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水流士-因子を解く-  作者: 小野里
- ネグレクト編 -

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第24話:竜胆と結界




「次の水分子を見るのは胸の辺りですかね……」




藤宮は水の中に映る水分子を指でスクロールすると崩れている水分子が集まっている場所を見つけた。

璻はふと渦見を見るとスヤスヤと寝ていた。疲れているのだろうと思っていたが、なぜ?施術が始まると狭山といい渦見といい寝ているのだろうと璻の中で疑問が頭の中で浮かぶ。



…まぁ…でも今考えても仕方のない事なんだから仕事に集中しよう…



「璻さん、璻さん」



藤宮は璻の肩をトントンと叩いた。

璻はびっくりしながら藤宮がいる方向を振り返った



「はいっ!すみません。よそ見してました。」



璻は水に映っている水分子を見つめた。胸の中の水分子は大半は崩れている。


「藤宮さん渦見さんの水分子こんなに密集してるのに大半壊れてますけど」



藤宮は浮いている水分子を見ながら璻に話しかける。

 



「そうですね。胸部は愛情や信頼に対する記憶が中心になっています。この場合、渦見さんは人を信頼したり、愛情を感じたり他人に与えるという事がネックになっている事が多い傾向にあります。あとは自分や他人をありのままを受け入れられないとか許せないとかが多いですけどね。基本これになるのは表に出る職業の芸能人、声優、アーティスト、インフルエンサーやアバターアイドルの中の人に多く見られます」



 

璻はこれまで見た渦見の記憶を思い出す。



母親に芸能界に入れてもらい、経済が崩壊した際に母親は自害、精神的に父親はおかしくなった。1番許せなかったのは人身売買に巻き込まれた事だろう。彼の中であれを経験した事が不調のきっかけならこのままほっといたら渦見はどうなるのだろうか…そんな疑問が璻の頭の中をよぎる。

 


 思わず藤宮に疑問をぶつけた。

 

 

「ちなみにこのまま放置した場合、渦見さんはどうなりますか?」



藤宮は深刻な顔で璻の質問に答える



「このままだと呼吸が浅くなり、酸素が全身に回りにくくなります。自律神経はもっと崩れますね。特に彼の場合いつも人の目に晒されていますから、過緊張な状態が続いた場合に精神的な病気に襲われる可能性が高いです」



藤宮の回答が璻が思った以上に深刻な状態だった。



「そうっ…ですか…」



璻の表情を藤宮は見ながら不安になっていることがなんとなく伝わる。

藤宮は璻に助言する



「なので早めにエゴに会わなければなりませんね。次は俺も記憶を見に行きます。この状態だと渦見さんのエゴが潜んでいるのは胸の辺りだと思うので。」



藤宮の発言で璻の表情がガラッと変わった。

心配する璻は藤宮に意見を言った。



「あのっ…藤宮さんまたさっきみたいに記憶に絡み取られたらどうするんですか!」



あれは前代未聞な出来事だった。渦見の記憶が指に絡みつき大変な事になったのをもう忘れたのかと璻は思った。

藤宮はまるで自信がありそうな様子で璻に応える



「そういうと思いまして対策をこれからします。璻さん少しだけ離れてもらえますか?」



…対策??…



「はい」と言うと璻はその場から3歩ほど離れて藤宮の様子を伺った。藤宮はポケットから組子細工の竜胆を右手で取り出すと崩れている水分子を映している水に竜胆を近づける。




藤宮は息を吸って大きく吐くと「一切衆生の罪穢れ」と唱えた。




竜胆は赤くひかり、竜胆の形をコピーしたマークが出てきた。

藤宮の目の前にゆっくりと浮かぶ。




藤宮は竜胆のマークを見ながら型が崩れていないか確認すると右手に持っていた竜胆の組子細工をポケットにしまった。竜胆のマークはゆっくりと藤宮の右手に引き寄せられると藤宮は右手のひらの上に浮かせる。左手でデコピンの形を作り1歩その場から下がると急に璻の方を見る。藤宮は璻に話しかけた。



「璻さん今から竜胆を弾いて水分子の中に入れるのでその場で動かず観察して頂けると助かります」

 

