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サメナイ

作者: アサリキライ
掲載日:2016/09/04

誤字脱字多いかもです。あたたかく見てやってください。

はっと目を開けると見慣れた天井が目に入った。僕が家族と住んでいる二階建の小さい一軒家,その中にある僕の部屋の天井だ。何でこんなこと説明したのかというと,ちゃんと理由がある。僕には分かってしまったからだ。


これが「夢」なんだと。


詳しく知っているわけではないが,「明晰夢」というやつだろう。経験したことのある人も多いのではなかろうか。夢の中で夢と自覚するこの明晰夢は今回が初めてではない。過去にも何度か経験したことがある僕は,「ああ、これ夢だな」とぼんやりと天井を見上げながら呟いた。どうせなら見慣れた自分の家なんかではなく,楽しい夢や綺麗なお姉さんとキャッキャウフフするような明晰夢を見たかったものだが・・・。


ふぅ,と体を起こしながら周りを見回す。紛れもなく自分の部屋だ。物の配置がちょっと違ったりするのは夢だからという理由で十分だろう,というか僕は専門家でもなんでもないので理由なんて分からない。


さぁ,これからどうしようか,外にでも出てみるかと腰を上げたところで階段をのぼる音が耳に入った。


ただその音が明らかにおかしい。「とん とん とん」という足音ではなく,何かを引き摺っているような「ずるっ ずるっ」という音。ドアに耳を当てて聞いていると時折「びちゃっ、ぼたぼたっ」とヘドロをぶちまけたような音もまじっている。


夢だと分かっていても怖いものは怖い。一体何が下から来ているんだ・・・。夢の中だというのに冷や汗が背中を伝っていくのを感じた。しかし,所詮は夢だ。例え怪物や化物に出会って殺されたとしても現実の自分の体は傷つかない。せいぜい声を上げながら飛び起きるだけだろう。自分を叱咤しながら,それでもゆっくりと音がしないようにドアを開けて部屋の外に出た。まだあの気持ちの悪い音は続いている。


ゆっくり,ゆっくりと音を出さないように移動しながら階下が見下ろせる位置に着いた。音がさっきよりも近くなっている。「アレ」が二階に上がってくるのも時間の問題だろう。


顔を半分だけ覗かせて僕は勇気を振り絞って階下をみた。






その瞬間,夢にも関わらず猛烈な吐き気に襲われた。






なんだアレ,なんだ,なんだ,ナンダナンダナンダナンダ・・・


言葉では表せない「モノ」がそこには居た。怖い夢は今まで何度も見た事がある。その中には今日のような明晰夢もあった。だが,ここまで訳の分からないモノは初めてだ。見ただけで鳥肌が立ち,今まで掻いたことのないような大量の汗が肌を伝う。姿は暗くてはっきり見えないが,見えなくて良かったと心から思う。見えていたらぐっすり眠っている現実の自分もショックで死んでしまう,そう思わせるほどその「モノ」の存在はおぞましい。なんで自分の夢にこんなやつが・・・。


僕は上手く頭が回らずその場に座り込んだ。どんどん音が近付いてくる。「アレ」が階段をのぼり終わるのも時間の問題だろう。そこで僕はある事に気付いてはっと顔を上げた。


この家には僕と2人の両親が住んでいる。これが夢だとしても両親が化物に殺されてしまう様を黙って見ておくことなんて出来ない。


「父さん!!母さん!!」


僕は化物がすぐそばまできているというのに,気付かれることに構わず声を上げ,両親の部屋に走った。両親は二階の一番奥の部屋だ。その部屋のドアを荒々しく開く。


良かった。2人ともぐっすりと寝ている。しかし,僕はこの時両親のことで頭が一杯で,荒々しく開かれたままのドアがゆっくりと閉まったこと,そして先ほどまで階段をのぼってきていた「アレ」の近付いてくる音が全くしなくなっていることに気付かなかった。


「父さん!母さん!起きて!!化物が,,下から,,,来てる!は,早く,,,逃げないと!」


まるで化物に襲われると現実の両親まで死んでしまうような気がして,僕は狂ったように叫びながら両親を起こそうとした。しかし,2人が起きる気配は全くない。揺すっても,顔を軽く叩いても2人が起きることはなかった。もしや,もう既に・・・と嫌な予感が頭をよぎったが,2人の胸元は呼吸に合わせて上下している。ほっと,胸をなで下ろしたが,ふと2人の足元を見た時に僕は気付いてしまった。






足があるはずの場所に両親の頭があることを・・・






え?え・・・?混乱する頭のまま枕元を見ると,いつもの見慣れた両親の顔がある。そして,恐る恐る足があるはずの場所を見ると,








真っ黒の眼窩でこちらを見つめる両親の顔があった。







「ああああああぁぁぁぁぁああああああ!!!!」






自分が叫んでいることも分からず僕は部屋から逃げ出そうとしたが,


「なんで開かないんだよっ!」


開けっ放しだった筈のドアが閉まっていて開けようとしてもびくともしない。力の限り蹴りやぶろうとしたが,まるで鉄の壁でも蹴っているかのようだ。


「くそ・・・くそくそクソクソクソ」


僕は呪詛のように呟きながらガチャガチャとドアノブを回した。後ろを見るとぴくりとも動かずにこちらを見続ける真っ黒な四つの目。それが異常に不気味で,半狂乱になりながらドアノブを回し続けた。その時,


「ガチャッ」


という音がしたと思うとドアが開いた。あれほど必死に開けようとしても開かなかったドアが,急に開いたことに疑問を持つこともなく両親の前から逃げたい一心で部屋の外に出た。「アレ」は何故かどこにも見当たらない。僕は自分の部屋に入ると鍵を掛け,毛布を被りガタガタと震えることしか出来なかった。


「はやく覚めろ覚めろさめろさめろサメロサメロ」


目を思い切り瞑り,うわ言のように呟き夢が覚めるのを願った。しかし夢が覚める気配は全くない。夢から覚める時のあの独特な感覚が一向に来ないのだ。


「どうして覚めないんだよ・・・お願いだから,覚めて・・・」


その時,僕の必死の願いが通じたのか,夢から覚める独特な感覚がわきあがってきた。


「あぁ、やっと終わる」


心から安堵した,その瞬間,








「ニガサナイ」








老婆が無理やり少女の声を絞り出したような,気色の悪い声が耳元で聞こえた。


「えっ?」


その声を呆然と聞きながら僕の意識は覚醒していった。


「うわああっ」


ガバッと起き上がると全身汗だくになっていた。最後の声はなんだ,「アレ」が喋ったのか?


何はともあれ,もう夢は終わったんだ。今日また同じ夢を見ないとは限らないけど,スマホでもして徹夜しよう,とりあえず今は安心だ。ゆっくりと深呼吸をする。しかし一体何だったんだろう。どうして突然こんな夢を・・・?だが,いくら考えても分からない。


とにかく気分を落ち着けるためにシャワーを浴びようと思った。体中が汗のせいで気持ち悪い。


そう思い,ドアノブに手を伸ばしたところで誰かが二階に上がってきている音がした。母さんが起こしに来てくれたのだろう。ここで気付いた。足音がおかしいことに・・・








「ずるっ,ずるずるっ,,,びちゃっ,ぼたぼたっ」













「ミィツケタ」








耳元であの気色の悪い声がした。







夢はまだ サメナイ























読んでくださった皆さま,良い夢を・・・

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