第48話
とりあえず教室でセキネさんを待つ間、セキネさんと話す話題を考えてみたが全く思いつかなかった。そもそもナカマくんに言われて考えた3つの話題も何日も考えてやっと思いついたものなので、(厳密にはそのうちの1つは母さんが俺に聞いてきたことをそのまま流用している)2,30分考えたぐらいで思いつくわけがなかった。
どうしよう?どうしよう?
一緒にお茶をするってことは、その時の会話が盛り上がるか盛り上がらないかで一緒にいる時間が決まるってことだよな。
会話が盛り上がれば時間なんてあっという間に過ぎるだろうし、会話が盛り上がらなければ「そろそろ帰ろうか?」と言って切り上げられてしまうかもしれないしなぁ。
それだけじゃなく会話が盛り上がらない相手と友だちになろうと思う人はいないだろうから、是が非でも会話を盛り上げなきゃいけない!
あ~でも全然いい話題が思いつかない!
そろそろセキネさんも戻ってきちゃうだろうしどうすればいいんだ?
俺が教室のスペースがあるところでグルグルと歩き回りながらあーだこーだ考えていると、「根倉くん!」と俺を呼ぶセキネさんの声が聞こえた。声の聞こえた方を振り向くと、セキネさんが教室の入り口の近くで膝に手を当てながら前傾姿勢になって息を整えていた。俺を待たせている申し訳なさからか、息を整えなきゃいけないくらい急いで教室に来てくれたことが俺は嬉しかった。
「…ごめんね。…ずいぶん…待たせちゃったよね?」
「そんなことないですよ!セキネさんは美化委員の仕事があったわけですから仕方ないですよ!」
「…ホントに…ごめんね。…今、帰る準備…するから。」
そう言うとセキネさんは自分の席に行ってカバンに教科書などを詰め始めた。
そんな様子を見ながら、俺は時計に目をやり、(今3時10分か。ということはセキネさんの家の門限とかもあるだろうけど、長ければ5時くらいまでは一緒にお茶できるだろう。話を盛り上げられるように頑張ろう!)などと考えていた。
1,2分後セキネさんがカバンに荷物を詰め終えると「それじゃ根倉くん!行こうか?」と言ってきたので、「はい。」と返事をしてセキネさんに付いて行き教室を後にした。
セキネさんが教室に来るまでは不安でいっぱいだったが、今は一緒にお茶できる喜びでいっぱいだった。




