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水流士-因子を解く-  作者: 小野里
- ネグレクト編 -

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第16話:話聞けよ

 



 渦見は施術台に寝ながらぼぉーっと天上を見ながら自分自身のことを見つめていた。





 …俺はなんのために声優になったんだろか?ただモテたいだけか?たくさんファンが居て、メディアにも出て休みがないくらい働いて稼いでそれで本当に俺はこれで…





 ━━━━━━━━━幸せなんだろうか━━━━━━━━━




 バタンっ!



 ドアが閉じる音だろうか?



 足音がどんどんこっちに向かってくる。渦見は強く目を瞑り自分の心の中の不安が溢れ出るように感じていた。



 …あぁ、俺の記憶変えられるのか。ちょっとこぇーよ……




 渦見が寝ている目の前で足音が止まると渦見は目をゆっくり開け藤宮と璻が見えるのがわかる。渦見は身体を起こすと藤宮が声をかける。



「起こしちゃいましたね。すみません。」


 渦見は何を思ったのか藤宮に対して反応をする。



「いえ、流石に寝たまま受け答えするって失礼だなと」



 藤宮はその発言を聞いて関心をしたと同時に渦見の失礼の基準に疑問を持った。



 …流石に寝たままは失礼にあたる認識なのか…さっきまで椅子にふんぞり返りながら話してたのは失礼に当たらないのか…俺にはよくわからん……


 そう思いながら藤宮は黒い白衣のポケットに手を突っ込んで渦見に話しかける。


「渦見さんこれから施術はじめます。横になったままで構わないのでこちらを握ってもらえますか?」



 そういうと藤宮は竜胆の組子細工を渡した。渦見は組子細工を藤宮から受け取ると顔の近くまで持ち珍しそうに見つめた。


 渦見は藤宮に質問をする。


「これなんすか?」


 藤宮は渦見の組子細工を指差しながら説明をする。


「ああ、これは日本の伝統工芸のひとつ。組子細工というものです。これを握る事によって水分子が共鳴し見えやすくなります。ちなみにこの型は竜胆と言われるものです。」


 その説明を聞いて渦見はよく組子細工をじっと見つめる。


「へぇーこんな物あるんすね」



 渦見は組子細工を裏表を見ながらその細かい工芸に関心した。



「渦見さんそれ強く握りすぎて壊さないでくださいね。これ出雲大社にあった木で作られた物ですのでものすごく貴重な代物です」



 璻は藤宮の後ろからひょこっと顔を出すと思わず口を挟んできた。


「えっ…これ出雲大社の木から出来ているんですか?」



 璻の発言に藤宮は思わずキョトンとする。


 …そういえば璻さんに詳しく説明してなかったな……


 気がついた藤宮は璻に組子細工の説明をし始めた。


「はい。そうですよ。出雲族の職人から頂いた貴重な物です。」


 なぜか話を聞いていた渦見も混ざり同時に「へぇ……」と声を合わせた



 璻は藤宮の話を聞いてふと疑問に思った。



 …出雲族?…まぁいいや、これ聞くと話長くなりそう。終わってから聞こう……



 渦見は話に飽きたのか座っていた体勢から仰向けになると璻と藤宮に話しかける。


「いつやるんですか?」



 高圧的な態度にも関わらず藤宮は大判タオルを再度渦見に優しくかけると両手を叩いた。



「では、はじめます。雑談してたら終わりませんから、渦見さんは目を瞑ってください。目開けるとしんどくなるんで」



 渦見はやる気のない返事を藤宮に返した。


「はぁ」



 渦見は藤宮に言われた通りに組子細工を手に握り目を瞑った。施術台から3歩ほど藤宮が離れると璻は藤宮の後ろを2歩ほど下がった。渦見の様子を確認すると藤宮が話しかける。



