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水流士-因子を解く-  作者: 小野里
- 新人研修編 -

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第74話:響灘制度



 九鬼にはだるそうに話す諏訪はどことなく楽しそうに見えていた。藤宮と璻と穂積が楽しいそうに話している姿を見ていた諏訪は九鬼に話を返した。

 

「まぁ……そんな所だな。それに藤宮は話の流れから察する事が出来る。そこは誰より優秀だ。話さなくても勝手に藤宮はやってくれるからな。依頼主に上手く話を流されてたらカウンセリングの意味ねぇし。それに朔、ただ話を聞くだけで金が貰えるのは拝金主義社会までだ。今の時代はそうじゃねぇよ。依頼を受ける側の幼少期から振り替えなければその人の本質にたどり着かねぇからな」


諏訪は穂積の方向を向くといきなり声をかけた。

 


「それと穂積っ!!」


 急に声をかけられた穂積は驚きながら諏訪に返事を返した。

 

「ははははいっ!?!」


 諏訪は自分が新人の頃と穂積を重ねている自分がいることに気づく。


……俺の新人の頃は他責思考で依存してた部分も多くうまくいかないことばかりだった。今できることはきっと言葉をかけることだろうか?それがコイツにとって正しいかわからんが……


 穂積を見ると諏訪はなぜかアドバイスをしていた。

 

「与瀬村あいなは穂積と真逆の人間だ。依存する側と依存される側がいて初めて依存関係は成立する。だから穂積が自分を認識し自立した考え方だと依存は成立しない。そこはきちっと覚えておけよ」


諏訪の不器用な優しさを感じたのか穂積は嬉しそうに口角を上げ「はい」と返事をした。諏訪は両手を叩き全員に声をかける。

 

「んで、もう次の箇所についてまた個人プロフィールみながらすり合わせ再開するぞ」


 そう言った諏訪はまた個人プロフィールを見ながら、与瀬村あいなの父親の箇所を読み上げ始めた。


「与瀬村あいなの父親の話からだな。嫁が亡くなった父親はそれから必死になって与瀬村あいなを育てていた。特に精神科に行った記録ないからメンタルは安定してたのかもな。婚活をし、ようやく浅間由里香に出会い結婚に至る。けれども……まぁ。この浅間由里香はギャンブルしたり借金したりブランド品にも目がなかったと書いてあるな。大変な性格だったわけだが……」

 

藤宮は何か引っかかる箇所があり諏訪に対し質問をした。


「諏訪さん、この浅間由里香と与瀬村あいなの父親と交際していた際ベーシックインカムって始まってましたっけ?」

 

諏訪は藤宮の質問に対し異様に納得したのか言葉をつぶやいた。

 

「ああー確かに」


やりとりを見ていた璻は藤宮と諏訪の質問に対して疑問を問いかける。

 

「ベーシックインカムが始まった年と出会った期間って関係ありますか?」


 九鬼も璻の言葉に頷きながら藤宮と諏訪に言葉をかけた。


「確かに別に関係なさそうに聞こえるな」


諏訪は璻と九鬼の質問にだるそうに応える


「あぁーお前らはあまり知らないか。ベーシックインカムが始まる前は物価が上がり買えるものも買えなかったんだ、とんでもなく社会は混乱し、各地で暴動が起きた。田舎を襲撃する奴も増えたんだ。今じゃ考えられない話だろ?あん時から与瀬村あいなの父親と出会ってたなら確実に金銭面に困ってた事がわかる。特にその時に風俗嬢をやっていた場合、皮膚感染病が流行ってから全く稼げなくなったからな。そこも……みねぇと……どこに記載してやがるんだ?」


 諏訪は該当箇所の記述を探していると藤宮は諏訪より早く記載内容を見つけ諏訪に声をかけた。


「諏訪さん記載ありましたよ。ベーシックインカム前に出会ってますって。経済が回らなくなった浅間由里香を与瀬村あいなの父親が何度も金銭面で助けていたって書いてありますね……」


