第70話:研究所の真実
璻が藤宮を見ると個人プロフィールに書かれている紙をペラペラとめくっていた。
すると藤宮はある事を発見する。
「再婚した母親のプロフィールですが2枚目に記載していますね。名前は浅間由里香という人物です。浅間の母親の教育方針だったのか?子供の頃に何度も売られていた経験をしています。そのため風俗嬢の職業を選択し2027年適応障害を発症後、精神科で治療をしたという記録が残っていますね。自身の母親にやられた事を連れ子の与瀬村さんにもやっていたと言う事になりますが……この母親ももしかしたら依存型の人間という可能性があります」
藤宮の発言から諏訪も紙をペラペラとめくり再婚した母親のプロフィール欄に軽く目を通した。諏訪は何かに疑問に思ったのか紙を見ながら顔を傾げると藤宮に質問をする。
「おい。この再婚した母親もう亡くなってんじゃねぇか。2048年って2年前にすでに亡くなってるのか…あっ?この再婚した母親が2027年に精神科に通ってた頃って食料が不足し始めた年だな。ベーシックインカムが始まる前、各地で食料の略奪で各地パニックになっていたっけ。病んでいたのかもな。つか、ここに死因書いてねぇし!吟さんのミスか?」
藤宮はハッと何かを思い出したように穂積を見ながら問いかける。
「そういえば……穂積さん獅子子さんに星の事言われてましたよね?あれ何だったんです?」
穂積は急に藤宮から話しかけられると思っても見なかったのか、きょどりながら藤宮の問いかけに応えた。
「ほっ……ほ星のアスペクトの話で獅子子さんから少し前からおお、教えてもらってまして。」
藤宮は優しく笑顔で穂積に応える。
「その内容共有して頂いても宜しいですか?僕ら星の事詳しくないので教えて頂けると非常にありがたいです」
穂積は頷きながら応えた。
「はははいっ……ええっとまず与瀬村さんの誕生日からネイタルチャートっという、生まれた時の時間をいれてその時間の星の配置を出します。これなんですけど……」
そういうと穂積は徐に見た事がない紙を出し全員に見せた。その紙には円の中に数字と記号と線がたくさん書かれている。隣に座っている璻が見た所何が書かれているのかが全くわからなかった。璻は横から紙をじっと見つめると穂積に質問をした。
「これどうやって読み解くの?」
穂積は嬉しそうに璻の顔を見つめると興味関心があったのか意気揚々と疑問に応え始めた。
「そそそ、そうなの。よくぞ聞いてくれました!璻ちゃん!西洋占星術で1番重要なのはね!個人の太陽マークと月のマークを見るの。月は女性に対しての認識、太陽は男性に対しての認識を表しているんだけど、この与瀬村さんの場合は男性に対して強い理想を抱いていて。自分自身が考えている理想と現実は違っているのがこの表からわかるの!与瀬村さんは特に理想が現実になると途端に恐怖に落ち入り極端な行動に出やすくなるという考え方を持っていて……あっ……」
穂積は流暢に喋っていたが周りを見渡すと急に頭の中が冷静になり、恥ずかしくなったのか段々と顔を赤らめていった。少しずつ声が小さくなり穂積はボソボソと話していた。
「あとは本人の自覚なく無意識のうちに男性には好かれるって感じで…………すっ……」
穂積は猫背になり身体をギュッと小さくすると顔を下に向けていた。
藤宮は穂積の説明を聞きながら個人プロフィールと重ね内容を確認していた。少し引っかかることがあったのか再度穂積に質問をし始めた。
「今のは太陽の話のアスペクトですよね?女性……月のアスペクトはどう読んでいますか?」
藤宮の言い方だとある程度知っているかのような物言いに聞こえる。獅子子の所に研修で行ったとの話があった事を璻はふと思い出していた。それまで所々依頼主のすり合わせの際に藤宮の発言に理解できないところがあったが、今日のこの発言でなんとなく合点がいった。
……そういえば、渦見さんが獅子座って聞いた時になるほどと言っていたっけ、あれは獅子子さんの元で星を学んでいたから渦見さんの事ある程度、把握出来てたのか……
腑に落ちた璻はもう一度穂積を見ると藤宮の質問に必死に応えていた。
「はははいっ……月はえっと……女性に対して無意識ですが強い理想を持っています。本人は無意識です。ですが女性に対してボコボコにしてやりたいという感情と女性に対して必要以上に手厳しい考え方が星を見た限り見受けられます!」