璻は頷くと藤宮に返事をした。


「はい。わかりました」



璻はそういうと興味深そうに藤宮の行動を見つめた。



藤宮は竜胆のマークに軽くデコピンをした。



竜胆のマークは浮いている水の中にゆっくり吸い込まれ歪んでいる水分子の上に竜胆のマークが映った。藤宮は浮いている水の元まで戻ると璻も藤宮の後を歩き元の場所へと戻った。璻は浮いている水を覗き込むと水分子の崩れた場所に竜胆のマークがちゃんとある事が確認できる。



指を刺しながら璻は藤宮に話しかける


「藤宮さん、前回の狭山さんの時もこれやってたんですか?」

 

藤宮は璻の質問に応える。


「はい。前回のは正式にやりました今回は簡易版です。うまく入れられてよかったですよほんと。」


璻はまた水分子に移っている竜胆のマークを見つめる


…確かに前回の狭山さんの時より小さい…

 


璻は藤宮に質問をする


「藤宮さんこれはなんのためにやるんですか?対策って言ってましたけど…」



そういうと藤宮はポケットからさっき使った組子細工を取り出し璻に見せた。



「この組子細工を使う時は水分子を変化させる事とエゴが逃げないように結界を張るためにあります。今回は前回と状況が違うので念を込めて投げたので強い結界を水分子内に張りました。あの範囲の水分子は固定されるので絡み取られる事はありません」



そもそも竜胆が結界を張れる物だと知らなかった。水分子を変える物だけだと璻は思っていた。

 


「それってそもそも結界張れるんですね。ちなみにそこにエゴがいなかったら解除できるんですか?」


藤宮は淡々と璻の質問に応える。


「はい。俺が解除するか、時間が経てば自然となくなります。」

 


璻はさらに藤宮に対して質問をする。



「時間制なんですね。竜胆のマークは前回狭山さんの時より大きく見えるんですが藤宮さんが念を込めると何が違うんですか?」


藤宮は璻に意識の説明をする。


「何にも考えないで見る場合と危機感持ってみる場合は意識が全然違いますよ。念は自分の願いを込める作業ですからね。多少水分子に反映されるんですよ」



藤宮の話を聞きながら璻は納得すると静かに頷いた。


…確かにぼーっと作業してるときってうまいく行かない事多い、意図を持って結界を張ったってことなんだ…



「念ってそんな使い方あるんですね。でも狭山さんの時は今日みたいなタチの悪い悪さしていなかったですよね?あれは水分子を変化させるためにつけたんですか?」



璻は狭山を庇っているような発言に自分の発言になぜか疑問が湧いた。仕事初日に首を絞めてくるような狭山のエゴを思い出すと悪さしていなかったとは決して言いずらい。


……前言撤回、藤宮さんに対しては悪さしてなかったけど私には首を絞めてきたから悪さはしている……


藤宮はまた璻が話を聞いていないような感覚がしたので注意をしながら璻の質問に応える。


「璻さん話し聞いてます?そう。璻さんがおっしゃっていた通り水分子を変化させるためにつけたんです。狭山さんの時はもうエゴがいなかったですし降参してたのでね」



璻はハッとしながら藤宮の話しに頷く


「聞いてましたよ!ちゃんとそれで……」

 

状況によって判断しつつ竜胆の使い方も考えなきゃいけないのかと璻は藤宮の発言を聞きつつある程度納得をした。

璻は崩れている水分子を人差し指で指し示す。

 


「この辺の記憶を見ればいいんですか?」



藤宮は歪んでいる水分子を凝視する。

何やら藤宮は何かを悩んでいるらしい。藤宮はふと何かを思いついたように璻に話しかけた。

 


「璻さんが渦見さんの記憶に先に入って確認する事はできますか?」


璻は不思議そうに首を傾げる。なぜそんなことを言うのだろうか璻には想像がつかなかった。璻は藤宮に質問をする。

 

「藤宮さんは一緒に来ないんですか?」


藤宮は笑顔で璻の質問に応える。


「皇から調査の返答がきてないか確認してから向かいます」

 

璻は険しい顔をし藤宮を見つめた。

 


…怪しい。本当に来るのかコイツ前回も私1人でやったけど人のこと試してないか?…

 


「本当に後から来てくれますか?来る来る詐欺やめてくださいね。」


藤宮は少しムッとすると璻に言い返した。

 