 諏訪は藤宮の話を聞き如何にも残念な顔した。

 

「あああ、いわんこっちゃねぇ〜な。おい。与瀬村あいなの父親は相当なお人よしみたいだな」


九鬼も諏訪と藤宮の話に割って入る


「しかも、浅間由里香って女。何件か職場で不審な死をした奴を発見しているって書いてありますよ。捜査に協力したが全ての事件にこいつは関係なかったと記載があります。与瀬村あいなの父親は実は金目当てだったのも俺は気になるところだが……それは関係ないか?」


 璻は九鬼の話をふーんとただ軽く聞いていた。諏訪は九鬼のふとした質問に対して応える。

 

「有耶無耶にされている感があるけどな。こればっかりはなんとも言えないな。ちなみに与瀬村の父親の資産は3500万ほど、拝金主義社会でいう所のアッパーマス層だな。一般庶民より少し裕福な額に見えるが」


 聞いた事のない言葉に璻は諏訪に質問をした。

 

「アッパーマス層???ってなんですか?新種の魚ですか?」


 諏訪は頷きながら応えた。

 

「新種の魚じゃねぇぞ?そこで軽くボケるな。全く。お前らは知らねぇだろうが昔、富裕層ピラミッドっていう階級が流行った事があってな。1番上は超富裕層、2番目は富裕層、3番目は準富裕層、4番目はアッパーマス層、5番目のマス層があったんだ。4番目のアッパーマス層は資産3000万から5000万の人たちを指している。ちなみに5番目のマス層は資産が3000万以下の庶民の事だ。昔は物も人も溢れるほどあったからそれが当たり前だったんだ。人は物や資産に執着していたからな。それも限界がきて今現在に繋がってんだ」



 諏訪の話を聞くと藤宮がフォローしながら応える。


「富裕層ピラミッドって順位つけたほうが盛り上がりますし、まぁそれももう無くなりましたけどね。与瀬村あいなの父親は相当資産を残していたはずなんですが、結婚して2年目で資産は半分以上減り、3年目でその父親は脳の血管が切れ入院しそのまま病死。高額生命保険に入っていたため資産を得た浅間由里香はここぞとばかり使い切り、ここの記載では1年間で与瀬村の父親の遺産を使い切ると新しい男性が出来ては金銭を借りていた。12歳の時、与瀬村あいなを自宅から追放すると学校は行かなくなった。っと……なんでも浅間由里香は与瀬村あいなに友達が出来るたびその友達の両親、友達自身から金銭面を工面してもらえないかと持ちかけていた。まぁこんな事言われたら普通に友達にはなりたくないですね……」


璻は藤宮の言葉を疑い、記載内容を確認した。

本当に記載されている事に璻は驚き言葉が出なかった。



……友達の子供にも友達の親にもお金をせびっていたの?それを与瀬村あいなはどんな気持ちで浅間由里香を見ていたんだろ?…………


 そう思うと璻は"必ずしも親は子供の思った通りの見本になるわけではない"事をこの文章から察してしまった。


藤宮はまたある文章を発見してしまう。

 

「でも……この記載で唯一の救いは与瀬村あいなの父親ですね。父親のどちらとも両親は過干渉もなくネグレクトもない。ただまっすぐに息子を育てていた。彼らの両親は息子が亡くなり与瀬村あいなを引き取ろうとしたところ浅間由里香が拒否したって書いてあります。うん?ああ、浅間由里香はハーフって書いてありますね。父親は外国の方ですが、海外マフィアと商売をしていた。これに関して詳しく個人情報は書いてありませんね……なんででしょうか?」



 諏訪が真剣な顔する。何やらものすごくめんどくさそうな顔をしながら藤宮の質問に応えた。

 

「吟さんがこの書き方するって浅間由里香の父親はもしかして石屋だな……詳しく書かれていない場合、ペテンティアや脳ストック研究所に関わる重要な人物かもしれん」



諏訪の話に対し九鬼がニヤニヤすると話を返した。


「なんか非常にきな臭くなってきましたな。浅間由里香の母親の出身地も中国地方と記載してあるが詳しい県名、地名は書いてないとなるとこの場合"響灘制度(ひびきなだせいど)"の関係者の可能性があるなと俺は考えますね」

