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水流士-因子を解く-  作者: 小野里
- 新人研修編 -

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第43話:八咫鏡

 


 それが喜三郎に伝わったのか不安げな璻を見ると喜三郎は璻の近寄りアドバイスをする



「大丈夫。義景はめんどくさがりだけどアドバイスはくれるから」


 璻は不安な表情で喜三郎を見る。

 喜三郎の曖昧なアドバイスにさらに不安が募ると璻は縋るように声が出る。


「いや、あの…正直心細いです…」


 喜三郎はなぜかニヤッと笑うと「なるようになるさ」と璻に言い放つと襖の方まで歩いた。

 襖に手をかけると何を思ったのか獅子子の方へ振り返る



「あっ…獅子子水用意しとけよ。俺、管理にまわっから」


 獅子子は喜三郎に手を振るとやる気のない声で返事をする


「りょーかい」


 そういうと喜三郎は黙って部屋を出て行ってしまった。


 獅子子は「やりますかっ!」と言うと襖に手をかけ璻の方を振り返る。


「今から水持ってくるからアンタらおとなしくするんだよっ!」


 そういうと獅子子は部屋から出て行ってしまった。


 獅子子が出て言って数分経つが会話が全くない。

 息が詰まりそうな空間に璻はただ周りを見渡すことしか今のところできてない。

 璻は自分からグイグイ行くタイプではないため誰かが話しかけてくれることを期待するがその雰囲気さえ感じられない。



 …きっ……気まづい……



 周りの様子を見ると穂積は緊張しているのかオドオドしている事がわかる、片や九鬼はなぜかぼぉーっと天井を見ている。もはや何をしているのかわからん。諏訪の方へ目を向けると彼は目をつぶっていた。むしろ諏訪は少し寝息を立てている。


 …いや、コイツこの状況、この短時間で寝れるってどんな神経してるんっ!……



 璻はこの沈黙の中で色々考えていた。



 …そういえば、そしじぃが沈黙を待つって言っていたけど、この事かなぁ…


 璻は頬に手を当ててぼぉーと考えてみる。


 …いや、多分この沈黙は違う気がする……



 璻の後ろからガタっと音が聞こえる。

 振り返ると獅子子が大きな声で声をかけた



「みんな、お待たせぇぇぇ〜‼︎」


 その声で諏訪はハッと起きると獅子子に文句を言い始める。


「ねぇさん、相変わらず騒がしい」


 獅子子が諏訪にムッとし言い返す。


「あんた、仕事しなさいよ。ほら組み立てて。」


 そういうと獅子子は折りたたみのテーブルを部屋に入れると近くにいた諏訪に手渡した。諏訪は獅子子からテーブルを手渡されるとテーブルを開き組み立てた。


 仕事が終わった諏訪は獅子子に小言を言い始める。



「ねぇさん。ダイヤモンドより価値がある傷ついたバツイチの俺に仕事をしろって。そりゃ〜ないぜ」


 獅子子はそんな小言をいう諏訪に対して呆れる



「はい。はい。また言ってるよ。バツイチだろがなんだろうが仕事をしろっ。それにバツイチになったのはあんたの女性選びが未熟だっただけだろうが…大体相手側に感謝もない自分の学びすら気付けない馬鹿野郎は一生バツイチじゃっ‼︎はい。水と紙コップ」



 璻はこの時初めて諏訪がバツイチなのを知った。

 バツイチなんて今の時代ごまんといるし、落ち込むことないのにと璻は思ってしまう。



 …陽気にバツイチって自虐してもこの人も結婚に対して深いトラウマがあるんだな…



 諏訪は獅子子の正論に何も言い返せず水と紙コップを受け取るとテーブルに置いた。



 獅子子は両手をパンッパンッと叩き全員に声をかける



「はい。はーい。みんな、これから30分で水を当ててね。30分たったらきっちゃんと私はまた戻ってくるから。あと、璻ちゃんは3分だけ水の記憶を見てもOKそれ以上はダメね。九鬼くんは超聴覚を使ってもいいけど水に直接触れるのはNG。穂積は制御が難しいから人差し指だけ水に触れて。あとはダメ」


 九鬼は顔を歪ませ、獅子子に文句を言う


「なんでですかっ!そのほうが俺単独で早く終わりますけど」


 獅子子は呆れながら九鬼の質問に答える


「あのね〜これはチームで答え出せって言ってるの。もちろん、自分の意見も最初に持っていなきゃいけないよ。自立して意見を持つのはこの仕事では当たり前け・ど・ね。個々が自立して協力し合うのも水流士の仕事なの。九鬼くんのそれはレクにならないじゃないっ!」



