第23話:石屋のやり口
璻はきっと冗談だろうと思いあはははと藤宮の肩をペシペシと叩きながらツッコミを入れる。
「藤宮やだなぁ…こんな時に陰謀論ですか?思想チェックに反しますよ」
藤宮は真剣な顔をしながら璻を見つめる
それを見て少しびっくりしたのか璻は思わず肩を叩くのをやめると藤宮がゆっくりと口を開き話し始める
「いや、本当ですよ!って言っても地球に生きてる人間にわからないように裏で色んな連中が強制介入してやっと今の世の中になったんですからむしろ感謝してほしいものです」
むしろ誰が”強制介入”をしたのか璻は全く見当がつかずわからなかった。
「ちなみにその話が仮に本当だとして強制介入って誰が何のためにしたんですか?」
藤宮は一瞬璻の顔を逸らすと言いづらそうに応え始める。
「誰って……あんまり詳しく教えられないです。すみません。強制介入しないとこのまま地球の自然が大半破壊される事になるのでそうならないように介入した形になります。一般の人たちにわからないようコソコソ変化させていました。彼らは無意識のうちに入り込んで未来の日本のために尽くしていますよ」
藤宮の発言には非常に疑問が残る
…彼らという事は”人”なのだろうか?…
そんなふわっとした説明されても璻は納得がいっていない様子だった。
そんな璻を見てだろうか?藤宮はなんとなく璻が納得がいかないように思えた。この説明で理解してもらおうなんて入って2日目の新人に対して無茶な話だ。藤宮は頭を急に下げ璻に説明する。
「これ以上はすみません。以前もお話したように自然の水調整の仕事内容に当たるので全て語る事は難しいです。この業務自体、守秘義務がありますので。璻さんはまだ喜三郎さんから業務に関わっていいというお達しが来てませんが…今回は皇が依頼した案件ですので、おおまかな所はいいと喜三郎さんから許可が出ました」
璻はこの仕事『水流士』にもある程度上司の段階で守秘義務がある事を初めて知った。
…そりゃ守秘義務ありますよね。私入って2日目の新人ですし…
璻は少しムッとしたがこの仕事だから仕方ないと割り切った。雑な藤宮の返しに璻は少し詰め寄るように質問する
「おおまかな所って雑ですね…今の言い方だと誰と特定するのは守秘義務にあたるけど石屋自体は知っても問題ないのですか?」
藤宮は璻に雑と言われた事に落ち込んだ。守秘義務に触れないギリギリのラインで話をするこれは非常に難しい。聞く璻も明確に問題が分からずモヤモヤするだろう。だが言える範囲で丁寧に説明をするこれは怠ってはいけない藤宮は頭の片隅に置きつつ璻の質問に答える。
「はい。知っても構いません。石屋関連はこれから依頼を受ける可能性が高いので」
璻の中で嫌な予感が頭をよぎる
「まさかですけど、渦見さんは石屋の関連ですか?」
藤宮はゆっくり頷くと璻の質問に答えた。
「はい。おっしゃる通りその可能性が高いです。」
璻は藤宮の発言を聴いた途端、手で目を覆いがっかりする。
…やっぱり、めんどくさそうな話しだと思ったんだけどぉぉ!……
目を覆ってある手をどけると藤宮の顔を見る。
(結構知らなきゃ渦見さんの問題を解決出来ないし、今聞かなきゃいけない事だ)
璻は覚悟を決め藤宮に質問をする
「もうこの際だから聞きますけど石屋について手短に教えてください。」
藤宮はチラッと部屋にある壁掛けの時計を確認するとあと30分で終えないと間に合わない状況だという事を認識する。藤宮は璻の質問に真摯に答えた。
「そうですね。時間もあまりありませんしわかりやすく説明しますね。石屋に属する人間は元々爬虫類系のゲノムが強く残っており優生思想という概念がありました。」
璻は爬虫類系のゲノムが強く残っている人間がいる事にひどく驚く。
それと同時に”優生思想”という言葉にあまり聞き馴染みがなかった。まず藤宮が言った爬虫類系のゲノムが気になった璻は質問をする
「爬虫類系のゲノムが残る人間なんているんですか?」
「実際には反射脳と言われる部分が随分発達している人間の事を指しますね。生きる事、優秀な子孫を残す事、危機管理は反射脳が管理する役割です。実際に我々にも反射脳はありますが石屋の連中は反射脳の発達が優れておりゲノムが濃く残っています。彼らは生き残る事しか考えておらず優生思想も彼らが元々作った考え方ですね」
璻は藤宮に共感し言葉を返す。
「反射脳って初めて聞きました。それにしても優生思想って私あまり聞いた事ありませんけど」
璻の質問に藤宮は淡々と答える。
「優生思想は優秀な人間は残し優秀でない人間は排除する考え方です。石屋の組織は自分たちに都合の良いように思想をつくり自ら亡くなってもその思想を何千年何百年も語り継ぎ2027年までの社会を作り上げました。」
