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水流士-因子を解く-  作者: 小野里
- 新人研修編 -

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第66話:依ゾンビ


 諏訪は壁に寄りかかりながら九鬼と璻に話しかけ拍手をした。


「いや〜見事、見事。ようやく1件目終わったな」



 九鬼は思わず諏訪に言葉を返した


「諏訪さん、何もしてないじゃん。つか、どこから入ってきたんですか」


 諏訪は呆れながら九鬼に反論する


「裏のドアがあってそっから入ったわけ。こっちとらお前らの管理が仕事なんだよ!そんな事話してる場合じゃねぇな。龍後」


 璻はいきなり諏訪に呼ばれて返事をする。


「はいっ」


 諏訪は寄りかかるのをやめてきちんと立つと璻に向かって話しかける。


「余談だが、藤宮がついたってさ。午後のすり合わせ藤宮も参加するってよ」


 璻は驚きながら一瞬落ち込むと言葉が漏れ出る


「ええっ……」


 諏訪は璻の表情を見ながらため息をついた。


「はぁっ……お前なぁ…藤宮来んのになんで嬉しくねぇんだよ?」


 璻は諏訪の問いかけに答える


「藤宮さんも参加するって聞いてなかったので」


 諏訪は呆れながら答える


「お前の直属の上司だろ?だるそうにするなや」


 諏訪の問いかけに璻は気づき質問をする


「そんな表情してました?」


 諏訪は頷くと璻に言葉をかけた。


「まぁ、あいつ悲観的な所あるからな。来る事は伝えたぞ。あと2人は休憩な。次の資料配る前に昼飯食いたければログハウスから出て上に登っていくと食堂がある。軽食が良ければ宿舎に戻って女将に頼めばすぐあるぞ。ちなみに俺は仕事があるからここに残るわ。あと藤宮と穂積ここに連れてこいよ。午後のすり合わせはそれから始める」



 九鬼は諏訪の話を聞き食堂に行く事を決めたのか璻と諏訪に宣言をした。


「俺、その上の食堂行って休憩する」


 璻は九鬼の話を聞き2人に返答をする


「じゃあ、藤宮さんと穂積さん連れてきますよ」


 諏訪は九鬼と璻を見ながら「あーあー」とダルそうに言葉を漏らす。


「決まったな。それで1時間後に集合。はい解散〜」


 璻は諏訪を見ながら思った。


 ……諏訪さん、絶対今の会話めんどくさいって思ったでしょ……


 九鬼はドアの前まで歩く璻と諏訪に話しかける


「行ってくるわ」


 諏訪は頷き返事をした。


「おう」


 九鬼はドアを開けてログハウスを出ると諏訪は璻に話しかける


「あっ、龍後。そういや次の依頼主、男性依存の女だけど。平気でドタキャンしたり、話の趣旨からズレて話したりするかもしれねーから気をつけろよ?」


 璻は諏訪の話が意味がわからなかった。璻はドアの前まで歩くと振り返り諏訪に問いかける。


「予約してからわざわざドタキャンする人います?それにカウンセリングなのに話ずらしたりする人ってカウンセリング来る意味ないですよね」


 諏訪は淡々と璻の質問に答える。



「いいか?龍後世の中にはな。真面目にやってたらバカみるなんて捻くれた大人が昔の物質社会ではごまんといんたんだよ。そういう言動を見て育った子供は自立出来ず依存しやすい傾向になる。そういう奴に限って自分の過去を振り返る事が出来ねぇ奴が多いんだ。すぐ話そらすし、逃げようとする。自分の事しか考えない奴ほどすぐ小馬鹿にするからな。覚えておけ」



 諏訪の話を聞き璻の前の職場でもお局のおばちゃんがいた事を思い出した。会社の依存度が高くプライドも高い。すぐ人の事を小馬鹿にするような人だった。その人の口癖が真面目にやっても馬鹿見るよだったことを思い出した。特にその人と璻は関わりたくなかったので極力話しをせずにフェードアウトし喧嘩にもならなかった。