「行きますよ。信じて下さい。そんなに上司の俺に信用ないんですか!今ここで泣きますよ」


璻は藤宮の言葉をなぜか頭の中でリピートをする


……今ここで泣きますよ……今ここで泣きますよ……今ここで泣きますよ……今ここで泣きますよ……


そして璻が出た感想がこちら



…うっ……うぜぇ…

 



顔はソコソコいいのに30代過ぎた男性がなぜ子供じみた発言をするのだろうか。璻は唯一藤宮に対して分かり合えない部分だと思った。思わず本音をこぼしたくなる。



「うっ…」


 

璻は言いかけた口を閉じた。危ない衝動に任せてつい、うざっと言いかけた。上司に対しうざいはさすがに良くない

璻は最大限に藤宮に配慮しながら話しを切り出す。


「いっ…今泣くとかマジだるぃのでやめてもらっていいですか。」



右頬をピクピクさせながら、迷惑そうに璻が話すとなぜか藤宮は髪をかきあげながらなぜかこっちをニコッと見る

 


「冗談ですよ。ジョークです。」

 


…今の状況でジョークはいらねーよ…


 

璻は呆れながら藤宮を見つめると藤宮がボソッと話しかける。


 

「あとから駆けつけるのでそれまでやれますか?」



藤宮はものすごく心配をしている表情をする。冗談じゃない事が分かると璻は肩を落としながら言葉を返した。


 

「わかりました。早めに来て下さいね。もしエゴと遭遇しても話し合いはきちんとしますけど、狭山さんの時みたいに嫌がらせされるのはごめんです。」



藤宮は一緒にいけないことに対して非常に申し訳なさそうにしながら璻に応えた。

 


「はい。そうですよね。早めに助けに行きます…」



そう言うと藤宮は歪んだ水分子を見つめ水分子を指で拡大させると水分子が歪み崩れている箇所の中央を人差し指で指し示す。

 


「ここでお願いします。ここが1番渦見さんの身体の中心で水分子が壊れている箇所です」


璻はサッと水分子を見るといくつも連なっている六角形の水分子は五角形や四角形など刺々しく全体に広がっていた。これは渦見が自分に対しての言葉がけがネガティブなものばかりで体内の水がうまく循環出来ていない証拠だろう。


 

…藤宮さんは信頼や愛情や許しなど司る所だと言ってたけど、狭山さんの時より状況が酷く見える。きっと愛情が何なのかわからないのかもしれない…




璻は目を瞑りゆっくり深呼吸しながら腹部の丹田に力を入れた。

目を開けると藤宮の方へ顔を向ける。

 

「はい。すぐに向かいますね」

 

右手の人差し指を浮いてる水の中に入れる。

心配そうに見つめる藤宮の顔を見て少し笑いかけながら「行ってきます」と言葉をかけた。



次の瞬間、崩れている水分子に指が触れた。璻は強く目を瞑った。

 



ジャボーンッ‼︎

 


水の中にゆらゆらと身体が落ちていく感覚になる



…また全身が鉛のように重い……


 

璻は息がしづらくなっている事に気づくとゆっくり目を開ける。

 


都会のビル街が目に飛び込んできた。

どこのビルだろうか?ビルから人が出てくる。璻は観察するとだいぶ成長した渦見に見えた。渦見は歩道を歩いていた。前回見た記憶より背も大きく成長し男性らしくなっている。カバンを背負っているので大学生くらい?社会人くらいだろうか?


 

 

なぜか璻は無事に成長した事を嬉しく思ってしまった。記憶を見続けるとなぜか親の気持ちになってしまう。それだけ渦見の過去に同情しているのが璻自身にもわかる。



渦見は誰かに肩を叩かれ振り返ると女性がそこには立っていた。

璻は渦見の真上に寄ると女性から会話が聞こえてきた。



「あの渦見辰彌さんですよね。声優の」


渦見は嫌そうに振り向く 


「あっ…はい。そうですけど…」

 

女性はおもむろにカバンから端末を出した


「私、ファンなんです。連絡先を交換…」


渦見は明らかに嫌そうな顔をした。


「ごめんなさい。俺、今仕事じゃないので無理です。あとメンヘラには興味ないので。性格から出直してきて下さい」


璻はその会話を聞きながらムッとする

 

