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宇宙輸送艦「ネフシュタン」の航海日誌  作者: 菊RIN
【海賊女帝編】青緑の蛇
10/93

勘のいいガキは………



「………困りましたねぇ」

「その応えで十分です。私も深く関わる気も無いので」

「それが賢明です。ただ、知っておいた方がいい事もあるかと」

「それは?」

「彼女は、大きな括りで言えば[海賊]ですが、売買しているのは情報。国家機密などに手を出せば、有無を言わせず犯罪者ですが、民間や裏社会のグレーゾーンに関しては、コチラにも理のある相手になる」

「なるほど」

「貴方の船の情報など、良い値が付くのでは?」

「1ダルクにもなりませんよ。私以外動かせないですから」

「模倣や量産も?」

「無理ですね」

「大した自信ですね」

「事実ですから………そんなことよりも、その情報を私に与えて、何を?彼女に近づくな………ということなのですか?」

「まったく………やりづらい人ですね」


やれやれと首を振るスガヌマ。しばらく考えて、


「いえ、寧ろ貴方が預かってくれませんか」

「俺は軍に関わる気はないぞ」

「軍?」

「諜報部だろ。アンタ」


これにはさすがに表情を変えるスガヌマ。


「貴方、勘が良すぎますよ………ハァ、これは飽くまでも私の個人的なお願いということです。上にはスバル殿のことは言いませんし、貴方に面倒事があればチカラになりますよ?」

「代わりに情報を寄越せと?」

「全てを包み隠さず………というわけではありません。その辺の匙加減もお任せします」

「………ウチに来る来ないは彼女次第だ。無理に誘うつもりはない」

「多分来ますよ。あ、勘違いないように、私は強制も司法取引もしていませんから」

「チッ………彼女に追手は掛かると思うか?」

「ないでしょう。今のところは」

「根拠は?」

「コチラにとっては貴重な情報源。アチラの思惑は貴方の船でしょう。

突然現れたワンオフ艦、情報を欲しがる者は少なくない。今回は威力偵察でしょうね。ついでに彼女を潜りこませる」

「そうかよ」

「次は貴方の籠絡か、船の強奪………辺りでしょうか」

「………まぁいい。アンタとの連絡手段は?」

「おや、引き受けてくださるので?」

「既に巻き込まれてるからな」

「重畳。後日端末へ連絡しますので、そちらへ」




応接室を出ると、ユズハが待っていた。


「話は終わったか?」

「はい………」

「じゃあな。達者で暮らせよ」

「待って、ください」

「んぁ?」

「わ、私を乗せてください!」

「(マッチポンプか………)何ができる?」

「宇宙船舶免許D級、あと、オペレーター技能と通信士」

「操舵は俺がやる。とりあえず通信士だな」

「は、はいっ!」

「んじゃカウンターでクルー登録だな。通信設備については追々な」


様々な思惑が交差する中、ネフシュタンに新たなクルーが加わった。


(まいったなぁ………ナターシャにどう説明すっかな………情報部の監視も付くだろうな………面倒くせぇ)




「あら、新人の船乗りが、もう女を拾って連れ込んだって聞いたけど、その娘?」

「人聞きの悪いこと言うなよケイト。新しいクルーだ」

「ゆ、ユズハです。よろしくお願いします」

「ケイトよ。よろしく」

「今日はずいぶんラフだな」

「お昼でアガリだもの。今はプライベートよ」

「じゃあ暇だよな?ちょっと付き合ってくれ」

「勝手に暇人扱いしないで。まぁ予定はないけど、デートのお誘いなら、もう少しスマートに出来ないかしら」

「俺はナンパ男じゃねぇぞ。ユズハの買い物手伝ってくれないか?ウチの船に乘ることになって、部屋はあるけど中身はベッドとテーブルだけだ。

日用品を揃えてやりたいが、俺は女の買い物はわからん」

「スバル君、人にモノを頼む態度じゃないと思うんだけど」

「ケイトも好きなもの買っていいからさぁ、頼むよ。他に知り合いいないんだよ」

「そういう時は『ケイトしか頼れる女はいない』って言うのよ。はぁー、まぁいいわ、貸一つね」

「わかった。恩に着る」

「ユズハさんだっけ、貴方も苦労するわね」

「へっ?」

「彼、船に関しては優秀だけど、女心はまったくわかってないわ。相当鈍いわよ」

「え、いや、私はそんな………」

「同じ船に乘るんだもの、そういう関係じゃないの?少なくとも、周りにはそう見られてるわよ」

「ち、違います」

「ふーん………まぁ私はどっちでもいいけどね。行きましょうか」

「はい、お願いします」


こうして、スバルは「野暮天」のレッテルを貼られ、ユズハはケイトと商業区に向かう。納得いかずにトボトボ帰るスバルだが、このあと張り切って部屋を改装するナターシャに捕まり、ヘトヘトになるまでこき使われるのである。



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