第45話
言葉に出すよりも早く、体が動いていた。
ボールがセキネさんに当たる前にボールとセキネさんの間に入りボールをキャッチした。
ボールが一直線で飛んで来たら間に合わなかっただろうけど、山なりに飛んできたので何とか間に合った。
「大丈夫ですか⁈セキネさん⁈」
セキネさんの方を振り向くと、セキネさんは何が起こったのか理解できず困惑した表情をしていた。
「なんともないけど。急にどうしたの?根倉くん?」
「すみませーん!大丈夫ですかー?」
おそらくボールをセキネさんの方へ飛ばしてきた小学生らしき3人組が近づいてきた。
ここは毅然とした態度で注意した方がいいと考えたが、「大丈夫だけど、ボールで遊ぶ時は周りに気を付けて遊んでね。」と実際注意すると少し柔和になってしまった。
それでもその小学生の3人組は反省したらしく、「はい。ごめんなさい。」と素直に謝ってきた。
ひねくれた子たちじゃなかったのだろう。反省もしているようだし、もうそんなに強く注意する必要はないかな。
「はい。ボール。」
俺は小学生の3人組にボールを返した。
「ありがとうございます。」
小学生の3人組はボールを受け取るとお礼を言って去って行った。
「そっか。ボールが私に当たる前にキャッチしてくれたんだね。ありがとう!根倉くん!」
今の俺と小学生のやり取りを見て、事態を把握したセキネさんが俺にお礼を言ってきた。
「い、いや、たいしたことないですよ。これくらい。」
「ううん。飛んできたボールに当たらないで済むなんて、私のついてない人生では滅多にないことだよ。ありがとう!根倉くん!」
「いえ、ホントにたいしたことないですから。」
俺は口では謙遜していたが心の中ではセキネさんを飛んでくるボールから守れたことが嬉しくて舞い上がっていた。
「おーい!アカリー!根暗―!そろそろ2時半だから公園の入り口にもどろー!」
離れた所にいたアオヤマさんがナカマくんと一緒に俺たちのところにやって来た。
「ん?何かあった?」
アオヤマさんが敏感に察知して何かあったのではないか聞いてきた。
「ううん。何もなかったよ。ね!根倉くん!」
「え?う、うん。何もなかったよ。」
セキネさんがさっきのことを言いたくないのだな。と察して俺はセキネさんの発言に合わせた発言をした。
「そう?…分かった。それならいいんだけど。」
アオヤマさんは訝しげな表情をしていたが、最終的にはセキネさんの発言を信じたみたいだった。
そのあと、俺たち4人は最初に集まった公園の入り口に戻った。