「渦見さんこれから不調になりそうな原因を見ていきます。もし万が一苦痛が襲ってきたら挙手をお願いします」




「はい」と渦見は小さく呟き手を振った。




 藤宮は黒い白衣のポケットに手を突っ込むと渦見に渡したサイズより小さな組子細工を握り手の平に置いた。組子細工を包むように合掌する。



 藤宮は目を瞑りながら心の中で祈る



 …どうか渦見さんが内側で葛藤している問題に正面から逃げず目を逸らさず本人の力で立ち向かっていけますように…



 藤宮は祈った瞬間に頭の中で映像が出てきた。



 渦見が悩まずに仕事を楽しくやり、自由に休め、たくさんの人にメディアを通して影響を与えているそんな映像が見えた。藤宮は少し口角を上げ笑う。




 息を静かに吸って静かに吐くと言葉を放つ




「払い給い清め給う」




 藤宮がそう唱えた途端に渦見と藤宮が持ってる竜胆の組子細工が共鳴し光を放つ。



 璻の襟に描かれている竜胆の模様も同時に光始めた。


 100センチくらいの小さな光が段々と広がりその場を包み大きな光に膨らんでいく。その光に入った瞬間、温かく柔らかい喜びに満ちた優しい光に璻はついにやけてしまう。渦見が握っていた竜胆の組子細工から透明な水がひょこっと出てきた。空中に浮いた水は藤宮の近くまで移動をする。



 藤宮は目を開けると目の前に水が宙を浮いていた。まるで水には意志があるようにぐるぐると狭山の時より活発的に動く水に見える。



 璻はその水を見ながらある事に気がつく。



 …体内の水って依頼主によって動きが違うんだ。非常に面白い……



 その水もなぜか藤宮に対して見て欲しそうな感じに見える。藤宮は水を手で撫でると両手で広げ水分子を見る準備を始める。璻は藤宮の姿を見て胸の奥から不思議とワクワクするような高揚感に満ち溢れていた。



 藤宮は少し口角を上げながら息を静かに吸って静かに吐く。



「水面よ記憶を開示せよ」



 言葉を唱えると浮いていた水が拡張し水分子が見え始めた。

 この作業は側から見たら簡単に見えるが水分子を均等にする作業なので藤宮にとって神経を削る作業でもある。それが2回目でなんとなく重要な作業をしている事は璻にも伝わっていた。



 璻は藤宮を見守りつつ渦見の様子をチラッと確認した。



 大人しく眠っている様子に見えた。



 璻は少し安堵すると拡張している水分子に目を向け一歩だけ前に歩き藤宮のそばに寄った。



「よし。やっと見えましたよ。」



 六角形の形をしてくっついてる水分子が多くあるが少し形が歪な水分子がいくつも連なって見えた。璻はワクワクしながら藤宮に話しかける



「藤宮さんこれどこの水分子ですか?というか触って見てもいいですか。」



 我慢ができない璻は思わず指を伸ばし水分子に触れそうになると藤宮は咄嗟に璻の腕を掴み驚いた表情で璻に話しかける。


「ちょちょちょっ…早い早い。少し待ってください。子供ですか璻さんは…」


 璻は少し拗ねた表情をするとボソッと呟いた


「ちぇっ……」


 藤宮は璻の腕を離すと呆れた表情を璻に見せた。



「はぁ……油断も隙もあったもんじゃない。昨日の今日でなんというか…」



 ……好奇心旺盛なのはいいがちょっとは待つという事を知らないのかこの新人は…



 藤宮は片目をピクッとさせてながら璻に対して話を続けた。


「度胸があるのはよ〜くわかりました。まず俺の説明を聞いてくださいよ」



 璻は冷静に考えた。


 ……またやってしまった。この感じは藤宮さん怒っている確実に………


 興味だけで動いてしまったことに璻は猛烈に反省をする


「あはははは……そうですよね」



 藤宮は真剣な表情をしながら璻を見つめると璻は深く藤宮に対して頭を下げ謝罪をした。


「つい。すっ…すみませんでした」


 藤宮は頷き嫌々璻の謝罪を受け入れる。


「突っ込んで行く癖治してくださいね。全く。あと渦見さんの場合、まず脊髄の根元から見ます。一緒に見るんでまだ触らないでくださいね。もう一度言いますよ。まだ水分子には触らないでください!」



 藤宮はため息を出し、渦見の記憶を見るために優先順位の高い記憶に紐付いた水分子を探す作業をした。少し落ち込むと璻はなんとなくさっきの行動について言い訳を藤宮に話した方が弁明の余地はあると思った。


