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宇宙輸送艦「ネフシュタン」の航海日誌  作者: 菊RIN
人型のレゾンデートル
31/93

予想は出来るがあくまでも予想でしかない



「乾燥野菜と穀物、積み込み完了」

「驚きました。野菜プラントがあるんですね」

「氷の小惑星があるからな。飲用にはならないが、植物を育てる水にはなるらしい。俺もよくわからん」

「アーカイブによると、人が飲めば微毒、フィルターによる除去は不可能、でも植物が罹りやすい病気を防ぎ、成長を助ける働きがあると」

「ますますわからん。が事実野菜が出来て、それ食っても人に害はないならいいだろ」

「それもそうですね。あ、出港許可きましたよ」

「んじゃ、帰るぞ」

「「「了解」」」


ステーションを出たネフシュタンは、管制宙域を出て加速する。イリスまでの直線ルートには電磁層があり、レーダー系が使えなくなる。

よって大きく迂回するルートを選択した。


「よって到着予定、4日と8時間です」

「了解。多少は余裕はあるが、気を抜かずに行こう」


2日間は何事もなく、順調な航行だった。そして3日目の朝


「ご主人様、応戦信号をキャッチ。トランスポンダ確認。護衛の傭兵艦[ハンター]」

「スバルさん、通信繋ぎますか?」

「一応な。こちら輸送艦ネフシュタン、戦闘中のハンター、援護は必要か?」

「こちらハンター。コイツはアタシの獲物だ。大人しく見てな!あ、流れ弾に気をつけろよ。ケガしても知らねぇぞ」


「やれやれ、威勢のいいお姉さんだね」

「いいんですか?」

「あぁ、傭兵達の暗黙のルールがあってな、賞金首なんかが絡んでると、墜とした奴らで山分けなんだよ。だからヘタに割り込むと、後で揉めるんだよ」

「な、なるほど………世知辛いですね」

「まぁ、本当にヤバくなりや、要請が来る。動くのはそれからだな」


結局、ハンターは5隻全ての海賊を撃沈した。


「どんなもんだい!」

「ハンター、容赦ねぇな」

「海賊に慈悲はいらん。そうだろ」

「だな。見事だったよ。護衛中の船は無事か?」

「問題ない。ありがとな。気をつけて行けよ」

「了解」




その後はたいしたトラブルも無く、スバル達はホームの第2コロニーに入港した。

荷降ろしを済ませ、受け取り確認をもらい組合に向かう。


「ただいま」

「おかえりなさいスバル君。いつもの人来てるわよ」

「毎度毎度待ち構えてんのか?暇なのかよ」


応接室に向かうスバル。


「入るぞ」

「どうぞ」


短いやりとりで席に着く。


「これが例の戦闘データと光学映像だ」

「お預かりしますね」

「それで、何かわかったのか?」

「そうですね、可能性の話くらいは」

「まず、人型の生産ラインの稼働状況と、実際の数に差があります」

「それは、予備とか不良品とかじゃなくてか」

「えぇ。およそ12体分。更に採掘ユニット6、戦闘ユニット6」

「なるほど、まずってことは、他にも?」

「老朽化の廃棄でも、払い下げでもない軍用輸送艦が1隻、登録抹消されています」

「クラスは?」

「マラコット級」

「ビンゴじゃねぇか」

「時期から考えて、ほぼ同じかと」


スバルは顎に手を当て、思考に没入する。


「スバル殿?」

「あぁ、スマン。想像ならいくらでも出来るがな」

「お聞かせ願えますか」

「軍の第1次試験採掘があったろ。その前に第0次があったとしたら?」

「ふむ………発表から試験運用まで、かなり間がありますね。その前にですか」

「私掠され、その事実を隠蔽………しかし、それだけの数を奪える海賊がいるのか?」

「女帝なら、或いは」


「………全て想像でしかないな」

「えぇ、タラレバですね」

「そのタラレバが仮に、まぐれ当たりだったとしても、プレアデス星系方面の排他的緩衝宙域に現れたことに説明が付かん。諜報部の網を掻い潜って、あんな所まで行けるものか?」

「それは無理、でしょうね」


不毛な話にケリを付け、二人は応接室を出た。タラレバの論争ではあったが、捜査の足掛かりとして、可能性を潰して行けば真実に届くかも知れない。


「貴重なご意見、ありがとうございました。ではまた」


スガヌマはログデータを手に去っていった。


「ケイト、話終わったぞ」

「こちらも確認終わりました。運賃も振り込んてありますよ」

「ありがと」

「スバル君、しばらく休みますよね?」

「ん?まぁ、すぐには仕事は入れないかな」

「私、明日休みです」

「そうか」

「そうか、じゃないでしょ!約束、忘れてませんよね?」

「んぁ?………………あぁ、そうか。明日な。ネフシュタンに迎えに来てくれ」

「はい!迎えに………」

「おい、今ネフシュタンつったか?」

「あ?あぁ、俺の船だ」

「そうかアンタが………アタシが、ハンターさ」



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