顎に手をのせながら何か納得したのか穂積にお礼を言った。
「なるほど、ありがとうございます」
穂積の話を聞いた諏訪はめんどくさそうな顔をしながら話を始めた。
「とりあえず……ウチのねぇさん(獅子子)のヒントだと与瀬村あいな自身、無自覚に男を手玉に取れる性格なのはよーくわかった。んで、他に藤宮は気づいた事あるか?」
諏訪の返答に藤宮は顎に手をのせるのをやめると話し始めた。
「はい。そうですね。これは俺の推測ですが……結構物事を決められない女性なんじゃないかなという印象がありますね。獅子子さんが女性が適任だという意味がようやく理解できましたよ。この方は女性の方が本性を出しやすいです。あと…そうですね。1点全員で確認したい事がありまして。与瀬村さん自身どう困っているか?どう改善したいとかって書いてありましたっけ?紙見ても見つからなくてですね」
それを聞いた九鬼が素早くペラペラと紙をめくると何か見つけたのか藤宮に声をかけた。。
「藤宮さん3枚目の書類の中間に書いてありますよ。困っている事と改善したらってほら」
諏訪はすかさず、九鬼に応える
「朔、お前が読んだらいんじゃねぇか?」
九鬼はいかにもやりたくないと言う顔をするとだらしない声で「えっ〜」とため息を出し、全員を見渡し声をかける。
「俺が読みますから全員しっかり一言一句聞いて下さい。まず、与瀬村あいな自身が困っている事は、誰かに依存される事を治したいのと幸せになりそうな時に壊したくなる症状をなんとかしてほしい。それが期限まで出来ないのなら脳ストック研究所で私の脳を取り出してサイバースペースの中だけで生きる事を選択します。だとさ。藤宮さんの仮説当たってますね。しかし……こんな奴いるんだ久々に見たわ」
九鬼は一瞬顔を歪ませると再度文章を見ていた。璻は九鬼の話に対して疑問を持つと個人プロフィールを見ながら考え事をしていた。
……脳ストック研究所?って確か、ここ最近流行っている研究所だよね。若い子がこぞって行ったら二度と帰って来れない有名な場所。何でまたそんな所に行くんだろうか……
璻は何か思い出したかのように紙を見ながら呟いた。
「この脳ストック研究所って……今流行りの最新技術ですよね確か?」
藤宮は璻の疑問に応えた。
「はい、脳ストック研究所はペテンティアと同じく石屋の連中で構成されています」
璻は驚いたように藤宮に問いかけた。
「いいい石屋!あれ!石屋なんですか?!表向き最新技術扱って人類に貢献していますってあんなに広告打っているのに?」
璻の発言に九鬼が呆れながら舌打ちをすると急に話に割って入る。
「チッ……お前またかよ。しらねぇのか?表向きはいい事していますって広告出してるがペテンティアのCEOは脳ストック研究所に莫大な資金援助しているからな。他にも金持ちや王族がこぞってやってる脳の長期保存計画にも実際、脳ストック研究所はかなり加担している。あれは立派な石屋だ」
九鬼の話があまりにもショックだった璻は頭の中で考えていた。
……ペテンティアって脳内器具の管理している場所、皇さんが蛇を渡しに行った所だ。そのCEOも莫大な資金援助しているって脳ストック研究所も石屋だったのか……
璻はその話を聞き大規模に広告しているものは全て石屋なのかもしれないと思ってしまった。
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・2027年の食料不足
ベーシックインカムが始まる前、大量に人間が亡くなることがありました。各地で食料の略奪がおき、襲撃をされたことが多くありました。他人にとって優しく都合の良い人間は亡くなっていきました。再婚した母親の浅間由里香はメンタルを壊したのも同じ2027年でした。
・脳ストック研究所
表向きは人間を長く生かすことに特化した研究所だが元々は石屋の連中が人間を管理したい名目で作った研究所。
ペテンティアのCEOも莫大な資金提供をして支援をしている。脳ストック研究所は社会貢献をしているため、社会的にはいいイメージを持っている人が多い。またペテンティアのCEOと脳ストック研究所の所長は血縁関係のつながりがあり仲がいい。
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