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丘で

作者: 晃明

僕は変わったのか変わらないのか。

夜が来た。



土のしっとりした匂いと草の深みある緑の匂いに僕は浸る。ほどよい湿気が僕の肌を潤す。



僕は仰向けに寝転ぶ。芝生が僕の首をくすぐる。


時間が経つとさほど気にならなくなった。



僕も地球の一部なんだ。



風を受けて改めて気付く。そう思うと今まで僕の頬を強ばらせていた外気もひんやりと気持ちよく感じる。


地球は周っている。


今日の出来事を思い出す。市営図書館に行き、何事も無く帰ってきた。


そういえば今日(厳密に言えば昨日だ)はあいつの誕生日だったな。


去年はあいつへ何を送ったっけ。速いな。


僕もこの世界を17年も生きている。

17年。僕にとっては一番長い時間だ。



僕は今もその一番長い時間を更新し続けている。


僕の目の前に広がる闇に吸い込まれる。僕はその中を当てもなくさ迷う。


星がきれいだ。



あの星たちから見たら僕たち人間の営みなんてきっとちっぽけな物なのだろう。


17年も生きてきたのに、僕の知っている世界は僕の生きてきた道たった一本だ。

星たちを観ながら思う。

僕は『星たち』と呼んでいるが、向こうにしてみればお互い何の関係も無いくらい離れているのだろう。



結局、星座なんて僕たちの都合で勝手に着けたものだ。


今も昔も変わらず僕の様な暇人がいるわけだ。



漸く僕の待っていた物が姿を現す。


すーっ、と一本の光が流れる。



もう行ってしまった。


本当に見たのだろうか。







音も立てずに現れ、気付く否かの時間しか存在しない。そしてまた跡も残さず消え入る。


残された僕はまた次を待つ。



子供が電車が通るのを楽しみにするように。



遠くの建物の間に電車が通るとき、僕はその建物の間にだけ見えた姿を繋ぎ留めてあの憧れの姿を思い浮べた。




今も昔も変わらない。僕の主体的な物。



ダンゴムシの採集から始まり、クワガタ、恐竜、飛行機・・・。


記憶はどれも既に埃をかぶってしまい同化し、僕の一部に埋もれている。


改めて、僕は僕の時間を積み重ねて来た事に気付く。わずかな隙間も無く、みっちりと僕だけの時間が積まれている。


殆んどの事を忘れてしまった気がするけれど、僕に忘れられても、昔過ごした時間はちゃんと付いてきてくれる。

ありがとうございました。

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