第11話:ネグレクトの定義
璻は藤宮に言われた通りに依頼内容を読み上げた。
「依頼内容ですが、マネージャーの私から見て軽い鬱や燃え尽き症候群がしょっちゅう起こっています。渦見さんはメンタルクリニックや東洋医学に長年通っていますがあまり改善されず、体内の記憶を見れる水流士に原因を見ていただきたいのです。また渦見さんはイベントやライブで憔悴しきるとスタッフに「俺を褒めてほしい。母親のように」と溢しています。渦見さんは自殺している母親がいつも頭に浮かぶと言ってました。自殺している母のトラウマが関係しているか見てほしい。とのことです。これ…依頼したのマネージャーさんなんですね。」
藤宮と璻は皇が言ってた事を同時に思い出した。
「あ。一ついい忘れてました。渦身辰彌はネグレクト育ちでね。理想の母親を探しているらしいですよ。」
皇が先程言ってた『理想の母親』を探してるは多分この事を指していると感じた。璻は依頼内容をじっくり見ると少し引っかかる事があった。
「藤宮さん、渦見さんのプロフィールもう一回見せてもらえますか?少し気になることがあるので」
藤宮は璻の言う通りにプロフィールを見つける。
「はい。今出しますね。」
そういうと藤宮は目の前のクリスタルを使って映像を動かす。プロフィール情報を璻が見やすいように目の前に出すと璻はお礼を言う。
「藤宮さんありがとうございます。これで確認できます。」
藤宮はプロフィール情報に関して少し補足をする。
「あっ。あと璻さんプロフィールの情報を下にスクロールすると色々書いてあるはずですので。サッと黙読していただけると」
璻は「承知しました」と頷いた。表示してあるプロフィール情報を自分の手元に引き寄せて持ってくると画面をスクロールしながら黙読をする。そこには個人のゲノム情報が記載されていた。個人の欄にセロトニンの不足と記載されている。
…体内のセロトニンが不足しやすいって書いてあったけど摂取しているタンパク質が足りないかもしれない…
璻は集中しながらプロフィールの情報を見ているのを確認すると藤宮は他の作業をし始める。
…さてと。璻さんが読んでる間に俺は渦見さんの母と父の情報を探しますか…
藤宮は両親に関する記述を探し始める。
映像を指でスクロールすると渦見の家族が書かれている欄を発見する。なぜか父親の記述はある程度あるが、母親の記述が少し少ないことに藤宮は気が付く。
…渦見が5歳の時に亡くなったからなんだろうだがなぜか引っかかる…
藤宮はとりあえず渦見の父の記述だけピックアップし画面に出すと映像を指で触り拡大させ見やすいようにする
「渦見の父のことはこれとこれですかね。」
璻はプロフィール情報を読み終わると藤宮が出した渦見の父の情報に目を向けた。拡大された映像にサッと目を通した璻はあることに気づく。
「藤宮さん、渦見さんの母の自死前後の家庭の経済状況とかどういう経緯で渦見さんが芸能界に入ったとか?あと母が好きだったものとかどっかに書いてありませんかね。詳しく書いてある記述が見当たらないのですが」
藤宮はそれを事前に知っていたのか渦見の母の記述も探していた。
「少々お待ちを。今ちょうど探してます。渦見の母親の記述が少ないのは俺も気になっていましたね」
藤宮はスクロールをしながら渦見の母の記述を探す姿を見ながら璻はふとあることに気づいた。
(これ、渦見さんの母だけ先に推測した方が効率いいかもしれない。とりあえず藤宮さんに意見を言ってみよう)
璻は勇気を振り絞り藤宮に意見を言う。
「藤宮さん渦見さんの場合、母親がキーポイントだと思うので先に原因となっている母親のみ推測するのはどうでしょうか?」
藤宮は璻の言葉を聞いて驚いた表情をした。
…璻さんは昨日の今日で成長していますがだが少し判断が性急な気がしますね…
推測の業務ではあらゆる可能性を見つけていくことが何よりも大事。1つの情報だけを見て可能性を考えるのはあまりに浅はかな考え方だ。それに同時に情報が揃った時の状況を考えた方が今回の場合、本人の悩みと直結しやすく解決に近づく。1つの見方しかできず考え方が偏り狭まってしまうのは見落とす可能性が高い。それは藤宮もよくわかっていた。
…前回の狭山さんの件で璻さんの洞察力が少しずつ向上しているが1つの原因さえ突き止めればそれで終わりの考え方は推測業務ではナンセンスですね。改善していくようにアドバイスをしなくては…
そう思った藤宮は璻に意見を言う。
