プロローグ
よろしくお願いします。
※本作を読むに当たって
今作品は私の処女作となっております。
ですので、最初の10話ほどは特に読み辛いところがあるかも知れません。そこを温かい目で見て頂けると幸いです。
作者もこれから、出来るだけ原型を残しつつ修正していくつもりなので、ご容赦ください。
また不定期更新なので、気長に待ってくれたら幸いです。
ブックマークや評価は作者のモチベーションに繋がります。
どうかよろしくお願い致します。
この時、僕は知る由も無かった。まさか、山沿いの道のトンネルを潜った先がまさか、異世界への扉になっているなんて。クラスメイトのみんなと、勝手が全く異なる世界に行くなんて。
そして、
––––––クラスメイトの中でただ一人、勇者の素質が無いなんて。
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「ようやく帰れる…」
バスの最奥に一人座る僕は細川宗。クラスを代表するぼっちだ。高校に進学した時、友人たちは皆別々の高校へと散ってしまった。だからぼっちだ。
「あー!また負けちまった!」
「京介ちょっと強過ぎないか?」
「強いカードを先に使っちゃうからだ」
こんな感じでさっきから前の席でトランプに興じているのは、スポーツ万能で尚且つ秀才なイケメン、立川京介。
それと腰巾着の山田和樹と、新島海だ。髪を赤く染めたヤンキーもどきの二人である。
「あんた達も弱っちいのよ。もう少し学習したら?」
「そうよ、さっきから同じような事しかしてないじゃない」
彼女らもまた立川の取り巻きの二人。
金髪でネイルも念入りな内田美奈と、茶髪に、軽く着崩した制服の飯田蘭だ。この五人に加えて僕、と言う最悪の班だったのだ。憂鬱にならない訳も無く、最後列で鬱なオーラを解き放ち、ぼっち度が加速しているのが現状だ。
ただしいじめられているわけではない。……多分。
こうして騒ぐやつらがいると、それを抑える役割の人もいる。それが……
「立川さん達、もう少し静かにして下さいよ!」
あぁ、流石は委員長、である。
彼らに唯一口出しできるのは、クラス委員長の彼女位だ。
真っ直ぐ伸ばした黒髪で、制服もキッチリ決める我らが委員長こと、鎌月鈴乃さんである。もちろん美少女と言っても差し支えない容姿で人気が高い。
「寝ている人も居るんだから、もう少し声量を落としてもらえる?」
「はいはい、分かりましたよっ」
新島、あいつ反省して無いだろ……
そんなことを思っていると、バスは山岳地帯特有の、長いトンネルに突入。少し暗めのトンネルの中でバスに揺られ、疲れからか眠気に襲われかけていると、出口が見えた。
そしてトンネルを抜けた先には…
荒野が広がっていた。
……は?
「ん?さっきまで山ばっかのところじゃなかった?」
というか、トンネルは山を直線的に通る為に作られたものであるため、トンネルを抜けてすぐは山のある風景の筈なのだが、ここはただっ広い荒野が広がっているだけだった。
「いや、ここってどこなのよ?」
「あ!さっき通ったトンネルがないよ!」
一人の女生徒が後ろを指差す。やば、名前覚えてない、ごめんね。……マジで覚えてないんだけど
「確かに無い…」
僕もみんなに釣られて後ろを見ると、さっきまで通っていた筈のトンネルは、そこには無かった。僕たちはどこから来たんだ?
すると、バス内を大きな揺れが襲った。
どうやら、バスのタイヤが、尖った岩場に乗り上げ、パンクしたらしい。
「皆さん、落ち着いてください。おそらくパンクだと思われます。少々お待ち下さい。」
「バスガイドさん。それよりここは何処ですか?」
「それは、……正直に申して分かりません。私も初めて見る土地です。本当にどこなのかさっぱり……あんな建物だって、初めて見ます。」
そう言ってバスガイドさんは、窓の外を指差す。右手側、僕の席とは反対の窓。少し身を乗り出して外を見る。
そこには、高さ、横幅ともに30メートルを越えようと言う大きさの、西洋風な城門と城壁があった。
「本当ここはどこなんだよ?」とか「大丈夫かなぁ、」とか、混乱が広がり、騒がしいバス内に、立川のよく通る声が響く。
「なぁ、一旦の様子を見てみないか?」
いや、今ここから外に出るのはあまり良くないと思うけど…
「ちょっと待って!先生やバスガイドさんの指示が出るまで待とうよ!」
鎌月さんも同じことを思ったか、みんなを止めようとする。先生やバスガイドさん方は、バスの状態を見に行っていていない。
しかし、その後も続いた彼女の説得による健闘も虚しく、クラスメイト達は外の様子を見に、外に出てしまった。
「あぁ、みんなーー!!」
委員長もみんなを追いかけて出て行く。
あ、委員長も行っちゃった。先生もみんなを追いに、運転手さんやバスガイドさんもバスの点検に行っている。僕だけが取り残されている。この状況で一人は怖いし、それに、
……ちょっと外、気になるなぁ。
僕は席を立った。
ブックマークとかしてくれたら、作者は狂喜乱舞します。