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水流士-因子を解く-  作者: 小野里
- 新人研修編 -

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第42話:個性の強さ

 


 部屋に一歩足を踏み入れると青年が睨んで璻を見ていた。




  …なんて…入りずらい。私何かした?…




 部屋に入るとサラリーマン風の男性と青年があぐらで畳に座っているのが見えた。

 

  そこになぜか喜三郎も向かって行った。


  サラリーマン風の男性は気さくに喜三郎に話しかける。


「きっちゃん、久しぶりに見たけど身体つき変わらないねぇ?本当は何歳なん」


  喜三郎は少しムッとしながらサラリーマン風の男性を問いただす。



「お前は相変わらず失礼なやつだな。年配に会ったら挨拶が先だろうか。そーんな失礼な義景に教える義理はありましぇーん。」



 サラリーマン風の男性も喜三郎の言い方にイラッとしたのか言い返す。


「ふざけた爺さんだな。歳いってるわりにその精神年齢の低さには驚くんですけどぉぉ〜。」


 璻は遠目から様子を伺うように会話を聞いていた。


 …なんだろうこの人たち大の大人だよね?喧嘩が小学校低学年の男子の喧嘩に見えるんですけど…



 サラリーマン風の男性ははぁっーとため息を吐き喜三郎に再度話しかける。


「てか、藤宮は来ないの?」


 喜三郎はその疑問に冷静に答える


「まだ来ないよ。藤宮くんは依頼対応中だけど、それが終われば来るよ。」


 サラリーマン風の男性は藤宮のことを心配してるように口を開いた。



「アイツまだやってんのかよ。早く仕事終わらせろって。あれほど。」


喜三郎は呆れながら諏訪の小言に答える。


「あのねぇー藤宮くんと義景とは仕事のやり方全然違うだろう?そういうこと言わないの」


 喜三郎は立っている璻の方へ振り返ると手招きしこっちに来るように促す

 璻は喜三郎の近くに正座で座ると喜三郎は璻に話しかける。


「璻さん、この2人から挨拶された?」


 璻は首を横に振る



「いえ…」



 喜三郎はサラリーマン風の男性と青年を見るとはぁっ…とため息を出すと2人に話しかけた。


「だから、璻さん萎縮していたんか…お前らな……」


 サラリーマン風の男性がめんどくさそうに言い訳をする


「いやさぁ〜こういうのって俺らからするって挨拶パワハラじゃん?」


 璻は呆れた顔した。


 …うわぁ絶対、めんどくさいって思ったやつだ。それに挨拶パワハラって何⁇聞いたことない…


 喜三郎も呆れた顔をした。


「義景、言い訳すんな小賢しい。璻さんごめんな。コイツそういう奴なんだよ」


 璻は顔が引き攣った様子で聞き返す。


「いえっ…気にしてませんよ。そ、それでその方のお名前は?」


 喜三郎はああっ…と言いながら自己紹介をする


「そうだった。そうだった。コイツは諏訪義景。諏訪大社の権宮司ごんぐうじをしている傍ら水流士もやっている。歳は藤宮くんの2つ上」


 諏訪はめんどくさそうに璻に話しかけた。


「まぁ〜そういう事だ。新人よろしくな。あぁー水流士は俺にとっちゃ副業だわ。適正があるからやってるって感じだな。」


 璻は頭を下げ挨拶をする。


「はい。諏訪さんよろしくお願いします。」



 喜三郎は続けて諏訪の紹介を話し続ける。


「義景は、基本環境の水流士でね。藤宮くんみたいに水分子から過去を見たり感情を見たりは得意ではないんだよ。そのかわりに空気中の水分子と繋がりが見えたりたまに結合した水分子と会話が聞こえたりする能力があってね。これは超聴覚という能力なんだよ。彼はその超聴覚を持っていていろんなところから声が聞こえてくるらしいんだよ」