…いくらなんでもその言い方はないでしょ。ファンの子でしょ。なんだコイツ……


女性はそれを言われた瞬間固まり、顔を赤くした。

次の瞬間、異常に喜んでいた。

 


「いやぁぁ渦見くんにメンヘラって言われちゃったぁ!嬉しい。やっぱりわかる?」



璻はそれを見て呆れる

 

…よっ……喜んでる。なんだこの女わからん…


渦見さんのファンってみんなこんな感じなんだろうか。喋るのに満足したのか女性は手を振って渦見の元から去っていった。渦見は女性を見ながら少しホッとしたのかスタスタとその場から去った。まだ行くところがあるような感じに璻には見えた。

 

 

カバンからスマホを手に取りいじり始めると誰かに話しかけていた

 

「あーわりっ。さっき変な女に絡まれてよーだりぃのなんの。売れてる俺に話しかけるなよって。他当たれって。夢見てんじゃねよ。クソつまんねぇよ。マジ。あぁ。終わったらまたかけるわ」



璻はさっきの渦見と態度が全然違うことに驚く



…こんなにも態度違うんだ…



渦見はまたスタスタと歩き大きなビルに入った仕事なのだろう?

入館証を受付に見せビルの中に入っていく。


璻は上から渦見が仕事をする様子をただ眺めていた。バラエティの番組に出演し笑いを取りながら周りの人と掛け合いをしていた。璻はその出演者をじっくり見てみると首の根元に脳内器具がついてあった。よく見ると出演者やADやカメラマンさんまでも脳内器具がついていることに気が付く。



むしろつけていなかったのは渦見しか見当たらないように見える。



璻は見たことある現代の光景になぜか納得をしてしまった。脳内器具をつけている人間は感情をある程度制限がかかるし感情が一定的になるのでどんな作業も効率的になる。



…これは渦見さんと周りとの温度差が違いすぎる。この空間は非常にストレスになる…



番組進行の司会者が収録中の渦見に質問を問いかける。

 

「渦見くんは脳内器具を入れないのですか?声優さんでも入れている人たくさんいるし、いろんな企業が推奨してるけど」


わざとカメラが回っている時に言ってくるあたり意地が悪い司会者だと璻は上から見ていて感じた。



渦見はその問いにイラっとした。



それは渦見にとって何度目の質問だろうか。その質問をされる事が死ぬほど嫌いなのが表情から読み取れる。脳内器具が導入されてから、渦見は非常に窮屈だと感じていた。肥満の人は脳内器具で食欲を抑えるよう脳内器具から脳に向けて電気が流れ仕組みや性欲も一定的に脳内器具をつけている人間は制限される。怒るのも悲しむのも感じられなくなる。



心底その制度に納得が出来なかった。



渦見はイラっとする感情を抑えにこやかにカメラに向かって応える


「俺は脳内器具で管理されるより自分でなんでもやってみたいんですよ。それが楽しいんですよね」

 


司会者は渦見の顔を見ると淡々と感情なく答えた。


「そうですか。では不自由になったらいつでも脳内器具をいれましょうね」

 


渦見は司会者に言われたことに対して心底呆れると同時にこの世の中に失望し1人だけ置いてけぼりになる感覚に襲われていた。沸々と怒りが渦見の中で湧いてくるが笑ってその場をやり過ごした。そう、今日の収録は宣伝で来ている自分の発言で主役を勤めているアニメ作品を台無しさせるのは避けたい。渦見は必死に口角を上げ印象よく振る舞って番組収録は無事に終わった。




ビルから出るとすっかり外は夜に移り変わっていた。またスマホを手に取ると強く握り締めニヤニヤしながら別の目的地に向かった。渦見が歩くのを上から見ている璻は渦見が高級ホテルの中へ入っていくのが見えた。

 


ホテルに入りロビーをキョロキョロすると綺麗な女性を見つけ話しかけているのが見えた。親しい仲なのだろうか?楽しそうに話しているの姿に璻は何か違和感を感じた。


 

渦見はその女性の肩を抱き寄せエレベーターに乗り込み部屋へと向かう。カードキーで部屋を開けるとすぐに女性を抱きしめた。

 

