初戦闘?
誤字報告ありがとうございます。
感謝です!!
本日3話投稿します。
「スバル、通信が入っています」
「繋いで」
「おうおう、俺様は絶賛営業中の海賊だ!沈められたくなかったら、大人しくしてろ」
「知ってるか?撃っていいのは、撃たれる覚悟のあるヤツだけだって」
「なにおぅ?調子こいてっと、ハチの巣に………」
「副砲拡散レーザー掃射」
「ちょっ、まっ、あぁーーーー………」
「敵船沈黙」
「………弱過ぎる」
スバルの想定は、軍のシミュレータがベースになっている。海賊の電子兵装は、
妨害電波を撒き散らす程度のもので、圧も弱い。
シールドも軍用とは比べるべくもない。威嚇程度の気持ちで撃ったビームは、文字通り海賊船をハチの巣にした。
「他の4隻、逃走」
「逃がすかよ」
ものの1分も掛からず、一撃必中で全ての海賊を行動不能にした。クルーザー型にはオーバーキルだったようで、爆発四散してしまった。
「状況終了。とりあえずマーカー付けて、後は警備隊に任せよう」
「了解」
「………」
「スバル、終わってホッとしてると言うより、がっかりしているように見えますが?」
「ん?いや、そんなことないぞ。被弾ゼロでよかったよかった。それより、あっちの小型輸送船に通信を繋いでくれ」
「了解」
正直、ナターシャの言う通り、スバルは拍子抜けしている。けして戦闘狂などではないと自分では思っているのだが、あまりにも呆気なかったのは、敵船が弱過ぎたのか、ネフシュタンの火力が強過ぎるのか………その辺りも測りかねているのだ。
「通信、繋がりました」
「こちら輸送艦ネフシュタン、艦長のスバルだ。そちらは無事か?自力航行出来るか?」
「こっ、コチラ輸送船ピクシー、船長代理のユズハです。機関損傷につき、自走不能です」
(代理?)
「警備隊到着まで30分程度だと思うが、それまで待てるか?」
「あの、生命維持装置の限界が近いので、救助していただきたく………」
「マジか、よし待ってろ。ドッキングするぞ」
「感謝します」
スバルは小型船に強制ドッキングすると、ナターシャを向かわせる。生命維持装置が止まっても、ナターシャならば活動出来るからだ。
「ナターシャ、状況は」
「生命反応1,武器弾薬等のエネルギー反応なし。直ちに回収し、帰還します」
「了解。一応医療用カプセルを使え」
「了解。回収完了。船内にマーカー付けて医務室に向かいます」
「よし、ドッキング解除したら、そのまま工業プラントに付けるぞ」
工業プラントのプラットフォームで荷降ろし作業中のネフシュタン。荷受け側の倉庫の都合で、コチラのペースで荷降ろし出来ず、小分けして降ろし、待機してまた降ろしの繰り返し。
スバルは立ち会いをナターシャに任せ、医務室のユズハのもとへ向かった。
「入るぞー」
「ど、どうぞ」
「一応このあとの事を話そうと思ってな。俺はこの艦の艦長、スバルだ。改めてよろしくな」
「ユズハです。助けていただき、ありがとうございます」
「いくつか質問いいか?」
「はい。答えられることなら」
「一人で乗ってたのか?」
「そうです」
「ふむ………なのに船長代理か?どういうことだ」
ユズハは一度俯き、訥々と話す。
「あの船の船長は、私の父なんです。母が他界してからはずっと、父娘2人で乗ってました。ある日の積荷の中に、違法な薬物が混じっていたと通報があって………」
「親父さんは、そっちの仕事も?」
「違います!その日は私も積荷の確認をしました。混じっている筈が無いんです!」
「でも通報があったと」
「えぇ、荷受け側が検品したら出てきたと」
「いつ?」
「父が荷降ろしを終えて、一休みして出航しようとした時に止められて」
「………なるほどね」
それからユズハの父親は有罪となり、今は強制労働中らしい。
生活に困ったユズハは、親の仕事を継いで船乗りになり、今に至る。
「話を聞いといてなんだが、俺にはどうしようも無いな。船は修理出来そうかい?」
「多分、無理ですね………解体して部品を売却、そのお金で食いつなぎながら仕事を探そうかと」
それは無理だ………スバルは思った。まともな仕事を探しても、犯罪者の娘だとバレればすぐに解雇されるだろう。残るは身を売るような仕事しか、生きる術はないのではないかと。
幸いにして見た目は悪くないし、歳も若そうだが………
「………ウチのクルーになるか?」
「えっ?」
「まぁ、俺とメイドロイドの2人しかいない船だ。なにかと人手は欲しいからな」
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