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【連載式短編集】世界線の中の『僕』  作者: 九条桐椰
暇人とわがままな使い魔
4/7

暇人とわがままな使い魔〜Story2,僕の使い魔はじっとしていられない〜

暇人とわがままな悪魔 2/3

SubTitle:僕の使い魔はじっとしていられない


平日は誰だって過ごすのが嫌になるのが常識だろうと僕は思っている。だって、せっかくの休みの日が奪われ、5日間もずっと社会的生産行動をしていないと世間から「社会不適合者」などと罵られる。世の中過ごしづらい気もするが、休日という報酬がある分生きがいなのだらうと考えられる自分がいたりする。


「ご主人様〜、何ぼーっとしてるんですか?」

「いや、なんか疲れたなぁってね」

「私がマッサージかなにかしてあげましょうか?」

「その行為は嬉しいけど、君前におんなじこと言ってドサクサに紛れてずっと後ろからハグして離してくれなかったよね」

「うぅっ・・・。あ、あれは不可抗力というか」

「不可抗力であんなにもムギュッてするか?普通」


平日の昼頃、僕は大学の屋上の休憩スペースでのんびり休んでいた。・・・気になったんだが。


「なんでルアンがいるの?」

「居ちゃダメなんですか!?」

「いやダメっていうか。いつも家にいるのになんで今日は大学に来たの?」

「ずっと家にいるの暇ですし、寂しいんですよぉ」

「寂しいねぇ・・・」


頭の中にふと一つの言葉が駆け巡った。「寂しい」、僕みたいな暇人には無縁の言葉なのだろう。僕みたいな生産性のない人間はそんなこと思うことは無いのだろうか。いや、絶対に無いんだろうな。そんな事を考えていると、屋上に行くための扉が開いた。


「おー、細海。ここにいたんだ」

「げっ・・・、珠良みら

「『げっ』とはなによ!すごい嫌そうな反応じゃない!」


屋上へ来たのは長月珠良ながつきみら。この大学の生徒であり、僕の唯一の女の知り合い。そして名乗り忘れていたが、僕は細海小鷹ほそかいこだか。この大学に通っている・・・、暇人。


「はぁ、何も言えねぇ・・・。てか、珠良。どうかしたのか?」

「いや、あんたこの後暇?」

「相変わらず暇だけど?」

「よし、じゃあカラオケ行こ!」

「嫌だわ普通に」

「なんでよ!」


カラオケ行こて・・・。なんでわざわざカラオケに誘われて行かなきゃならないんだよ絶対嫌だわ。


「確かに僕は暇人だけどさ、カラオケ苦手なの知ってるだろ?」

「わかってるよ?でもさぁ、あんた友達いないじゃん。せっかくの大学生活なんだから友達作りなさいよ」

「なんでわざわざ自分の時間を削ってまで他人との仲を深めないとなんだよ絶対作らないわ」

「自分の時間削られたくないから友達作らないって人初めて見たかも・・・」


暇人だが、なんか他人のために予定空けたり時間割いたりするのはすごい嫌気が差す。暇人には、暇人のプライドとかがあるしな。


「てかあんた暇なら暇なりにみんなと遊ぼうよ。ずっと前から同じキャンパスの人達が誘っても全部断るし。人付き合いは社会勉強にもなるよ」

「あのねぇ・・・。ん?」


ふと珠良の方を見ると、珠良の両肩に手を置いて高々と何度もジャンプしているルアンがそこにいた。いやいやいや、なにをしてんの?


「ん?細海どうしたの?なんかすごいびっくりしてるけど」

「いや・・・、なんでもない」

「んー?あぁ、そういうことね。ちょっと待って?」


そう言って、珠良はルアンの両腕を掴み、投げ飛ばした。


「痛っ!ちょっとなにしてくれるんですか!」

「それはこっちのセリフよ!私の肩を使って何遊んでるのよ!」

「いいじゃないですか!」


開き直りやがった・・・。てか、ルアンって普段僕以外誰にも見えないようになってるんじゃなかったっけ?


