スバルの資格、艦の規格
本日は2話投稿します
スバルが持つ資格は全部で3種。
整備士、宇宙船舶免許、設計士である。
それぞれA〜Fのクラスがあり、特出した技能を持ち、国からマイスターの称号を与えられた者にだけs級を名乗ることが許される。
軍や国の仕事を請け負えるのがB以上、一般企業の仕事ならばD以上の資格、Eが下請けや個人の仕事、Fは見習い扱いである。
船舶免許に関して言えば、富裕層の娯楽として、個人でクルーザーを所有し近場を遊覧する者も多く、そういった粋人はE級を取るらしい。
さて、そもそもスバルが最初に取得したのは設計士。切っ掛けはAIだった。
現在ナターシャに搭載されているAIの開発で、今までの常識とされていたシステムから逸脱した、全く新しい独自の理論で構築されたAI。その有用性が認められ、特例措置でマイスターの称号を得た。
ただ当時の研究者達からは
「理論としては素晴らしいが、実用性に乏しいのではないか?」
「所詮は机上の空論だ」
等の反発や揶揄もあったが、システムに耐えうるcpuコアの開発と、それを搭載したナターシャのプロトタイプを発表し、周囲を黙らせた。スバル16歳の時である。
それから2年後、新たな内燃機関「位相循環エネルギー炉」を開発し、自律型アンドロイド「ナターシャ」が誕生する。
軍の研究機関に所属していたが、若くしてマイスターとなったスバルは疎まれ、嫉妬と侮りに晒され、研究の横取りや共同研究から外される等の嫌がらせもあり、内燃機関の存在をひた隠しにした。
「ナターシャ」にメイドの格好をさせ、アレはスバルの趣味の玩具だとの嘲笑を隠れ蓑に「位相循環エネルギー炉」を世に出す事は無かった。まさかそのおかげでホントにメイドにハマるとは………
秘匿にしたせいで、ナターシャの整備を他人の手に委ねるわけにもいかず、成り行きで仕方なく整備士の資格を取った。
資格が無い者が整備に手を出す行為が、国際法で禁じられているからである。海賊の違法改造を取り締まる為らしい。アイツら略奪した民間船を無理やり弄って海賊船にするからね。
研究機関で孤立したスバルが、度々軍艦のドックに顔を出すようになったのはこの頃。
偶に整備を手伝い、作業ボットを弄り、時には軍艦乗りと談笑し、友も出来た。
ゲーム感覚で操船シミュレータに乗り、友と対戦しているうちに操船技術を覚えた。
「どうせなら免許取ればいいじゃん」
と、友の勧めで船舶免許も取得。まさかそれが飯の種になるなど思いもしないで………
もっとも、船乗りに憧れがあったのは事実で「軍を辞めたら、気ままに宇宙船の旅も良いかな………」程度のことは考えていた。
シミュレータでの戦績で、友に勧められる程の腕はあるのだが、軍務で船に乘るのは「なんか嫌だ、知らんけど」というわけでc級なのだ。
さてさて、艱難辛苦を乗り越え、紆余曲折ありつつ我儘放題で建造された「ネフシュタン」だが、特筆すべきは何も戦闘力だけでは無い。
船内にはブリッジの他に、機関室、武器庫、作業室、船長室、食堂、医務室、浴室、個室×3があり、倉庫区画は6つのユニットに区切られている。
機関室や武器庫は文字通り、作業室は作業用ボットの待機場所兼、スバルの研究室である。
船長室は勿論スバルの部屋。寝室兼執務室といったところ。食堂は簡易厨房とフードプリンターがあり、食品カートリッジを使用していろんな料理を自動で再現する。
医務室はセクシーな女医さんや看護師が居るわけもなく、医療用カプセルでナノマシンによる治療が出来る。
浴室は洗浄カプセル………大雑把にいえば人間洗濯機とユニットバスがあり、基本は洗浄カプセルを使用するが、惑星やコロニーなど、水の心配が無い場合限定でユニットバスを使用することが出来る。
倉庫ユニットは、客室ユニットと入れ替えが可能だが、今のところその予定は無い。
以上が大まかなところである。
あとは付属で脱出用小型艇と艦内清掃用ボットくらいだろうか、何分スバルは、仕事に対しては拘りが多いのに、私生活は無頓着、ある程度人間らしい生活が出来ればいいと思っているので、内装も家具も程々、機能性重視といったところ。
それでも軍艦に比べたら雲泥の差なのだが………
多分、他の輸送艦乗りが見たらひっくり返るんじゃなかろうか。
そしてスバルは言うのだ「常識の範囲内だろ」と。
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