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宇宙輸送艦「ネフシュタン」の航海日誌  作者: 菊RIN
【海賊女帝編】青緑の蛇
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好きにしろ



「とりあえずコロニーの組合までは送る。その後の事を決めるのは自分だ。人生なんて、他人に決めてもらうモンじゃねぇだろ。俺は選択肢の一つを増やしただけだ」

「………はい。ありがとうございます」


都合2時間程かけて荷降ろしを済ませ、同じ小惑星帯の畜産プラントへ。

家畜の餌用の穀物を巨大サイロに降ろす。計12基のサイロは、全てパイプで繋がっており、倉庫ユニットから吸い上げた穀物を自動で振り分けているらしい。


「さて、一度ユニットを洗浄殺菌処理しないとな」

「では、清掃用ポットを廻します」


これは衛生管理上、法に定められた処置である。積荷に食品や薬品がある以上、僅かな混入で変質、場合によっては発熱、発酵による爆発もあり得るのだ。

ユニットの洗浄は、積荷を守り、船を守り、人を守る最良の手段なのである。


「それが終わったら食肉加工品の積み込みだな。プラントの管理局に話は?」

「既に通してます。間もなく積荷もこちらに届くかと」

「よし。段取りバッチリだな」




かくしてネフシュタンは、スバルとナターシャに加え、ユズハを乗せて、惑星「イリス」の第二コロニーへ向かう。


「帰るまでが遠足だからな」

「なんですかそのエンソクというのは」

「俺も知らん。昔爺さんが言ってた」


今回はユズハも乗っているので、習熟訓練はナシだ。安全第一、迅速に慎ましやかに自動航行している。


「しかし暇だな。気を抜いてるわけじゃないし、警戒もしてるが………退屈もしてる」

「スバル、端末に暇つぶしアプリがあるのでは?」

「あぁ………アレは何と言うか、時間を無駄にしている気がしてな」

「暇つぶしとはそういうものでは?」

「うーん………何かしらの技術の修得とか、知識が増えるような暇つぶしないかな」

「でしたら作業室で新たなポットでも開発しますか?」

「それはやりだしたら止まらんぞ。オマエはそれでいいのか?」

「それはめんどくさいですね。いっそのこと寝てください」

「結局そうなるか」


スバルはブリッジを出て食堂に来た。丁度ユズハも医務室から出てきたので、二人で軽食を食べ、ユズハを個室に案内した後、自室で眠った。




翌朝、と言っても宇宙で朝も夜も無いのだが、スバルはブリッジに戻り、航行ログをチェックする。


「特に異常なしか」

「そうですね。ところでスバル、提案があります」

「なんだ?」

「使っていない個室をトレーニングルームにしましょう」

「いきなりどうした」

「ここ数日のスバルは、ハッキリ言って食っちゃ寝です。健全ではありません」

「あぁ………」

「健康管理と暇つぶしが出来て、スバルの言う無意味な時間ではありません」

「………なる、ほど?」

「昔から引きこもりなのですから、運動は必須ですよ」

「研究職と引きこもりを一緒にするなよ」

「設計上の問題も無いので、コロニーに着いたら早速取り掛かりましょう」

「もう、好きにしろよ」


ナターシャの圧とスバルの後ろめたさにより、ネフシュタンの改装が決定した。


「あ、それから彼女の事なのですが………」

「………そうか。船は?」

「警備隊が」

「わかった」


4日ぶりにネフシュタンは第二コロニーに帰ってきた。組合に報告すれば、ユズハとはひとまずお別れである。スバルは積荷をナターシャに任せ、ユズハを連れて組合に向かった。


「ただいま」

「スバルさん、おかえりなさい。いろいろあったみたいですね」

「あぁ。警備隊から報告は?」

「それなんですが、お二人に事情を聞きたいと、隊員の方がお待ちでして」

「構わないぞ」

「お二人別々に、ということなのですが、ユズハさんですかね、宜しいですか?」

「は、はい」


二人は別々の応接室に案内される。第一と書かれた部屋にユズハ、スバルは奥の第三応接室だ。




「スバル殿、お時間を頂き、ありがとうございます。第七管区警備隊スガヌマと申します」

「ネフシュタン艦長、スバルです。早速本題に入りましょう」

「では、単刀直入にお聴きします。ユズハさんとの面識は?」

「無いです。救援信号をキャッチしたので、確認の為近付いたら、海賊に襲われて。その信号を出していたのが彼女の船でした」

「なるほど」

「ログに残っていますので、確認されますか?」

「お願いします」

「こちらからも質問いいですか?彼女の船、調べたんですね?」

「何故それを?」

「私の想像が正しければ、彼女………海賊ですね?」



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