 ……依頼主でもいるんだな……



 璻は頷くと「承知しました。お昼行ってきます」と諏訪に言葉を返しドアの前まで歩いた。


 ログハウスを出た璻は宿舎に向かいながら次の依頼主の事を考えていた。


 ……次の依頼主は女性だけど、男性依存がメインの悩みかってことはその依頼主の父性自体認識がズレているのかも……


 歩きながら考えるとあっという間に宿舎についていた。璻は玄関で靴を履き替えるととりあえず軽食を取りに食堂へ向かった。


 璻は食堂に向かう途中に誰もすれ違わない事に疑問を思った。


 ……いつもは誰かいるはずなのに宿舎が異様に静かだ……


 食堂に着くと璻はドアを開けた。

 食堂に入ると厨房を覗いた。そこには女将が作業をしていた。璻は女将に話しかけた。


「すみません。軽食ってあったりしますか?」


 璻に気づくと女将は快く返事をした。


「龍後さん、お疲れ様です。おにぎりで良ければありますよ」


 璻は頷きながら女将に返事をした。


「では、2つほどいただけますか?」


 女将は頷きながら璻に言葉を返した。


「はい。すぐ出来るのでそちらでお待ちください」


 璻は女将に頭を下げてお礼を言った。


「ありがとうございます」


 璻は食堂の椅子に座るとぼぉーとしていた。気がついたら5分くらい経過していたのか女将は璻の目の前に立つと竹の皮で包んだおにぎりをゆっくりテーブルに置いた。


「こちら竹の皮で包んだ梅おにぎりとふきのとうの味噌のおにぎりです。副菜に糠漬けの漬物もあります」


 璻は嬉しそうするとテーブルに置かれたおにぎりを受け取り璻は席を立ち去ろうとした。


「美味しそうですね。ありがとうございます。」


 女将は淡々と璻に呼びかけるように声をかけた。


「軽食は別料金になりますのでは帰りの際電子決済でお願いします」


 璻は頷き言葉をかける。


「あっ……はい。承知しました」


 ……そうだよね……朝と夜しか食事出さないって話だったから別料金だよね……


 女将は璻に頭を下げてその場から立ち去ろうとした。璻は思わず女将を呼び止めた。


「あのっ!女将、藤宮さんか穂積さん見ませんでしたか?」


 女将は立ち止まると璻に言葉を返した。


「穂積さんは2階にいらっしゃいましたよ。藤宮さんは会議室で喜三郎さんと話しているので終わったらロビーに行くようにこちらから連絡いたします」


 璻は頭を下げて女将にお礼を言った。


 

「ありがとうございます。よろしくお願いします」


 女将が璻の前から立ち去ると璻も食堂から出ていく。とりあえず、2階に向かう事にした。食堂からロビーに向かい玄関を通り階段を上がる。璻は意気揚々と独り言を呟いた。


「とりあえず、おにぎり食べてから探しにいこうとっ!」


 璻が階段を上がるとちょうどいい所に獅子子と穂積が話し込んでいた。


 獅子子は璻の足音に気づき後を振り向いた。


「龍後ちゃん!ウチの子ここにいるから」


 璻は獅子子の近くまで歩き近寄って行く。


「ウチの子?」


 よく見ると穂積が真っ青になりながら両手に紙をもっていた。璻は穂積に話しかける。


「きょうちゃん、それ何?」


 穂積は璻に紙を差し出すと震えながら応えた。


「次くる依頼主なんだけど、喜三郎さんからプロフィールもらって読んだら無理って思ってたところ。個人プロフィールは一応人数分コピーしたんだけど……これ、はい」


 そういうと璻に次の依頼主の個人情報が書いた紙を璻に渡した。璻はその紙に目を通す。


 ……次の依頼主は与瀬村あいな、女性、19歳って若い。えーと、母親は幼い頃に交通事故に遭い亡くなった。父親は再婚し母親が出来るが、父親が病死。再婚した母に育てられる……


