第50話
セキネさんと俺が振り向くと、そこにはセキネさんやアオヤマさんと比べるとメイクが派手な他校の女子が3人いた。俺は4月に引っ越してきたばかりで、まだ着ている制服だけでどこの高校かは判別できないが、セキネさんと着ている制服が違ったので他校の人だと分かった。
「久しぶりじゃん。中学の卒業式以来だっけ?最近ライン送ってなかったけど元気だった?」
真ん中にいる女子がセキネさんに話しかけて来る。
声から察するにさっきセキネさんに話しかけてきたのも、この人なのだろうと分かった。
「久しぶり。ルリさん。マチさん。ミサさん。」
心なしか挨拶するセキネさんの声のトーンがさっきまで俺と話していた時よりも暗くなった感じがした。
「マチとミサは最近アカリにラインした?」「私はしてな~い。」「私も~。」
真ん中の女子が左右にいる女子にセキネさんにラインしたか聞いたため、真ん中の女子がルリさんだと分かった。
もしかしたらセキネさんとルリさんたちは会話の内容からして、中学の時それほど仲良くなかったのかもしれない。卒業式の時に一応ラインのIDを教えたが、その後は段々とメッセージを送らなくなるような間柄の感じがした。
「ごめんね~。アカリ。もっと頻繁にラインしたかったんだけど、同じ高校の友だちの方を優先しちゃってた。ホントにごめん。」
「ごめん。アカリ~。」「ごめ~ん。」
「全然いいよ。私の方からラインしなかったのも悪いんだし。」
「ところでアカリ、一緒にいる男子は誰なの?もしかして彼氏?」
ルリさんがセキネさんに俺のことを尋ねてきた。
「違うよ!彼は根倉くん!友だちだよ!」
「へ~。友だち?そうだったんだ。勘違いしちゃってごめんね~。アカリ。根暗くん。」
「ううん。大丈夫だよ。ね!根倉くん?」
「う、うん。そうそう気にしないでください。」
俺はセキネさんに「友だちだ。」と他人に紹介されたことが嬉しくて、恐れ多いことにセキネさんの彼氏と勘違いされたことや「根暗」というアクセントで呼ばれたことはたいして気にならなかった。
もちろん今一緒に駅前をぶらぶらしていた俺を他人に紹介するときに「クラスメート」と言うよりも「友だち」と言った方が変にいろいろ説明しなくて済んでいいから、そう言ったのだということは俺も分かっているがやっぱり嬉しかった。
「それで2人は何してたの?」
「一緒にお茶する場所を探してたんだよ。」
「お茶?それならちょうど良かった!私たちもお茶しようとしてたんだ。積もる話もあるし、一緒にお茶しない?」
ルリさんがにっこり笑いながら提案してきた。
「私はいいけど、根倉くんの意見も聞いてみないと。根倉くんはいいかな?」
セキネさんが不安そうな顔で俺に尋ねてきた。
俺はセキネさんとルリさんたちはそんなに仲良くなかったのではないか?と思っていたがセキネさんが一緒にお茶してもいいと言っているなら、それは誤解だったんだ。と思い直した。
きっと知らない人と一緒にお茶をしなきゃいけなくなる俺を心配してくれているんだ。と思い、そんな心配は全然必要ない!という思いを込めて「セキネさんが構わないなら僕も構いません。」と答えた。
(この時、セキネさんの本当の気持ちに気付いていたらと俺はずっと後悔するようになる。)
「それじゃあ根暗くんもOKみたいだし、あそこのファミレスで一緒にお茶しようか?」
ルリさんに促されて俺たち5人は近くのファミレスに入った。




