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水流士-因子を解く-  作者: 小野里
- 新人研修編 -

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第77話:自己憐憫

 

諏訪が去った後じっと玄関を見ていた藤宮は「はぁっ……」と深いため息をついた。

 

 諏訪の言葉はまるで結果がわかっているような言い方に聞こえていた。


 穂積と璻は2人で顔を合わせ不安そうに藤宮を見つめていた。

 ふと藤宮は穂積と璻の顔見ると2人に声をかけた。


「なんか、すみません……」


 謝る藤宮に対し璻は顔を左右に振り返事を返した。


「ううん。とりあえず、急いでここを片付けて準備しましょうか」


 テーブルを見ると飲みっぱなしのハーブティーが見える。

 藤宮は2人に声をかけた。


「ここ片付けるの俺やりますので、2人で段取り組んでやりましょうか?」


 穂積と璻は「はい」と返事を返した。

 璻と穂積は話し合いながらカウンセリングの内容をまとめる。

 あっという間に15分が経とうとしていたところに



 トントンとノックする音が聞こえた。



 藤宮は急いで玄関前まで向かうとドアを開き声をかける。


「お待ちしておりました。与瀬村さん」


 藤宮は与瀬村をチラッと確認した。


 背は低く、化粧はバッチリしており顔は幼いように見える。ミニスカートを履き白い身体のラインが見えるぴちぴちのタートルネック、薄茶のブーツを履いていた。いかにも若い子という服装をしている。


 与瀬村は藤宮に対して挨拶をする


「初めましてぇ。与瀬村あいなぁ〜ですっ!ご指名ありがとうございますっ!今日はどんなプレイがお好みですか?スパークリングプレイ?あっ……仕事だと思って間違えちゃいましたっ★」


 藤宮はその挨拶を聞いて顔を引き攣らせていた。声を聞き藤宮は思わずツッコミを入れようとする自分を押さえていた。


 ……いやっ!どんな返しだわ。ここは風俗じゃねぇぇんだよっ!むしろスパークリングプレイってなんだよ!聞いた事ねぇよっ!……



 藤宮は手で顔を押さえながら、「うっっんんん……」と声をあげる。


 ……俺が1番苦手なタイプだ……


 とりあえず、深く深呼吸すると藤宮は冷静になり与瀬村に声をかける事にした。


「とっ……とりあえず中入りましょうか?こちらです」


 藤宮は歩きながら部屋を案内した。与瀬村は臆する事なく藤宮に話しかけた。


「はい!楽しみです!今回はお兄さんが担当するんですか?」


藤宮は顔を左右に振りながら与瀬村の質問に応えた。


「いえ、俺は今回の担当ではありませんよ」


 与瀬村はじっと藤宮を見つめる。


「あのカウンセリング久しぶりで。ちょっとドキドキしているんです。」


 不安そうに見えた与瀬村に対し藤宮は優しく応える。


「そうですか、なら大丈夫ですよ。今回の担当者はどちらも優秀ですので」


 与瀬村はニヤっとすると上目遣いで藤宮を見つめ返事を返した。


「お兄さん、お優しいんですねっ。お仕事もちゃんとしてらして本当に優秀です。私もそんなお兄さんみたいな人になりたいなぁ。お兄さんをナデナデしてあげようかな?どうです?カウンセリング終わった後にホテルでもいかがですか?」



 慣れている話し方、藤宮は冷たい目で与瀬村を見る。


 ……この女、そうやって何人の男をたぶらかしてきたんだろうか?実力を認めてもらっていない人間をこうやって瞬時に判断し甘やかしながら自分のテリトリーに入れてむしり取る常套手段、非常に小慣れている……