 璻は何にも疑わずふーんと思ってしまった。

 確か藤宮は超感覚を持っていて感情や過去を見れる能力だったのは覚えている。要するにこの人も人知を超えた能力のことだと言うのはわかった。



「それって超能力みたいですね。藤宮さんみたいな感じですか?」


 喜三郎は深く頷きながら答える。


「超能力に近いかもね。藤宮くんの場合は超感覚が鋭すぎていつも困っているけど。義景の場合、超能力は毎回出せるわけではないんだよね…」


 璻はなんとなく諏訪をチラッと見ると少し動揺しているように見えた。色々考えた璻は諏訪に対してあまり詮索するのはやめて軽く答えることにする。


「そうなんですね。」


 気を使われたことが虚しかったのか諏訪は少し落ち込むと喜三郎に話しかける


「きっちゃん、それ言わないで。俺結構気にしてっから」


 喜三郎は自分の頭を触りながら軽く誤った


「あ〜そうだったな。わるいわるいっ」


 璻は青年の方をチラッと見るとこっちをまだ睨みつけている。

 あまり関わりたくないと思ったのか璻の動きがカタコトになる。


「それで……その〜喜三郎さん諏訪さんの隣にいらっしゃいますそちらの方は…」


 喜三郎は青年に近寄ると背中をバシバシ叩き始める。


「あ〜コイツ?チワワ?みたいで可愛いだろ?」


 青年は喜三郎の知り合いなのか少し嫌そうにしながら答える。


「喜三郎さん痛いっす」


 青年はまだ璻を睨んで見ていた。璻は一歩その場から後ずさる。


 …チワわ?いや、全然可愛くない。ガルガルしているし、むしろ今から噛み殺ろそうとしてませんか?…



 喜三郎は青年の自己紹介を始める。



「コイツは九鬼朔っていうんだ。璻さんより1つ歳上だ。見た目は可愛くたまに女性に間違えられるけど優秀な新人水流士だよ。義景と一緒で超聴覚を持っているんだ。璻さんと同じく依頼者を1回見ている」


 璻は顔引き攣りながら挨拶をした。


「九鬼さんですね。よろしくお願いします」



 何を思ったのか九鬼は璻に話しかける。


「朔でいい、スリッパ女名前を教えてくれ」


 璻は九鬼の聞き方が気に食わなかったのか言い返す。


「さっきと呼び名違ってますけどぉ〜あと誰がスリッパ女だって?よく聞きなさいよ。私の名前は龍後璻って言うの!」


 九鬼の表情がこわばるとなぜかめんどくさそうに話しかけた。


「じゃぁ、龍後って言うのめんどいから、璻で。」


 璻は九鬼の言いたいことがなんとなく伝わる。


 …こいつ、私の名字めんどくさいから言いたくないのね…


 そう思うとなんだか余計ムカついた璻は問いただす。


「あんたが勝手にきめんなぁぁっ!!何様じゃぁぁい」



 喜三郎は諏訪が仲裁するか見ていたが、諏訪はこういうことに関してめんどくさくて仲裁に入りたくない。そんな強い意志が見受けられる。


 …あぁ〜だりぃ〜…


 そんな諏訪の幻聴まで喜三郎には聞こえてくる。

 見かねた喜三郎は呆れて仲裁に入った。



「はい。はい。もうストップっ‼︎朔ちゃん煽らないのっ。そういう所はお父さんの蒼龍にそっくりだな全く……」


 九鬼はプイっと顔を横に向けた。


「親父と比較しないで下さい。」



 璻は思わず喜三郎に聞く



「へ?喜三郎さん九鬼さんと知り合いなんですか?」



 喜三郎は頷きながら九鬼の説明をする。



「あぁ。朔ちゃんの父は蒼龍は水流士だったんだよ。朔ちゃんの苗字は九鬼という由緒正しい一族。今は各地の水源を管理する一族なんだよ。昔は九鬼家は伊勢、志摩の水軍だったんだ。ちなみに九鬼は代々、武術も優秀でね。なんかあったら頼るといいよ。あとは…そうだな水を正確に読む力は九鬼家の能力かな」