 璻はこの文書だけで複雑な環境で育った事が容易に想像できた。


「この依頼主大変な育ち方されてますね」


 獅子子は璻の右隣に行くと書類に記載してある箇所を指で示した。


「大変なのはもっとここから先。ほら?ここに書いてあるでしょ」


 璻は獅子子の指を見ながら驚いた表情を見せた。


「えっ……っと」


 璻は書類の内容を読み上げる。


「再婚した母はある程度の年齢になった依頼主を家から追い出し、育児放棄をした。居場所がなくなった依頼主は見ず知らずの男性の家に転がり込むと男性に依存するようになる。また、依頼主は女性に対して強いトラウマが感じられる」


 内容が衝撃すぎて璻は思わず言葉が出なかった。

 獅子子は怒りながら璻に話しかける。


「こんな子供がまだいるのかと思うよね。母親の立場から考えるとあり得ないわよっ!」


 璻は獅子子に質問をした。


「あの獅子子さん、女性が嫌いなら私たちじゃなくて男性にカウンセリングしてもらった方がいんじゃないと思うんですけど……」


 獅子子は璻の疑問に応えた。


「この人一回ウチでトラブッてるのよ。実際に以前この依頼主はうちの水流士、男性が見てたんだけど、骨抜きにされて水流士やめちゃったんだよね。この依頼主正直出禁にしょうか迷ってて。とりあえず女性の水流士で試した事なかったから今回は女性でって話になったわけ。本当はこの手の依存型女子は泉がめちゃくちゃ耐性があるから泉にしようか迷ったけど……今回は研修だからね。実践も混みでこういう人間の場合どうするかも学んでほしいから2人にお願いしたんだ」


 璻はさらに獅子子に質問をした。


「ちなみに獅子子さんは依存型女子得意ですか?」


 獅子子は笑いながら応えた。


「無理無理、自分で何も出来ない、周りに流される、自分のこと決められないのは私でもお手上げ。まして病気でもない精神的に元気で養ってもらおうと考えている時点で、それって依ゾンビじゃんってなるね」


 璻は依ゾンビを聞いた事がなかったので獅子子に質問をした。


「依ゾンビ?依ゾンビってなんですか?」


 獅子子は璻の質問に答える。


「依存していないと生きていけない人を依ゾンビっていうのよ。精神依存と経済的依存の2種類があるけどこの場合両方よね〜」


 すると突然、階段の下の方から男性の声が聞こえる。


「獅子子さん、藤宮さんがお呼びですよ」


 璻は驚いた表情を見せた。


 ……げっ、藤宮さん早い……


 穂積は獅子子を見ると催促をするように話しかける。


「藤宮さんって方が呼んでますよ。獅子子さん」


 獅子子は穂積と璻を見るとニヤッとしながら声をかけた。


「お呼びがかかったわね。2人とも行くよ」


 穂積と璻は顔を見合わせながら獅子子の後ろをついて歩いた。

 璻は片手におにぎりを握りしめながら食べることを瞬時に諦めた。


。:*:★。:*:★━━補足ポイント━━★:*:。★:*:。


・真面目にやってたらバカみるなんて捻くれた大人が物質社会ではごまんといんたんだよ

この諏訪の言葉に璻は前職にいたお局を思い出します。諏訪も璻もそういうやつを経験しているのでなんとなく想像できますが大概そういう人間に限って脳内器具を入れています。ちなみこういう人も依ゾンビとも言います。


・依ゾンビ

依ゾンビは依存する人のことを依ゾンビと言います。真面目にやればバカ見るから手抜こうとか、誰かに決めてもらわないと生きていけないとか、自分の意見通せないとかも依ゾンビに当たります。ちなみにネガティブな言葉を日常的によく吐く人も依ゾンビの傾向はあります。そういう人と一緒にいると堕落しやすくなるので思い切って人間関係を切りましょう。


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