渦見はふと思うと璻にもこの感覚や考え方が伝わってくる


…あぁ。この女の後にまた違う女で洗わないと今日のイライラは治らねーよ…


抱き寄せた女性の耳元でボソッと呟く

 

「俺のことだけ見てろ。俺を癒すのはセフレの役目だろ」


渦見は女性を抱き寄せながらゆっくりと舐めるように服を脱がし始める。女性は顔を赤らめながら頷く。まるでこの人に承認欲求を感じ幸福を得られているように。

 


渦見の感情が璻に伝わってくる。



…芸能界に入ってから長期の休みはないし断ったら仕事はもらえない世界。認知度が少ないと俺だって認めてもらえなかったからここまでがむしゃらに仕事を続けてた…



渦見が思った瞬間、璻は認めてくれた人のイメージが璻の頭の中でも浮かんだ。渦見の母親の姿がチラチラと見える。


渦見の声が大きくなり、反響し始める



…いつも優しくしてくれた人は女だった。男はすぐキツく当たり、裏切って騙すそうやって売り渡して金にするんだ…



璻は思わず渦見の声を聞くたびに耳を塞ぎたくなった。

人身売買を受けたことがさらに渦見の記憶の中で傷になっているのは藤宮の言った通りだった。

また渦見の声が聞こえる。


…親父にも小さい時殴られて家にいても、痛いのも苦しいのも我慢できた。絶対に芸能界に入ってまた認めさせてやるんだと思っていた。入ってみたらなんだこの世界、言いたいこと言えない、脳内器具は入れろと周りから圧かけられ言われるわ、スポンサーの顔色を伺って発言したり週刊誌にやられないように真面目にやってきたのに…



渦見は女性の顔に優しく手を添えてよく見る



…俺は人気があると感じる時は女を何人も抱いている時に限る。こんな感覚を制限されるのはごめんだ。女は柔らかくて包み込んでくれて俺の承認欲求を満たしてくれる。子孫も残せるし俺の性欲も満たせるwin-winな関係だ。しかも俺の都合で会ってくれる女ばかり。母さん見てる俺最高に満たされているよ…


 

璻はこの時点で口を抑え酷い吐き気に襲われた。

この時点で璻は確信した。 


…渦見さんは売れてからずっーと社会的に耐えられないストレスを女性にぶつけていたのか…心底この男気持ち悪い…



渦見が女性を掃き溜めのように扱っている事に璻は怒りを感じる。


 

…これは母親に愛されなかったという思い違い幼少期にしたんだろうか…



これは自分の中で消化しないといけない感情なのに外にぶつけて自分を変えようとしている。トラウマは自分の中で消化しないとまた同じことが起こるこの事は璻が経験し一番わかっている。



…承認欲求を大人になって満たされず別の女性で満たそうとしている。それはどんなに別の女性と身体の関係を持っても渦見さんの心の傷は一生癒やされないし誰かに縋りたい枯渇感がずっと残るじゃん……

 



そう思った次の瞬間、璻の目の前が真っ暗になった。

恐怖を感じ璻は目を強く瞑ると璻の耳元で声が聞こえる。



「みぃ〜つけたぁ!次の触り心地のいい女」



この声は聞き覚えがある。

 


璻の頭の中で渦見の顔がよぎる。緊張と恐怖で後ろを振り向けなくなっていた。

璻はなぜかこの感覚には見覚えがあった。



…もしかしなくてもこの後ろにいる存在はきっと渦見さんのドロドロした真っ黒いエゴだ…



。:*:★。:*:★━━補足ポイント━━★:*:。★:*:。


・念は自分の願いを込める作業


神社に行くと自分の願いをする方が大半ですが、それは大概念になります。念は人間なら誰でもできる作業です。例えば、絶対好きな人に振り向いて欲しい、絶対好きな芸能人と会いたい。この人が憎い、早くいなくなって欲しいなどほぼ念になります。この場合は本人の自覚しておらず、執着になり生き霊になったりします。が藤宮の場合は自分が円滑に仕事ができますようにと念を込めているので、執着にはならず、願いになっています。「叶っても叶わなくてもどっちでもいいけど叶ったほうが嬉しいな」という感覚だと願いは叶いやすいです。

藤宮はその仕組みを知っているので、軽い気持ちで念を込めています


。:*:★。:*:★━━━━━━━━━★:*:。★:*:。

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