 藤宮は呆れた表情で与瀬村に返事を返した。



「ありがとうございます。ですが……すみません。俺、情にほだされ品性のカケラもない女性に尽くしてあげれるほど、無駄な時間はありません。では、こちらへどうぞ」


 与瀬村は鬼のような激しい形相をし、藤宮を一瞬睨むと次の瞬間笑顔で藤宮に応えた。


「あいなっ〜〜難しい言葉わかんない!とりあえずカウンセリング受けてからまたお話ししましょっ♡」


 藤宮はガン無視しながら来客用のソファまで案内をする。玄関からまっすぐ歩き右側に曲がると璻と穂積が座っていた。すると藤宮は2人に話しかけた。


「璻さん、穂積さん今回の依頼者でもあります。与瀬村あいなさんです。」


 璻は立ち上がり与瀬村に向かって挨拶をする。


「よろしくお願いします」


 穂積も慌て立ち上がり挨拶をした。


 

「よよっ……よろしくお願いします」


 藤宮は璻と穂積に話しかけた。


「では、俺、ハーブティーを入れてきますので。与瀬村さんはそちらにソファに掛けてカウンセリングを初めてください」


 与瀬村は何を思ったのか藤宮を急に呼び止めた。


「まっ……待って下さい!!」


 藤宮はゆっくりと振り向くと笑顔で与瀬村に応えた。


「はい?」


 与瀬村は少し不安そうにしながら藤宮に猫なで声で話しかけた。


「いっ……一緒にカウンセリング受けないんですか?私、男の人がいないと不安でっ」


 璻も穂積も呆れた顔をすると藤宮は与瀬村に笑顔で応えた。


「はい。今回はそちらに座っている璻さんと穂積さんが担当なので、俺は担当しません。なのでその御二方に腹を割ってカウンセリングを受けてください。」


 与瀬村はボソッと一言呟いた。


「でも……」


 藤宮は冷静な態度で与瀬村に言葉を返した。


「なんでもかんでも男に謙って一体何が楽しいんでしょうか?あなたのような寄生虫みたいな女性はきちんと内面のケアをした方があなたの人生きっと健康になりますよ。では璻さん、穂積さんあと頼みますよ」


 璻はその藤宮の言葉を聞き、ゾッとした。藤宮の言っている事はごもっともだが、いつもよりだいぶ言葉がキツイように聞こえる。こんな冷たい藤宮を見たのは初めてだった。藤宮の言葉が真摯に刺さったのか与瀬村は顔を下に向けると静かにソファに座った。



 璻は思わず穂積の顔をみると話しかける


「とりあえず私たちも座ろうか…」


 穂積は静かに何回も頷くとソファに座り与瀬村に声をかける


「改めまして、与瀬村さん。初めまして今回助手の龍後璻と隣の……」


 璻は穂積を手を指すと穂積も挨拶をした。


「めめめ……メインで話を聞きます穂積兎鏡です。よろしくお願いします」



 与瀬村はため息を吐くと「はぁっ……」と急に笑顔になり顔を上げ璻と穂積を見る。


「与瀬村あいなでぇぇすっ。よろしくお願いしまぁぁす」


 璻は驚きながら、足を組み始める与瀬村をじっと観察していた。


  

 さっきの藤宮と態度がまるで違う。




 ……男性と女性で態度変えてるのか?女性に対しては雑だな……


 隣の穂積を見るとやはりカウンセリングが初めてなのか少し肩が震えて戸惑っているように見えた。両者の緊張が解けるように璻はまずやらなければならない事を考えた。


 ……とりあえず話してみて与瀬村さんがどう考えているのか探っていかないと……


 璻は与瀬村に話しかけた。



「与瀬村さんは、前回ウチに来てくださっていましたよね?その後、何か変化はありましたか?」


 璻の発言が気に食わなかったのか与瀬村は眉を顰めながら返事を返した。


「いいえ、変化なんか何もありませんでした〜すぐに人生変わらなかったから正直カウンセリングとか意味ないなぁって思ってるよ」



 璻は与瀬村の返答を聞き呆れた表情し思わず頭の中でツッコミが出そうになる


 ……じゃあ、なんで来たんだよ……


 与瀬村は淡々と話を続ける


「あの……今いたお兄さんって年収どのくらいですか?私お金持っているから〜毎日ホテル泊まれるような生活は出来ますよ?つか、パートナーいるのかなぁ?私パートナーがいてもあのお兄さんとならセカンドでもいいな〜あとパーソナルエネルギーどのくらい?あと個人情報ある?どこに住んでいるのかな?カウンセリングよりあのお兄さん気になるんですけどあとあとぉ〜」


