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宇宙輸送艦「ネフシュタン」の航海日誌  作者: 菊RIN
【海賊女帝編】青緑の蛇
3/93

星間物流組合



 辺境の惑星「アムス」がある宙域は、3つの惑星と11のコロニーを有する星系国家「アルバ連合国」の領土である。


スバルがまず向かったのは、隣の惑星「イリス」の惑星軌道上、第二コロニーにある「星間物流組合」である。

この組合に所属する事で、仕事の斡旋や各種保険、修理業者の手配と割引等が受けられる。

コロニーの停泊ドックの優先権もあり、使用料も組合への貢献度によって割引率が上がっていく。

積荷の重要度によっては、護衛艦を付けてくれることもあるらしい。


まぁ、無所属モグリの営業であれば組合費を払わずに済むが、輸送中のトラブルは全て自己責任、荷主との賠償も自己負担と中々に厳しい。

それでも太客を掴まえて、専属契約を結べれば安泰なので、一発逆転狙いの無所属も一定数いるらしい。


閑話休題


組合の建物は、ドッキングポートの近くにあり、徒歩10分圏内というところ。お役所的な佇まいで、入口には乗船していない護衛艦のクルーが、持ち回りで警備に立っている。


「よう、アンタ見ねぇ顔だな」

「あぁ、組合に登録に来た」

「メイド連れてか?ボンボンの道楽なら止めておけ。船乗りはそんな甘え仕事じゃねぇぞ」

「ボンボンでもなけりゃ道楽でもない。一応c級持ちだよ」

「は?退役軍人か何かか?にしちゃあ若えし………まぁいいや。登録は入って正面のカウンターだ」


建物に入りカウンターに向かう。


「………スバル、やはりメイドの格好は不適切だと判断する。余計なトラブルを招く」

「今のはトラブルじゃねぇし。アレは先輩船乗りが、親切心で忠告してくれただけだし」

「そうか?」

「そうだ」


カウンターには愛想の良い女性が座っている。見た目年齢はスバルの少し上だろうか、仕事出来ますオーラがバンバン出ている。


「いらっしゃいませ。物流組合へようこそ。ご要件をお伺いします」

「組合登録に来た。これが船の登録証と俺のライセンス証だ」

「データ拝見します。乗務員は二名ですか?」

「あぁ。俺が船長兼操舵士、コイツがオペレーターだ。後は作業用ボットで廻せる」

「かしこまりました。スバル=マグナ様、船名ネフシュタン、最大積載量9600トン、航行履歴は………あれ?アムスからこちらへの航行のみ………新造艦ですか?」

「そうだが、問題あるか?」

「いえ、新規登録の方は、中古の船で実績を積んて、お金を貯めてから買い替える方が殆どなので。少し驚きましたが問題はありません」

「そうか」

「はい。では仮登録証をお渡しします。本登録には5日程かかりますので」

「仮?早速仕事をしたいと思ってたんだが、仮登録で仕事は出来るのか?」

「星系内での近場でしたら出来なくはありません。ですが………重要度の高い希少品は無理ですね。食料品や一般鉱石でしたら構いません。その分運賃は安いので、スバルさんの船のサイズですと、往復の燃料代くらいにしかならないかと」


ネフシュタンの動力は、ナターシャと同じ位相循環エネルギー炉。スバルが開発した、今最も「永久機関」に近い動力炉である。

ナターシャの極小サイズに比べて、4800倍の出力を誇る大型の炉を4基、最初の火入れ時に「精製エネルマテリア」が必要だが、一度動いてしまえば補給の必要は無い。


「構わない。新造艦だからな、習熟訓練を兼ねてやれる仕事ならそれでいい。燃料代になるなら上々だ」

「なるほど、そういう事ですか。でしたら4〜5日で終われそうなお仕事を見繕いますね」


(うむ。やはりこの受付さんは「出来るタイプ」だな。対応の適格さ、丁寧な受け答え、淀み無い会話術………)


「お待たせしました、こちらの3件はいかがでしょうか?」

「どれどれ………まずここのコロニーで穀物4000トン積んで、第一コロニーで鉱石5000トンを合い積み、工業プラントで鉱石を降ろして畜産プラントに向かい、穀物を降ろして食肉加工品を4000トン積んで、またここに戻って来ると………まぁ、無駄なく廻れて3件分の運賃なら悪くないな」 

「この工程なら、多少のプラス収支は見込めるかと」

「そうだな。んじゃ水と食料カートリッジの補給、積み込みの間に日用品の買い出しを済ませたら出るよ」

「はい。では積荷と補給の手配はこちらで行いますので、日用品の買い出しを先に済ませてください。何分初仕事ですので、今回は組合職員が現場に立ち会います。一人で勝手に積み込まないでくださいね」



2025/02/06積載量修正しました。

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― 新着の感想 ―
位相循環エネルギー炉 これが主人公の隠し玉なのかな。 燃料がほぼいならない上にアンドロイドに搭載できる程度まで小型化可能って。 サイズに対する出力次第で機動兵器への搭載でコストや兵器としての出力など大…
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