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第1章2 『修業始まります! 』

「そうか、だから俺は千里眼や脳で思った事が現実に起きることができたのか」



異世界に来ただけでも凄いことなのに自分にチート級の能力が手に入るなんてありがたいようなどこか虚しいような感じだった。それに、俺が今居るのは自分の書いたネット小説の中だ。しかもこれは偶然かはわからないが

モブでもなければボスキャラでもない。まさかの主人公なのだ。それはそれで嬉しいが、

俺が書いたもので考えると主人公が一番なりたくなかったのかもしれない。そんなことを考えていると、背後からなにやら声がする。



「お前さんさっきは助かったよ。ありがとう」



声がする方に顔を向けるとそこにはさっきの老人が普通に立っている。あんなに腰が抜けて苦しそうだったのにそれが嘘みたいだ。なんだろう、この人もなにか常人とは違う雰囲気が伝わってくる。


「あんた、何者なんだ?普通の人間じゃないだろ」



「お前さんこそこの世界の物じゃないだろう?」



「その声! ! さっき俺に問いかけて来た声と同じじゃないか」



やっぱりこの老人は只者じゃない。どうやら俺は常人とそうでない存在を見分けられる能力まで手に入れたらしい。


「ほっほっほ、そんなにわしの正体が知りたいかね。そうじゃな、助けてくれたお礼も含めて教えてやらんこともないがのう」



「本当か! なら教えてくれ! あんた一体何者なんだ? 」



「そう焦るでない。若者はせっかちでいかん。んー、そうじゃのう。わしの家で修業する気はないか? そうすればもっと色々な能力が手に入るぞい?」



俺はこの言葉を聞いた時やっぱりあの声の正体はこの老人で間違いないと確信した。だが、正体を聞くまでは本当に本人なのかはわからない。だから、修業を受ければなにかわかるかもしれない。そう思ったのだった。そして迷った結果。出した答えは、「受けるよ俺! ! それでまだまだ能力が手に入るなら」




だが、この時の俺は修業という言葉の本当の意味をまだわかっていなかった。



「では行くぞい。わしに掴まっとれ、家までひとっ飛びするぞ! 」



そんな簡単に移動できるのかとその発言に耳を疑った。だが、老人の肩に掴まると一瞬で街から離れた所へと出た。どうやらここは本当に老人の家らしい。この能力は俺が思うに『瞬間移動』ってやつだ。なんで正体はまだ教えてくれないのに能力は隠さないのだろうか。それが不思議でならなかった。



「さあ、中へ入りな。まずは腹ごしらえじゃ。どうせまだなんにも食べてないのじゃろ? 」


そう言えばこの世界に来てから飯は食べていない。それどころかなんにも口にしていない。腹が減っているかどうかもわからない状況だったのだ。



「じゃあお言葉に甘えるとするよ。それにしても敷地はすごい広いのに家は小さいんだな」



「なんじゃ、嫌味か? 家は小さくとも住めれば問題なかろう? では中へ入るぞ」




確かにその通りだ。年寄りが住むには十分だと思う。それにしても敷地が広すぎやしないか?見渡す限り畑やら小屋やら色々とあるが、一人暮らしでこんなに必要なのかと目を疑った。



外見は本当に小屋みたいな家だ。でもどこを見ても小汚いとこなんて見つからなかった。管理や整備、掃除をしていなければここまで綺麗にはならない。俺はこの時中に入っていないのに外見に感動を覚えた。だが、中はもっと凄かった。中へと入ると普通ならクモの巣でもはってあるようなイメージだが、どこもかしこも手で確かめてもほこり一つ付かないほど綺麗だった。家の中にあったのは小さなテーブルと隅っこに1人分のベッドが置いてある。小さな台所には食料と調理器具が丁寧に置かれている。



多分だが、この老人は毎日一人で掃除や身の周りの事を一人でして修業をしているのだと俺はこの時感じた。


老人は台所へ行くと、なにやら作り出した。

今時の老人が料理なんて珍しい。家事ならなんでもこなせるんだな。



「さて、そこのテーブルにこれを持っていってくれ」



出来上がった料理は日本でいうグラタンのような食べ物だった。凄く似過ぎて驚いた。



「これって! ! 」



「なんじゃ知っておるのか? ペニュアという食べ物だ」



なんだ、シチューじゃないのか。まあそれもそうか。全く同じものがこの世界に存在する訳ないもんな。それにしても美味かった。深いコクと色々な野菜がマッチしてとても表現が難しいまでの旨さだった。



「なあ、あんた本当に何者なんだ?ここまで色んなことができるなんてさすがにおかしすぎる」




おかしいというよりはなんでそこまでできるのか! ということに対して驚いたのだ。



「まあ、慌てなさんな。修業を終えればちゃんと教えてやるよ」



その言葉を最後にいよいよ修業が始まった。そして優しかった老人がこの修業の時だけは豹変したように厳しかった。



でもやる事は至って地味だった。それは、朝から晩まで家事や畑仕事など農家の人がやるような仕事やまだ建っていない建物を建てたりなどの力仕事もあった。



だが、この修業の趣旨が全くわからない。いくら能力が手に入ると言われてもこんな事で能力が手に入るとはとても思えなかった。








































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