需要と供給
うあ!たまたまランキング見たタイミングで
日間ジャンル別の「宇宙」で18位だった(汗
調子に乗って、本日は5話投稿します。
「では、こちらが本登録証、そしてこれが組合員カードです」
「ありがとう」
登録証と言っても、紙媒体ではない。
金属でできた少し厚めのカードのようなもので、ブリッジのメインコンピューターのスロットに差し込めば、船籍を登録できる。
「本登録証は、トランスポンダとリンクさせてください。カードは常に携帯するように。身分証とマネーカードになりますので、なくすと大変ですよ」
「お、ぉふ」
「運賃もそちらに振り込まれますし、だいたいの商店ではそれで決済出来ます。組合の提携店では、割引もありますよ」
「それはいいな」
「前回の運賃も既に入っています。残高は端末で見れますので、無駄遣いしないように」
「オマエはお母さんか!」
(これでようやく遠距離の仕事に手を出せる)
「んじゃ、そろそろ次の仕事をしたいんだが」
「そうですねぇ………採掘プラントを管理しているステーション行きの、食品や日用品を運ぶ仕事があります。運賃は、積み合わせ次第ですが」
「というと?」
「この手の仕事は、小口の積み合わせが基本です。アチラの要望する品をまず積んで、積載に余裕があれば嗜好品などを積んで向こうで売り捌く。
多少のギャンブル性はありますが、商売の知識やノウハウを学ぶには良いですね」
「なるほど、知識と船さえあれば、自分で商売出来ると」
「はい、商船というやり方ですね。船団を組まれる方もいますよ。ですが注意点も。何を商材にするかはその人の裁量ですが、星系によって[禁制品]が違います。知らずに持ち込んで見つかれば、立派な犯罪者です」
「要は事前に調べろってことだろ」
「えぇ。情報収集は仕事の基本です」
「まぁ俺みたいな新米には向かないな。しばらくは地道な輸送と少しの小遣い稼ぎ、その中で馴染みの商会でも出来てから考えればいい」
この辺スバルは堅実だった。コツコツやるのは性に合ってる、そうスバルは思うのだ。
「ご自分で商会を立ち上げる、という手もありますよ?」
「ソレこそ無理だ。俺一人でやるのは無謀だし、商売に明るいクルーがいるわけでも無し、今んとこソッチ方面の人手を増やすつもりもない」
「そうですか。何かあればご相談ください」
ステーション行きの荷物は、手広くやってる大商会が請け負うことが殆どだ。
注文に合わせて揃えられる品数が豊富で、ほぼ自分のところで揃えられるのは強みである。
後の足りない部分を中小の商会が担う。だから必然と、おこぼれを狙う中小の商会が、あの手この手で擦り寄る図式が生まれるのだ。
スバルは積み込みの指示を出す商会幹部と、歪な笑顔の商人達を横目に見ながら
(やっぱ無理だ、あんなのと仲良くなれる気がしない)
と、自分の不向きを察した。
「俺は積荷のチェックに集中しよ」
6つあるユニットの5つが埋まり、ユニット毎にロックを掛ける。残るユニットにスバルは、酒類を積むことにした。
下調べによると、管理ステーションにはなかなか嗜好品が届かず、職員や駐在員も結構な人数が居るので、高級酒よりも手頃な酒をなるべく多く………が喜ばれるらしい。
よってスバルは、前回の運賃で手の届く範囲の果実酒、穀物酒を大量に仕入れて積み、評価は分からないが蒸留酒も少し積んだ。
「さてさて、買い手は居るのかね」
倉庫区画をロックし、気密確認を済ませたスバルはブリッジに戻る。今回は小口が多く、商人達の出入りもあったので、安全の為に立ち会っていたのだ。
「どうだナターシャ、順調か?」
「はい。航路設定は終了しています」
「ユズハ、通信機には慣れたか?」
「モニターの数と配置が違うので、最初は戸惑いましたが、表示がわかりやすいので大丈夫です」
「しばらくはこの配置で行くぞー」
「「了解」」
ブリッジ中央、一段高い位置にある艦長席にスバル。その下段、船首側から見て右のオペレーター席にナターシャ。左の通信席にユズハ。
その三席の正面に浮かび上がるのは球体3Dモニター。自船を中心に周辺宙域の状況が映る。
「よし、ユズハ、ポートコントロールと通信だ」
「了解。ポートコントロール、こちら輸送艦ネフシュタン、出航許可願います」
「ネフシュタン了解。こちらポートコントロール、出航を許可します。ご安全に」
「ハッチオープン。船体ロック解除。微速前進」
「周辺宙域異常なし。トランスポンダ発信」
ネフシュタンの新たな船出は、とてもスムーズなスタートだった。
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