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勇者のところへ暗殺者が毎日くるのでなんだが顔なじみになった件

作者: コカマキリ

トンデモ設定の作品です。はい。

皆さんにご紹介しましょう。おれの目の前でゆうゆうと漢の色気まき散らしてうまそうに食しているのが我が自慢の勇者バッドガイである。


容姿端麗、才色凡人であるが、気さくな態度が憎めないめちゃ良いヤツである。


「ちょっとケン!? 良いか、その果物をそっとおけ。分かるな!? おい指で持ち換えようとするな。置くんだバカ!」


チクリッ。


棘がおれの手のひらを刺す。少し血が滲んだ。そしていつものようにおれは泡を吹いてテーブルの目の前にあったスープ皿にコーンスープ味のキッスをした。


「ああ。ほらいらんこっちゃない。仕方ねえなあ。おい。親父。勘定させてくれ。こいつの分のおれがはらう。騒がせてすまねえな。」


「ハハッ。勇者さんよお。いつもご苦労だなあ。お前もよくやるよ。」


「いや。いつもお世話になっているのはおれの方だからな。ハハッ。」


爽やかな笑みを浮かべ酒気をおびながらもおれを抱え宿屋まで向かった。


さて、さっそくの醜態をさらして伸びているのが伝説の勇者パーティー、最強の盾といわれる男、佐藤ケンである。


肩書き詐称などではない。


最強の能力をもつが故におれは最弱なのである。


神威スキル・我被弾全反射・・・まあ要するにおれがいる限りパーティーメンバーが傷つくことがないというチートスキル。


その代償におれの痛覚は尖りに鋭って敏感なのである。つまり敵にわんぱんされてしまう。


だがおれが倒されても一定時間仲間に保護パフは掛かり味方は無敵時間を制限つきではあるが保つことができる。


その効果は24時間オートで発動である。


もはや敵なんて存在しない。おれたちは始まりの街から敵なしだった。


そしてもうすっごい遠くの魔王城までしかたなく向かっている旅路の途中がまさに今である。


魔王はおれたちを恐れ毎日暗殺者を送ってくる。


されそんな感じのとある出会いがあらすじなのである。



*****



「ねえ。どうしていつも僕にかまうのだ!? 失せろ!」

「ごめん。なんかいつも顔をあわしていると何だか他人事だと思えなくて。」


「お前がいるせいで僕は勝てないのに。くそが! いっそお前を殺せれば良いのに! なんでそんなに丈夫なんだよおおおおおおお!!」


おれの胸ぐらを揺さぶりながら泣きわめいているのが魔王からの刺客ローズである。


「なんかごめん。」

「なにそれムカつく! 僕は今まで任務を失敗したことなんてないのに! なんで・・・。なんで僕の勇者暗殺を邪魔するのだ! 死ねば良い! お前なんて・・・。」


「すまねえな。おれだってなんか非道な行いしてる自覚はある。」


「ガルルルルッ!」


八重歯を剝き出しにして威嚇してくるのですが。おれ宿屋帰っていいですか?


