暇人とわがままな使い魔〜Story1,僕の使い魔はめんどくさい〜
久々の3編構成の短編小説です。・・・編集に思ったより時間がかかってしまった。
「──さま・・・、ご主人様〜。暇ですー」
眠気で頭が働かない中、そんな声が頭に響く。目が覚め、時計を見ると朝の5時を回っていた。
「お前なぁ・・・、今日日曜日なんだからぐっすり寝させてくれよ」
「ご主人様休みの日いつも寝てばっかりじゃないですかぁ。たまには早起きしましょうよ〜」
「早起きしてなにするの?」
「・・・なにしましょうか?」
「ん、おやすみ」
「ちょっとぉ!ご主人さまぁ!」
休みの日ぐらいぐっすり寝たい中、僕の使い魔は構ってほしいと言ってくる。
今から数週間前・・・、いや、ちょうど2ヶ月前ぐらいの時か。
「うわっ・・・、すごいホコリっぽいな」
「だろ?ホコリっぽいのもそうだけど、シンプルに片付けが大変すぎる」
「それを今から僕達2人でやらなきゃなのね・・・」
ちょうど休みの日ぐらいのことだった。知り合いの須藤恭介の誘いで、アルバイトをしていた。内容はと言うと、今目の前にある大きな蔵の掃除だった。
「まぁ、面倒かもしれねぇけどさ。これ終わったらかなりの報酬貰えるんだぞ」
「僕としては家でのんびり寝てたいんだよなぁ」
「お前働くこと覚えとけよ、お前もう大学生なんだぞ」
「いや、須藤もだろ」
僕たちは大学3年生で、そろそろ就職先とかいろいろ考え始めたい時期。まぁ、僕としては生きてれば特に問題ないような人間だしな。特にやりたいこととかないし
「じゃあ始めるか」
「だなぁ・・・」
20分後
「ゲホッゲホッ・・・、ヤバいなおい」
「やっぱホコリっぽいってレベル超えてるよね」
想像以上の酷さだった。なんというか、うん。公害レベルなんか?ってぐらい酷い汚れとホコリだった。
「てか、半分も終わってないぞ。急いでやろうぜ」
「はいはい・・・」
少しの休憩の後、僕たちは掃除を再開した。掃除してきてわかったんだが、蔵の中はちょっとした書斎みたいな感じになっていて、言い方簡単にするなら「小さな図書館」みたいな感じになっている。本棚を興味本位で眺めていると。
「・・・なにこれ?」
一冊の本が目に止まった。なんか・・・、読めねぇ。
「どしたよ?」
「須藤か。これなんだと思う?」
「んん?これ、フランス語か。にしても随分禍々しい表紙だな。なんかすごい形相の悪魔描かれてるし」
「ところでなんだけど、なんて書いてあるかわかる?」
「あー、ええっと?『悪魔召喚書』だとさ。くだらねぇ」
「悪魔・・・召喚?」
「おおい、お前。そんなに悪魔に興味あったんか?もしかして悪魔崇拝に興味あるとは言わないだろうな?」
「なんでそうなるんだよ。でも珍しいでしょ?」
「いやまぁそうだけどさ」
変な本もあるもんだな、そう思いながら再び掃除を再開した。あのあと、蔵の持ち主から報酬を貰うときに本について聞いてみたら「そんな本あったの?」と言われ、現物を見せたら「興味ないし、なんかここに置いとくのも癪だし、欲しかったらあげるよ」と言われ、僕はその本をもらった。
次の日、僕は早速本の指示通りに召喚術を試してみた。中身は全く読めなかったが、須藤にペーシの写真を送って翻訳してもらった。(ラーメン奢れって約束させられたけど)
その通りに術を行った直後だった。突如暗くした部屋が眩く光った。その時だった。
「呼ばれたので来てみました!」
そんな声が聞こえ、目を開くと僕よりも少し若そうな少女が立っていた。でも、明らかに人間ではないなとは感じた。だって、背中からコウモリに似た翼が小さく生えていて、髪はセミロングの赤。目は人間の白目の部分は黒く、黒目の部分は少し濃い目の青をしていた。(ターコイズブルーとでも言うのだろうか)・・・とりあえず話しかけるか。
「あの?どちら様?」
「ん?私?悪魔だよ〜。てかあなたが呼び出しだんでしょ?」
「まぁ、そうですけど。」
「ところで、私を呼び出したってことは契約してくれるんですか!?」
「あー、えっと・・・、うーん?なんで呼び出したんだろ?」
「えぇっ!?呼び出した理由ないんですか!?あんまりですよ!」
「ごめんごめん」
ほぼほぼ興味本位で呼び出したことに、少しだけ申し訳無さを感じだ。
「えっと、この『悪魔召喚書』が本物かどうか試してみたくてさ、それでこれ使ったら君が出てきだってわけなんだよね・・・」
「それもう興味本位で呼び出したことに変わりないですよぉ!もう・・・、みんな契約して使い魔として働いてるのにいまだに私だけ残ってるのが辛くて・・・。それで初めて呼ばれたから来てみたら『興味本位で呼び出した』ってあんまりですよぉ」
そういってその悪魔は涙ぐんだ。・・・なんかすげぇ申し訳無さがすごい勝ってきたな。
「あの、聞きたいんだけどさ。契約するにあたって僕にデメリット的なものってあるの?」
「え?契約してくれるんですか!?」
「いやまぁ、興味本位で呼び出したのは流石に申し訳ないし、なんか追い返すのも嫌だし。せっかくだし契約してもいいかなって」
「あ・・・」
「あ?」
「ありがとうございますうぅぅ!ご主人様あぁぁ!」
そう言って勢いよく僕に抱きついてきた。・・・何がとは言わないけど、すごい柔らかかったです。
それ以来、使い魔こと「ルアン」は隙あらば僕に構って欲しいと言ってくる。(ちなみにルアンは僕命名で、悪魔というか使い魔になったら主が命名するのが決まりだそうです)こういう休みの日の朝っぱらから起こしてが待って欲しいと言ってくる。めんどくさ・・・
「ん?」
「ご主人様?どうかしたんですか?」
「いや、なんでもない。・・・なぁ、ルアン。ちょっとした買い物行くから手伝ってくれる?」
「はい!わかりました!」
そう言うとルアンは嬉しそうに飛び跳ねた。ルアンに対してというか、初めて他人に「面倒」って感情が浮かんだのは初めてだった。なんというか、ちょっとびっくりした。
「ご主人様!早く行きましょうよ!」
「あぁ、うん。ちょっと待って」
訂正、そういや忘れてた。ルアンは悪魔で、僕の使い魔だったな。・・・なんか手伝ってくれるのもなんだし後でジュースかなんか奢ってあげるか。
いかがでしたでしょうか?
ちょっと謝罪すると、予定の時間よりも大幅に遅れてしまいました・・・。
今後ちょっと気をつけます。
話は変わりますが、今回は悪魔が登場する短編なんですがね、結構いい感じにかけたと自負してます。ちなみに低評価的なコメントあったらジフでも飲んで反省します。
では、またお会いしましょう。