”優生思想は優秀な人間は残し優秀でない人間は排除する考え方”これは拝金主義で成り立っていた概念なんだろうと璻は直感で感じた。そんな連中に呆れたのか璻は藤宮に応えた。
「その連中の執着がすごいですね。別のことにその能力使えばいいのに」
藤宮も頷きながら応えた。
「でしょうね。俺もその話を聴いた時は背筋が凍りました。その思想に似合った貨幣制度を作り、上下社会を作り恐怖で支配構造を作った。上手い具合に社会の構造も分断するように作ったのは頭がよく根気がなければこんなことは続きません。すごいやり方ですよ」
璻は初めて貨幣制度や支配構造は石屋が作り上げた事を知った。まさに元凶となる部分の根幹がその組織。
璻はまさかと思い藤宮に質問をする
「分断させ争う事で彼らの基準となる社会を作り上げてきた。貨幣制度も石屋の方だったんですね…じゃあ物質社会も重視も石屋ですか?」
藤宮は頷きながら答える
「はい。そうです。物に固執する考えもそうですけど、大手メディアも貨幣や価値観なども彼らですね。彼らは優生思想に基づき稼げる優秀な人間と稼げない不出来な人間とわけました。最悪なのが特に不出来な人間には粗悪な教育をし将来的には犯罪を起こさせるエージェントとして各地に送り込まれる事もやっていましたね」
璻は驚ながら応えた。
「そんな事もやってたんですか…タチ悪いですね」
藤宮は深くため息を出すと石屋について詳しく説明を始めた。
「彼らにとっては素晴らしい役者だとしか思ってませんからね。ちなみに石屋の組織のトップは特に反射脳が発達し人間から出る低い周波数、特に悲鳴やパニックや悲しみや怒りなどが好きなんですよ。常にそれを聞いていないと気が狂うゲノムを持っています。神の声だとか言って宗教にした奴らもいましたね。それらが1番タチが悪いです」
璻は藤宮の話を聞きながら背中が凍りつくような感覚が走り藤宮に応える。
「悲鳴や恐怖が好きな人間って聴いた事ないですよ。禁断症状的な感じですかね…」
藤宮はまた璻の質問に応える
「それが彼らのゲノムなんでね。例えばですけど、毎日牛肉を食べるのが生き甲斐な人にいきなり食べるなって言ってるのと同じです。いきなり我慢した際は彼らの中で枯渇感が高まり、人を攻撃するか自分が亡くなるのかの二択にしかありませんから、自分がその立場なら奪ってまで生きていたいと思うのがあっち側では普通かもしれません」
璻は藤宮の例え話に納得をする。
確かに今まで食べてたものが食べれなくなった時に人は絶望し発狂する。執着しているなら尚の事。
「そう言われるとそうですけど…」
藤宮は腕を組みながら話を続ける
「石屋の社会が崩れた後、株価暴落からブロックチェーンによる金本位制に移り時を経て2050年になりました。大概の石屋と地球に住む人間は手を組む事になりました。ただ…」
藤宮は少し言うのを躊躇う。
璻はなぜ藤宮が躊躇っているのか分からずに不思議そうな顔をした。
「ただ?」
藤宮ははぁっと息を吐いた。
「一部の石屋は手を組むのは嫌で今でも一般の人に嫌がらせする連中が残っているので俺ら水流士はソイツらの捜索も行っています。それは…まあ…おいおいですね…」
璻はその言葉を初めて聞き心の中でツッコミを入れる。
…いや、今初めて聞かされましたけど……
璻はその業務も水流士が任されることになると思うとなぜか少し絶望した。
「そんな事もやるんですね……」
むしろ最初から言えよと言いたくなる。どの会社を勤めても最初から言われていない仕事を急に振られる事はあるあるだけど。どこも同じなんだなっと璻は急に悟ったように頷いた。
藤宮は真剣な顔で説明を続ける。
「これらがわかった上の前提でこれから重要な事を話します。逃げ回っている石屋や前の社会の延長線上で石屋からエージェントを教育を受けた人間が数多くいます」
璻は急な藤宮の発言に対し質問をする
「えっ…いまだにそんな人間いるんですか?20年以上経ってますよ」
藤宮は頷くと璻の質問に応える。
「はい。残念ながら今現在でもパーソナルエネルギーが低い人間は石屋から目をつけられる区分になっています」
璻は藤宮の話を聞き落ち込んだ。
…なんだそれ…結局まだ終わってないじゃん。拝金主義終わったのにまだやってんのか古っ…
璻は藤宮に質問をする。
「私それ今初めて知りましたよ。低いパーソナルエネルギーって石屋に利用されやすいんですか。」
藤宮は璻の質問に応える。
「ええ、区分した方が石屋もわかりやすいですからね。それも込みでパーソナルエネルギーを導入したと話には聞いてます。まぁ…それはさておき、石屋からエージェント教育を受けた人間の特徴をこれから説明します。これが今回渦見さんにも繋がる話です」
藤宮は人差し指を指すと説明を始める。
「奴らのやり口は争い、悲しみ、憎しみ、悲鳴をお金に紐付け絶望させトラウマを作る事です。大体2つのパターンがあります。1つ目は組織を内部から壊すやり方、2つ目は外部から圧力をかけ壊すやり方」
