第49話
「とりあえずA駅前まで行ってみようか?駅前ならカフェとかファミレスとか結構あるだろうし。」
「そうですね。」
「根倉くんはカフェとファミレスだったらどっちがいい?」
「僕はどちらでも構わないです。セキネさんがいい方で。」
「あはは!根倉くんは優しいね!じゃあ私が決めちゃっていいかな?」
「はい!お願いします。」
このままじゃ全然ダメだ!
セキネさんが話しかけてくれているから何とかなっているが、セキネさんが「根倉くんと話していても楽しくない!もうお茶をさっさと飲んで解散しちゃおう!」と考え始めたら、俺に話しかけることをやめてしまうかもしれない!
それはまずい!俺から話しかけられないなら、セキネさんが振ってくれた話題をもっと広げなくては!
「この前も言ったけど、根倉くんとナカマくんが美化活動に参加してくれてホントに良かったよ!美化活動の時間はあまり変えられないから有志で参加してくれる人の人数でゴミの拾える範囲が広がるからね。」
あ!この話題ならあの質問ができるんじゃないか。と考えた俺は「あの、気になっていることがあるんですけど聞いてもいいですか?」と、まずは質問をしてもいいかセキネさんに尋ねた。
「え?なになに?答えられることだったら答えるけど。」
セキネさんは笑顔で「答える。」と言ってくれたので、俺は安心して質問することにした。
「あの、何で美化活動って定期試験の前にもあるんですか?部活動とかは休みなのに美化活動は休みにならないんですか?」
「あ!やっぱりそれ気になってたか。それに答える前に質問を質問で返して悪いけど、根倉くんは美化委員の活動ってどんなものがあると思う?」
「美化委員の活動?え~と?土曜日のゴミ拾いと……あ!学校のゴミ箱のゴミを集めた後、ちゃんと分別されているか確認してますよね?あとは何だろう?」
「あとは文化祭の時に出たゴミを業者さんへ引き渡すのを手伝ったりするみたいだよ。学校のゴミ箱のゴミの分別は当番制だから、毎週美化委員全員でやらなくちゃいけないのは土曜日のゴミ拾いだけなんだけど、それは何年か前の熱意のある美化委員の先輩が校長に直談判して、活動時間を短くする代わりに毎週学校の敷地や近くの公園のゴミ拾いをする美化活動をすることを認めさせて始まったみたいだよ。」
「やっぱり活動時間が短いからだったんですね。ナカマくんともそうじゃないかなって話してたんですよ。でも定期試験の前くらい休みにしてほしいですよね?」
「そうだね。でも何年も毎週ゴミ拾いするところを学校の周りに住んでいる人たちに見られていたから、やらない週があると学校の体裁が悪くなるから休みにできないって噂もあるみたいだよ。」
「そうなんですか⁈それが本当ならひどい話ですね!」
「あはは!まあ噂だけどね。実際は今の美化委員長のイガラシさんも熱意のある人だから定期試験前も美化活動をできるように先生たちにお願いしているんだと思うよ。」
「そうですか。セキネさんも大変ですね。」
「ううん。活動内容は分かってて美化委員に入ったから、それほど大変でもないよ。」
ニコニコしながら話すセキネさんを見ていると、本当に美化委員の活動が大変じゃないんだな。と思う。大変かどうかなんて人それぞれの尺度で変わってくるからな。
疑問も解決したし話も少し弾んでいるし(ほとんどセキネさんが話しているのは変わらないが)これなら一気にセキネさんと仲良くなることが出来るんじゃないか?と俺が考えているとA駅前までいつの間にか着いていた。
「それじゃ、お茶するお店を探そうか?」「そうですね。」
俺とセキネさんがお茶をする店を探し始めてA駅前をぶらぶらし始めると「あれ?アカリじゃない?」と後ろからセキネさんに話しかける声が聞こえた。