 璻は思わず興味なさそうに返事をする


「へぇー」


 九鬼は少し落ち込みながら話しはじめる。


「はぁっ…九鬼家、九鬼家って家の事言われんのすきじゃねーんだよ。」


  それを察した喜三郎はフォローに入る


「まぁ、家柄言われんの嫌だよな、わりぃな」


 そう語る九鬼は少し悲しそうに見えた。


「いえ、喜三郎さんならいいです」


 璻は九鬼に対してなんとなく察した。


 九鬼は喜三郎と諏訪には懐いているが女の私には手厳しい所はある。


 ……女性や家にトラウマでもあるのか……


 喜三郎は急に振り向き入り口の襖をじっと見つめる


「はい、まだいるよね。襖の前にいる女性たち出て来なさいよ」


 璻は思わず声が出る


「へっ?」



「きっちゃん。気づいてたなら早く言ってよ」


 聞き覚えのある声がすると急に襖を開けた。



「たのもぉぉ〜」


 見た事がある女性、獅子子が立っていた。


「いや〜ごめん。喧嘩始めたから出るの躊躇してつい」


 喜三郎は立ち上がり獅子子を迎える。


「聞き耳立ててるの感じ悪いぞ。んで、獅子子その後ろにいるの誰だい?」


 獅子子は後ろの襖にしがみついている震えた女性がいるのが見えた。

 璻はこれまた見覚えのある女性に見える。


 …あれは確かさっき挨拶した穂積?確か兎鏡ちゃん?だっけ…



 獅子子は後ろを振り返る


「あぁ〜穂積兎鏡あんた。また後ろにしがみついてないでっ!何してんのぉぉぉぉ」


 穂積は声にならない声を出す。


「ヒィっっっ!」


 璻はその様子を見てやっぱりと納得した。



 獅子子は穂積を襖から引き剥がそうとすると穂積は強く抵抗する。それを見て諏訪は笑い始め喜三郎と九鬼は唖然としていた。


「獅子子さん見てわかりませんか?隠れてるんですっっっ」


 獅子子は呆れながら会話を返す


「そんな雑な隠れ方あるか?襖からだいぶはみ出てるわよ。アンタが忍者だったら即殺されるでしょうがぁぁ!」


 獅子子は穂積をふと離すと穂積の顔の近くで話しかける。


「じゃぁ、襖にしがみついたまま研修参加するの?ご飯食べれないけどいいの?」


 穂積は何を思ったかスッと襖から離れた。

 獅子子は穂積の背中をバシッと叩く。穂積はおどおどしながら自己紹介をはじめる。


「はっ…はい。わわ私、穂積兎鏡って言います。よっ…よろしくお願いします」


獅子子は「全く世話の焼ける子ね」そういうと穂積と一緒に部屋の中に入った。


 璻はふと冷静に考えた。


 …これは何のコントを見ていたんだろうか…


 終わったことに安心したのか喜三郎はパンッと両手を叩き周りを見渡す



「では、みんな自己紹介は済んだしみんな揃ったね。これから新人研修のレクリエーションをはじめる。第1回目は3人で協力し水を読み取るトレーニングだ。これから、カップに入った水を2つ持ってくるから、各自が観察し水がどんな味なのか?どこの水なのか?3人話し合いながら答えをすり合わせしてくれ。答えがまとまったら諏訪義景に報告する。あ、あとここのチームの監督は義景だ。なんかあったら相談してくれ。ちなみに俺と獅子子はこれから退散するから」


 

 璻は喜三郎の言葉に絶句すると諏訪と九鬼と穂積の顔を見て不安が募ってくる。



 …こんな個性が強い人たちしかいなくてこのチームはまとまるんだろうか…




 一番信頼がある喜三郎と話が通じる獅子子がいないと思うと少し不安に感じる璻であった。






。:*:★。:*:★━━補足ポイント━━★:*:。★:*:。


<登場人物の自己紹介>


・諏訪義景 32歳

誕生日:10月5日

星座:天秤座

本業は諏訪大社の権宮司 (ごんぐうじ)をしている。ちなみに離婚を経験しているバツイチです。超聴覚がうまく使えないことが悩み。争うことが嫌いな男性です。藤宮と皇とも仲がいいです。獅子子に対しては少し苦手意識があるがなぜか嫌いではないです。


※権宮司 (ごんぐうじ)は宮司の次に神社の役職。神社には職階があり宮司の次に宮司の代理を任される役職。一般職でいうと副社長的な立ち位置です。


・九鬼朔 27歳

誕生日:11月15日

星座:蠍座


九鬼家次期当主。九鬼蒼龍の長男、ちなみに弟もいる

九鬼家は伊勢の水軍で有名ですが水を見る能力も長けています。

ちなみに璻を煽るのは朔のトラウマと関係しています。喜三郎とはだいぶ前から知り合いです。



。:*:★。:*:★━━━━━━━━━★:*:。★:*:。

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