「確かに璻さんが推測していることは一利ありますが、渦見さんの悩みの根本原因は母親と断定するのは時期尚早です。母親が亡くなった後に父親と長く生活しているので、父親も同時に見ないと原因は特定できません。とりあえず時系列的にまずは母親から流れを追って原因を考察しつつ渦見と父親の状況を考えていきましょうか。次は父親に焦点を当てていきましょう。」
璻は藤宮の言葉にハッとした。
確かに渦見の母だけ見ても視点が偏るし父の影響もあるだろう。時系列で流れを追った方が考察しやすいのも納得がいく。業務を長く勤めている藤宮だからこその視点だ。そして何より渦見の不調の原因に明らかに関連しているのが母親だと思うが、母親が亡くなって渦見の面倒を見てきたのは父親だ。
この場合父親の影響も大きい。
渦見の幼少期の視点を考えながらニュートラルな視点で物事を考えなければならない。
なぜか無駄に焦って早く解決したい自分が璻の中にいることに気づいた。
璻は一瞬目を閉じて深く息を吸う
…今焦っても何も変わらない。今大事なことはあらゆる立場や感情を推測し渦見さんに寄り添える想像力を学ぶことだ…
深く息を吐きしっかり目を見開いた璻は目の前の情報を見る。
「まず母親からですね。承知しました。」
藤宮も璻も映像を凝視しながらさらに書いてある情報を見つけた。藤宮はホログラムを指で拡大しながら内容を確認する。
「璻さん、ありました。ありました!さすがに皇はそこも把握して書いてありますね。内容を読み上げますね」
璻は頭を軽く下げる。
「はい。お願いします」
藤宮は該当箇所を読み上げる。
「渦見の母は裕福な家庭で育ちいわゆるお嬢様だった。昔から芸能界の憧れが強くアニメやドラマを好き好んでいた。息子が生まれ芸能界に入れさせるが、2025年の芸能界の汚職が発覚し渦見の母はメンタルを壊す。半年後に鬱病を発症。その後株価の暴落があり財産を大半失う。また追い討ちをかけるように渦見の父が勤めていた大手企業が暴落後に倒産。母は数ヶ月後に自死。母の自死を発見したのがまだ幼かった渦見だった」
璻は藤宮の読み上げた内容に少し違和感を感じた。
藤宮が話した内容を察するに渦見の母親はなんとなく璻は過干渉で育ったようなイメージが見えた。それと同時に璻の背中からゾワゾワした感覚が走る。
まだ5歳の幼い子供が母の自死を発見する。これは誰にとっても深いトラウマになる。
璻はボソッと呟いた。
「渦見さんの人生壮絶ですね……」
璻の言葉を聞いて藤宮は少し考えていた。
皇がなぜ「この案件はお前が1番適任だから指名したの忘れるな。」と言ったのか藤宮にはなんとなくわかった。
…ネグレクトで育った俺が今回適任だと皇はそう言いたいのか…
藤宮はこの渦見の母親に関する文章を見た瞬間に一つの憶測が頭の中で出てきた。
①5歳で母が亡くなり渦見の父も無職になるが何らかの仕事に出ていくとする。
↓
②この場合幼い渦見を遅くまでどこかに預けられることになる。親から離れ放置されて育つ
↓
③父は仕事に必死になり幼い渦見の面倒を見る時間が減る
(この場合幼い渦見が自分の存在価値や承認欲求を認められずに育つ)
↓
④渦見本人は父親にほっとかれて長時間育つので自分で何もかもやらないといけなくなる。
↓
⑤こういう生活が続くと本人が気づかない間にネグレクトになる
こういう構図なら原因はなんとなく想像がつく
…これはあくまで俺の推測だがもしかしたら解決の糸口になるかもしれない。しかしこれを璻さんに今話すのは得策ではない。ネグレクトの定義が理解できるとこの推測が浮かんでくる。これを学んでもらうためにもここは一つ…
そう思った藤宮は急に声を出す。
「ああっ‼︎」
璻は思わずビクッとしながら藤宮を見た。
「どうしたんですか?そんな声出して」
藤宮は頭に手を置きながら璻に話す
「いやっつ…重要なことを聞いてなかったと今気がつきまして」
藤宮は自分でもなかなかしない下手な小芝居をすることにした。
…説明をするのをすっかり忘れていたということにしたら会話的におかしくないし自然だきっと…
藤宮は璻に問いかける。
「璻さんはネグレクトってご存知ですか?」
璻はその言葉自体よく知っていたので藤宮に聞き返した。
「はい。ネグレクト?ですよね。ネグレクトは子どもを遺棄したり、健康状態を損なうような不適切な養育をしたりすることを指すってどこかで聞きました。」
藤宮はその言葉を聞いて安堵した。言葉の捉え方がまるで違うことがわかる。