璻は呆れながら言葉をかける。
「やり口がえげつない…」
藤宮は説明を続ける。
「1つ目のやり方は会社や政治や家族など組織、発足から内部に属して内部分裂させる事や内部同士の争いの種を入れるのがエージェントの役割です。男女のもつれや組織の中にいる純粋で正義感が強く、傲慢な人間なんかは彼らにとって洗脳しやすい人間のパターンです。内部分裂する瞬間はエージェントにとって最高の瞬間です。一回強く信じた人間に裏切られる事が石屋にとって重要なんですよ。」
璻はそれを聞きながら胸の中で怒りが沸々と湧く自分がいることがわかる。深呼吸し少し冷静になると藤宮に質問を投げかけた。
「1つ目のやり方は頭がよくないと出来ないやり方ですね。ちなみに2つ目はなんでしょうか?」
藤宮は2つ目についても応える
「2つ目は外部から圧力をかけて壊すやり方ですが、特殊詐欺や人身売買の売人また殺人犯ですね。彼らの教育も石屋がやってますね。1つ目のうまく連中が入り込んだら、2つ目の奴らは目を瞑ってくれますから」
璻は開いた口が塞がらないほど呆れていた。
「てか、どれ聞いても最低なんですけど」
璻は藤宮を思いっきり睨みつける
「いや、どう聞いたって最低以外なにものにもないですよ。俺はやってないですからね。そんなに睨まないで怖い表情しないでください!」
璻はなんとなくふと頭の中で思った疑問を藤宮に聞いた。
「藤宮さんのせいじゃないのはわかってます。それで…その石屋のエージェントでしたっけ?それが渦見さんだと言いたいんですか?」
藤宮は顔を左右に振ると璻の質問に応える
「いや、渦見さんはエージェントではないです。エージェントなら皇が目をつけているはずなので。パーソナルエネルギーが多分低いのではないでしょうか。だから人身売買のエージェントに目をつけられてたんじゃないかと」
璻は初めて皇の仕事について知るとなんとなく納得した。いきなり姿を消したり気配が消えたりほぼ隠密活動する忍者のようだったことを思い出す。
…そっか皇さんはそういう役割の仕事もされてるのか。だから依頼したのかも…
「藤宮さん私の予想ですけど、話てもいいですか?」
藤宮は笑顔で璻に応えた。
「はい。どうぞ」
璻はなぜ渦見がココを選んできたのか?考察を藤宮に話した。
「皇さんが渦見さんを依頼した目的は…パーソナルエネルギーを上げエージェントから目をつけられないようにするためじゃありませんか?水流士は過去を癒し記憶を変化させ感情を変えるこれってパーソナルエネルギーを上げることに繋がりますし、それにまた被害にあったらたまったもんじゃないですし」
藤宮はため息をついた。
「その可能性は高そうですね。渦見さんは傲慢な所がありますからエージェントにうまく使われそうな感じはしますね…それもわかっていてこっちに寄越したと…あっ…もしかして俺ら皇にハメられましたかもしれないです。」
藤宮はなぜか嬉しそうにフッと笑う。
困難だと思うことに立ち向かうのは藤宮も璻も嫌いではない。
皇に挑戦状を叩きつけられたように感じたのか藤宮は璻に言葉をかけた。
「だとしたら璻さん今回は前回と違って別の意味で厄介ですよ。多分次の記憶が山場だと思います」
藤宮はそういうと浮いてる水分子を確認する。
璻もゆっくり目を瞑り数秒して目をあけ目の前に広がる水分子見る。
「奇遇ですね。藤宮さん。何となく…私もそう思いました。」
石屋が作ってきた夢の国、地球に何年も何十年も何百年も囚われ善悪をやらされそんなクソみたいな世の中で育ち翻弄されてきた渦見に同情をしながら藤宮と璻は次に見る渦見が重要と感じ記憶の水分子を探すことにした。
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・石屋に属する人間は元々爬虫類系のゲノムが強く残っている
ここ数千年地球を裏で牛耳っていた組織だが彼らの大半は人間。爬虫類系のゲノムが強く残っている人種で争い騙すことが好きな人種です。これはどんなにセラピーを受けてもゲノムを消さないと治らないことがわかっています。
・石屋が教育したエージェント
石屋に属するエージェントは数多くいます。半グレものや親が元々その組織にいた場合や途中でスカウトなんかもあります。エージェントになって歴史的犯罪を犯した人は整形や海外逃亡などもできる特権があります。国の中心に入り込んだ連中がこぞって支援してることが多いからです。エージェントは石屋の組織に貢献することを叩き込まれます。大半は2032年にいなくなりますが、2050年になってもエージェント教育が抜けず隠れて嫌がらせをする連中が問題になっています。
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