だが目覚めが悪いので包帯と絆創膏の処置だけ済ます。残念ながら高校の部活動の救護レベルではあったが。


回復魔法もかけてやりたいがおれは残念ながら魔法が使えない。


「ふう。処置完了した。もう怪我するなよ。」


「クソが! 僕たちをなめていらるのも今のうちだぞ! 覚えてやがれ!」


ふう。やっとお帰りなさった。


今帰った暗殺者があきらめの悪いやつおれが知る限り第1位のローズという暗殺者だ。


彼(?)は一人称が僕なので僕っこなのか、はたまたデリケートな話題なのかよく知らんのでおれは彼女をおとこして扱うことにした。


口ぐせが暗殺者たるものということとなんか男として扱われるのが嬉しそうなので、たぶん付き合い方としてはあっているんだろう。


そして今晩もローズはやってきた。


「勇者今晩が貴様の最後だ! 覚悟しろ!」


「まーた沸いて出てきたわね! この害虫が!」


その手にある巨大十字架を振り回して今宿屋の床を叩き割ったのが我が勇者パーティーの聖職者のマリアである。


彼女は回復魔法を人類最高レベルで使えるのだが、なぜか魔王軍が大嫌いで心底毛嫌いしている。


年中彼女の殺意は発動中である。


「まってくれ。マリア。せっかく来てくれたんだ。もてなしてやらなくては。」

「まあ。なんて優しいの? でも私以外の女に優しくするのは許さないから♡」


ご覧の通りメンヘラである。後勇者と例にもれず付き合っている。


そのマリアは勇者以外にはまさに聖女らしき応対(魔王軍除く)なところもある。後仲間にはふつうに優しい。


「ねえ。私回復魔法使う前に鈍器であの子殺しちゃいそうなの。ごめんなさい。本当にごめんなさい。」


「ああ。おれに任せてくれ。」


死者をなるべくは出さないという心づかいゆえの頼みだ。くそう。お人好しなおれに頼みを断るのは無理だ。


ズタボロにされたローズを介抱しにむかった。


「もう終わったのか?」


「ああ。いつもすまんな。おれはできる限りは手加減して倒している。いつか魔王軍いや・・・。魔帝国の民とも手を取り合って仲良く出来る日のためへの投資だな。うちのヒーラーは殺意が高すぎるから、他のメンバーの中でも器用なケンに頼ってばかりでごめん。また埋め合わせはするから。頼んだ。」


「気にすんな。バットは世の中を平和にするんだろ? たまにはおれを頼ってくれ。おれだってバットのことを応援しているんだからさ。」


「ああ。」


「もういけ。疲れが顔に出ているぞ。後マリアが少しさきで待っている。」


やつはそそくさと彼女のもとへ戻っていった。


開けた空き地でのせられた暗殺者をみやる。


「おい。生きてるか。」


「ううう。ゴハッ。なんとか。またお前か。」


「シッ。無理するな。」


「何なんだお前は。なんで僕のこと心配しているんだ。もっと優しくしろ! 痛いだろうが! バカ!」


「ご、ごめん。」


「お前は・・・。僕のことバカにしないのか? ごめん。変なことを聞いてしまったな。忘れてくれ。」


「するわけないだろう。逆に絶対に勝てない敵に立ち向かっているんだ。尊敬している。」


「お前、いや人間って変わっているな。」


「いんや? 人間は危険生物だぞ。魔獣に襲われてなくなる人より犯罪に巻き込まれて亡くなる人の方が多いからな。」


「なんだそれは。フフフッ。まあ良い。ちょっと背中にもたれさせろ。」


「何だ眠ったら痛いのか?」


「お前はそのう。ゴニョゴニョ・・・。良いだろちょっと黙っとれ。皆まで言わすな! バカ!」


「へいへい。」


なんだコイツは? 今までこんなことなかったよな!? おれの前でもいつも強がっていて。


「そのう。言いにくいが・・・。お前は僕が女だと言ったらどうする?」


「え。いやそのう。冗談ではないよな? (ごめん知ってた。)」


「か、勘違いするなよ? これはそのう勇者との決闘で体をいためたから、もたれかかっているだけで! そ、そのう他意はない!」


「あ、ああ。分かった。(ツンデレさん♪)」


「それにお前なんて雑魚だし! しかも最強だし・・・。意味が分からん化け物だしな!?」


「なんか生きててごめん。」


「そ、そうじゃない! そうじゃなくてだな。ええいままよ! い、いつもありがと・・・。」


「分かった。分かったって! 敵に礼なんて言いにくいだろうに。そう思ってくれただけでもうれしいよ。それに、これはおれたち人間と魔帝国の民との問題でもあるんだ。いつか仲良くなれたら良いなと思ってだな。おれはバットガイの夢を応援したいんだ。」


「それだけか? お前魔帝国の民の種族ならどれが好きだ?」


「そりゃあダークエルフ族かなあ。」


「フンッ。なるほどな。チッ。」


「なんで舌打ち?」


「してない。」


「したろ。」


「星の目族とかどうだ? 目は何歳になってもいつまでもきれいだぞ?」


「星の目か。そういやローズもそうだっけか。」


「そうだ僕も星の目族だ。可愛いだろうが。」


「確かに。」


「お、おい。そんなこと言ったら誤解しちゃうだろうが!」


「事実だろうが。」


「なあ。お前恋人いるのか。」


「いねえよ?」


「だったらお前僕の一族に婿入りしろ。」


「パーティー引き抜きはちょっと。」


「チッ。バレたか。」


「当たり前だ。」


おい胸押しつけてくるな。ちょっと揺らいでしまっただろうが。あからさまに怪しいのに!


