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水流士-因子を解く-  作者: 小野里
- 新人研修編 -

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第48話:人間が1日に選択し思考する回数



璻はすぐ起き上がると九鬼に声をかける。


「あのっ…」


 璻が起きた事で璻の額から組子細工が畳に落ちる。


 九鬼は急に起き上がった璻にびっくりすると話しかける


「お前、急に起き上がるなよ!こっちがびっくりするわ」

 

璻は思わず九鬼に言い訳をする


「いやだって、音でよくなるなんて初めてだから。というかこれっ…」

 

璻は組子細工を九鬼に手渡した。


「はい。九鬼さんこれ。この形、組子細工だけど竜胆じゃない。この形なんですか?」

 

九鬼は璻から組子細工を受け取ると説明を始める。

 

「これか?七宝模様だな。お前ら超感覚系は竜胆や麻柄の使用多いって聞くが、俺ら超聴覚系は七宝模様や籠目模様をよく使うんだ。使う用途によって水分子も変わってくる。俺は今のところ七宝しか使えないけどな。」


 璻は目を輝かせながら九鬼の話を興味津々に聞く。

 

「そういう仕組みなんですね。自分がレベルアップすると道具が扱えるとかなんかゲームみたいですね。」

 

九鬼は璻に質問をする。


 

「そんな事よりお前、音波医療や音叉うけたことねぇのかよ」

 

璻は何を思ったのか胸に手を当てると自信を持って堂々と発言する。

 

「ないですっ!」

 

素直な璻の発言に九鬼は愕然とする。

…コイツ、ほんとに1から説明しねぇとわからない奴なのか…

 

九鬼はそう思うと丁寧に説明をし始める。

 

 

「あのな。地球上には全て固有振動数ってものが存在するんだよ。必ず、物にも人にも植物や動物にだって固有振動数が存在する。俺の一族は水の流れのなかでバランスが悪い水分子を瞬時に判断し振動させ、固有振動数のバランスを整えるんだ。」


 璻は九鬼が言った言葉を考える

 

…確かに固有振動数という言葉はわかる。なんだっけ、ビル建てる時にも固有振動数の検討はするってどこかの本で書いてあったな。昔ビルの中でダンスしていた連中がいてそのビルとの固有振動数が合ってビルが揺れた事があった。そもそも、この人は水分子全部の固有振動数を変えられるんだろうか……


 そう思った璻は九鬼に質問をする


 

「って事は水分子全部の固有振動数を変えられるんですか?」


九鬼は呆れて璻にツッコミを入れる。

 

「んなわけねぇーだろ。何言ってるんだお前」


 璻の期待してた答えと違い、あっけらかんとすると思わず言葉が漏れ出る

 

「えっ…でも九鬼さん、さっき…」


 九鬼は璻の話に被せるように言い返す


「あのなぁ?お前なんか勘違いしてるぞ。俺が言ってるのは人体の水分子だけだ。そうだな…」


 九鬼はそういうと少し考え、数秒後になぜかニヤッと笑う。

 九鬼が璻を見下すように質問をし始める。


「学が足りねーお前に質問だ。人間が1日に選択し思考する回数はどのくらいか知ってるか?」


璻は最初の「学が足りねー」の一言に内心イラっとする。

なぜ関係ない質問をするのか璻には理解出来なかった。


周波数や音に対しての知識は璻にはないに等しい。九鬼の言っている事は正論なのはわかっているだが…しかし、さすがの璻も我慢できずに笑顔で嫌味を言い返す。



「最初の言葉が非常に気に障りますね。私に対する優しさのカケラもない言葉はなんとかならないんですか?」


 九鬼は何も聞いてないフリをしながら質問の答えを催促する。

 

「答えになってねぇーぞ。早く答えろよ」


 聞いてないフリをする九鬼に璻はさらにイラっとするがはぁーとため息を出す。

 

 …この人、人の話聞いてないの?それともわざとなの?……


璻は諦めて九鬼の質問に答える。


「わかりましたよ。答えればいいんでしょうがっ!人の思考や選択は1日に何回かって質問ですよね?確か一般的に思考する回数は1.2万から6万だったと思います。人間が選択する回数は2万以上、確か頭の回転が早い人で3万5千回ですかね。」


 すらっと答える璻に九鬼は驚いた表情を見せる。


「お前でもそれぐらい知ってんだな。びっくりだわ」

 

 璻は思わず呆れた表情すると内心ツッコミを入れる。

 

…いや、アンタの態度のほうがびっくりだわ…

 

「九鬼さん、それでそれとなにが関係あるんです?」


 九鬼はふんッというと偉そうに腕をくんで話を始めた。

 

