第8話
「暗い夜の山の中で一人になってしまって慌ててしまうのも分かるが、もう少し冷静になって考えてほしかったな。あと、班のメンバーとコミュニケーションをとるのも大事…。」
遭難しかけた日の次の日の朝、六時半の起床の時間に起きて七時に点呼と集会を終えて、後は朝食を食べてバスに乗って帰るだけだったが、体育教師に昨日のことで話があると朝食に向かうところで止められて現在に至る。正直昨日あんなことがあった後なので、ほとんど疲れが取れずまぶたを閉じそうになるのを必死にこらえながら体育教師の話を聞いていた。
「…だ!分かったな、根倉!」「…はい、分かりました!以後気を付けます!」
ほとんど体育教師が何を言っていたのかは覚えてないが、とりあえず返事だけはしっかりした。
「そうか。ならもう朝食を食べに行っていいぞ。」「あの…。セキネさんは…・」
一緒に叱られるものだと思っていたので、いなかったことを疑問に思い体育教師に聞いてみた。
「ああ…、セキネか?セキネは養護教諭の先生から話をすることになったんだ。女子が泊まった建物には男の俺は入れないからな。世の中には色々あるんだよ。理解してくれないか?」
体育教師は少し申し訳なさそうに話していたが、話の内容は別にどうでもよかった。
ただセキネさんに会える機会を失ってしまったこと、この一点が残念だった。クラスが違えばもう会えるかどうか分からないので、話をすることは出来ないかなと思ったが、俺が貸した体操着のことを思い出した。あれを返しに来る時にまた会えるだろうと考えて、いつになるかは分からなかったが少し気持ちが上向きになった。
「そうですか、分かりました。ありがとうございます。」
そう言って俺は朝食を食べに向かった。
その後部屋に戻って、後片付けをした後バスに乗って学校に帰って来た。
学校に着いたら点呼を取って集会をした後、解散となった。
その後は歩いて駅まで行き電車に乗って家の最寄り駅まで行き、そこから10分ほど歩いて家に帰ってきた。
玄関の扉を開けて「ただいま~。」と言って中に入る。するとリビングの方から「おかえりなさい。」と母さんがやってきた。
「お昼は食べた?食べてないなら何か作るけど?」
俺を心配して聞いてくれているのは分かっているが、家に帰ってくる途中の電車の中で何度も寝そうになるくらいすごく眠かったので、「ありがとう。でも眠いから寝る。夕飯まで起こさないで。」と素っ気ない返事をして自分の部屋に向かった。
自分の部屋に入るとすぐさまベッドに潜り込み眠ってしまった。
気付くといつの間にか夜の山中に一人佇んでいた。明かりはわずかに差す月と星の光だけだった。なんか前にもこんなことがあった気がしたが、とりあえず助けを呼ぶために、「お~い!誰かいませんか~!」と叫んだ。
すると「お~い!誰かいるの~!」と返答する声が聞こえた。
やった!これで助かった!と思い、声がする方を見ると光が見えた。
「お~い!」と叫び続けて、自分の居場所を教え続けた。すると光がだんだん大きくなってきて人型をしているのに気付いた。
その時ハッと思い出した。「そうだ!これは体が発光する女の子の発した光だ!え~と、名前は何だっけ?」と考えていると、光が俺の体を包み込み眩しくて目を閉じた。光が弱まってきて目が慣れてくると、そこには目が異様に大きい体が銀色の人型の生物がいた。俺はとっさに「誰だ、お前は⁈」と叫ぶと、その銀色の生物が「実は私、宇宙人なの!」と言った。「うわぁぁぁ!」と叫びながら俺は飛び起きた。
「はぁ。はぁ。はぁ。」と肩で息をしながら周りを見渡すと、時計に本棚、勉強机と見慣れた物ばかりで銀色の体の生物などどこにもいなかった。
「俺の部屋だよな?山の中じゃないよな?」自問しながら窓の方へ目をやると、もう日が暮れて星が見えた。




