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第52話

 「ホントに久しぶりだよね!アカリと会うのも。高校が違うと、こんなに会わないものなんだね。アカリ成績良かったからA高校に行っちゃったけど、私たちと離れ離れになっちゃって寂しくない?」


ルリさんが心配そうにセキネさんに尋ねてきた。

セキネさんは少し暗い笑顔を浮かべながら「寂しくないわけではないけど、A高校でも友達ができたからそんなに寂しくないよ。もちろん、ルリさんたちが一緒だったらよかったんだけどね。」と答えた。


「へ~。良かったね!私たちはアカリがいなくてかなり寂しいよ。アカリってムードメーカーだったから。ね!マチ。ミサ。」


「うん!アカリほど見てて楽しい人はいないからね!」


「そうそう!中学の時はたくさん笑わせてくれたもんね!」


マチさんとミサさんが打った相槌を聞いて、ルリさんが手を叩いて笑いながら「アハハハ!そうそう覚えてる?アカリってば、いつも教室の入り口でつまずいていたよね!」とアカリさんの失敗談を話し始めるとマチさんとミサさんもそれに続いた。


「そうそう!何日連続でつまずくか数えたら、週をまたいで連続10日間つまずいたこともあったよね!」


「そうそう!それに体育の50m走の時もよくゴール手前でこけてたよね!」


ん?これは何かちょっとおかしくないか?

「見てて楽しい。」とか「笑わせてくれた。」とか言って、ただ単にセキネさんの失敗を見て面白がっていただけなんじゃないか?

この3人はホントにセキネさんの友だちなのか?とルリさんたちの発言から4人が本当は友だちじゃなかったんじゃないかと俺は疑い始めた。


セキネさんは大丈夫かな?

セキネさんが心配になり、セキネさんの顔を見ると少し引きつったような笑顔をしているような気がした。


するとルリさんがとんでもない発言をした。


「あ!そう言えばアカリ、体が光っちゃう病気はどうなったの?もう治った?」


おい!それはおかしいだろ!この人は知らないのか?セキネさんの病気は治療法がまだないんだぞ!


セキネさんは一瞬衝撃を受けたような表情をしたが、すぐに引きつった笑顔に戻った。


「そうそう!それもあったよね!あれ覚えてる?卒業式の時!」


「あ!卒業式の時ね!覚えてる覚えてる!アカリが壇上で卒業証書をもらった瞬間体が光り出したやつね!事情を知らない人たちが騒ぎ出したりしたよね。」


マチさんとミサさんが卒業式の時の話をし出したら、セキネさんはうつむき始めた。

そして急に立ち上がって「ごめん。コーヒー飲み過ぎたかな?トイレ行ってくるね。」と言い残して、セキネさんはトイレに行ってしまった。


「あ、あの…。」

俺が話しかけようとしたがセキネさんは立ち止まることなくトイレに行ってしまった。

セキネさんの横顔は今にも泣きだしそうな顔をしているように見えた。


俺のせいだ!セキネさんがルリさんたちと一緒にお茶してもいいか尋ねてきた時に断ればよかったんだ!あの時の不安な表情はこんな状況になることを心配してた表情だったんだ!

俺が止めなくちゃ!俺のせいでこんな状況になっているんだから俺が止めなくちゃ!


「…もうやめてくれませんか?」


「え?」


「もうやめてくれませんか?」


「え?なになに?根暗くん?どうしたの急に?」


ルリさんたちが俺の言ってることが理解できないのか、本当は理解できていてはぐらかしているのかは分からないが、こうなったらセキネさんのいない内に言い切ってしまおうと俺は考えた。


「だからセキネさんをバカにして笑うのはやめろって言ってんだよ!そんなの友だちのすることじゃない!」


ルリさんたちをキッとにらみつけながら俺は初めて初対面の人に怒りをぶつけた。


「はぁ?何言ってんだか分からないんだけど。私たちアカリをバカにしてないし。」


「バカにしてるだろ!セキネさんがつまずくところを見て笑ったりしてたんだろ!本当の友だちなら笑ったりしてないで心配するところだろ!」


「はぁ?私たちは実際見ててアカリが大きなけがをしてないことが分かってるから笑い話にしてるだけだから!そんなことも分からないの?」


「ああ、分からないね!俺は何回つまづいて転んでケガをしてなかったとしても、ずっと心配するからな!それが友だちだろ!」


「わ、私たちだって今アカリがつまずけば心配するわよ!ていうか今日あったばかりの人に私たちとアカリの友情を疑られてほしくないんだけど!」


「お客様。他のお客様の迷惑になりますので店内ではお静かにお願いします。」


店員さんが俺たちの席にやってきてヒートアップして大きな声を出している俺たちを注意してきた。

普段の俺だったらそこで大きな声を出すのをやめるだろうが(そもそも普段なら大きな声を出すこと自体しないだろうけど)俺は矛を収める気は毛頭なかった。


「あんたたちがセキネさんの友だちじゃない一番の理由を言ってやろうか!セキネさんの光る体を笑っていたからだよ!」


「それが何だって言うのよ!」


「やっぱり知らないのか。セキネさんの光る体はまだ治療法が確立されていないんだよ!治らないんだよ!こんなちょっと調べれば分かることを知らないなんて友だちとは言えない!」


「……。」


ぐうの音も出ないほどルリさんたちを言い負かして気分が良かったのも一瞬だった。

すぐにセキネさんの体のことをこんな大声でしゃべってしまって申し訳ない気持ちになった。

俺とルリさんたちが黙ってから長い時間が経ったように感じていた時(実際は1分ぐらいだが)ピカーッと眩しく光る何かが俺たちの席に近づいてきた。

そして光る何かは俺たちの席のところで止まって「何かあったの?」と言ってきた。

その光る何かの正体は(言うまでもないが)セキネさんだった。

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