…やっぱり、俺が理解してるネグレクトと璻さんが理解してるネグレクトが違う。聞いといてよかった…
藤宮は璻に聞き返した。
「それは本当に重度のネグレクトの方ですね。子供の命に関わるものです。今回の場合、幼少期生活はできたけど両親に長期間放置された方のネグレクトですね」
璻は目を丸くしながら藤宮に問いかける。
「ネグレクトに種類があるんですか??」
「まぁ種類というか…酷さというか…これも奥が深いので説明しますね」
璻は藤宮に軽く頭を下げた。
「はい。よろしくお願いします」
藤宮は璻にわかりやすく説明をする。
「まず放置型ネグレクトの前に人間の欲求について説明しますね。そっちの方がわかりやすいので。人間の欲求には5つあります。」
藤宮は手を璻の方に掲げながら説明を始めた
「まず生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求、これらですね。」
璻は人間がそんなに欲求があることを初めて知った、そんなこと義務教育で習った記憶はなかった。
「5つもあるんですね。私、初めて知りました。」
藤宮はわかりやすく説明を始める。
「はい。5つは全て必要な欲求です。まずは生理的欲求は食欲や睡眠欲をはじめとする生命を維持するために最低必要な欲求。安全の欲求は秩序のある安心な環境で暮らしたい欲求。社会的欲求は社会的集団に所属して暮らしたい欲求。これらは大体0〜4歳まで安全な場所で暮らせると子供が判断した場合その後に承認欲求がきます。」
「なるほど。その順番で育っていくんですね。」
「はい。個人差にもよりますが、大体年齢期でいうと5〜7歳に子供の承認欲求が出てきます。幼い子の「ねぇ見て見て」とかは承認欲求の始まりです。そんな時期に自分を見てくれて肯定してくれる大人がいない、両親は忙しい、放置される経験すると承認欲求は満たされずにそのまま成長します。長年承認欲求が本人の中で満たされない場合、青年期または大人なったときに強く表に出てきます。ちなみに一概に承認欲求が全て悪い訳ではありませんよ」
璻は藤宮の言葉を聞いて承認欲求が悪いと言うイメージはなかった。
藤宮の意見を聞いて璻は反論する。
「悪いものとは思ってませんよ。承認欲求は人格を作る上では大事ですし、否定はしません。でも確かに小さい子供はよく言いますね。幼稚園とか保育園とか小学校の時に」
藤宮は頷きながら応える。
「はい。璻さんの言うとおり、そういう時期に親や周りが認めてくれると子供の人生もだいぶ変わりますね。お金を稼がないと生活できなかった物質主義時代、大体2025年以前に幼少期を過ごした方々に多い傾向にあります。仕事で親が構ってくれず長期間放置された子供がそのまま大人になると承認欲求が無意識に出てきます。それに本人が気づかない場合パニック障害やうつ病などの精神疾患系の病気を引き起こしやすい状況を作ります。」
璻は藤宮の説明を聞いて頭の中で想像する。
…うーん。藤宮さんの言った無意識の状態が想像できないな…
璻は藤宮に問いかける。
「それって無意識だとどんな感じで現れるんですか?」
藤宮はわかりやすく璻に説明する。
「はい。放置型ネグレクトの場合、幼少期に認めてもらえなかったから大人になって自分がもっと目立ちたい。とかいろんな人に認めて褒められたい。有名になりたい。権力を得たい。影響力が欲しい。異性にモテたい。お金があると周りから褒めてもらえるとか。大人になり心が疲弊しやすい人は自分の人生において本当に承認欲求があることで幸福なのかを見直すといいかと思いますね」
その言葉を聞いてなんとなくイメージができる。
…子供の頃、存在を否定されたことが記憶に残るとそれを払拭しようと大人になっても頑張るのか?でもそれって終わりがないように思える…
「確かに渦見さんも有名になってファンに日常生活まで追っかけられ健康壊してまで本当にやりたい仕事なのかを今立ち止まって考える時期かもしれないですね」
藤宮は頷きながら璻の言葉に同調する
「身体を壊す前にサインはたくさん出ているはずですけどね。本当はもっと前に承認欲求に気づいて本人が記憶遡らないと問題の本質は見えてこないです。」
藤宮の言葉に璻もう頷きながら納得をした。
「本人が過去を振り返らないと…おっしゃる通りそうですね」
藤宮はさらに補足をつけつつネグレクトについて深く話す。