「ああ。もう疲れた。好きにしてくれ。」


「仕方ねえなあ。宿屋まで送るか。おい。ローズ? 財布空なんだが? 仕方ない立て替えてやる。」


そして宿屋へと連れて行った。だがなにかおかしい。


「おい。親父さんどういうわけだい? なんでこの近所の宿屋の部屋が1室しかあいてないんだ!? まるで示し合わせたように!」


「さあなあ。とにかくそこの嬢ちゃんに頼まれて全室満員ってことにしろって言われているからな。」


「それって言っちゃダメなんじゃ?」


「まあ。そうなんだが。嬢ちゃんの覚悟は応援したいからなあ。」


クッ。コイツ・・・。おれに既成事実をつくらせにきやがった!


そっと部屋に連れていきベットに寝かそうとした。するとコイツはおれの背に両手両足でしがみついて離れんではないか。


「お、おい。バカ! 離せ!」


「グ、グウ~。」


ワザとらしいいびきしやがって! 白々しいんだよおおおおお!


「眠り姫のローズさまどうか私をお放し下さい。どうかお願いします。」


「大人しく添い寝しろ。さもなくば占め堕とす。」


「分かったから許して? 明日だって勇者パーティーの朝は出発が早いんだ。大人しくするから。分かったから。」


「よろしい。」


なんか力をゆるめてくれたのでおれはその晩ぐっすり寝た。


朝起きたらベットの横の机の上に書き置きがあった。


”おい人間、責任とって僕の恋人になれ。さもなくばいっそ死にたいと思うほど拷問してやる”


とあった。なんてことだ。これはもう恋人になるしかない。


次の日から暗殺者は暗殺に来なかった。



****



あれから一年、おれたちは明日四天王と戦う。魔王城までもう少しだ。


今でもときどき思い返す。いつも暗殺に来ていた君を。いつだって会えると思っていた。


そんな日が突然きて思い知らされた。君に会うことをすくなからず心待ちにしていたのだと。


戦いに明け暮れる毎日。


いくつもの死を乗り越えおれたちは進んだ。魔帝国の民と暗殺者ローズがいるところへ。


君にもし会えたなら。君はなんて喋りかけてくれるのだろう? もし生きてくれていたら。


笑いかけてくれるだろうか。それとも、お前本当に本気にしてたのかと笑われるだろうか。


どっちでも良い。ただまた君にあいたい。


早くこの冒険が終われば良い。そして日常を取り戻してからまた逢えたら。


今日もおれは勇者パーティーを支えている。そしていつかダークエルフ姉さんの夜のお店に行くために!



*****


そんなこんなでおれたちは頑張っていた。明日はもう魔王城決戦だ。


とある路地で割引券を配っている売り子がいた。


「良かったらどうぞ~。あのう。そこのお兄さんもいかがですか? ”ダークエルフ姉さんの夜のお店の割引券”ですよ?」


「ぜひ下さい!」


おれは人生最速で駆け寄った。だがそこにはまさかの彼女がいた。


「お久しぶり。ケン。まさかこんなに簡単につられるなんてねえ。」


「ヒエッ。ひ、人違いではないでしょうか。」


「へえ。僕に噓つくんだ。へえ~。ところで拷問の種類を選ばせてあげようか?」


「それだけはお許しを! 何卒!」


「フッフッフッフ。」

「はっはっはっは。」


「何がおかしい? 僕はいま怒っている。」


り、理不尽・・・。男は修羅場での再開を無事に成し遂げたのであった。









































読んでくれてありがとう♪ とんだ茶番劇でした。誤字恥ずかし・・・。訂正しときます。

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