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水流士-因子を解く-  作者: 小野里
- 新人研修編 -

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第55話:ホロスコープの読み手

 


「じゃあ九鬼が担当する1人目のカウンセリングの観点出しから始める。今から紙配るから回してくれ。あと今回は紙で個人情報と依頼内容渡すからな」




 そう話すと喜三郎は全員にA4の紙3枚分、ホチキスで止められているものを配っていた。喜三郎は全員に配り終わると何か補足をするように話しかける。



「受け取った事だし話を始めますか。話を始める前に紙が古い〜とかそういう文句はなしだからな。」


 璻の隣に座っている穂積から回ってきた紙をじっとみていた。

 そこには個人のプロフィールと経歴また依頼内容が書かれてありペラペラと書類をめくりながら目を通す。名前の欄には山田陽翔と書かれてあった。



 ……今回の依頼主の名前だろう?てか、なんで紙なんだろうか?何か理由があるのかな……



 注意したばかりだと言うのになぜか九鬼は喜三郎に対して手を挙げ文句を言う


「喜三郎さん、今時紙って古すぎませんか?業務ほぼ3D映像だろ?」


 喜三郎はため息を出して説明する


「はぁっ…今言っただろうが。話聞いてたか?コントじゃねーんだぞ。九鬼、急に予測したボケは面白くない!捻りのないボケはいらんわ。ツッコミも浅くなる」


 璻は喜三郎と九鬼の会話を聞いて内心鋭いツッコミを入れる


 ……今、明らかに芸人みたいなボケを求めたよね。カウンセリングにコントは必要なくね?どこにボケる要素があんだよ……



 九鬼は急にニヤッと笑うと喜三郎に言い返す


「ひねったボケならいいのかよ。それより紙にした理由があるんだろ?喜三郎さん」


 喜三郎は頷きながら九鬼の質問に答える。


「そう聞くなら答えてやろうか。この2人はそしじぃが長く見ている依頼主だ、紙媒体の時からそしじぃは見ている。2010年以前のデータが消えた事件があっただろう?あの時からの依頼主だ。なのでデータは紙から1ミリも写してない。そういう依頼主の要望なんだよ」


 九鬼は納得したのか喜三郎の話に頷いた。


「ああ、そんな事件昔あったな。その時のか…よくわかりましたわ」


「わかったなら、よろしい。では話を続ける。」


 そういうと喜三郎は紙を見ながらプロフィールの内容を読み上げる。


「名前は山田陽翔。年齢は25歳、職業は自営業。日本の海底にあるフリーエネルギーの調査をしている。依頼内容は女性をなかなか信用できない。日常生活に支障が出ている。若干の女性恐怖症だったが長年かけてそしじぃが担当していたため、女性とは話ができるレベルにはなってきている。が、仕事でも女性に辛く当たりがちになるのが悩み」



 喜三郎が読み上げた箇所を璻も書類に目を通す。


 ……女性恐怖症って過去に本人が女性に対してトラウマがないとそうはならない……


 喜三郎は急に璻に話しかける。


「龍後璻さん、この時点である程度何が原因か絞れているでしょ?みんなに観点出しの視点を説明して」


 璻は急に名指しされたことに戸惑いながら返事をする


「はあ…」


 なぜか璻は急にその場に立つ。

 観点出しの時はなかなか大人数で感覚を共有することはない。少し胸のあたりがバクバクという音が全身に響き渡る。璻自身緊張していることがわかった。璻は紙を持つと冷静に依頼内容の文章を分析し自身が認識している事だけ伝える。



「そうですね…まず女性を中々信用できないと話しているあたり幼少期に女性との間にトラウマがあった可能性があります。この場合、母親や祖母や妹や姉、叔母さんなどの親族が原因でしょうか?また成長期にも第三者から特に女性に対してのトラウマもありそうです。喜三郎さんが最初に仰ってた母にひいきされて育った成人男性と言ったので原因は大半母親かなと私の初見ではそう考えました」



 喜三郎は拍手をしながら璻の回答に対して評価をする。


「6割当たりだね。さすがに依頼主見てると観点出しもスムーズだ」


 璻は胸を撫で下ろすと席についた。


 ……大概、男性不審や女性恐怖症の人はトラウマがくっついてることが多いって藤宮さんが言ってたっけ、覚えててよかった……


 九鬼はそんな璻が気に食わなかったのか小さく舌打ちをする。


「チッ…」


 喜三郎は真剣に紙を凝視していた穂積を喜三郎は話しかける


「では、他の視点はあるかな?穂積さん」


 急に話を振られた穂積は少しおどおどしながら喜三郎に応える。


「ああっ…そうですね。ななな、なんとなくですけど……信用できないって言葉、多分自分の事も信頼してないんじゃないかなって思います。女性がどう動くか?常に試している感じが伝わります。」