「放置型ネグレクトは大人になって問題が出てきます。例えば体が限界なのに無理したり、他人を頼れなかったり、深い人間関係を気づくのが苦手で悩みを言えなかったり、孤立感を強く感じたり、自己肯定感が低くなったり。悩みは人それぞれですね。また過干渉と似てますが、ネグレクトと過干渉は表裏一体です。過干渉で育った人はネグレクトが羨ましく感じたり、ネグレクトは過干渉が羨ましく感じます。俺から言わせればどっちもどっちですね」
放置型ネグレクトにもさまざまあることを初めて知った璻は過干渉とは違う何か羨ましさを感じた。
「確かに私も過干渉気味で育ちましたけど、その話を聞く限りネグレクトの人は自己主張が強く自立したイメージですね。もしかしたら私少し羨ましいかもしれないです。」
その言葉に藤宮は璻の心に気づきを与える。
「自分で決断でき立ち上がって自信を持って行動できることに璻さんは嫉妬を感じてるかもしれないですね。」
藤宮の言葉は璻の心にグサッと何かが刺さった。あまりにも核心をついた言葉に何も言えなかった。
…嫉妬、嫉妬かぁ。確かにそうかもしれない…
藤宮はなんとなく言った言葉の奥に隠されたトラウマを読むのがとても上手だ。心の中をまるで見透かしているかのような言い草に正直読みが正しすぎて文句も言えない。でもなぜか璻には隠したいという感情や恥ずかしいとかはなかった。言い当てられたことで怒る人もいるし嫌味に捉える人もいるだろうが璻はむしろ清々しく感じた。
…こうやって言ってくれる人がいるから自分の中にある無意識な感情に気づける。これって、すごく貴重な体験だなと思う。他の人は多分そうとは思わないんだろうが…
璻は藤宮にはっきり感じた感情を伝えたいと思った。
璻はちょっとムスっっとしてやさぐれながら藤宮に言い訳をする。
「嫉妬ですよ。羨ましいです。でもそれはネグレクトの人も一緒ですよね」
藤宮は腹を抱えながら急に爆笑した。
「あはははははは〜いやぁ〜ほんとっ素直で素晴らしいです。そんなに潔く認めると思わなかったんで。」
璻は呆れた目で藤宮を見る。バカにしていないのはなんとなく伝わる。多分…
そんな素直に感情を言われたことが意外だったのだろうか?依頼主が感情を隠す人が多いから藤宮から見て珍しい返しだったのかもと璻はなんとなく考えた。
藤宮がある程度笑い終わると璻に話しかけた。
「あぁ〜話が脱線しましたね。すみません。はい。璻さんがおっしゃるようにネグレクトは逆に親に構ってもらった記憶が薄いので構ってもらったことに異常に愛情を感じるんです。本人が無自覚で行動に出る場合は他人に必要以上にお節介をしたり、必要以上に構ったり、実は本人がやりたくもない世話や面倒を見ているとかですかね。無意識に他人を幼少期だった自分に重ねて面倒見ている感覚なんです。この感覚は過干渉とは真逆ですね。」
璻は藤宮の言葉を聞いて悲しく感じた。
…自分に重ねて面倒見ている感覚ってなんか幻想をお互い見てるみたいで嬉しくもない表現だな…
「あぁ…小学校とか中学でうざ絡みする同級生とか職場でもそんな人いましたね。それって育った家庭の環境の影響だったんですね。それも放置型ネグレクトかぁ…」
藤宮は頷きながら答える。
「その可能性は高いです。あと放置型ネグレクトに育つとある特徴が出てきます。それは物体や生き物に執着します。別名だと愛着障害とも言いますね」
璻はその言葉自体聞き覚えがなかった。
…聞いたことない名前…
璻は藤宮に言葉の意味を聞いた。
「愛着障害?ってなんですか」
「璻さんなら知ってるかと思ったんですがね。愛着障害は親が大事に使っていた物や親からもらった物に執着する事です。母親の愛情が少ないと出ますが、大概の場合放置型ネグレクトにあたる方がやりがちですね。」
璻はその言葉を聞いてなんだか納得した。
「そっか…親に愛情を感じなかったから無意識に物に価値を感じ愛情を感じるんですね……」
藤宮は冷めたハーブティーを口に運び一口飲むと話の続きを始める。
「はい。子供が物に必要以上に執着し始めたらネグレクトじゃないか疑った方がいいですね。大人になった時地位や名誉やお金やブランド品などに必要以上にこだわります。物じゃない場合もありますね。例えば小さい頃に犬や猫を飼ってたりする場合飼い猫や飼い犬から愛情をもらうので大人になってから生き物に異常に執着する方もいらっしゃいますね。生き物の場合はもちろん保護活動などいいこともあります。ですが異常に執着する方は自分が生活できないくらいお金を注ぎ込んで大量に犬や猫や生き物を飼ったりしますね。」
