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修行の成果と目標

13話目。何だか10話辺りから文字数がどんどん増えていっている気がします。

作者は頑張っております。

 あのゴブリンロード達との闘いのあの日より一年。


 僕、いや、俺はまたこの森へと来た。一つの目標達成の為に。


 あの敗北の日から一年の間、俺はひたすらに修行に励んだ。

 その成果を、ゴブリンロードへのリベンジという形で確かめにきたのだ。


「いた…ゴブリンロード」


 ゴブリンロードはあの時と同じ、4匹のハイゴブリンを伴ってそこにいた。


「俺はどこまで強くなれたのか。確かめさせてもらう。」


 ゴブリンロード達の背後の木陰に身を潜める。


 そして剣に手を当てる。


「【蒼キ炎ノ剣】」


 その剣の刀身に沿って手をかざす。

 すると剣には、蒼く燃え盛る炎が纏っていた。


「行くぞ…!」


 俺はそう呟くと、木陰から飛び出して一閃。


「『桜花一閃』」


 その横薙ぎの居合斬りは。少しばかり後方にいたハイゴブリンまでをも切り伏せていた。彼らは魔石に変わる。


 そして振り向いたゴブリンロードは俺を睨みつつ槍を構えた。


「勝負だ、ゴブリンロード。」


 その一言が開戦の合図。ゴブリンロードは勢いよく槍を突き出して来た。


 俺はそれを軽くいなし、奴の右肩に一撃を加える。


 ゴブリンロードは痛みに呻きながら攻撃を繰り返す。俺はそれらをすべて受けるか躱すかしている。

 そしてその隙間にカウンターを加える。


 あの時とは全く違う一方的な闘いだった。


「これで、最後だっ!」


 遂に片手で槍を繰り出すゴブリンロードの首元に、最後の一撃を加える。


 ゴブリンロードは力尽き、その姿を魔石に変える。


「ありがとう、ございました。」


 俺は、あの時以来、自分にとって大きな意味を持つ闘いの後には、必ず挨拶をするようにしている。自分なりの礼儀ってやつだ。


「それにしても、」


 俺は実感した。


「強く、なれたっ!」


 まだまだ上には上がいる。それが分かっていても。


「目標、達成だぁっ!!」


 その空は、やけに輝いて見えた。



---------


「師匠、今帰りました。」


「うん、お帰り。で、どうだった?シュウは自分の強さを実感できた?」


「はい、師匠に鍛えて頂いて、導いてくれたおかげで、俺はここまで強くなることができました。本当にありがとうございます。本当に感謝しかありません。」


「いや、私は方法を提示しただけ。実際に実行したのはシュウだし、シュウの才能でもある。だから、自分のこととして、誇っていいよ。」


 やっぱり師匠は凄いな、と素直に感じた。人を導けるような能力を持ちながら、謙虚に他人を称えようとする。その姿勢を見習いたいと思う。


「それじゃ、夕食にしよう!今日はシュウの目標達成のお祝いの気持ちも込めて私が作るからね!」


「はい、ありがとうございます。師匠の料理、楽しみにしてますよ。」


 実は師匠の料理の腕前は、この一年で飛躍的に上がっている。俺が修行で居なかった間に、近所の女性方に料理をならっているらしい。

 そのため、こうして時々手料理を振る舞ってくれるのだ。


 自室にて、ゴブリンロードへのリベンジを果たしたことを日記に記録する。元々修行内容などは書き留めていたので、二か月ほど前から、なんとなく日記を書くことにしてみたのだ。


 そして師匠について最近思うのが、師匠モードが出てこないことである。

 常時プライベートモードといった感じで、気さくな女性、といった風だ。それが素だろうが。


 それは自分が師匠に少しでも近づいている事を示してくれているらしい。ありがたい事だ、と本当に思う。


 師匠が俺を呼ぶ声が聞こえたので、日記を閉じて部屋をでる。


 日記に書き残した目標。縦に並んだその最後の一つは少し子供っぽいとも思う。でも成し遂げたい。

 それは、


 ーあの王を見返してクラスメイト達を超えること、


 俺の最終目標だ。



---------


 案の定、師匠の料理は美味かった。祝いということで気合いが入ったのか、小さなケーキがあった。久しぶりに食べたケーキはびっくりするほど甘く美味しかった。


 朝に昨夜の料理を思い出して感想が漏れる。


 また腕を上げていた。どこまで上げる気なんだろうか。




 そして、今日は王都にあるラノア魔法学院に推薦入試を受けに行く予定だ。

 カナデ師匠はその学院長が昔の友人と言うことで俺の事を紹介したらしい。


 その時に『是非、我が学院に推薦したい!』とお願いしてきたらしい。


 結果、俺は推薦と言う形で入学することになった。


 ラノア魔法学院は長いのでラノア学院と呼ぶが、

 ラノア学院は王族や貴族、平民関係なく、完全実力主義の学院だ。

 だがやっぱり貴族や王族の方が血による才能が高いらしく、上位クラスは現在王国の姫と上位貴族らのみで構成されている。

 ちなみにクラスは年齢ではなく、実力で分けられる。


 そして俺には一つ懸念がある。それは…



「一応俺は平民扱いだから、面倒なことになりそうだな」


 そう。平民扱いである俺が学園長直々に推薦を貰っている上、師匠に『シュウは余裕で最上位クラスまでいけるよ』

 と言われている。


 最上位クラスに入れば色々絡まれるのは目に見えているし、でも師匠の期待に応えるべく手を抜く訳にもいかない。


「はぁ。」


 入学試験前から何だか憂鬱な俺だった。


---------


 時刻はちょうど正午過ぎ。馬車で王都に向かう。師匠も保護者的な役割で付いてきている。


「いやあ、私もシュウがどこまで成長したか楽しみだなあ」


 こっちが本当の理由らしいが、師匠が弟子の実力を把握していないのは如何なものか。


 そうこうしている内に見えてきた。


「師匠、見えましたよ。あれが王都…!」


 高くそびえ立つ城壁に囲まれた街。


 それが王都サンタマリア。現在の王族の名を模している。


 俺を追い出したあのふざけた王は、周辺地域より強い権利を持っただけの領主だった。

 勇者召喚は国ごとに順に行われるが、たまたまあの領主が召喚する権利を得たらしい。


 そして、その中心部に一際高い場所でそびえ立つ城は豪華で、西洋風の城だった。


「うわぁ、こないだも王都に来たけど、いつ見ても素晴らしい城だよねえ。」


 師匠も感嘆も息を漏らす。あの美しさはさぞ見ものだろう。


「よし、シュウ、学院絶対受かってよ?じゃないと私の面目も潰れちゃうからね?」


「あんまりそうやってプレッシャーをかけないで下さいよ」


 師匠のせいで余計緊張してきた。




 かくして俺はラノア魔法学院への入試へ挑む。



 その先に潜む厄介事も知らずに…


少しでも良いと感じて頂けたら、ブックマークとかその他諸々よろしくお願いします。

作者は狂喜乱舞します。

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