「いやだって、藤宮さんこの作業結構精神的に負担大きいですよね?だったたら早く済ませた方がいいかなぁと」



 藤宮は作業をしつつ璻の話に耳を傾けた。



 ……まぁ確かに言っている事は正しい。毎回毎回フラフラになるくらい神経を研ぎ澄まてやっている。何にも考えてないフリして彼女はすごく気を使っているのがわかるが……



 藤宮はふと考える。



 ……いやなんだ?これ、俺、いい感じに丸め込まれそうになってないか?……



 なんとなく腑に落ちない感覚になりながら、とりあえず藤宮はなぜか璻にお礼を言った。



「ありがとうございます。その気持ちは嬉しいですが…状況を考えて本当。俺、上司!一応上司ですからちゃんと上司にしたがってください」



 璻は少し肩を落とすと返事を返した。


「はい」


 藤宮は記憶を見る水分子を確認し拡大させる。


「もういいですよ。ではこちらの水分子が少し歪な形なので触りましょうか?」



 水分子は一般的に六角形なのに一辺の長さが違う形の水分子が連なっているのが見える。



 ものすごい数の水分子が歪み広がっているのが一目瞭然でわかる。水はネガティブな思考や言葉によって水分子の形状を変える。



 璻が大学に在籍してた時によく研究をしていた分野でもある。



 水分子は元々、酸素と水素からできているが水分子にするため微量の電気を発生させている。


 ネガティブな言葉をかけた水とポジティブな言葉をかけた水を比較するとネガティブな水は水分子の形はぐちゃぐちゃに崩れている実験を大学で何度も行ったことがあった。



 ポジティブな言葉をかけた水は綺麗な円に近い水分子の形を保っていたし、循環も早い。



 ネガティブな言葉をかけた水はというと微量の電気発生率が統一されず水分子が壊れやすい。

 


 しかも歪んだ水分子が循環されにくいことがわかってきている。




 これは身体の中も同じ構造で成り立っている。それと同時に人間の体内には水に関わるある?細胞が共存している。


 ミトコンドリアという細胞小器官だ。



 ミトコンドリアは酸素を使って有機物(食べ物に含まれる糖類)を水と二酸化炭素を分解する。

 


その水は1日あたり約500mlの代謝水と言われ人間の体内で循環させている





 ━━━━━が、しかし━━━━━




 人間が酸素がうまく取り込めない状態が日常的に続くと体内に存在しているミトコンドリアの動きが鈍くなる。

 このミトコンドリアの動きが鈍くなるとどうなるのか?



 細胞の修復能力は落ち、血流は滞り、老廃物は体内に蓄積し、むくみやすくなり肩こりやむくみなどを発生させ、免疫が崩れやすくなり、病気に発展する。



 まさに悪循環



 これによってミトコンドリアで生み出された体内の水分子の構造も歪み、自律神経も崩れるためネガティブな感情を作りやすい状況を作る。



 水の知識は豊富な璻だが体内のミトコンドリアの構造はそんなに詳しいわけではない。

 少しだけ大学の研究論文で触れていたので頭の片隅にうっすら覚えていた。



 もちろん藤宮もこの職業で何度も人の水分子を見ているので嫌でもわかる。渦見の水分子の形を見ると明らかに酸素も足りていないのが二人には手に取るようにわかる。



 体内の水を見るからに水分子の歪み形や連なっている他の水分子も形は尋常である。ネガティブな言葉と思考で埋め尽くされているのがこの状態を見てなんとなく想像がついた。



 この状況を見て藤宮は少し切なくなってしまった。



「こんなにも渦見さんは自分に呪いや制限をかけていたんですね。」




 璻も歪んでいる水分子をよーく観察する



「この水分子の崩れ方は幼いときからですかね…」



 藤宮は璻の質問に答える。



「そうだと思います。なんとなくですが…これは長期戦の予感がしますね……」



 藤宮のその言葉を聞いて璻は渦見に対して少し可哀想な気持ちになった。そんな渦見の状態を考えると無意識のうちにかなり自分を追い詰めないとこんな状態にはならない。




 藤宮が右手を出して人差し指で歪んだ六角形を示す



「ここの水分子を触ります。」



 その水分子はど真ん中にあるのが見える。


 連なっている水分子がその酷く歪んだ水分子を守っているようにも見えた。



 璻はゆっくり深呼吸し丹田に力を入れ「はい」と言った


 

