表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙輸送艦「ネフシュタン」の航海日誌  作者: 菊RIN
【海賊女帝編】青緑の蛇
7/93

初仕事



「ポートコントロール、こちらは輸送艦ネフシュタン、出航許可を求む」

「こちらポートコントロール。ネフシュタン了解。300秒待て」

「了解。ではその間に周辺宙域の情報求む」

「磁気嵐、及び海賊の船影は見当たらない。入港に手間取っている客船あり。それが収まれば大丈夫だ」

「珍しいな。腕が確かなヤツしか客船乗りになれないだろ?」

「スラスターのトラブルだ。デブリを拾ったらしい。おっ、収まったぞ。ネフシュタン出航を許可する。良い旅を」

「ネフシュタン了解。ハッチオープン。船体ロック解除。微速前進」


スバルの乘るネフシュタンは、同じ軌道上の隣のコロニーで鉱石を積み、小惑星帯にあるプラントへ向かう。

管制宙域外まで到達したら、一気に加速だ。


「ナターシャ、周辺宙域の警戒頼むな。全方向レーダー出力30%で」

「了解」

「今回は習熟訓練も兼ねてるからな。とりあえず広めの安全宙域あったら戦闘機動で飛んでみる。亜空間航行は次回かな」

「そうですね。使うまでも無い距離ですから」

「おっ、だいぶ落ち着いた口調になってきたな」

「おかげ様で」


戦闘機動とは、簡単に言えば高速でアクロバティックな飛行だ。シミュレータとの齟齬や実際に体感するGは、やってみなければ解らないのだ。


「火器はどうなさるので?」

「それなぁ………一回はやっときたいけど、ヘタに巡回警備隊や軍に見られたら、いろいろめんどくさいな」

「そうですね」

「通常航路から出て、デブリを仮想ターゲットにして撃ってみるか………」

「ログに残りますよ?」

「だよなぁ………無理かぁ、勘繰られても困るなぁ」

「海賊が襲ってくれれば、合法的に攻撃出来ますけどね」

「やな事言うなよ」


人、これをフラグと言う。

回収するか折るか、それは神のみぞ知る………といったところだが、船乗りという者達は、ジンクスとか非科学的な事柄を意外と重視している。


「管制宙域を出ました。航路設定。生産プラント群小惑星帯、工業プラント。高速航行に入ります」

「メインエンジン出力60%、船速安定、自動航行オートパイロットに移行」

「了解。到着予定、16時間後です。2時間後に訓練に最適な空間がありますよ」

「良いな。やるか」



訓練開始から30分、スバルは飽きている。

ネフシュタンの操作自体は良好、思い通りに動かせている。急速な反転やスライドに懸かるGも気にならない。

しかし何も無い空間を無意味に飛び回るのは、なんとも味気ないのだ。

早々に通常ルートに復帰して、再び自動航行に切り替えると

「訓練終了、飽きた。メシ食って寝る」

と、ブリッジを離れた。



「ビーーーー!!!!」

「んだよ!うるせぇなぁ!」

艦内アラートに起こされるスバル。着替えもそこそこにブリッジへ急ぐ。


「状況は?」

「小型輸送船からの救援信号を捕捉、正体不明の船に襲撃を受けていると」

「警備隊は?」

「到着まで40分程」

「微妙だな、場所は?」

「それが、今向かっている工業プラント周辺で………」

「どっちみちぶつかるわけか」

「いかがなさいます?」

「そいつ等スルーしてこっそりプラントに着けれるか?」

「無理ですね。状況的にも」

「とりあえず確認だな。光学レーダーで捉えられる範囲に接近」

「既に。映像廻します」


そこに映し出されたのは、民間のクルーザーやツギハギの輸送船に、無理矢理武装した船5隻に囲まれた小型輸送船だった。


「護衛艦は………無さそうだな」

「1隻コチラに来ます。戦闘用レーダー照射されました」

「向こうはヤル気か………シールド展開、電子戦開始」


電子戦とは、コンピューターの戦い。船の各制御をコンピューターが行っているので、相手の制御を乗っ取れば、操船から生命維持の循環システムまで、他者の思うがままになるのだ。

多少狂わせるだけでも、兵器の照準がずれ、攻撃が当たらなくなる。


「撃ってきたな。応戦信号を出せ。襲われたのでコチラは()()()()攻撃する。正当防衛だな」

「仕方なさそうな顔じゃないですね」


全星系に共通する「宇宙航海法」なる物がある。それによると、例え海賊相手であっても、民間船が無闇に攻撃していいわけではない。

自衛の為の攻撃のみ許されているのだ。


「武装展開。レーザー系だけでいいぞ。アイハブコントロール」

「了解。レーザー系火器展開。自動制御解除。ユーハブ」

「ゲームスタートだ」

続きが気になる

面白い

など、少しでも思っていただけたなら

✩✩✩✩✩評価、ブクマお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