 喜三郎は穂積の視点に驚きながら話を聞く


「その視点は考えなかったな。それは穂積さんの考え方かい?」


 穂積は首を左右に振って応える。


「わわわ私じゃなくて獅子子さんならきききっとそういうだろって思って……」


 喜三郎は納得しながら穂積に応える。


「確かに獅子子ならそう応えるな」


 璻は喜三郎が言った言葉に疑問に思ったのか隣に座っている穂積に聞いた。


「獅子子さんってそういう会話しながらカウンセリングをするの?」


 穂積は璻を見るとゆっくりと教えるように話す。


「ううん。獅子子さんは悩みと生年月日、出生時間、出生地を聞いて依頼主用のホロスコープを出してカウンセリングするの」


 璻は穂積に聞き返す。


「ホロスコープって何?」


 穂積と璻の会話を聞いていた九鬼が呆れながら話に割って入る。


「お前またそれかよ。いい加減にしろよ!一般常識だぞ」


 九鬼の言葉はなんでお前は知らねーんだよっと胸ぐらを掴まれているような感覚になる。璻は焦りながら頭の中でホロスコープという言葉をよく考えていた。


 ……ホロスコープ、ホロスコープ?ホロスコープって言葉、義務教育で習ってないしな…


 この時点ですでに考えるのをやめた璻はみんなに頭を下げて説明を求めた。


「わからないです。教えてください。」


 璻の言葉が潔く聞こえたのか喜三郎が笑いながら話に割って入る。


「フフフッ…いいね!璻さんはそうやって潔くなくちゃ。ホロスコープは西洋占星術に必要な個人データの事さ。ようは12星座の占いをもっと細かくし個人を分析したもの。獅子子はそれを元にカウンセリングしている」


 璻は思わず興味深くなり「ほおおおお」と頷く。

 喜三郎の補足を穂積が話す


「ちちち、ちなみにホロスコープは個人の考え方のくせや過去、現行で動いている星から未来の出来事なんかも読めたり、獅子子さんはそれを生かしてカウンセリングしてますよ」


 璻は思わず獅子子のカウンセリングに対して興味が出てきた。


 ……未来を読めるホロスコープか、面白そうなことやってるな獅子子さん……


 璻は思わず声が漏れでる。


「面白いっ!!!そんなことができるんだ」


 九鬼はさらに穂積の発言から補足を入れる。


「ホロスコープの位置は生まれた時間や惑星の配置によっても変わるからな。」


 やけに詳しそうに話す九鬼に対して璻は思わず疑問をもつ。


 ……なんでコイツよく知っているんだろうか?……


「よく知ってますね。」


 璻の疑問に対して九鬼は応える。


「ああ、獅子子さんには一回見てもらった事あるからな。なんつってたっけ……獅子子さん曰く、この地球は天の川銀河という銀河に属していてその中の太陽系の中にある地球という星。他の太陽系の星は8つある。生まれてくる時は惑星を通ってくるから確実に私たちの人生は星の配置に影響を受けるとか言ってたけどな。まあ〜俺は勉強してないから詳しくはわからん」



 喜三郎は手を叩いて声をかける


「獅子子の補足はもう終了。璻さん、獅子子の手が空いたら話して見ると獅子子からアドバイスもらえるかもね。」


 璻は頷きながら「はい」と返事をすると喜三郎は続きを話し始める。


「じゃ、次だな。経歴を読み上げるからよく聞いとけよ。2025年に生まれ、出身地は愛知県。母と父どちらとも健在。妹が1人いる。幼少期に例のウィルスにかかり生死を彷徨った。ああこれ、2026年に流行った感染症ウィルスことだな。肌に紫色の斑点が出て乳幼児や保育園や幼稚園、小中学校で子供とお年寄りが多く亡くなった話があったっけ」



 璻はその話から喜三郎が何を差しているのか検討はついた。



 2026年から”あるウィルス”が流行り免疫力が低い子供とお年寄りが大勢亡くなるという事件が起きた。感染すると肌に紫色の斑点ができる。皮膚や唾液、体液を通して感染する。ようは感染者に触ったら確実に感染する仕組みのウィルスだった。だが、これまたメディアが未知のウイルスと煽り立てていた。病院にきた患者を防護服を着ている医者が診察する映像が全国ニュースで流れていた。未知のウイルスだからとかで世間は大騒ぎ。結局、何千人と亡くなってからようやくワクチンを出すという手の遅さに政府に対して国民は批判の嵐だった。



 なぜかそのワクチンは2024年に開発されており海外で商標登録されてた事は未だに追求できない状態だ。



 最悪だったのはウィルス以外にも原因はある。


 同時期ぐらいに食料不足でスーパーから食材がなくなる事が多く、食べれない事で嘆く人も多かった。



 ……そんな鬼畜な時代を生き抜いた我々はある意味レアな人間だと思う……



 喜三郎は続きを話し始める



「ウィルスにかかった山田陽翔を見た山田の母親は育児放棄し一切触れられずに幼少期を過ごしていった」




 喜三郎の衝撃的な話を聞いた璻はそんな母親が世の中に存在するのかと思うと胸がキュッと締め付けられるような感覚に陥った。







。:*:★。:*:★━━補足ポイント━━★:*:。★:*:。


・2010年以前のデータが消えた事件

古いURLからの移行のためなぜか2010年以降のデータが消えた事件がある時期起こった。その時に本の媒体や紙媒体はまだ需要があるということを認識したという事件だが2010年以前のデータは全て消えたため一部ではパニックになっていた。


・未来を読めるホロスコープ

獅子子は今動いている惑星の位置からその人の悩みなどがわかる能力があります。それは超感覚の部類の一つですがたまに星の影響で体調を崩したりする敏感な人でもあります。ホロスコープには角度とハウスがありますが個々人が入ってる場所によってだいぶ性格が変わります。未来を読めたりするのは獅子子の特権でもあります。


・2026年から”あるウィルス”が流行り免疫力が低い子供とお年寄りが大勢亡くなる。

肌に紫色の斑点ができる皮膚や唾液、体液を通して感染するウイルスです。これは不特定多数が乗る電車やバスの手すりや席などからも地肌から感染します。ちなみに水疱瘡みたいに残ることもあるそうなのでそれまでに免疫力を高める必要があります。

 

。:*:★。:*:★━━━━━━━━━★:*:。★:*:。

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