが攻撃、ソフィアが妨害、アッシュが補助、という役割分担で進んで行く。


 何匹かの魔物を討伐して、次の獲物を探していた時、それは聞こえた。


「うわぁぁぁぁ!!!助けてくれぇー!!」



 生徒の悲鳴が、川の向こう岸から聞こえた。

少しでもおもしろいと感じて頂けたら、

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作者は狂喜乱舞します。

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