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「ええと、殿下は精霊さんがどうしたら現れてくれるかは知っておりまして?」
「精霊は気まぐれだからね、私の前にも現れたり現れなかったりするんだよ。」
「そうなんですの…。」
王子も知らないなら今日は会えないかな。
いきなり居場所突き止められて怯えてるのかもしれないし。
姿を見せてくれないってことは警戒されてるのよね、きっと。
それにしてもこの花。
「アスター…。」
そう、やはり貴方の花なのね。
アスター、またの名をカリステファス。
「呼んだ?」
まさか。貴方をアスタの名で呼ぶものは滅多にいないでしょう、カリステファス殿下。
「いえ、この花の名前ですわ。」
「あぁ、そっか…でもそうだなぁ。君にはアスタと呼ぶことを許そう。」
そう言って立ち上がり私に手を差し伸べる彼は本当に天使のようで、笑顔が眩しい。
思わず目を細めて彼の手をとる。
「あら、それは"特別"ですわね?」
「そうだよ、君だけ特別。親しい者は僕のことをステファと呼ぶからね。」
「では、私のこともルーナとお呼びください。」
立ち上がらせてもらいながら顔を見合わせてふふ、と笑い合う。
それから繋いだ手はそのままに、王子に手を引かれて庭園を1周すると丁度お父様が迎えに来た。
別れ際にひとつ王子にお願いをして、次の約束を取り付けると王子に見送られて馬車に乗り込んだ。
帰りの馬車の中、お父様に「殿下と名前で呼び合う許可をもらった」ことを告げると大変驚かれたが、咎められることは無かった。
仲良くしてる分にはいいらしい。