「その時の人間の状態、思考する回数と選択する内容がネガティブな事かポジティブの事かの比率で個人の固有振動数が変わる仕組みになっている。個人が感じる現実は日々選択し思考した内容が全体的にポジティブな比率なのかネガティブな比率かで感じる出来事が変わってくる。日々、個人の固有振動数が高ければいい人生を送れるんだよ。俺ら一族は特にネガティブな思考を持つ人間の固有振動数を水分子から少しずつ変える事ができるんだ。」

 

璻は九鬼の話が難しかったのか簡単にまとめ九鬼に意図が合ってるか聞き返す。


「つまり、話をまとめると九鬼さんが水分子を変えられるのはネガティブな思考癖の人間をポジティブな人間に変える事ができるって話で合ってます?」


「簡単にまとめるとそうだな。」

 

…それって脳内器具と同じ仕組み。水流士の仕事内容と一緒だ…

 

「それって水流士と仕事内容的には同じですよね。」


「そりゃ、行政のゲノム適合職種で水流士しか選択肢なかったからな。俺、脳内器具つけてないしこの人生ではつける予定も無い。水流士は目的と能力が同じだからこの職業についているだけだわ」


九鬼の話に璻も納得をする。


「なるほど。じゃぁ音でわかるという事は九鬼さんは水分子を見ずに変えられるという事なんですね」


 九鬼は璻の言葉に頷く。

 

「ああ、見なくても感じ取れるな。振動でわかる。超聴覚ってそういう便利な能力だが、触れたほうが精度が上がるし確実にわかるな」

 

璻は九鬼と話しある事を思い出した。

 

 …振動…


そういえば、藤宮が施術で水分子を振動させ変えていた事があった。


 …あれは超聴覚の能力の一つで振動させて水分子を変えていたのか…


 納得しなぜか無意識に頷く璻に九鬼は質問をする。

 

「そういえば、お前変な所ないか?」

 

璻は首を傾げ応える。

 

「変な所?ってなんですか?」

 

「例えば、目を瞑ると今まで見えなかった光が見えるとか粒が集まって見えるとか、音や声が聞こえてくるとか……調整するとたまに出てくるんだよ。特に超感覚を持ってる人間はな」



 璻は九鬼の言葉を聞いてなんとなく目を瞑ると九鬼が話した通り光の粒が見えていた。


「あー見えます!小さな光みたいな。なんですか?これ」


 九鬼はあちゃーっと顔を右上にあげ手を顔につける。

 

「やっぱりな。調整しすぎた。それは丹光たんこうだな」

 

…また、よくわからない言葉が出てきたな…


 璻はまた九鬼に聞き返す。

 

丹光たんこう?なんですかそれ」


丹光たんこうは目を瞑った時に見える光の事だ。素粒子だったりオーラだったりする事が多い。人それぞれに見える物は変わるからな。まぁー気がついたら数時間で消えるから気にすんな」


 璻は思わず言葉を濁す。

「はぁ…」


「あと、お前立ち上がって痛みとかはねぇーよな?」


璻はその場でひょいっと立ち上がると特に何も感じられなかった。


「ないですね」

 

九鬼は立ち上がった璻の姿を見て音叉をしまう

 

「よし、じゃぁもういいな」

 

九鬼も立ち上がると璻は九鬼に声をかける

 

「九鬼さん。」


 九鬼は嫌な顔しながら璻に反応する

 

「はぁ?なんだよ?まだなんかあるんか?」

 

璻は九鬼に頭を下げてお礼をいう

 

「あの、ありがとうございます。あたりがキツイ人だけじゃなかったんですね」


 九鬼は眉毛をピクピクさせて璻に嫌味を言う。

 

「礼のあとの言葉が気に食わねぇーな。それは遠回しにクレーム言ってんのか?」


 璻は手を左右に振る。


「誤解です!ちゃんとお礼言ってるんですよ。感謝くらい素直に受け取って下さいよ」


 そういいながら璻の顔は笑顔だった。


 九鬼はなんとなく思う。

 

…礼を受け取るだと?人を試している俺が?こんな事出来て九鬼家の人間なら当然なんだよ。なぜ礼を言われる必要があるんだ。あぁ、そうか。コイツただ本当になんにも考えてない奴なんだな。仕事する時は基本、対人関係がほとんどだ。相手と腹の探り合いしながら仕事をこなす。だがコイツには腹の探り合いなんて無意味かもしれねぇーな…

 