 九鬼は正論を言われてシュンっと落ち込む。



 璻は手を挙げて獅子子を見ると質問する


「あの〜藤宮さんがいないと水分子の記憶見れないんですが、どうやって見たらいいですか?」


 獅子子はなぜかふふふっと笑うと璻の質問に答えた


「義景がいるから手伝ってもらって。泉は沼のようにズルズルと深い水分子を見る癖があるけど、義景はすぐ引いてくれるから、泉ほどじゃないけどできるわよ」


 諏訪は嫌そうに獅子子を見るとボソッと文句を言う


「優男の泉と俺を比べんなよ。」


 獅子子がなぜ笑っているのか理解できなかったがとりあえず返事を返した。


「わ、わかりました。」


 獅子子は説明することが終わったのかそそくさと襖まで歩いた


「じゃぁ、義景あとよろしく」


 諏訪は獅子子にやる気のなさそうに返事をする


「へぇーい」


 諏訪は手を振りながら見送った。

 獅子子が襖を閉める音が聞こえると諏訪は深くため息をついた。


「はい。じゃぁお前ら、水見るんだろ?俺補佐しかできねーからな。誰からやるんだ?それ決めてからやれ」



 諏訪はめんどくさそうに語ると九鬼が口を開く


「諏訪さんその前にちょっと聞きたい事あんだけどいい?」


 諏訪はだるそうに返事をする


「いいぞー」


 九鬼は穂積の方を見ると話しかける。


「穂積ってあの八咫烏の一族?」



 九鬼は睨みつけながら穂積に近寄る。

 急に会話を振られ九鬼の圧に耐えられなかったのか穂積はおどおどし始める。


 穂積に迫る九鬼に諏訪は見かねて九鬼の頭にチョップをする。


「朔、お前懲りねぇな。いい加減にしろっ!」


 諏訪の一撃が痛かったのか九鬼は頭を抱える


「いってぇぇっー!!」


 諏訪は肩に手を置き首を左右に振る。

 ボキボキと骨の音を出すと九鬼をめんどくさそうに叱る


「お前のそうゆう所がアカンのよ」


 璻はそれを見て九鬼と諏訪に気を使うように穂積に聞いてみる


「ほっ…じゃなかった。九鬼さんがきょうちゃんの事八咫烏の一族って言ってるんだけど…本当?」


 穂積に優しく話しかける璻に安心したのかオドオドぜず穂積も答え始める。


「はっ……はい。おっ…仰るように私は八咫烏の一族です。」


 九鬼は説明するように話始める。


「八咫烏の一族に八咫鏡を管理する一族があると聞いたことがある。八咫鏡を管理する一族は元々水瓶の一族とも呼ばれており、鏡の由来はそもそも水瓶に水を張っている状態から鏡と呼ばれるようになったことで有名だ。八咫鏡やたのかがみ八尺瓊勾玉やさかにのまがたま草薙剣くさなぎのつるぎは管理する一族がそれぞれ違うが当主にはそれにちなんだ名前が入っているのは聞いた事がある。まさか…」


 九鬼がそう言いかけると璻は思わず話に割って入ってくる


「九鬼さん、めちゃ詳しいんですね」


 九鬼は褒められたと勘違いをしたのかニヤニヤし始める。


「あははそう?いや、そうじゃねぇーよっ!つか話の腰を折るなよっ!!」


 璻は悪びれる様子もなくとりあえず心ない謝罪をする


「すいません。つい…」



 九鬼は璻に諭すように話しかける。



「お前なぁっ…日本人なら誰もが知ってる事だろうが。俺らが知ってる歴史は石屋が都合のいいように教科書で学ばされている。社会にとって都合のいい歴史しか載せないそれが常識だろうがっ!そんなんも知らないのかよ。」



 璻は九鬼の言っている事はもっともだが九鬼の言い方に棘があるのが気に食わないのか小声で返事をする


「まっ…学んでおきます……」


 穂積は話を聞きながら璻をフォローするように話始める。


「そっ……そういう言い方は一般の人に向かってよくないと思う。くっ…九鬼さんが言うように、私の名前は兎鏡(うきょう)、兎と鏡が入っている。一族ではあまり期待されてないかもしれないけど」


 九鬼は驚いた表情をしながら穂積に聞き返す。


「兎と鏡って、お前やっぱり…」


 穂積は九鬼の方を向くと背筋を伸ばし正座に座り直した。

 今までの穂積は人が変わったように真剣に話始める



「私は水瓶の一族でもあり、八咫鏡管理の一族でもあります。」



 それを聞いた諏訪も九鬼も目を見開くように穂積を見ていた。





。:*:★。:*:★━━補足ポイント━━★:*:。★:*:。


八咫烏やたがらす

八咫烏の一族は奈良県宇陀市に八咫烏神社がありますがその周辺で暮らしていたり他の地域で暮らしてあったりと各地を転々としているとか。裏天皇とも言われており日本の裏組織とも言われています。ちなみに八咫烏一族で一番多い苗字は穂積という苗字です。


八咫鏡やたのかがみ八尺瓊勾玉やさかにのまがたま草薙剣くさなぎのつるぎ

三種の神器と言われるものですが、これらはただの置き物ではありません。

一説ではこれを使って建築物を建てていたなど歴史的に残っています。

日本人は水瓶の一族、勾玉の一族、剣の一族などに分かれていたなーんて話もあります。

水瓶の一族は鏡の語源でもありますが映った水で占いや月の配置を読んだりしていたそうです。


ちなみに諸説ありますが八咫鏡、八尺瓊勾玉、草薙剣はただの鉄ではないそう。

ヒヒイロカネやオリハルコンという鉱物からできてるなんて話もあります。草薙剣は昔ある呪術を使っている時剣を持っていた手が青い炎で燃えたなどの話もあり持ち出し禁止になったとか…

そんな歴史的背景があったので管理する一族を決めたというのがこの小説の世界になります。


。:*:★。:*:★━━━━━━━━━★:*:。★:*:。

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