 与瀬村の話は止まらなかった。話を聞きながら璻は考えていた。


 ……この人男性に対してものすごく執着している。なんでこんなに執着するんだろうか?この執着ぶりは藤宮さんだけだろうか?……



 話を続ける与瀬村に対し、璻は与瀬村に声をかけた。


「あのっ!与瀬村さん」


 与瀬村は自分の話が遮られた事にイラッとしたのか璻に言い返した。


「はぁ?何ですか?今私が話してんですけどっ!」


 璻は与瀬村の言葉に対して冷静に応えた。


「言いたくないなら応えなくて大丈夫ですけど、与瀬村さんはどうして藤宮さんに執着するんですか?」


 与瀬村はフッと笑いながら璻の質問に応える


「そんなの簡単じゃん。そうした方が、きっと私の事を頼ってくれるし、何より可哀想な私に貢いでくれるこれ、一石二鳥でしょ?あなた龍後さんって言ったっけ?」


 璻は名前を言われ急にびっくりしたのか「はい」と返事を返した。


 与瀬村は頷きながら淡々と話し始める。


「はぁっ……ご存知の通り日本なんて国は経済崩壊し、色んな所で依存する事が出来なくなったじゃないですか〜物にも依存するとお金思った以上に出ていくし、バカンスや海外にも行けやしないじゃん。行政や国にも判断を委ねたらお金をむしり取られるし、俳優やアイドルに依存したらそのアイドルが死ぬまで一生貢ぐ事になる。依存したら色々な事をむしり取られ絶望や虚無感に襲われるんだよ。そんな現実直視できましぇーん。なら私は依存する側に立つんじゃなくて依存される側に立てば生きていけるじゃないですか?私がアイドルやインフルエンサーになれば"依存する側ではなくなる"じゃん!はい!ハッピーですよ〜それに私のファンは男性が8割なので男性は私から見たらお客同然、私のタイプなら尚更営業かけるのは当たり前!」



 璻は与瀬村からの話で確証した事がある。


 ……この人、出会った男性は全て客だと認識しているのか?それに言葉の節々に承認欲求が聞こえる、あとなんだろう……この違和感どこかで……


 璻がそう思った一瞬、黙っていた穂積が話し始める。


「あっ……あなたは常に孤独を感じて寂しいと自分で思ってそれを信じているんですね」


 穂積の言葉に璻はピンとくる。


 ……そっか、さっき与瀬村さんが『何より可哀想な私に』って言ってたからか?与瀬村さんは自分は可哀想なんだと心底自分で信じているんだ。でもなんで?きょうちゃんは寂しいって判断したんだろか?……


 与瀬村は穂積をふと見るとその場で腹を抱え大笑いをしていた。


「あははははははははぁぁ〜何それぇぇぇ〜スピ発言ですか?ウケけるんですけどぉぉぉぉ!おばさん、冗談上手だねぇぇぇぇ!」


 バカにしたような与瀬村の発言を穂積はじっと聞き、与瀬村を見つめていた。



。:*:★。:*:★━━補足ポイント━━★:*:。★:*:。


・きっと私の事を頼ってくれるし、何より可哀想な私に貢いでくれる一石二鳥でしょ?


与瀬村は女性に対しては雑なので思ったことを言います。

こういうタイプの依存系の人間は一回自分を蔑みます。可哀想な人間をうまくアピールした上で同情を誘うことが得意です。海外の物乞いもその手のタイプが多いですが、藤宮はこういうタイプに関してはすぐ見抜けるので冷たい態度で足らいます。今後この手のタイプの人間は生きることが難しくなり自動的に少なくなります。


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。:*:★。:*:★━━━━━━━━━★:*:。★:*:。

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