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楽しみな三日後の魔力測定のことは置いといて、今すべきことは情報整理と今後の計画を立てることだろう。
昨日は起きたばかりでサラッとしか前世の記憶を漁ってないので、ゆっくりと思い出そうと思う。
前世の私の最後の記憶は日本の高校2年生。
家は茶道の家元で、私は一人っ子だったみたい。
お茶だけじゃなく日本舞踊や華道に書道もやってたわね。
日本の礼儀作法なら完璧なんじゃないかしら。
こちらの作法と混同しないかだけが心配ね。
というか、この世界でも倭の国に生まれてたら凄く注目浴びてたかもなんて、倭の国のことなんて知らないけれど。
時間があったら調べてみましょう。
ここからが本題よ。
この世界に似てる乙女ゲーム。
正直乙女ゲームのやりすぎかイマイチ覚えてないのよね。
似たようなのいっぱいあるでしょう?
おそらく私の記憶では『LOVE of FLOWERS~花の乙女と恋する魔法書~』とかいう乙女ゲーム、略してらぶはな。
花の乙女とはもちろんヒロインのことだ。
その名も"リリィローズ·ブロッサム"とっても花々しい。
見た目もストロベリーブロンドのサラサラの髪にちょっとたれ目の琥珀の瞳でとっても可憐なお花ちゃんだ。
猫目の私とは真逆だわ!
それで、そんな可憐なヒロインはもちろん植物系の魔法が得意でどこで見つけたのかそれ系統の魔法ばっかり載ってる魔法書を持ってるのよね。
これが恋する魔法書の魔法書ね、魔法書が恋するわけじゃないわよ。って言いたいところだけどこの魔法書、精霊が憑いてて恋しちゃうのよ…いろんな花の精に。
もちろんヒロインに合わせて魔法書が恋する花も変わるわけだけど、攻略対象の名前にそれぞれ花の名前が入ってて、その花の精の加護がついてるらしいわ。
何故か第一王子以外の名前が思い出せないけど、名前に注意して花男子を避けてればいいわよね!
そうと決まれば次よ、私に死をもたらす王子様をどうにかしなくては。
攻略対象の名前も思い出せなければ、イベントも選択肢も思い出せない!
思い出せるのは大まかなストーリーと設定だけ…困ったわ。
そうねぇ、どうにかして王子と仲良くなるか、ヒロインに近づけないようにするか……いっそ二人で隠れるとかどうかしら?
留学とか理由つけてストーリーの期間だけ他国に逃げるとか。
王子が俺様じゃないのが救いね、あの王子なら付いて来てくれるかも。
ゲーム通りの王子なら、だけど。
もし仮に王子が全然ゲームと違かったら、そもそもこの世界がゲームと全く無関係で私の断罪イベントも無いかもしれないし。
油断したところで殺されないようにだけ、気をつけましょう。