 藤宮と璻は右手を出し人差し指をゆっくり水分子に近づける。


「せーので触りますよ」


 ギリギリ触れるか触れないあたりで指を近づけると


 二人は声を合わせて


「せっーの‼︎」


 歪んでる水分子に指が触れた瞬間、ジャボーンと水の中に入る音が聞こえる。



 温水のような暖かさが全身に広がり心地よく感じる


 璻はゆっくり目を開けると誰か女性の声が聞こえた。


 

「辰彌、辰彌」


 そういうと小さい男の子を揺すっている。


「なぁに?お母さん」


 男の子はニコッと母親に笑いかけると母親は渦見をくすぐる。2人の笑い声が部屋全体に響き渡る。どうやら渦見の母親と幼少期の渦見は幸せそうに戯れていた。



 渦見の母親は思い立ったようにリモコンからTVをつけた。


 幼い渦見はTVに目を向けるとそこにはキラキラした人が歌ったり踊ったりしていた。母親は渦見を抱き上げると幼い渦見に話しかけた。




「辰彌は3歳ですでにイケメンだわ。このアニメの主人公になれる。いやなるんだよ。素敵でしょ?私はこの主人公が大好きなの。ちなみにこの主人公の名前は達也っていうのよ。字は違うけどあなたの名前と一緒の名前よ」




 幼い渦見はこの会話自体理解してないように見える。思わず幼い渦見は声を上げる拍手をする。



「おお」



 母親は幼い渦見を見ながら話を続けた。



「あなたも来月にはデビューするんだから母は誇らしい限りだわ」



 璻はその発言であることに気づく



 …そっか、これは子役デビュー前の渦見さんの記憶か…



 渦見の母親は渦見が子役デビューするのを心待ちにしているように見えた。きっと我が息子が可愛いくて仕方ないのは記憶を見ている璻から見ても感じ取れる。


 


 渦見の母親は幼い渦見を床に下ろし、テーブルの引き出しからペンライトを取り出すとスイッチを押し、なぜか応援上映のようにアニメを見始めた。幼い渦見はそんな母親を見ながら笑いながら拍手をした。




 次の瞬間、幼い渦見の考え方が璻の頭の中で流れ込んでくる。




 …もっと甘えたかった、TVに夢中にならないで僕をみてよ…




 幼い渦見の感情が寂しさが波のように流れ込んくる。

 幼い渦見はこの時強く願った。



 …この中に入ればお母さんはもっと喜んでもらえる…



 今も渦見の中に母親に愛されたかったという記憶が尾を引いて残っているのが璻には感じられた。璻はここが生まれて初めて一番最初に渦見が思い違いを起こした重要なポイントだと気づいた。


「はっ…」


 記憶が終わったことに気がつき、水分子から指を離した。璻はふと隣の藤宮の顔を覗く。



 藤宮はまだ目を瞑っていた。


 ……まだ藤宮さんは記憶を見ているのか?とりあえず藤宮さんを少し待ってっと……



 変な違和感をなぜか璻は感じた


 隣にいる藤宮の顔色が悪く呼吸も浅いように見える。そして何より璻が顔色を覗きこんだあたりから藤宮の顔から冷や汗が吹き出し床に汗が落ちていた。


 藤宮の身体を揺さぶり声をかける




「藤宮さん、藤宮さん」




 …いつもなら目を覚ますのに何が変だ……




 璻はふと藤宮が記憶を辿っている水分子を見る



「これっ…何?」



 驚いて思わず二度見をした。通常の常識から考えられない。




 …これはただの水分子のはずなのに……




 璻が何度目を擦って見てもこのよくわからない状態は変わらない。




「ふっ…藤宮さんの指が渦見さんの記憶の水分子に巻き付いている」



。:*:★。:*:★━━補足ポイント━━★:*:。★:*:。


・ミトコンドリア


ミトコンドリアの知識は2050年でも重要視されています。


ミトコンドリアが極端に少ない人間は老化が早く病気が出やすいと科学的に発表されます。

ミトコンドリアを活性化させることは健康的に生きる秘訣ともこの世界や時代では言われています。


また酸素をよく吸える機器やストレスを溜めない仕組みなどもどんどん開発されます。

そのうちミトコンドリアを活性させ細胞修復する服も発売され人気になります


。:*:★。:*:★━━━━━━━━━★:*:。★:*:。

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