璻は藤宮の言葉を聞いて悲しく感じた。
「愛情を感じるからですね。でもそれがきっかけで仕事になったり保護活動していて生きがいに感じてる人もいますよね。ネグレクトもいい悪いとかないんですね…」
藤宮は頷きながら璻に応える。
「大事なのは今の不調はネグレクトのどこの記憶からくるか?どこを改善したらもっと自分の人生が楽しく生きられるかですね。大半の人間は過去に振り回せれてることに気づかないまま亡くなる人が多いです。人生の若いうちから過去の記憶を振り返る癖をつけるといいですね…」
…そんなことに気づける大人は何人いるんだろうか。気づいていない人が多そうだ…
そんな果てしない考えを璻はしてしまいそうになる。
「確かに。なるほど…それって気づいてない人多そうですね」
藤宮はニコニコしながら璻の問いに答える。
「それに気づいた方はここに来るんですよね。璻さん。まぁそのためにウチが存在してるので。あとはそうですね。根本的にネグレクトを防ぐには親や周りがよく観察し子供を放置せず、ぞんざいに扱わないことです。親は子供の様子を見てこれ好きなんだなで終わる親は完全に子供の観察力不足。親の視点が狭いとその子供の人生に確実に影響が出ますね。」
璻は藤宮の話に対して答える。
「どれだけ大人が愛情を込めて観察し楽しく育児を経験できるかが鍵ですね。」
「そうですね。それに関して補足をすると親や世話を見てくれる大人の精神状況もとても大事です。渦見さんのように片親で生活に余裕がなく長期間放置された育児を続けるとネグレクトになる確立が高いですし。両親が仕事で自宅ほとんどおらず放置され育った場合もネグレクトに育つ確立が高い。逆に両親がおらず施設で愛情持って育った方や祖母や祖父に預けられ愛情持って育った場合はネグレクト傾向にはならないですね」
璻はなるほどっと頷きながら藤宮に話を返す。
「だから両親の精神面やその時の経済状況も大事なんですね。そこは前回の狭山さんの時と一緒ですね」
藤宮は物質社会の制度を思いだし呆れながら璻に応えた
「なんというか…狭山さんの時もそうでしたけど。お金がなければ働かなければ生活できないこれは奴隷思考です。それで育った大人に子供ができた時、またお金がなければ働かなければの奴隷思考を継承します。子供もそれを見て育つじゃないですか、また過干渉やネグレクトを引き継ぐ形になりますよね。でも社会や時代に文句言っても本人が変わらなければ感情も記憶も変わらないので結局本人が気づいて立ち上がるしかないのですよ」
藤宮は璻に話ながらなんとなく考えていた。
水流士は記憶を見る時に同じ記憶や感情を体験した人間に強く引っ張られてしまう。
…前回は璻さんががなぜか記憶に引っ張れていたけど。今回は俺が気合いを入れないとな…
藤宮ははぁーとため息を吐くと。
映像を見つめ渦見の母親と父親の情報欄を見つめた。
。:*:★。:*:★━━補足ポイント━━★:*:。★:*:。
・放置型ネグレクト
ネグレクトにはいくつか種類がありますが今回は幼少期に長時間放置されて育った幼少期について書いてます。
うざ絡みをしてくる人や必要以上にお世話する方は幼少期放置型ネグレクトの可能性が高いです。本人がそれで人生が楽しい充実してるなら必要以上に気にする問題ではありません。ただそういう自分がいることに気づくと人生の幸福感は高くなりやすくこの時代ではパーソナルエネルギーも広がりベーシックインカムの額も上がりやすいのである程度認識することは重要視されています。
・愛着障害
親が大事に使っていた物や親からもらった物に執着する事。親が使っているもの=愛情を感じるからです。愛情を感じられなかった子供はひどく人生で執着をします。愛着障害を自分で気がつくと人生が変わります。
・物やお金または生き物に異常に執着する
これもパーソナルエネルギーが狭くなりやすいのでこの時代では自覚するとある程度マシになります。ただこういうタイプの方執着することで認識できる範囲が少し狭まるので自分で無意識に制限をかけがちになります。この時代ではこういう方々は非常に生きづらくなっていき幸福感を得ずらいので安楽死を選ぶ方が多いのが現状です。
※この時代この世界では安楽死は合法になっており期間を申請すると寿命を終えられるような仕組みになってます
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