「珠良、もしかしてルアンのこと見えてる?」

「見えてるよ。この子、悪魔でしょ?」

「なんでわかったんですか!?」

「そりゃわかるよ。なんだってたって明らかに魔力感じるし、明らかに人間離れした風貌してるし」

「そんな!?」


ルアンは思いっきり驚いた。しかし、まさか珠良がルアンのこと見えてるとは思わなかったな。


「てか、気になったんだけどさ。珠良って魔力とか感じるタイプなの?」

「タイプっていうか、私の家系東洋魔術を扱う家系なのよ」

「「東洋魔術?」」

「代表的なものを挙げるなら、『陰陽道』ね。ほら陰陽師みたいなことよ」

「はえー、なるほどねぇ」

「ふーん、そうなんですねぇ」

「なんでちょっと興味なさそうなのよ」


東洋魔術ねぇ。そんなドラ◯エみたいな世界観の人間と言うか家系があるんだな。


「というか、もしかしてこの悪魔召喚したの細海?」

「あぁ、うん。そうだけど」

「いやなんで召喚出来たの!?というか、どうやって召喚したのよ!」

「問い詰められてるなぁ・・・」


仕方なく、僕はルアンとの出会いや、本のことについて洗いざらい話した。


「『悪魔召喚書』?そんなの本当にあるの?」

「今ここにルアンがいるのが証拠だろうが」

「まぁ、確かに。・・・よし、決めた」

「えっ?」

「今日、あんたの家行くから」

「ええっ!?なんで!?」

「あんたの持ってるその悪魔召喚書を処分するのよ!あんなのが世に出回ってる事自体ある意味大事件なのよ!」

「はぁ、わかったよ。・・・てか、僕の家って知ってる?」

「・・・・・・」

「まぁ、知らないよな」


後で道案内がてら連れてくか。・・・ところで。


「ご主人様、私途中から空気みたいになってませんでした?」

「普通になってたね・・・」


ちょっと不服そうな感じを醸し出しているルアンであった。




「おぉ、ここが細海の家か」


あのあと、珠良はマジで僕の家に来た。てか思ったんだが、自分の家に他の人連れて来るの初めて・・・、あ、ルアンがいるな。いや待って、ルアン使い魔ってか悪魔だったの忘れてた。思えばルアンって悪魔なのに人間味が強いし、ところどころめんどいとこあるし、かまってちゃんだからってのもあるからか、未だに悪魔だって思えないときがあるんだよなぁ。


「細海って、自分家に誘うことこれが初めてだよね?」

「まぁ、たしかにそうだね。小中高と誰とも遊ばず一人でいることが多かったし」

「常々悲しくなってくるの私だけ?」

「だと思うぞ。あ、ルアンお茶の用意お願い」

「わかりました〜」


とりあえず、ルアンにお茶用意させててる間、珠良に例の本を見せた。


「これだよ、例の本」

「・・・なぁ、細海」

「ん?」

「お前これよく読めたな。フランス語だぞこれ」

「知り合いにフランス語読める奴がいるから。そいつに頼んだんだよ。ラーメン奢りを条件に」

「ふーん、なるほどねぇ」

「てか珠良ってフランス語読めるのか?」

「読めるよ。私の家系にフランス人の血筋流れてるし」

「へぇ、初耳だな」

「とは言ってもそんなに濃くはないのよね。確か曽祖母がフランス人なの」

「ふーん。てか、いくら血筋にフランス人の血筋が流れてるからって読めるものなのか?」

「そりゃ、元から読めてたってわけじやないわよ。・・・とは言ってもなんで読めるのかわたしにもわからないのよね」

「なんだそりゃ」


聞いてる限り、ノー勉でフランス語読めるのか。幼少期フランスにでもいれば母国語として少しだけ話せるようになるとは聞いたことはあるが、珠良は海外に行ったことがないし、もちろんフランスにも行ったことがない。


「お茶ですよ〜」

「ありがと」

「ありがとう、ルアンちゃん」

「いえいえ〜」

「んで、どうする?その本」

「もちろん処分するわよ。流石に危険だし」

「言うほど危険なんですか?」

「あのねぇ、ルアンちゃん。こういうのを悪用して犯罪する輩が出たりとか、国を乗っ取ろうとする人が出てきたら大変なの。だからなるべく早めに処分しないとね」

「そういえば前に似たようなこと命令してきた主が居たって同期から聞いたことあります」

「あ、もういたんだ」

「なぜか失敗してましたけど」

「なんでだよ」

「多分ですけど、契約関係で大変になるからとかじゃないですかね?」

「契約関係?」

「ルアン、それどういうこと?」

「昔『上級悪魔デーモンロード』の方から聞いたことがあって・・・。あ、『上級悪魔デーモンロード』ってのは私達より階級の高い悪魔のことです」

「階級制あるんだ」

「いろいろありますよ。強さだったりとか知能で決まるらしいですし」

「なるほどねぇ」

「それで、契約関係で大変になるってどういうこと?」

「まぁ、簡単に言いますと。『私たちの存在が無き者にされる』ってことですよ」

「いや、ルアンそれどういうこと?」

「なるほどね。そういうこと」

「珠良?」

「私達人間というか、日本にも伝承とかあるじゃない?鬼とか河童とかの妖怪伝説とか」

「あるねぇ・・・。あぁ、そういうこと」

「そうです。珠良様の言う通り、人間の空想力で生きてるってことですよ」


ルアンの言いたいことがなんとなくわかった気がする。多くの人々の空想の力、それの力によって顕現されるということか。なんか納得。


「ところで、細海」

「はいなんでしょう?」

「せっかくだから、今日は泊まってくよ」

「はぁ?なんで?」

「だって、せっかく細海の家に来たんだし泊まってかないともったいないよ」

「なんじゃそりゃ」


なぜか知らんが、珠良がうちに泊まることになった。

・・・寝るスペースあるか?


「なぁ、気になったんだが。ルアンっていつもどこで寝てるの?」

「私ですか?ご主人様のベットで寝てますけど」

「そんな毎回添い寝してるみたいに言わなくても」

「え?」

「え?マジで言ってる?」

「はい、いつもですけど」

「うーん、なんで?」

「だって寝るスペースないですし」

「そもそもなこと言うけどさ、寝るスペースどうしたら良いか僕に聞きなさいよ」

「普通にめんどくさかったです」

「なんでだよ・・・。てか今までき気づかなかったけど、もしかして姿見えなくして寝てる?」

「その通りですね」

「なんか納得したわ・・・。そういえば押し入れに布団あったような」


そう言いながら、珠良の寝る用の布団を探し出す。てか明日の夜からルアン専用の布団にするか。知らぬ間に添い寝されたら困るし。・・・いやまぁ、何も考えてない僕も悪いんだけどね。

いかがでしょうか?

いろいろ編集してまして、悩んでいたことがありましたが、決めました。

水・日投稿やめて不定期投稿にします・・・。

というのも、1話、1話のクオリティを上げたいってのが理由で、決めました。

すごい勝手な理由ですが、ご了承してくれると嬉しいです。


ではまた、次の話でお会いしましょう。

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