 

聞いた事ない言葉に璻は九鬼に軽い気持ちで質問をした。


響灘制度(ひびきなだせいど)って何?なんかの略称ですか?」

 

九鬼は深くため息をつき、呆れた表情をすると璻に文句を言い放った。

 

「お前、また知らねぇのかよ。隣の奴に聞いてみろよ。俺より遥かに知識がある」


 璻は隣の穂積を見ると驚いた表情をしていた。穂積の瞳孔が大きく開いていた。


 穂積はゆっくりと璻を見ると説明を始めた。


「明治時代に密かにあああった制度です。ひひっ……響灘制度(ひびきなだせいど)は昔大陸から渡ってきたいい移民が日本の"ある土地"に住み着きました。そその事に長年不満に思っていた日本人がある時、その移民たちを半分以上死亡させたのです。生涯その日本人から迫害され生き残った移民たちは子孫に100年以上かけて日本人を貶めるため復讐する計画を響灘制度(ひびきなだせいど)といいいます。そその……日本に響灘制度(ひびきなだせいど)には、うう噂があって、日本政府を内側から乗っ取るために資金援助をしていたのが石屋という…話もあります。実際に響灘あたりの地域などで生まれた政治家は響灘制度(ひびきなだせいど)に組み込まれなぜか外国の王族や財閥の援助も受けられるようになっていいるんです。すす…璻ちゃん」


穂積の言葉をなんとなく理解した璻はあまりの根深い問題だった事を自覚した。顔を下に向けると少し考え込んでしまう。拝金主義に向かっていた明治時代、感情を煽り争いをさせ組織の中から食い潰し石屋が奪う。このクソみたいなやり口は石屋だというのが話を聞いてすぐ理解できた。この負のループを子孫に何百年も繰り返している。


 ……また石屋かぁ……


 

そう思った璻は眉間に皺を寄せながら憂鬱な顔をすると穂積を見ていた。


。:*:★。:*:★━━補足ポイント━━★:*:。★:*:。


・富裕層ピラミッド

純金融資産に基づいて世帯を5つの階層に分類した構造図のこと。1番上は超富裕層、2番目は富裕層、3番目は準富裕層、4番目はアッパーマス層、5番目のマス層と呼ばれている。ちなみに金融崩壊後からはこの概念は薄れていく。諏訪は働いていた時期もあったので拝金主義を経験し知っていた。藤宮は…資産に価値があると思っていないためこれまでは知らなかった。


・必ずしも親は子供の思った通りの見本になるわけではない

治安が悪い地域だと友達からお金をせびる、または友達の親からお金を借りるなんて治安が悪い地域だとよくある話でした。しかしながら経済崩壊した後はそういう方々は不安が広がりいざこざが勃発、各地で殺傷するなどの事件が起きます。



響灘制度(ひびきなだせいど)

明治時代の話、大陸から日本に渡ってきた移民をある地域で受け入れたことがきっかけである。ある日本人(海外マフィアに関係する日本人)がその地域の移民を半数ほど死亡させた。噂は日本中で広がり不吉な連中と勘違いされ生涯にわたってその地域の移民は迫害されていた。この移民は子孫に対して100年以上かけ全ての日本人を貶め復讐する計画を実施したことが最初のきっかけである。一部では海外マフィアやヤクザとも繋がりが深かったとの噂もある。この地域で生まれた政治家は脱税や資金を隠してもなぜか外国の王族や財閥の熱い援助のおかげで逃げられることが多くあった。だが…経済崩壊後の日本ではこれまでの悪行がバレると一定数の政治家は姿を消してしまった。(海外に逃亡する人が多くいたからだ)このことは九鬼、穂積、諏訪はよく知っていたが藤宮も石屋と関わるまでは知らなかった話。璻はこれまで一般人側だったのでこのこと自体知らなかった。


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