ゴブリン達との邂逅
11話目!
朝、日差しを浴びて目が覚める。
…ん?何かが隣にいる…?
右隣に柔らかい感触。まさかと思い恐る恐る右を見る。
そこには僕の右腕に抱きついて眠る師匠がいた。
「う、うわぁぁぁぁ!!」
慌ててベッドから飛び下りる。
勢い余って壁にぶつかった…痛い。
てか師匠何してんのと思ったが昨日の夜を思い出した。
…師匠は僕の部屋で昔の話をして、そして泣きながら寝ちゃったんだった。で、そのまま僕もウトウト…
「僕は何やってんだぁぁ!!」
「ん、んむぅ…ふわぁぁ、…シュウ、君?」
師匠が起きちゃった、どう弁明しよう…?
てか寝起きかわいいな…
「シュウ君、昨日はありがとね。私の話、聞いてくれて。」
「あ、いえいえ。全然大丈夫です。僕も師匠の話が聞けてよかったです。」
「ってあれ?どうしてシュウ君が私の部屋に…?」
「すいません師匠、ここ僕の部屋です…」
「え?あ、昨日… 、きゃぁぁぁぁぁ!!!」
朝の宿屋に師匠の絶叫が響き渡った。
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僕たちは宿で朝食を取ることにした。
僕は先に降りて師匠を待つ。
あの後、師匠は顔を真っ赤にして部屋を出ていった。
非常にかわいい。
師匠って師匠モードの時は風格あるのに、朝とかプライベートになった途端、急にただの天然系美少女に早変わりするからね…。
後者は非常にかわいい。(2回目)
そういえば僕は美少女って認識だけど何歳なんだろ?
とても聞けないなぁ…
「ごめん、遅くなっちゃった」
師匠現る。
「さっき来たので大丈夫です。朝食とって依頼、こなしに行きましょう。」
師匠は僕の顔を見た途端、顔を真っ赤にしてしまった。
昨日のことを思い出して、僕まで恥ずかしい。
「取り敢えず、ごはん食べましょう?」
…今日は昨日のことを意識せずに頑張ろう。
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宿屋をでて村長に行ってくると伝えて森へ。
「弟子くん、森では迷いやすいから、こうやって目印をつけておくと迷わずにすむの。覚えて置いて。」
師匠は刀で木に浅く傷つけた。
そう、刀だ。桜花流を主に扱う彼女は和風剣士である。
赤を基調とした衣に身を包んでいる。
「何か布とかを枝に巻きつけるとかでもいいかもね。」
歩くこと数分。森の開けたところに6匹のゴブリンが集まって木の実を食べているのを見つけた。
ゴブリンは小さな一つ角をもつ魔物で、3匹以上の群れで行動する。上位種がたくさん存在し、最上位のキングゴブリンはAランク相当の強さだと言う。
「奇襲を仕掛けます。森での炎系の魔法は火事に繋がるので、水や氷属性の魔法で行きます。だからお得意の蒼炎は使ってはいけません。こうやって…【アクアアロー】。」
師匠の右手から細い水の矢が飛ぶ。そしてその矢は一体のゴブリンの頭を貫通した。
そしてゴブリンは魔石へと姿を変える。
アクアアローはボール系と同じ初級だが、魔力の込め方で威力は上がるのだ。
ちなみに師匠は無詠唱だが、通常は詠唱を行う。その方がイメージが固まりやすいからだそう。そして僕も無詠唱を教わっている。
「ではシュウもやってみて下さい。」
仲間の一人が急に倒れたことで周囲を警戒し始めたゴブリンたちに魔法を放つ。
「じゃあ、動きを止めます。【フリーズ】」
ゴブリン達の足が凍り、移動ができなくなった。
「いい判断です。機動力を奪えばこちらのものです。あとはしばらく私は見るだけにするので、あとは任せます。」
「分かりました。」
どうにかして氷を砕こうとしているゴブリンに向けて手をかざす。
「次は風で行こう。【エアショット】」
圧縮された空気の塊がゴブリンにぶつかり、弾ける。
そのゴブリンの背中が消し飛び、倒れた。
最後のは…って群れのリーダーか。ハイゴブリンだ。ゴブリンより少し大きめの体躯に剣を持っている。恐らく冒険者から奪ったものだろう。
ハイゴブリンは氷をすでに砕いてこちらに向かって来ている。
「狙い撃つ…ここだ!【アイシクルランス】!」
太さを増した氷の槍がハイゴブリンの身体を貫く。
倒れたハイゴブリンは起き上がろうとして…倒れ、魔石に
姿を変えた。
「ふうぅぅぅ、緊張したぁ。終わりました、師匠。」
遠距離からの狙撃とはいえ、初の戦闘なので緊張した。
師匠はと言うと…目を見開いて驚いていた。
「シュウ、あなたそんな威力を出せるの?中級魔法のアイシクルランスでハイゴブリンを一撃?フリーズの拘束力もそうだし、シュウ、大分成長してたのね。」
「まぁ一応、毎日修行してましたからね。」
褒められた。そんなに凄いのか。でも調子に乗らないで修行、頑張らなきゃ。
依頼内容は森のゴブリン達の掃討なので巣穴もといゴブリンの集落を探す。
「なかなか見つからないですね、師匠。」
「じゃあ効率の良い探し方をしましょう。ちょっと怖いですが、慣れてしまえば大丈夫です。」
ん?怖いってなんだ?
「やり方はまず、土属性中級の【アースランサー】で打ち上げて、風魔法で周囲の風を操ってゆっくりと降りてきます。
その時に周囲を見渡してみて下さい。
準備はいいですか?行きます。【アースランサー】!」
「師匠、急に言われてもぉぉぉぉ!!」
急過ぎるぅぅぅ!!
こう言うとこで天然を出すのやめて欲しい本当に。
てか怖いってそう言うことね。
別に僕は高所恐怖症ではないし、むしろ子供の頃は喜んで観覧車に乗るぐらいだったしね。
「でも急なのはびっくりするよ。」
周囲を見渡す。集落は…あった!ここから東側の森の外、岩場の上に小さな小屋が点々とした集落があった。そこに出入りしているのはゴブリンだ。
ゆっくりと降りて着地。ちなみに風は師匠が操ってくれた。
「師匠、集落が見つかりました。ここから東側の岩場の上です。行きましょう。」
「じゃあ行こう。ゴブリンには悪いけど、村を襲うなら容赦なくやっていいよ。あと、私は次も基本的に見てるだけ。危なくなったら助けるよ。」
僕たちはは集落へ歩き始めた。
『危なくなったら助ける』その戦闘でこの言葉がフラグになるとは知らずに…。
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作者は狂喜乱舞します。