九鬼はそう考えている自分にもなんだか馬鹿馬鹿しくなってきた。


「へぇーへぇーそうかよ。俺はただ仕事しただけだわ。」


璻は少し悲しそうにしながら小声で応えた。

 

「あっ……そうですか。」

 

九鬼は穂積の方を見ると話の話題を変える。

 

「お前、それよりも今から穂積を見ると面白い物見れるぞ」

 

璻は首を傾げ聞き返す。

 

「面白い物?」

 

九鬼は諏訪と穂積を指を指す。

 

「ああ、今水浮いてるだろ?穂積は今から水分子見るんだ。アイツの能力見れるだろ」


…そういえばきょうちゃんの才能知らなかったな…


「見てもいいんですかね?」


 

「お前はわかってねぇーな。俺と穂積はお前が水分子見てる所見てたぞ」


「えっっ!いつ!」


「始まってからずっと」


「ひぃっ…」


 見られた事を今初めて知ったので璻は焦っていた。

 

…もしかして、水分子見てる時の私の顔が変だったりした?半目だったり、よだれとかでてない?変な声とか出てない?大丈夫……


脂汗とあわあわと慌てる璻の姿に九鬼は冷静に話しかける。


「お前が思っているよりも普通に目閉じてたからあまり勉強にはならなかったけどな」


璻はその言葉にホッとする


「よかった…」


璻は小さくガッツポーズをする。


 …へんな所見られてないみたい……


 

九鬼はなぜか頭をかきながら痺れを切らすように璻に話しかける。


「あぁ〜もう、鈍い奴だな。」

 

「えっ?」

 

「だぁーかぁーらぁー。さっきコソコソ見て俺が申し訳なく思ったんだよ。だから治療して対価を払った。さっきの礼はいらねぇんだよ。」


 九鬼は素直に璻に白状すると璻は吹き出してしまう。


「ははははぁ〜覗き見していたのさっきから気にしてたんですね。私、気にしていないですよ」


自爆した九鬼は璻に弱みを握られた気になった。

男のプライドなんだろうかポッキっと何かが折れる音がしたがもう九鬼の中でどうでもよくなっていた。

璻に向かって茶化していることに対して文句を言う


「おい。笑ってんじゃねぇよ。許可なく見るの嫌だろが普通。もういい。それより見に行くぞ。穂積家は八咫鏡の一族。八咫烏の一族は超視覚の能力で有名だ。そんな一族が間近で水分子見るんだ。俺にもお前にも何か学びがあるかもしれねぇだろうが」


九鬼の不器用な優しさに璻はふっと笑う


…九鬼さんはなんだかよくわからない人だな……

 

「そうですね。確かに」


九鬼は少し顔をあからめながら璻を誘導する


「ほら、壁側に寄ると見れるぞ」

 

璻は九鬼に返事を返す。

 

「はい。」

 

璻も九鬼も壁側に座り穂積を見ていた。

穂積は浮いている水に集中していた。

諏訪が水を浮かせる所まで補佐したのがわかる。当然、穂積は璻と九鬼に見られている事なんて気づいていない様子に璻には見えた。


 

 穂積は水に向かって何かを唱え始める。


。:*:★。:*:★━━補足ポイント━━★:*:。★:*:。


・九鬼が使う組子細工

九鬼家は超聴覚系なので七宝模様や籠目模様を使って施術をします。

超聴覚系を持つ能力の方は七宝模様や籠目模様の組子細工を基本は使用します。諏訪は以前の描写で竜胆を使ってますが通常業務では七宝模様や籠目模様を使用します。諏訪はオールラウンダーなので基本どの組子細工も扱えますが、超聴覚系以外のものは基本の能力しか干渉できません。



・人の思考や選択の数

これは基本的にどの考えを常にしているかによって人間の体感が変わります。

大体ですが、2万回思考と選択をしているうちにその内容が8割以上ネガティブなことを考えていると現実的にネガティブなことが起こりやすくなります。5割を超えると大概ネガティブモードに身体が入ります。それは睡眠や運動、食事にも深く関係します。九鬼はそれを変えることができる一族でもありますが、ただ習慣なので一回治ってもまた戻ることは多々あります。それは水流士に通って習慣を変える努力をしないと根本は変わらないという意味でもあります。


丹光たんこう

丹光とは、目を閉じている状態や瞑想中に視界に現れる光や色のことを指します。これは視覚的な現象にとどまらず、精神的・霊的な体験と捉えられることも少なくありません。璻の場合は細かく光が見えるのでオーラではないことは本人もわかっています。幾何学模様にも見える人はいるそうです


 

。:*:★。:*:★━━━━━━━━━★:*:。★:*:。

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